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滝本政博様
評とご感想、ありがとうございます。
イメージ=伝えたい光景+読者の感覚ですね。
言葉が空回りしてばかりですが、今後に生かしていきます。
振り返れば、今回の主旨は体験です。
繰り返される水難事故のニュースを見て、川の恐ろしさを伝えたかったのですが、主軸がブレれ過去の思い出、河童の伝承と、いいとこ取りしようと欲張って、挙げ句に散文説明調といったところですね。
批評をしていただくと目が覚めるのですが、それまでは自分に酔って、欠点に気づいていません。
直近、スランプが続いていますが、諦めずに継続して詩作に取り組もうと思います。
今後もご指導、お願いいたします。
感想ありがとうございます。
写真ありきの詩になってしまうし、大きな括りで言えば、反戦の詩……ちょうど、そういうのを考えることが多いシーズンの投稿でした。反戦の気持ちを否定する人なんてなかなかいないし、ちょっとズルい気がしたので、感想のみとさせていただきました。
土門拳の写真。自分も素敵だと思い、今回どうしても使いたかったのです。
時代の中で夢を持って、それにひたむきで。
でも、年相応の少年らしさ。
時代が変わっても、変わらない……どこにでも
どんな時代にでも一人はこういう少年がいるはずで。
写真の彼が戦争を生き延びたかは存じませんが、願わずにはいられない。
どこにでもいる少年。
彼が平和の中で、饅頭でも食べられたら。なんて。
予科練平和記念館。そこの紹介詩としても書きました。
実は別のモチーフを用いて、この場所、戦争についての詩を「たびぽえ」に投稿したいと思っています。
また写真ありきの詩にはなります 苦笑
お読みいただきありがとうございます。今回は感想のみを希望しましたので、次は評をいただける詩を投稿できたらなと思います。
「嗤うしゃれこうべ」 上原有栖さん 8月12日
民話のような詩。
難解な表現はなく、読みやすかったです。
夏向きのホラー詩ともいえるかな。
語り口もよいですね。作者は語り部のようです。
しゃれこうべが漆塗りなのがまず驚きです。
この詩をどのように発想したのかわかりませんが、この漆塗りのしゃれこうべの由来がわからないことも謎めいています。そして「それ」は偶に笑うのだという。
現実のすぐ隣にある禍々しさですが、そこはかとないユーモアも感じられるテイストになっています。
詩は頭で解釈するものではなく、全開の感受性と想像力で感じとるものであります。私は楽しみました。
「夏休みの記憶」 aristotles200さん 8月12日
aristotles200さんはいろんなタイプの詩が書けるのですね。まずそれが驚きです。
この詩を読んでいると、詩とは体験なのだなと思う。もっと言えば体験と想像力でしょうか。記憶が作者の中で血となった時に、はじめて詩が立ち上がってきます。
今回の詩は少し散文的でした。
水の中の流れ、光や感触をリアルに再現できればさらによかったと思います。つまり読者の感覚に訴えるということです。
体験した出来事のどの部分を切り取るのか、どのように描き、どう誇張するのか。その飛躍で詩は成立します。つまり、「詩としての真実」がなければ読者の心に届きにくいと思います。
「不穏」 荒木章太郎さん 8月12日
毎回感じるのですが、荒木さんの詩を評するのは難しいです。
今回の詩に関して……
たとえば「詩人とは本来言葉の意味文節作用の及ばない世界を改めて言語化する能力を有するものとします。」
この定義をもとに荒木詩を読むと、その意気やよし、と思うのです。
しかし、言葉が照らす像がぼやけてぴったりと焦点を結ばないところがあります。
言葉のチョイスに神経を使っていただきたいです。難しいことに挑戦しているのですから、ここはぴたりと決めて欲しいです。
あと
<はるか昔から人類は
