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本作「不穏」を読んで下さりありがとうございます。以前からご指摘頂いている、読み手に伝わる詩を書くために、唐突な表現や散漫になる思考をまとめる推敲が課題でした。本作でも、飛躍してしまう思考の橋渡しする言葉を考えるうちに、どんどんテーマを広げてしまいました。今回、滝本様のご指摘のお陰で、詩の中にいろんなものを詰め込みたい衝動に任せて書くことは、自分の力不足を直視しない為の対処になっていることに気づきました。まずはご助言通り、一つの詩には一つのことを書き、シンプルな作品を書くことで、言葉のチョイスや内部から湧き上がる感情を表現する訓練をしたいと思います。
かみなりが轟く夜、どこかで神様が泣いている。だから僕も泣く。
みんな鳴いている、にわとりも、こおろぎも、あまがえるも。
そんな日は決まって嵐の日で、空も鳴いているということだ。
幸せに手が届きそうで届かなくて、歯がゆい想いをするのはみな同じだ。
だけどオレンジジュースの橙の甘さはそんなことを笑い飛ばしてくれる。
黒いライオンが眼の前にあらわれて、僕のことを威嚇する。
僕はジャングルの王者に怯えながらも尋ねた。君も? 君も何かを探しているのかい?
黒いライオンはたてがみをぶるぶる降って僕の声援に応えた。
制服を着た応援団が何もつけていない旗を一心不乱に降る。何をつければいいのかまだわかっていない。
未来の君の何を応援できるのかまだわかっていない。
そのときカピバラが眼の前を通り過ぎようとしていた。みんな固まってカピバラのお尻に眼を奪われた。
雷の力で蛍光灯が何十本も光って回る。いよいよ本番がやってきたのだ。
いったいなんのことかわからないが、それはこの際問題じゃない。
黒いライオンが踊る。僕が怯える。カピバラがお尻を振る。
いつのまにかキリンが無数に乱立していてぴんぴんに伸ばした首をすこしでも空高くまで届けようとしている。
やっぱり応援団なんだね、何を応援しているのだろう。ここは学園の柔道室だ。
生まれる。
生まれる命がある。
この瞬間にも生まれる命がある。
亡くなる。
失われる。
この瞬間にも失われる命がある。
全ては命のために、泣くのも、踊るのも全て。
さあ、答えは明かされた。饗宴を始めようじゃないか。料理もたくさん用意しなければならない。
だからうさぎも豚も牛もやってきている。自ら進んでその身体を差し出す。料理人もやってきた。
食べる人も動物もたくさんやってきた。この狭い部屋では足りない。外へ出よう。
広い運動場にはたくさんの生き物が祝っている。
僕も、僕も宴に参加しよう。
僕は傍にあったなんだかわからない肉の塊にかぶりついて
国旗を振ってビールをがぶがぶ飲んだ。
やがて朝がやってくる、朝にはこの饗宴も終わる。
神様が流す大粒の涙がオーケストラになって僕たちを動かす。
終わらない終わらないよいつまでも。だってずっとなんだから。
ずっと命は始まり終わりを繰り返すのだから。そっか終わらないんだ。
じゃあ終わりに向けて盛り上げることも無意味なんだね、みんな、いったん落ち着こう。
静寂がやってきた。みな、お祭りの異様な熱気に心奪われていた。
これも神様の導きだ。今は静かに次の宴を始めるための後片付けをしなきゃならない。
僕は疲れた。ずっと騒いでいたから当たり前だ。この紙コップを片付けたらいったん眠ろう。
黒ライオンがおおきなあくびをした。
僕も大きなあくびをした。
ばたん。
僕が背中から布団に倒れ込むのと道場の扉が閉じるのと同じだった。
僕はしばらく泥のように眠る。宴はおわらない。他の道場ではまっさかりのところもあるのだ。
だって神様もたくさんいるんだから。
百貨店の袋にいっぱいの
単語帳の束
O文具店で毎週買い
単語を書きつけて
電車の中で記憶した
単語帳をよく買う大人は
めずらしいらしく
わたしが行くと
学習の進捗を聞いてくれた
新しい商品が入ると
おまけしてくれて
次からは
それを買うことになった…
そうして
紙袋には地層ができた
下層にブルー
中層にグレーとブラウン
上層には表紙ツルツルのグリーン
わたしの学習も
固着して一段落し
便利なアプリが登場し
単語帳を買う必要は
なくなった
それでも
O文具店で
単語帳を買っていた
空白の単語帳が
紙袋の上の方に
すまなそうに
交じっているのは
そういうわけだ
アプリもいいけど
やっぱり
単語帳だよ
手を動かさなきゃ
なかなか覚えられないよ
モノにした人は
皆 そうだったよ…
ほんとうだ
紙袋一杯の単語帳とともに
わたしは転居した
きたないわね!
