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編集・削除(編集済: 2026年05月30日 02:08)

晴れの日  三津山破依

一、海の向こうで

拍手と怒号が鳴り響いた。
遠い水平線の彼方で
積乱雲がかすんで見える。
まだ、ぱちぱちとやってる奴は
リボンのついたメダルは貰えまい。

今日の昼には、
冷凍うどんをチンして食べる。
卵を割って、葱をちぎって。

ひらいた掌は拳に変わり、
突き上げる。
雲は突き抜けないけれど。

湯豆腐には絹豆腐が良い。
箸でつまんで崩れて、すくって。

あなたたちは、きのう何を食べたの?
誰かはたぶん、
カップ麺をずるずるとすする。

そこらへんの奴らが、
来週の食事のメニューを決める。
まだ、パチパチとやっているというのに。
あはははは。
海の向こうでは
今日は良い天気だってさ。


二、風に吹かれて

すべてが終わっても、
あなたは祖国へ戻らない。
厚手のコートを
タンスにしまう頃でも、
あなたはあちらで
珈琲豆を挽いている。
向日葵が背丈ほど伸びた。
赤い空は夕焼けのこと。

風が吹いている。
こちらからあちらへと。
明日も晴れるでしょうね。

編集・削除(未編集)

感想と評 9/22~24ご投稿分  水無川 渉

お待たせいたしました。9/22~24ご投稿分の感想と評です。コメントで提示している解釈やアドバイスはあくまでも私の個人的意見ですので、作者の意図とは食い違っていることがあるかもしれません。そもそも詩の解釈に「正解」はありませんので、参考程度に受け止めていただけたらと思います。
 なお私は詩を読む時には作品中の一人称(語り手)と作者ご本人とは区別して、たとえ作者の実体験に基づいた詩であっても、あくまでも独立した文学作品として読んでいますので、作品中の語り手については、「私」のように鉤括弧を付けて表記しています。

●石川ぼうずさん「カレーとペダル」
 石川さん、こんにちは。初めての方なので感想を書かせていただきます。
 軽やかな文体とリズムで書かれた作品ですね。揚げたてのカレーパンのおいしさが伝わってくる描写で、思わずこちらもカレーパンが食べたくなってしまいました。食べ物を描く詩としてはまずこれで成功していると思います。オノマトペの多用も、特にユニークなものではありませんが、詩の雰囲気とマッチしています。
 そしてラストの落ちが良いですね。「ペダルが重くなる」という終行の言葉とは裏腹に、読後感は爽やかです。
 シリアスな作品ではありませんが、こういう詩も楽しくて好感が持てます。またのご投稿をお待ちしています。

●八月野 蝉さん「天上の子守唄」
 八月野さん、こんにちは。初めての方なので感想を書かせていただきます。
 「御前さま」は民間伝承に登場する女の妖怪あるいは女神でしょうか。女の姿を取って人間の男と結ばれ、子を産んだ後に本来の姿を現わして天に昇っていったというストーリーが想像できます。この別れは望まざるものだったのでしょうか、イラクサの揺りかごに入れられた幼子のために遠い天から子守唄が聞こえてくるという、もの悲しいイメージで締めくくられています。
 全体的に民話風の内容になっていますが、もしかしたら現代の複雑な人間関係のことを暗示的に描いた詩なのかも知れないとも思いました。凝縮された短い詩行からいろいろなイメージと解釈の広がりを想像することができる、味わい深い小品だと思いました。またのご投稿をお待ちしています。

●Mayさん「白昼夢」
 Mayさん、こんにちは。初めての方なので感想を書かせていただきます。
 この作品の主題は「本物」と「偽物」の対比だと思います。二行目の「偽物の夏」と終行の「本物の夏」が全体を囲い込む構造になっており、その中で昼と夜にまつわるイメージ(太陽と月など)が入り交じって描かれていきます。
 「白昼夢」というタイトルから、おそらく語り手にとっての現在は昼だと思われますが、そこで語り手が夢見ている月にいる「僕」の方が「本当」であるという、「本物」と「偽物」の逆転が見られます。夢想と現実の境が崩れていく幻想的な雰囲気がよく出ていると思いました。パーツとしては、