戦争をやめられない
八十年の平和は
成長を止めたかわりに
足音を遠ざけた
それでも耳の奥では
乾いた靴底の音が
途切れることはない>
ここは唐突に感じました。
これを入れたいのなら、前半になにか工夫があってしかるべきだと思います。
きついことを言えば、発語するにふさわしい内部から湧き上がってくるような言葉を書いて欲しいです。
また、一つの詩には一つのことを書けばよいのであって、初めのうちはもつとシンプルな作品を目指した方がいいとおもいます。いろいろ書いてしまいました。すみません。期待しています。
「一途」 喜太郎さん 8月13日
今回は「一途」という言葉をキーワードに作品を形作っています。
論理的な矛盾もなく、読みやすくて好感が持てます。
言葉は共有財産ですから、極端なことを言えば、自分の言葉というものはありません。にもかかわらず詩はリズム、語順、比喩などなどで自分のことばにしてゆかねばなりません。
喜太郎さんがそのような独自の文体を持つことが出来れば、作品はさらに素晴らしくなると思います。
「青の証明」 松本福広さん 8月13日
今回は感想のみでお願いします。
とのことなので、以下簡単ですが感想になります。
(第一陣世界大戦以降、世界的に航空機の需要が高まる。日本も例に漏れない。旧海軍はより若いうちから基礎訓練を行い熟練の搭乗員を育てるため14歳から17歳までの少年を全国から試験で選抜して基礎訓練を行う予科練習制度を始める。)
この詩のなかで印象に残ったのはこの部分だった。
つまり、戦争を闘った多くの部分が子供時代の終わりにさしかかったばかりの少年だったのだ。例えば戦争を描いた映画など、マッチョな俳優が出演したりするのだが、ほんとうに戦ったのは子供たちだったのだ。
このことは強調しておかなけばならないと思います。
(予科練の厳しい生活の中の憩い。例えば、酒保があげられる。旧日本軍独特の名称で、売店のことです。日用雑貨や菓子類、うどんやお汁粉などを販売している売店で、夕食後が「酒保開け」となり、温習までの自由時間に利用することができた。)
なんとも胸が痛い。同時のそのような場所があり彼らはどんなにか嬉しかったことか。彼らはまだまだ子供であったのだ。
土門拳の写真、とてもいいです。
「希望」 社不さん 8月14日
佳作とします。
言葉で思索してゆくタイプの詩でした。
それは成功していると思います。
<答えのない答えを 軸を 光を 小さな闇を
求めていた 今日も夜が始まる>
<砂時計の砂が全て落ちても 時は流れ続ける
空白の中にも 何かが存在している>
ここ、いいですね。面白い認識です。
また光と闇を考察した作品ともいえるでしょう。
詩の終わりに向けて、明けて行く朝に向けて、作品が光に晒されてゆく。それがとても清々しい。
気持ちのよい作品でした。
ドア一枚向こうの
あなたに呼びかけると
廊下の床を撫でるように
いつもの足音が返ってくる
着飾らない足は 少し眠たげで
足裏が床に沈み込むたび
古木の息遣いが 耳に心地好く
言葉は無くても
顔を見なくても
足音だけで あなたがわかる
それは あなたと過ごした
穏やかで確かな時間の証
ドアが大きく欠伸して
あなたの気配が流れ込み
私はさり気なく
振り向きながら 目を細める
ささやかな朝に 心は揺れて
淡い光が 二人を溶かす
青いドレスの貴女には
きっと白いチェンバロが似合うでしょう
金の蔓が柔らかな螺旋を描き
その中には真紅の薔薇が咲き誇る
繊細な音色は貴女の心
柔らかな指先からそれは生まれ
屋根を這う蔓の様に僕の心の琴線に絡みつく
青いドレスの貴女には
人には言えない過去がある
若き日々のその中に
目眩く秘密の恋の思い出
今では清楚で従順な貴女
僕と出会って蕾が開く
胸の奥から燃え上がる金の蔓と真紅の薔薇よ
今回も読んでいただき、誠にありがとうございました。
