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雨音 様
澤 一織 様
こんばんは。上田一眞です。
この度は拙作「黒い轍」上梓にあたりお祝いの言葉を頂戴してありがとうございました。私にとっても念願の詩集でした。これも皆様の温かいご支援の賜物でございます。拙作ではございますがご一読下されば幸甚に存じます。
お二人のますますのご健筆を祈念致します。
ある朝
目が覚めると
世界は狭くなった
会社
海辺
深夜の遊園地
知らない国の路地裏
思い浮かべるだけで
どこへでも飛んでいける
僕は瞬間移動の技を身に付けたのだ
初めはただ楽しかった
どこに行くにも時間がかからず気楽だ
なんせ遅刻ギリギリまで寝ていられる
しかし 能力を使うことに慣れてくると
しだいに 待つことができなくなっていく
料理が運ばれてくる時間
返信を待つやり取り
長い長い信号待ち
苛立つ
五分の遅刻が
永遠みたいに思える
コンビニのレジ
動画の流れる速度
数秒でさえ
耐えられない
待つことが
馬鹿らしく思える
僕は待つことをやめ
どんどん効率を重視した
距離を消し
待ち時間を消し
面倒を消し
沈黙を消した
ある夜 恋人と
ゆっくり過ごしているとき
僕の意識とは別に
どこかへ飛ばされてしまった
静かすぎる空間
誰もいない
ただただ 真っ白な世界
そこで初めて気づく
僕はすごい能力を手に入れたが
結果 誰とも一緒にいられなくなっていた
狭くなっていたのは
僕の世界観だったようだ
上田 一眞 様
このたびは、第一詩集『黒い轍』のご上梓、誠におめでとうございます。
表紙や帯の島さんのお言葉からも素敵な詩集に纏められたのだろうと想像します。
今後ますますのご活躍を、心よりお祈り申し上げます。
夢のなかで
昔飼っていた猫が話しかけてきた
近くの神社でお参りするとき
最後のお辞儀で
おいでくださいと願い込めながら
首を右側へ
ぐいっと曲げて
そのまま
じぶんの後ろを覗くと
視線の先
ちょんと座った白い猫が
朱の鳥居の向こう側に見えるのだと
あさでも くれでも
はれでも あめでも
願いが通じれば見えるはず
やさしい声は続ける
白猫が現れるのは しるし
いいこと わるいこと
何かが起こるよ
懐かしい声はささやく
なみだが零れて
目を開けた
みゃあ
耳の奥に残っているのは
甘えたいときに鳴らす じゃれた声色
うまくやっているのだな
今度 お参りにいこう
願いは 再びおまえに逢うこと
老いた額にまだ
墨点(すみべに)を垂らしたような
模様は残っているかしら
歳を経た猫は
猫叉になると 言い伝えられている
みゃあ みゃあ
耳の奥に懐かしい声が
こだましている
佳作ありがとうございます。
この詩を投稿するにいたって2つ懸念点がありました。
1つ目はご指摘にあった、よく分からない人も当然いるから分かりにくいよねという問題。
2つ目は、賛否ある制度を扱うので、制度の是非を問う政治的な作品と見られかねないか?という問題。
2つ目の問題はさておいて
ご指摘にあった点をどこまで注釈するべきなのかは、非常に迷う次第でした。
(2026.05.26投稿『英雄の剥離』も同問題あり。)
せめて、遅ればせながら、発想の部分だけ。
画像は某ゲームの戦闘場面。
A.主人公たちが横並びで協力しあい
B.一人の敵を撃ち倒す。
(当然、データである敵キャラクターからはプレイヤーは観測外?)
C.メッセージウィンドウ
との配置になっています。
AとBが、刑罰における賛否の議論が絶えない制度に似ているなと思い、
ゲーム文脈と重ねながら書いた次第です。
同じような構造で主人公は勇者を讃えられるけど、
現実の制度の執行者は賛否の声や、自責の声に苦しむ人もいる。
制度の是非ではなく、勇者(英雄)は何によって、そう呼ばれるのか?
