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なんとなく言葉にするかどうか、いやそもそも言わんとすることが何かすらわからないのでこういう言い方もなんだけれども。
いま我が家には去年の秋から置きっぱなしの「寿司桶」がある。出前に使うやつだ。こじんまりとした一人前のが2枚、かれこれ4ヶ月くらい玄関先に積んである。
ずっと気になっていたけれどこの頃では気にすらしなくなってしまっている。忘れっぱなしなのか、それともこれを見てまた寿司を注文して欲しいという暗示をかけているのか。それすらこの頃では気にならなくなってしまった。なんだろう一種のオブジェになっているというか前衛的な芸術の真似事になっているかのような気さえして来る。
でも小ぶりな寿司桶が二つ、重ねて玄関先にずっとあるというのも、これはこれで慣れてしまうということがこの頃の発見で、そう思うとじゃあいまのこの日本に実働している出前用の寿司桶は一体どれくらいの数になるのかしらん、などという空想も働く。仮に一万の寿司桶が(そんなにあるだろうか?)稼働しているとしてそのうちの2枚がいわばお蔵に入ってしまったわたしのうちのおかげで、だとして、そう無理矢理に言われのない罪悪感を引っ張り出してみれば。
もちろん「ふふふっ」という妙な笑いが腹の中から湧き出てくるだけなのだった。‥‥‥わたしは万事がこんな調子である。あまりにシリアスだということもないのだけれどもそれでも簡単には笑えないことがあると。
つい笑ってしまうという妙に不真面目な「癖」があるのだ。確かに深刻にはなるのだがしかしその深刻さの淵を覗き込んでいるうちについついふっと。
そこからふわふわと天に向かって散歩をしてしまうような、そんな妙な心地になってしまうのである。
夜明けのうつくしい
五月のある日に
霞んだ地平のとおくで
まっすぐな汽笛が聞こえる
波間の向こうに揺らぐ
空と海との境から
金色の光芒が訪れる
朝焼け
ちらつく光を感知して
孤独な海は
鳥たちに今朝の号令を求めた
薄闇に冷えた風がかき混ぜて
地平線は水色に滲む
翼を離れた汐に吹かれて
目覚めとともに 遠ざかるものがある
波のあわいに
泡沫はきらめき
流木は割れる
浅瀬には潮がたどり着く
ここで日々眠り 起き
仰向けになり
海は開く
さみしく なおはればれと
光を噴きあげて
海は朝日を導き 風を引き連れて
古い坂を昇ってゆく
あるじのいない住居の
錆びた窓枠が揺れる
早朝はとどまることを知らない
壁を伝う蔦が揺れ
露を纏う屋根が震えた
光はなぞってゆく
ある日
駆けた子の足跡を
海のまなざしは
鏡の水面に溶けた
鳥のはばたきもまた 波に溶けた
* * * * * *
初めての投稿です。
よろしくお願いいたします。
目が覚める
たばこの吸い殻とビールの空き缶でいっぱいだったテーブルが
きれいになって朝ご飯が並んでいる
キッチンに目をやる
何度も妄想で見ていた女性が
こちらを見てほほ笑む
その日を境に
妄想で見ていた女性が僕の妻になった
それから、妄想の妻との生活が始まった
ニート生活をしていた僕に転がり込んできた幸せ
楽しく理想的な日々
二十四時間、ずっと二人きり
どんな僕でもほほ笑み受け入れてくれる
ふと気づく
時々、自分の記憶がないことを
少し不安を覚えた
しかし、妻のほほ笑みは
僕を安心させるには十分だった
しばらくすると、子どもができた
僕は子どもまでは妄想していない
なのに、妻はいつの間にか子どもを抱いていた。
何はともあれ幸せな日々
子どもを見つめ
ほほ笑む妻は変わらない
そのほほ笑みがずっと続くと思っていた
ある日、驚く
知らない男が妄想の妻と仲良くほほ笑んでいる
僕だけのほほ笑みだと思っていたのに
どうやら妄想の妻が新しいパートナーを妄想したようだ
知らない男
子ども
そしてほほ笑む妻
どこから見ても理想の家族
日に日に僕の記憶がなくなっていく
妄想の妻がどんどん、僕を忘れていく
そして……
シワくちゃなテンション
おざなりになった おさない ははの おふる
きずあとに しみる しおからさは
ふゆの いんぼう
きせつは いま ゆきどまり です と
むらやま への てがみに したためました
〈窮屈〉の対義語が〈解放〉だと
諭した僧侶は
一昨日の真夜中
山姥《やまんば》にさらわれた
笠ヂゾウ………耳ヅカ………小ガネモチ………
ふわふわと
空《くう》に漂う想い出たちが