街灯の下で潰えた黄金虫
探さなくていい
此処にあるから

という部分が印象に残りました。またのご投稿をお待ちしています。

●aristotles200さん「名」
 aristotles200さん、こんにちは。これはaristotles200さんお得意の哲学詩ですね。「世界は存在しない」とか「運命は存在しない」という主張は、哲学の世界ではそれほどユニークな主張ではないと思います。だからそれを詩にしてはいけないということではなく、むしろありふれた素材をいかに独自の視点から提示してみせるかが詩人の腕の見せ所であると思います。
 さて、本作品で重要な役割を果たしているのは「海」の存在であると私は思いました。すべてが存在しないとされる中で唯一存在している海。

何処でもない
暗闇の中で
潮騒が
音をたてている

この部分から、私は旧約聖書の創世記冒頭部分を思い起こしました。

初めに神は天と地を創造された。
地は混沌として、闇が深淵の面にあり、神の霊が水の面を動いていた。
神は言われた。「光あれ。」すると光があった。

神が「○○あれ」と「名づける」ことによって万物が創造されていく、というのが創世記の記述ですが、不思議なことに、その前に「深淵」や「水」があったとされています。本作品の「海」も、そのような世界の存在以前に存在した原初の海をイメージしているのかと思いました。
 そう考えると、この詩ではユダヤ・キリスト教的な創造概念をひっくり返しているのではないかと読めてきます。「名づける」ことによって生み出されたすべてのものは存在しない。あるのはそれ以前の混沌とした「海」だけである、と。
 この「海」があることによって、この詩はありふれた哲学的概念の繰り返しではなくなり、ぐっと内容に深みが増したと思います。評価は佳作とさせていただきます。

●人と庸さん「不在」
 人と庸さん、こんにちは。これは不思議な雰囲気をたたえた詩ですね。舞台となっているのは廃墟となったゴーストタウンですが、評者は読みながら東日本大震災の帰還困難区域を思い起こしました。投稿日が9月であることから、もしかしたら作者の意図もそこにあるのかもしれませんが、はっきりとは分かりません。いずれにしても、長く見捨てられていた場所も新しい家が建ち、復興の兆しが見える。けれどもそこに人は(まだ)住んでいない……。
 この詩の語り手がなぜ家々を訪問しているのか、なぜ町は無人なのか、一切説明されておらず、読者の想像力に委ねられています。それは不気味な光景とも受け取れますが、同時に生い茂る草木や蝉、入道雲といった自然描写の中に、いのちへの希望がそこはかとなく示されているようにも思います。
 いろいろなことを考えさせられる、味わい深い作品でした。評価は佳作とさせていただきます。

●れもんさん「乾いていたい」
 れもんさん、こんにちは。初めての方なので感想を書かせていただきます。
 これは「正しさ」を主題とした作品ですね。「正義」と言ってもいいのかもしれません。人は正しく生きようと願うけれども、現実にはなかなか難しい。これはいつの世にもある葛藤だと思いますが、この詩では「正しさ」を「乾き」と表現しているのがユニークだと思います。そして乾いた「正しさ」の対極にあるのが「べたべた」した状態ということですね。
 語り手の「ぼく」は正しさを求めながらもどうしても身体がべたついてしまう。かといってそれを乾かそうと風を入れると今度はかさついて痛い。正義をめぐるジレンマが肌感覚のメタファーで生理的に感じられるように描かれているところが巧いと思いました。
 タイトルの「乾いていたい」も、乾いた(正しい)状態でいたいという願望と、乾いて「痛い」という状態のダブルミーニングになっているのが面白かったです。またのご投稿をお待ちしています。

●そらねこさん「コトノハ」
 そらねこさん、こんにちは。初めての方なので感想を書かせていただきます。
 これは「ことば」についての詩ですね。人の心を豊かにし、人と人をつなぐためにあるはずのことばが心を満たすことができないばかりか、人を傷つけ血を流させるものとなってしまっている。これは情報はあふれているのにますます人々が生きづらさを感じるようになった現代社会の状況(特にSNS等)を鋭く描いていると思います。
 語り手の「僕」はそのような社会の中で、自らを満たしてくれるような本物のことばを探している。それがタイトルにある「コトノハ」ということなのでしょう。あえて古風な表現をタイトルに持ってきたのは、かつての日本人が持っていたゆたかな言語感覚を取り戻したいという作者の願いの表れかもしれません。
 この作品ではことばについて異なる表記が用いられていますが、1-2連の「言葉」と4連の「コトバ」はどちらも否定的な意味で用いられています。これに対して、下から2行目の「言葉」は肯定的な意味で用いられていると思いますので、「ことば」あるいはタイトルと合わせて「コトノハ」など、異なる表記にした方が良かったかも知れないと思いました。
 現代人をとりまく言語状況に対する作者の切実な危機感が伝わってくるような、胸に迫る作品でした。またのご投稿をお待ちしています。