もう いらないでしょ!
と妻に言われたとき
思わず
袋を手で抱えた
久しぶりに立ち寄った商店街
O文具店は閉店していた
創業77年の貼り紙
「ここで買うのが習慣だった」と
言ってくださるお客様との出会いの
一つ一つが
私たちの大切な宝です
ここで買うのが習慣でしたよ……
わたしは
単語帳をここで
また
ずうっと買おうと思って
やってきたのだ
それは
アプリなどない言語の
気に入った言葉を
好きなときに
好きなように
自分で選んで書きつける
そんな特別な
単語帳をつくるためだ
紙袋に一杯になるまで
O文具店のシャッターに
ざらっと触れる
いったい
何年かかるか分からないのに
同伴者の励ましの声は
もう 聞こえてこない
ひまわりのえがかいてあるゆかた
わたしのバアバがつくってくれた おきにいり
ひまわりのゆかたをきて おまつりにいった
かぞくぜんいん ゆかたをきてあるいた
しらないひとから「きれい」「かわいい」と
こえをかけられてうれしかった
かきごおりをたべて キンギョすくいして
だいすきなイカやきをもってあるいているとき
めのまえからタッくんがかぞくであるいてきた
「こんばんは」「こんばんは」
あいさつとえがお だいすきなタッくん
あえてうれしい
タッくんママもわたしのゆかたほめてくれた
でもでもね タッくんがわたしにいったんだ
「くいしんぼうだなあ イカやき あるきながらたべるの」とニコニコとわたしをからかった
わたしははずかしくて なきそうになった
「わたしのじゃないもん!パパのだよ!」
とイカやきをパパにおしつけてなきだした
「おとうさんのじゃないだろ!おまえのだろ!」
タッくんはもっとからかった
わたしはないてはしりだした
じんじゃのはじっこにすわっていると
タッくんがきた
「ごめん」といってとなりにすわった
タッくんはそのあと「おまえのことすき」って
いってきた
わたしはうれしくてなきだした でもへんなんだ
イカやきのなみだはしょっぱいかんじ
いまのなみだは なんかあじがちがう
なんでさっきとなみだのあじがちがうんだろう?
そんなとき よるのそらにドン!ドン!
ヒュー ドン!はなびがあがった
タッくんとわたしはたちあがって そらをみた
タッくんがてをつないでくれた
はなびはキレイだったけど いろやおおきさを
おぼえていない
おぼえているのは タッくんとてをつないで
ふたりきりになれたことだけ
このまま じかんがとまってほしい
ずっとずっと タッくんとふたりでいれるから
SAX奏者・作曲家OLIVER・NELSONに「MISS FINE」という曲がある。
比較的地味だが、知る人ぞ知る。私は名曲と思っている。
一説によると、これは彼の姉さんか、妹さんをイメージして作曲したとされているが―。
「OLIVERさん、そうじゃないでしょ?あなたのかつての恋人KARENさんのことでしょ?」
*
なあ フィル
昨日は不思議な日だったよ
君も知ってるだろ?