どうぞ
重たく湿りませんように
次々と落っこちてきませんように
今は亡き
若き僧侶に
上げるお経は
白く朽ちた村山の
真っ赤なシンボル
お金は要らない
:死んだときの喜びには 似付かないものだから
:死んだあとでは 鬱陶しく 煩わしいだけのものになるから
ハナタレ小僧が 口承する歴史の夢
朝のほのかな碧空へと
奏でられ 響き 溶けて 消えてゆく
最後に君からメールが来たのは
いつだっただろう
差し出すのは私
話したがるのはいつも私
あの日、別れ際に私が
今度いつ会えるかわからないから
もしかしたら
もう会えないかもしれないから
と、言ったら
君は傷ついた顔で
貴方の住んでいる町を見てみたい
と、呟いた
駅のアナウンスが発車を告げる
オフ会のひとときも名残惜しさも
みんな「ラ」の音で終わる
Webサイトで君は誰かに話しかける
今日はこんな事がありました
今日はこんな事を考えました
すぐ傍にいるかのように私は君の言葉を読む
変だよね
友達でもないのに君を知っている
私は変だ
パソコンの電源を切ると君がいなくなる
メールの着信音も
パソコンの終了音も
さよならは「ラ」の音で終わる
それきり君からメールがこない
掲示板では丁寧に相手をしてくれるけど
あの言葉の意味は何?と
私も問い詰めたりしない
あれは多分言い逃れ
「ラ」の音を聞きたくなかった君の弱さ
ネットじゃなくて現実(リアル)で知り合いたかった
君が隣の家のお兄さんなら良かった
会いたい、でも
また会える、でもない
はっきりしない約束を
信じないようにしながら信じている
変だよね
友達でもないのに君に会いたがる
私は変だ
変な気持ちを詩に変えて
パソコンの中に閉じ込める
誰にも見つからないように
私にも見つからないように
現実にしなければ安全
きっと君もそう思っている
君が隣の家のお兄さんなら良かった
例えばその辺の野良猫でも良かった
「おはよう」の挨拶もいらない
時々姿を見られたらそれでいい
気休めの言葉なんか欲しくない
けれど
心を伝えるのに一番大切なのは言葉だ、と
最初に教えてくれたのは君
每日
君のサイトへ
君の言葉に会いに行く
変な気持ちが少し落ち着く
電源を切ると君がいなくなる
気休めのパソコンも
微かな想いも
みんなさよならは「ラ」の音で終わる
島様 今回も丁寧に拙作を読んでいただき、誠にありがとうございます。いつもながらお礼が遅れ、失礼しました。今回のホトトギスは、鳥という、普段はあまり触らない題材を扱っており、あのなかなかに鳴き止まない様が今の自分の心境に重なるところがあり、物しましたが、ちょっと叙情に流れすぎたきらいもあったかもしれないと、密かに反省しております。ただあの物悲しい鳴声には、どうしてもグッとするところがあり、なるべく素直に詠ませていただきました。重ねて御礼申します。また評の程よろしくお願いいたします。
三浦士郎様
申し訳ありません。
拙作「ホーム」
後ろから6連目以降、
推敲で消した文章を復活させました。
ええかっこしいを、捨ててみます。
間に合うようであれば、宜しくお願いします。
--ろうそくに火が灯る
それは誰かの命の猶予の時間
彼はその火を消そうとしていた
水をかけたり
息を吹き掛けたり
うちわで煽ったり
扇風機を設置したり
火はそれでも消えなかった
耐熱グローブで
握り潰すと一瞬消えるのだが
瞬時に以前よりも
激しく燃えあがった
ノコギリで断ち切ると
そこから落ちるのだが
また新たに伸びてきて
再び燃えあがるのだった--
……彼は今どこにいるのだろう
それは彼自身にも謎だった
目が覚めると
彼は薄暗い部屋の中にいた
そこは彼を中心に
無数のろうそくが立てられていた
直径は5センチばかりあった
ろうそくの前には
それぞれ名札が
立て掛けられていた
その中には
彼が知っている名前もあった
部屋の片隅にはそれら
ろうそくの火を消してくれと
言わんばかりにさまざまな道具が
置かれていた
彼の意識はもうろうとしており
これは夢を見ているのだろう
と最初は思った
彼はぼんやりと
燃えるろうそく達を見ていたが
その中の一本が
こともあろうに消えてしまった
彼は驚き、ろうそくの名札を見た
別の部署だったが
知っている名前だった
はっ! と彼は目を覚ました
昨夜 眠りについた
のと変わらぬ彼の部屋の中
ビジネスホテルの一室だった
やっぱり夢だったのかと
彼は自身を納得させた
しかし彼は出社して