*

以上、7篇でした。今回は初めての方が多かったです。いつもの常連さんに加え、新しい詩人さんとの出会いが与えられたことを感謝します。

編集・削除(未編集)

人知れず、あなた

餡の声を持つ人がいる

その重さ、粒子、甘みよ

ひとの心を、ひとの思想を

淡々、淡々と読む

ただ声のみに宿るあたたかさ

それだけのことで私は満足なのだ

たったそれだけ、それだけで

僕はあなたを知らない、知ることもないだろう

でも忘れることはない

わたしにくれたものを、そのじんわりとした温かみを、立ち上がる力をくれる甘みを

あなたのような人々に幸あらんことを

編集・削除(編集済: 2026年10月07日 12:02)

繋がる  ゆづは

台所のテーブルの真ん中に
小さな箱がひとつ

ゲームセンターの喧騒を抜けて
それは そこにあった

ご飯の炊ける匂いのなか
説明書をめくる指先は
少しぎこちなくて

耳の奥で小さな電子音が弾ける
透明な電波が
私の時間と繋がるように

少し離れたところで
はにかむ息子の横顔
「三個も取れたんだよ」と

届いた音のぬくもりが
新しい私の毎日に
一つずつ溶けてゆく

編集・削除(未編集)

幸せの扉  光山登

秋晴れの穏やかな日の夕暮れどき、僕は心地良い水の流れの上にふんわりと浮かんでいた。

みんな、幸せの扉は狭いと思っている。

だから幸せになれないみたいだ。

きっと幸せの扉はどこにでもある。

さらさらと流れる水の音は、いつも僕を絶頂に連れて行ってくれる。
流れにぷかぷかと身を任せていたら、僕はいつの間にか遠くに来ていたようだ。

他の人は誰もいない。
幸せの扉は狭いと思い込んでいる人たちを、陸に置いてきた。

僕たちは歩いていく必要なんかなかったのに。
みんな、歩き過ぎて、幸せから遠ざかっている。

水の周りで鈴虫がきれいな音で鳴いている。
他の虫たちも合唱に混じって、ひとつの大きなシンフォニーになった。
その調べに耳を傾けていたら、僕はいつしかうとうとと眠ってしまった。

編集・削除(未編集)

夏生さん 評のお礼です  光山登

自分の詩を丁寧に読み解いていただき、ありがとうございます

今回は想像力をかきたてる作品を目指したので、狙い通りの作品となっているようで嬉しく思います

「詩を書ける方」という評価は嬉しくて舞い上がってしまいました

今後もその評価に恥じない作品を書いていきます

ありがとうございました

編集・削除(未編集)

似たもの同士  じじいじじい

「今日も雨かあ」とつまらなそうに
大あくびをする愛犬

本当につまらないと言いたいのは私のほうだ
これだけ雨が続いては憂鬱な気持ちになって
当然だと思う

愛犬も散歩に連れて行けない日が続いているので
大あくびするのも共感できる

ただ私は見逃していない
彼がつまらなそうにする本当の理由が
別にあるということを

毎日の散歩で出会う美人チワワに会えないのが
彼のつまらなさの原因だ

彼は今 美人チワワに思いを寄せている
毎日 彼女に会うと幸せになる
シッポを大きくふり満面の笑みを浮かべる
彼女と遊べることが至福の時間なんだ

美人チワワに早く会わせてあげたい
雨よ早くやんでくれと空に祈る私だ

というのは人間の私の卑しい言い訳だ
本音は美人チワワの飼い主
美人さんに私が会いたいだけなんだ

愛犬も愛犬なら飼い主も飼い主だ
似たもの同士だなと思いながら
かわいい愛犬をそっと撫でた

編集・削除(未編集)