僕が昔付き合ってたKARENのことさ
“ロデオ・ドライブ”を歩いていてね
偶然 彼女を見かけたのさ
僕はびっくりして
彼女に気取られないように
とあるカフェの物陰で彼女を見てたんだ
*
Walkin’
歩く 歩く
歩いてゆく
足許SHINY STOCKINGSの
KAREN
ブロンド髪を風に流して
心持ち あごを上げ
来るべきものに向かって
歩いてゆくようなしぐさ
そこに爽やかな意志がある
実は彼女
OLIVERがいるのを知っていた
近づいて声をかけてもよかった
が そうするには
すでに何かが失われていた
気づかないふりをした
よそ行き顔
よくあることだ
ただ
心の中で呟いてはいる
OLIVER ごめんなさい わたし もしかすると
あなたとは違う世界に生きていたのかもしれない
*
KARENは颯爽と歩いていく感じだったな
おそらく 今も順調で
幸せなんだろう
もう 僕は何も言うことはないさ
ただ
彼女の愛称として
「MISS FINE」と言ってあげたい
過去も今も未来さえ―
それだけさ
いろいろあったけど
今は
懐かしい想い出だけが残っている
笑顔で後ろ姿を見送ったんだ
*
OLIVER・NELSONはJAZZの世界で充分成功した。
彼女KARENも違う世界で成功したことだろう。
そして今は、
「MISS FINE」として、
満たされているに違いない。
滝本様、今回も丁寧な評と感想をありがとうございます。
ホラー味があるお話が好きで、よく頭の片隅で考えています。考えていたネタと民話や伝承の雰囲気が合わさってこの詩が形になりました。
この詩のテーマは恐怖のベクトルを「ずらす」ことでした。謎のしゃれこうべが嗤った時、死という災厄が己や家族ではなく身の回りに「ずれて」訪れる。お決まりのレールからあえて脱線してみるということにも挑戦しています。色々と手を出して経験を積んでいきたいです。
ご指摘のように、恐怖だけでなく少しユーモアも感じて頂ける詩になっていて良かったです。
次回の投稿もどうぞよろしくお願いします!
夏が過ぎ去ろうとしていることを感じつつ
それでも
夏が終わりを告げない
いや
告げたくないのだろうか
仕事で汗だくになりながら
麦茶で一息つく
一息つきながら週末の予定を立ててみる
山や川を見に行こうか
カフェでまったりしたり
映画を観ようか
色々と行きたい所が次から次と出てくる
たまには
自分にご褒美をあげてもいいんじゃないかと思う
自分を大切にしてから貴方の事を考える
この感情はわがままなのだろうか
自問自答を繰り返しながら
日帰りでもいいからどこかへ行こうよと
貴方を誘ってみよう
どこかへ行きたそうだったし
私もどこかに行きたい気分なのと
計画するだけでもワクワクする
仕事に身が入る午後の一時
手を握る、握られる
父母の
大きな手に包まれる
手を握る、握られる
恋人、やがて妻の
たおやかな手を優しく包む
手を握る、握られる
子の
幼き手の求めるままに
刹那に感じる、手のひらの温かさ
重ねた手から伝わる思い
手が手を求めている、お互いに
それでも、手は離れていく
手を握ることの気恥かしさ
続く日常に、思いは薄れていく
気づく
もう、あと少ししか握れない
小さくなって、しわだらけの父母の手
大きくなって、瑞々しい子の手
そうして、つなぐ妻の手の温かさ
ともに時を過ごす、過ごした記憶
手を携えて、二人で歩んできた人生
手を握る、握られる
老いた父母に、いたわりと感謝を込めて
最期のお別れに手を握る
もう、応えない
ありがとう
さようなら
読んでいただいて、評をありがとうございました。
最後には前を向ける詩にしたかったので、清々しいというのは嬉しいお言葉でした。