ご指導の箇所、さすが先生と大きく感嘆いたしました。だった数文字変えただけで、自分の詩がこれほどまでに変わるのかと驚きました。細やかな点まで、一文字一文字笑大切にして、これからも励みたいとおもいます。甘めの評価、嬉しかったですwありがとうございました。
今回も読んでいただき、誠にありがとうございました。アドバイスの通り、自分でも一歩何かしら踏み出せたら、一皮剥けたいと願い創作しておりますが、なかなかに難しいですね。ついつい無難な方へ逃げてしまい、可もなく不可もくと言う具合で反省です。
もっといろんなアンテナを張って感受性豊かにいこうと思います。
ありがとうございました。
蜃気楼のなかで
夢み 働き 愛していた
すべては駱駝の背で閉じられる
二つのコブは 自らを支える山
渇く民は
虚無に沈まぬよう
強き父を望んだ
だが 待っていたのは
裁き 捌き 砂漠
荒れ果てた心身は
耕されぬまま
生き延びるために
奪うことを選んだ
略奪から取引へ
取引からまた渇きへ
慈しみを知るためには
自己完結を壊し
他者のまなざしに触れるほかなかった
海の君と出会ったとき
砂漠は海辺に
潤いを映した
潮風に香る黒髪から
恋し 愛し そして捧ぐ
「すべてを捧ぐ」という
俺に概念が生まれた
靴の底は擦り減りすでに穴が開き
靴下も抜けて足裏には血が滲んでる
一歩踏み出すたびに痛みが頭に刺さる
それ以上に足が重い 重すぎる
疲れただけじゃない 辛すぎる
声援なんておくる人もいない
歩く道が荊なだけならまだしも
過去の後悔と未来の不安が
有刺鉄線のように身体にまとわり付く
倒れてしまえば痛みは一瞬で楽になれるか?
いつからかこんな事ばかり浮かんでくる
歳のせいにするのか?
社会のせいにするのか?
時代のせいにするのか?
選んだのも決めたのも
そして何もしなかったのも自分だと分かってる
でも過去の自分を責めてみても
全ての選択を変えたのなら楽な道を歩めたのか?
そんな事はない………そんなはずはない
カウントダウンの声がかすかに聞こえてる
入り口はそう遠くないところまで来ている
絡まる有刺鉄線も底の抜けた靴も血の滲む痛みも
あの頃は自分なりに懸命に選んだ結果なら
意地を張り通して前に足を出せ
痛みのたびに歩んだ跡は赤く残っている
生きている実感
今日は赤い月
湖(うみ)は濃紺
昼間には見えなかったものが
だんだん見えてくる宵の道を
不機嫌なきみを乗せていく
わたしはほんとうは知っていた
鉛のような雨粒が
きみの部屋の壁に穴をあけ
穴の中には
「おまえがわるいんだ」
と書かれていたことを
だからわたしは
山に行こうと思った
海にも行こうと思った
でも道のないところへ行くのは
どうしようもなくこわかった
(すべての人は道のないところから来たのに)
※
道のある町を歩いていると
見慣れた景色の一部が切り取られて
砂利が敷き詰められているばかり
そんなふうに 誰かの退出を
とつぜん知らされることがある
そこも「道のないところ」だったのに
誰かがそこから来て
そこへ帰っていくという場所だったのに
石の礫は手から放たれ
誰かを傷つけ地に落ちる
それが積もり積もったところがここなら
ここにいた人は解放されたのか
(隣の家の住人は 朝から道を掃いている)
※
少し動けば汗をかく
今日もろくな献立が浮かばない
毎日同じ道を走り
毎日同じ人に会う
(「つましく暮らすつまらぬ人間だからこそ かけるものもあるでしょう」※)
つましく暮らすつまらぬ人間は
ほらここに たくさん落ちている
石礫のような人間の
石礫のような生活は
それでも色彩にあふれている
たとえば
積もり積もった石くれのすき間から
あおい草が萌えいでる
今日も赤い月が出て
今日も湖は任意の色をしている
山際の空はゆるし色
ゆるしたいのかゆるされたいのか
今日も
不機嫌なきみを乗せていく
※ドラマ「広重ぶるう」の竹内孫八の台詞を元にしていますが、本詩に合わせて少し変えています。