歴詩奇譚・鎌倉篇 一 「悪党の系譜」後編 三浦志郎

元弘三年(1333年)五月二十二日
鎌倉幕府は新田義貞によって滅ぼされる
北条一族 長崎父子他 およそ二百八十人 
東勝寺にて自害

この腐敗政権の滅亡にあたり
鎌倉武士の防戦ぶりは凄まじい
たとえ 
その時の為政者が愚かであるにせよ
兵 それぞれの武勇と矜持とは
おのずと別の処にあるらしかった
この政権には過去
名君も多く
美しく栄えた時代もあった
武家の都に生きた全ての人の魂が
戦う武士たちに宿ったとしか思えない
「この地 守っておくれ」とー
その奮戦 古今に比類なし


   鎌倉幕府最後の総帥・北条高時の腹切りやぐらが現存する。戦前教育では、その供養塔に石が投げられたりしたようだ。
   今はそんなことはない。ただ残念なのは、今はそのやぐらは(崖崩れの恐れの為)立ち入り禁止になっている。


どうやら 私は うっかり
死者に鞭打つ詩を書いてしまったようだ
だが 事実だから仕方がない
ただ 今思うことは
その口直し 
せめてもの鎮魂のために
ある歴史学者の次の言葉を掲げたい
悪党たちにも伝えたい


「(ある書物は)幕府滅亡の原因を、北条高時の愚行や長崎高資の専権に求めるのであるが、
幕政の動揺は個人の愚直や為政者の思惑をこえた社会の根本において、
また政権の基礎である御家人制の変貌に深く進行していたのであった」


                          (終)

******************************************************

付記。

〇 足利幕府、徳川幕府にくらべ、鎌倉幕府はその創始者と最期者が全く別人なのが異例である。政権の性格がまるで違う。
泉下の源頼朝が知ったら驚き嘆くことだろう。そして、これだけ闘争と流血が多かった政権も稀な気がする。最も短い武家政権ゆえ、
それだけに死の密度は高い。何故だろう?と考えてみる。鎌倉時代はおそらく後世の武家社会―たとえば織田・豊臣・徳川期―にくらべ、政権運営はもちろん、武家としての行動指針・精神背景・文化蓄積がまだ貧しかった。「倒すか 倒されるか? 生か死か?」。
ふたつにひとつの選択枝しか持たなかった。鎌倉武士、めっぽう強いが、そんな武家文化初心者としての未熟を思ってみる。
それは時代の未熟でもあって、全てが武士たちの責任とは言えないだろう。そこに私は彼らへの憐憫を感じていたいのだ。

〇 自由に見学できた頃の北条高時腹切りやぐらに、私は三度ほど行ったことがありました。供養塔の背後の卒塔婆のひとつに、
俳優「高倉 健」の名前があって驚いたことがあります。ところが調べたところでは、高倉は傍流ながら鎌倉北条家の子孫である
ことは間違いないのでした。その人物は金沢流北条家の北条篤時。金沢文庫創設者・北条(金沢)実時の次男です。
この人は幕府滅亡時、北条高時と共に自害したが、その子らが九州まで落ちのび、姓を小田に変えました。高倉はその子孫という
ことになります。腹切りやぐらに卒塔婆があるのはごく自然のことでした。高倉 健の誠意のしるしだったのです。

北条高時腹切りやぐら (東勝寺跡 立ち入り禁止以前)

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詩に思うこと  相野零次

詩や僕に興味のない他人にとって
詩はただの落書きにすぎない
スケッチブック片手に果物の模写をする
それと一緒だ
出来が良いものも悪いものもある
誰かに見せたいものもある
感想が欲しい 批評が欲しい 
反応薄いのは仕方ない
絶賛してくれればうれしい
その人と友達になりたくなる

そうやってコミュニティーが広がってゆく
自分だけじゃない他人が書く詩も重要だ
その詩を見て絶賛したくなったとき
ふと自分が成長したかのように錯覚する
感動が伝播する
脳から身体に伝わり指先に伝わる
それだけで傑作が書けるわけじゃないけど
書けたかのように嬉しい

本格的に詩と向き合うようになって
2年ぐらいだろうか
初期の詩を眺めてみると
さして進歩していないように見える

それはたぶん何も考えずに
思い浮かぶことしか書いてないから
のように思える

今は過去の詩を抒情詩・叙事詩・寓話などに
種別分けしている
それで詩がよくなるとは思わないが……
例えば今書いている詩は実際に起きていることなので
叙事詩だと思う 
そのなかで心の中だけの出来事
なので独白の詩と呼べると思う
いや、エッセイが正解かも