その答えに強い疑問を
抱くこととなる
……昨晩 部屋の中で見た
火が消えた名札の彼が失くなったというのだ
死因は心臓麻痺だった
彼はそれ以来
時折その夢を見ることとなった
目を覚ますと
ろうそくで消えた
名前の人間が亡くなっていた
当初は自分でもどうすることも
できず、また世間に公表しても
信じてもらえないだろうと思った
心療内科にも通った
病名はわからないが
現実と夢を混同している
のだろうと言われ
彼は夢の中と現実で
誰が死のうが気にしないことにした
……ある名前を見つけるまでは
それは彼と
仲の良い二人の名前だった
その二人は彼の同僚で
男性と女性が一人ずつだった
彼を加えた三人は
とても仲が良かった
特に男性と女性の同僚二人は
仲が良く婚約をしていた
これだけ聞けば
なんとも良い話しだが
彼はこともあろうに
その同僚の彼女に横恋慕し
強い嫉妬を覚えていたのだ
--ここまで読んだ
賢明な読者には
おわかり頂けたのではなかろうか
そう、物語の冒頭の
ろうそくの火を消そうと
したのは彼
消されようとしていたのは
彼と仲の良い同僚の男性だった--
……話しは冒頭に戻る
なんど消しても
一瞬で元に戻る炎
彼は何度か気に入らない上司
のろうそくで試していたので
わかっていた
彼は善人ではなかったのだ
彼はそのときはろうそくの火は
自力では消せないものと
割り切ったが
今回ばかりは割り切れなかった
……どのくらい時間がたっただろう
彼は相変わらず炎を消すことを
諦めていなかったが
さすがに疲れて小休止していた
彼はその日はとても忙しく
帰ってスーツ姿のまま
眠りについた
シャワーも浴びたかったが
明日は休みなので
まあいいかと思った
……彼は蒸し暑さを感じ
上着を脱いだ
汗びっしょりだった
部屋には数十本のろうそくが
立っていたが
その程度でここまで熱くなるだろうか?
しかも部屋が
眩し過ぎな気がする
彼はいぶかしげに部屋を見渡すと
その答えは自身の真上にあった
なんと彼を
覆い尽くさんばかりの
巨大な炎の固まりが
彼の頭上からゆっくりと
降りてくるのだ
彼は驚き その場から逃げようとしたが
なぜか足が動かない
足はろうそくの蝋で
塗りかためられていた
彼の身体は巨大なろうそくの一本
と変わりつつあった……
いや もうすでに変わってしまったのだ
彼にはもうどうすることも
出来なかった
彼はそのまま一本のろうそくと
して燃え尽きてしまった
……次の日の早朝
4車線の道路に
救急車や消防車
パトカーが出動していた
交通事故の現場だった
10台近くが巻き込まれた
ひどい玉突き事故であった
その中の一台に同僚と
彼女の乗っていた車があった
同僚はひどいやけどを負ったが、
彼女は奇跡的に無傷だった
……彼の車も見つかった
彼の車はガソリンを積んだ
タンクローリーに突っ込み
破壊されたタンクから
ガソリンを浴び激しく燃え上がった
衝突の衝撃でドアが歪み
開けることができず
そのまま丸焦げになってしまった
人の形をした炭だった
かろうじてスーツについていた
であろう 金属製の焼けた
カフスボタンのみが彼の遺留品であり
彼が運転していたことを
裏付ける証拠となった
しかし衝突が
事故か故意だったのか
はわからない
同僚と彼女はそんな彼を見て
ひどいショックを受けた
自分たちを亡き者としようとした
彼をみて……
しかしそんなことはもちろん
知らない二人は純粋に泣き崩れた
--ここで物語は一つの幕を閉じる
彼はどうするべき
だったのだろうか
部屋にいた彼がなぜ
車に乗っていたのだろう
いくつかの謎を残してしまったが
愚かで哀れな結末を
迎えてしまった
彼の冥福を祈ろう--
もうすぐかな?
もうすぐだね
そろそろかな?
そろそろだね
みんなあッ!あしたにきまりだッ!
あした?あした!あしただって!
ヒマワリばたけのヒマワリのつぼみたちは
あしたはなをひらくとわかっておおさわぎ
わたしがいちばんおおきくひらくぞ!
ぼくのほうがおおきなはなになるぞ!
みんながみんな わたしがいちばんになると
むねをはっている
つぎのひのあさ
せーの!みんないっしょにはなをひらいた
みわたすかぎりヒマワリのはな
きいろいたいようがいっぱいあるみたい
たいようのじゅうたんだね
みんなおおきいはなをさかせ わらってる
きれいだね かわいいね
みんなでみんなをほめあっている
ヒマワリたちはちからをあわせてはなひらいた
せかいいちのなかよしばたけ