を見てもらいたいというのが意図としてはありました。そこに繋がって読んでいただくことは出来るか?が非常に悩みどころの作品でした。
コントローラーのボタンと、執行ボタン。同じプラスチックのボタンなのに……片方は扱うものが重過ぎる。
こちらも同様に長くなって申し訳ありません。
先述した注釈、どれだけ詩の中で説明するか、省くか、詩的言語に置き換えるかは
今後も自身の中で検討される問題だなと思いました。
渡辺玄英氏、面白そうです。初めて知りました。ありがとうございます。
また、よろしくお願いします。
上田さん
この度は「黒い轍」の上梓、おめでとうございます。
手に取った瞬間の手触りが、しっとりと柔らかく、何とも言えない思いにかられました。
装丁も帯も色合いも、本当に素敵です。
きっと大切に大切に編まれたのでしょうね。お疲れさまでした。
これからしばらく連れ歩きながらゆっくりと拝読させていただきます。
ご丁寧な読み解きをありがとうございます。
ご指摘の通り、今回は特に「理屈ではなく全体でつかみとるタイプ」のつもりです。
わざと主語をあやふやにしています。私としては、どう読んでもらっても成立するつもりにしたかったのですが、力及ばずです。
<ずっと海を見ていたよ。/波は荒く、突き刺した。>ここだけは過去形にして、回想シーン挿入のつもりだったのですが……。
まだまだ独りよがりですね。勉強します。
この度はありがとうございました。
島秀生様 紗野玲空様 山雀ぐり様
山本葉月様 富士伊真夜様 荻座利守様
青島江理様 秋さやか様 静間安夫様
秋冬様 三浦志郎様 瀬未様 水無川渉様
かすみじゅん様 源田晶子様 杉森ひでお様
滝本政博様
皆様こんばんは。上田一眞でございます。
この度は拙著「黒い轍」の上梓に当たり多くのお祝いのメッセージを頂戴しました。皆様の温かい言葉に接し、詩集をまとめて本当によかったと思っております。私の拙い作品ではごじいますが、ご一読いただければ幸いです。
皆様の更なるご健筆をお祈り致します。ありがとうございました。
この度は、拙作『代替品』をお読みくださり、丁寧なご講評をありがとうございます。
「なかなかこのようには書けない」とのお言葉、そして作品の底にある「アイデンティティの危機」まで読み解いていただけたことを、何よりうれしく思っております。
これからも自分の言葉を研ぎ澄ませながら、創作に向き合ってまいります。本当にありがとうございました。
代替品 ゆづはさん 5月20日
佳作とします。
短い作品ですが、無駄無く選び抜かれた言葉が、あるべきところにぴたりと置かれ、気持ちがいいです。
ネットショッピングという新しい(珍しい)テーマをもとに自分の内面が描かれていて感心しました。
<私を置き去りにした指先が
青白い液晶の上を
ひたすら滑り続けている>
ここ、いいですね。なかなかこのようには書けないとおもいます。
タイトルの「代替品」を辞書で引くと
代替品(だいたいひん)とは、本来使う予定だった商品や素材が手に入らない時や、コスト削減・リスク対策のために、同じ目的で代わりに使える別のものを指します。
となっていました。
とすると、最終連の
<暗い画面の向こうで
私によく似た影が
カートに入れられて
決済されていく>
も深い意味を帯びてきます。
ここも、詩句としてよく表現できていますが、
「私」は自己にぴったりした現実感が持てずにアイデンティティの危機にひんしているのかもしれません。
君はどこかへ 三津山破依さん 5月19日
理屈ではなく全体でつかみとるタイプの作品かと思い何度も読みましたが、私には理解が難しかったです。
詩句の中では
<君の微笑みは、僕を少し、
強くする。>
<君の微笑みは、僕を多分、
いらつかせる。>
が、深くて、いろいろと考えさせられました。
一連目は人称の問題があると思うのです。
<空は赤いというのに
笑っている。
君の微笑みは、僕を少し、
強くする。>
笑っているのは空なのか、君なのか?
続けて読んでゆくと、
<熱い季節だというのに、
笑っている。
君の微笑みは、僕を多分、
いらつかせる。>
とあるので、笑っているのは君だと分かるのですが……
初見では分りにくかったです。
あと少し違和感(矛盾)を感じたのは
6連で
<ずっと海を見ていたよ。
波は荒く、突き刺した。>
とあり、これは“僕”のことを言っているとおもうのですが
次の最終章では
<僕は部屋の中。
電波も届かない。>
となっています。
こんなことをしてよいのかわかりませんが、連の順番を変えたもの以下にのせます、あくまで参考程度に読んでみてください。
空は赤いというのに
君の微笑みは、僕を少し強くする。
熱い季節だというのに、
君の微笑みは、僕を多分いらつかせる。
ずっと海を見ていたよ。
波は荒く、僕を突き刺した。
今日の夕飯は鯵の塩焼き。
大根おろしもない。
小骨を口から吐き出す。
何度もページを繰った。
答えは見つからない。
あした、君は旅に出る。
空は明るいというのに、
僕は部屋の中。
電波も届かない。
RPG 松本福広さん 5月19日
ロールプレイングゲームを一度もしたことがないので、なにか問題がある(頓珍漢)な発言があればお許しください。
バーチャルな世界を言語化する手際、またそれだけでなくゲームの世界とゲームする人の二重写しのような表現が面白いです。
ロールプレイングゲームをしながらゲームについての考察を書いているようで、その進め方が面白かったです。
<ゲームシステムの彼らは
勇者・仲間・魔王として置かれて
物語が始まる。>
いろいろなた立場からの、立ち位置からの声があがる。
<ここにないはずの声がうるさい。
その仕事を選んだのは、あなたでしょう?
そういう仕事だって知っていたんでしょう?
人に叩きつける言葉としては気持ちいい。
正しい側に立つ無自覚な誰かが
私に突きつける
人差し指はまっすぐ伸びる。>
頭の中の声も描かれる。
一連目
<ロールプレイングゲームが昔から好きだった。>
以下ではじまり。
<暗転。>
この<暗転。>が凄くよかった。舞台が一度暗くなり、さあこれから始めるぞとゆう感じがでていました。
最終連
<GAME OVERの画面の後は
タイトルロゴに戻る。
上司から休暇を言い渡され
予定がない連休を過ごす。>
最後の二行は怖いね。いっきに現実に引き戻される効果がありました。
ゲームをしたことがないので、もうひとつ深く読み込めないようです。
申し訳ない。
佳作とします。
あと、渡辺玄英という詩人がいますが、参考になるかもしれません。こんな詩を書く人です。
火曜日になったら
戦争に行く
野ウサギがはねる荒野の中を
画面の野ウサギにカーソルをあわせたら
引き金を、ひいてくらさい
ピコピコと動くのは、夢の中だけです
きょうがいつだか わからないけど
(僕の弾丸は届くだろうか?
(ぼくのことばが届かないように?
(わかりませんわかりません
とりがあ(引き金)をひくときは
ヤギの乳をしぼるように、と
ウサギの首を絞めるように、と
マニュアルには書かれています
(教えてください
ロケットパンチは、どのボタンですか?
イナズマキックは、どのボタンですか?
きみに大切なことを伝えます
(以下長いので略)