実は詩のストックもだいぶ溜まったし
本にしてみようかと思い
詩 出版 でいろいろググったが
本にするには費用がメッチャかかるだけで
対効果(多くの人に見てもらう)が薄いと自分は思ったので止めた
こんなことを思うのは仕方ないけど
どうしても本を作り上げたら売り出して儲けたいと思ってしまう。
本自体売れない世の中で自分の拙い詩を本にして売れるわけがないのだが、
もしかして、ひょっとしたら儲かるかも!と思うのは人間のさがとして仕方ないことだと思う。

さて、ではどうするか。
紙ではなくWeb媒体はどうだろう?
今はここでしか発表してないが、
もっと活動の場を広げて売り出すにしても紙ではなくWebで売り出すのはどうだろう。
そういったこともぼちぼちしていこうと思っている。

この今書いている文章は詩と呼べるのだろうか、
呼べるのならば抒情詩?叙事詩?それとも詩とは呼べないエッセイか日記?
それだけおしえていただければ幸いです。
これからもよろしくお願いします。

編集・削除(未編集)

歴詩奇譚・鎌倉篇 一 「悪党の系譜」前編 三浦志郎

ある作家が歴史における「悪党」とは何か?
を述べている  曰くー

「幼少の主君 暗愚な主君をおだて 時に恐怖させ 担ぎ上げ 躍らせた者である」

そんな定義を携えて詩は始まる
たとえば
鎌倉時代 幕府の末期的様相

*               *               *               *

   〇当時の反幕府・独立在地勢力を歴史用語として「悪党」と呼んだが、ここでは幕府中枢部を、通常使われる意味での
   「悪いヤツら」と呼んでいる。

   鎌倉幕府は蒙古襲来の難事を乗り切って以降、その能力を著しく消耗させた感がある。
   そういった政権構造に“悪党”は出やすいものなのだろうか?


悪党
平頼綱(たいらのよりつな)という武士がいた
本来は幕府執権・北条家の家宰
いわば北条家庭の世話役 私的な執事に過ぎなかった
そういった立場の者が*増長し勢力拡大
極秘の寄合(会議)に参与
当時の幕府を動かすようになった
その異常さ
敢えて容赦ない言葉を使う
“成り上がり”である

その男
源氏に滅ぼされた“あの平家”の子孫の可能性が高い
そういう一族が鎌倉政治に食い入り牛耳った
その不思議
その歴史的皮肉
その因果応報

平頼綱
*既存勢力の代表御家人であり
器量人の安達泰盛を
主君に讒言し滅ぼした

しかし その過激さ
主君をも乗り越えようとした
時の執権・北条貞時もさすがに
頼綱を警戒し不意打ちで滅ぼす

滅ぼし 滅ぼされる
なぜ こうも鎌倉には
闘争と流血が多いのだろう!?(驚・悲)

くだんの北条貞時
幕政改革に乗り出すも
その困難に打ち砕かれ
相次ぐ子息の夭逝もあり
晩年 酒と女と遊興の日を過ごし
失意の死を迎える

残された幼君・北条高時
それを補佐するは
長崎円喜(えんき)と高資(たかすけ)父子
実はこの二人 あの平頼綱の縁者

またしても悪党の系譜は続く

いわゆる”恐怖政治“
奢り高ぶり
裁判の不公平
賄賂の取り込み
主家・北条氏への高圧的対応
有無を言わさぬ討伐

後世の幕府の滅び
足利幕府 徳川幕府にも
このようなためしなし

成人した北条高時も
*精神を病んでいた疑いがある
(闘犬と田楽の外 他事無く候)
そんな主旨の記録も残る
やはり暗愚な主君でしかなかった
それを躍らせた長崎父子

この政権 
無事ではすまないだろう



つづく。

*              *               *               *

*増長し……彼らは「御内人」などと呼ばれて実権を握り、既存の御家人と激しく対立した。
北条もつい便利に使ってしまったのだろう。主君の北条も恐れるほどの権勢を振るった。

*既存勢力の……現代の会社に例えると、家宰から上がった社長室長の平頼綱が、格上の支店長統括・兼副社長の安達泰盛
を引きずり降ろしたようなもの。室長が社長の代行として会社を動かすようなものである。

*精神を病んで……この時期の北条係累はうち続く血族結婚の弊害があり、高時もそうであった、と分析する学者もいる。

***********************************************************

後編は三浦評担当区間内にて掲載。

編集・削除(編集済: 2026年10月03日 14:51)
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