精進して、また書いていけたらと思います。
俺がここに詩を書くならば、世紀のものにしなければなるまい。世紀のフリーターが、世紀の名文句を綴らなければ。
朝方、都内のバーのベランダで、沈黙するベーゼンドルファーを背にして煙草を吸っていた。自分に残された数年分の若さを噛み締めながら、今やもう断絶し交わらぬ糸として架空の糸を弄び、かつての友人・恋人のことを懐かしく思い出す人間味は成熟した美観があるだろう!カーテンが風にそよぎ、ベーゼンドルファーと俺も断たれた。俺は彼女の背中を隠すベールに手をやって「おい、何をする」と剥がしてやった。しかし、彼女は何も言わずに、黒い背を向けて、ただ夜の風に寒そうにしているだけだった。また風がカーテンを運び、俺と彼女の間は再び柔らかに重く断たれた。俺にはピアノは弾けやしない。彼女の声を聞くことはできない。たばこを一本吸い終わり、ふぅとため息を一つついて店の中に戻る。後ろ窓を閉めると、俄かに風が止んだ。今日のセッションでピアノを弾く小男がバーの椅子に座り演奏を始めた。演奏は俺の全く知らない曲で、閉店後のバーだからいいものの、うちとはコンセプトの違うJ-popのピアノカバーで、フローは良いし全ての音が入力されていることは分かるのだが、少したたきつけるような弾き方が癪に障り、音の伸びも弱いものだった。「子猫が戯れているようなものよ。私は気にしないわ」「俺は気にするんだよ。勿体無い」
「あーそれにしてもさっきは寒かったわ」ベーゼンドルファーは無関心なようだった。
俺は「おい、松尾、あっちで酒のもう」と室内にいる後輩に声を掛ける。「はい、岡田さん」 俺たちは主な照明が暗転した後の薄暗いカウンターで酒を飲むことにした。「俺はジンバック」「僕はー、ハイボールで!」バーテンはこれだけが自分の仕事と言わんばかりに、丁寧に丁寧にジンバッグを調合していった。最後にライムの果汁をかけて、マドラーは差したまま俺のコースターの上にぴたりと置かれた。松尾のは中が三角の特徴的なグラスで、氷を二、三個入れるともういっぱいになりそうだが、そこれに多量のウィスキーと炭酸水が継ぎ足されていく。
乾杯もせず、爽やかなジンバックのグラスをグイグイと飲み、
「全く、ベーゼンドルファー、ドイツの高級な女は俺たちがバーで安い酒をたらふく飲むのに興味がないらしい。」と俺は言った。さっきまでは、春先の寒さの中で不機嫌だった彼女は、気候が良ければ文句を一言二言言ったに違いない。「なにをくだらないことをしているんでしょう、あの人たち」なんて。
しかし、言わない。これは俺が酔っているせいなのか?酔っているせいなのか。
それとも、本当に彼女はそこにいて、
黒い背を曲げ、角張ったウィスキーグラスを回し撫でるマドラーと氷のぶつかる音を聞いているのか。
いよいよ頭には酔いが回り、俺にはもう分からない。
ただし、確かなこともある。世紀のフリーターの抒情的な夜が、捉えようもなくひとつ静かに過ぎて行こうとしているのだ。
ああ名文句、こんな世界だ。この情景は朝が来る前の小さな残火。大きすぎる太陽には影として怯えながら夜を待つのだ。
手に持つわずかなジンとハイボール、それは今宵を終わり良きものにするだろう。乾杯せよ、すぐに飲み干し、テキーラを分かち合おう。
「さあ、みんなで、、、、、テキーラー!」
ジンの爽快な熱で加速する妄想を余所に、俺は無言でグラスを空に乾杯させた。最後の曲はショパンだった。ポップスよりずっと丁寧で官能的なメロディ。俺は「なんだ、クラシックの方が上手いじゃないか。」とドルファに語り掛けたが、この浪漫の香りに彼女は眠りに付いたのだろう。やはり返事をしなかった。