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編集・削除(編集済: 2025年01月02日 01:55)

青島江里様 お礼  TICO

はじめまして。あけましておめでとうございます。TICOです。
大変丁寧な感想を綴ってくださり、ありがとうございました。山田くんや「私」の人物像を繊細にとらえてくださり、また心情を深く汲み取ってくださりとても嬉しく思います。
おまけですが、初連の文言は谷川俊太郎さんの「かっぱ」がどんどん変形していったものです。私の中にも根付いていたのかなと思います。
初稿の段階では「俺かっぱらった」と「2人の共有する秘密の内容」で山田くんの影の部分をうっすら暗喩的に示唆するつもりでした。(かないませんでしたが)
また投稿の際にはどうぞよろしくお願いいたします。

編集・削除(編集済: 2026年01月07日 02:27)

青島江里様 お礼  ゆづは

あけましておめでとうございます。
こちらこそ旧年中は大変お世話になりました。
この度も、丁寧に詩を読んでくださり、素敵な評をいただき、ありがとうございます。
幻想的で神秘的、美しい表現とのお言葉が、私にとって何より嬉しく、また、第四連を「息をのむような美しさ」と、お褒めいただけたことは特に想いを込めた部分でしたので、大変励みになりました。
ご指摘の「僕」という猫の感情の部分がぼやけてしまっている点について、ついレトリックに夢中になり、表現が過剰になってしまったかもしれません。私の弱い部分に気づかせていただき、感謝しております。いただいたアドバイスを活かし、今後はその部分を意識していきたいと思います。
本年も詩作を楽しみながら、素敵な詩が書けるようになりたいです。
引き続き、ご指導のほど、よろしくお願い申し上げます。

編集・削除(未編集)

◎12月23日(火)~12月25日(木)ご投稿分、評と感想です  (青島江里)

◎12月23日(火)~12月25日(木)ご投稿分、評と感想です

あけましておめでとうございます。
旧年中は、色々ありがとうございました。
今年初めての評と感想です。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

※投稿様さまの詩は、投稿さまのものです。こちらの方での評と感想では、正解、不正解ではなく、これは参考にしたいなと思うものだけを受け取っていただき、これは、ちょっと違うなと思うものは、こういう方法もあるのだなと軽く流していただけるとありがたいです。みなさまには、詩を書くことの好きな人へお手紙を書くように書かせていただいています。ふつつかではありますが、今年もみなさまと一緒に、詩を書くことや読むことを楽しんでゆけたらと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。



☆月夜の黒猫  ゆづは さん

ゆづはさん、修練最後の一行の変更の件、確認済みです。ご伝言、ありがとうございました。

とても幻想的な世界です。主役が黒猫ということで、闇に重なるカラーのイメージも重なり、幻想的な世界の上に、神秘的な空気さえ感じさせてくれます。また、レトリックの表現法がとても美しくて、夜の闇のしっとりとした空気の体感と、そこはかとなく感じさせてくれる、水の奥底のいるような静かな時間の広がりを感じさせてくれます。

全体像の世界は、とても美しさが感じられてよいのですが、ただ気になったのは、今回の作品に関しましては、個人的には、詩中の各連のレトリックの美しい個性がぶつかり合いすぎて、「僕」という猫の感情の部分がぼやけてしまっているように思えるところです。

多めになりがちなレトリックのいくつかを、現実に変換せずともそのまま読めるようにすると、主役の「僕」という猫の存在が大きく浮かび上がってくるように思いました。

今回、特によかったなと思ったのはこちらの連です

今宵、眩い光の毒に
世界が酔いしれる夜
僕はその縁から滑り落ち
鈴も祈りも持たぬまま
ひそやかに 深く
聖なる闇を祝福する

息をのむような美しさでした。
今回は佳作半歩手前を。


☆ダークヒーロー  TICO さん

TICOさん、はじめてさんですね。今回は感想のみで書かせていただきますね。よろしくどうぞ。

突然、聞いたことのない言葉で始まる一連目。驚きです。すぐさま、二連目の童話のようなラップのような言葉で、歌のフレーズのようなものなのだと理解できました。作中の「私」も推測できないフレーズなので、即興に近いものがあるのだなとか、突拍子もないフレーズに「山田くん」は超個性派のキャラクターなのだと思わせてくれました。フレーズがよい味を出してくれているんだなぁと感じました。

五連目から「山田くん」のキャラクターがさらに深堀りされていますね。その深堀りのされ方、表現の仕方が何ともいえない甘酸っぱさを感じさせてくれました。突拍子もない個性派のキャラクターなのだけれど、大雑把ではなく、人の心の部分に対して非常に繊細なものを持ち合わせている優しい人物だと思わせてくれました。「私」との距離感。猛ダッシュする癖に、ある程度の距離を一定に保ちつつ、確認を繰り返すという部分。振り返る彼の姿を想像すると、さりげないけれど、深い思いやりを感じずにはいられません。また、そのような距離の取り方に、彼の魅力を感じる「私」のキャラクターも、とても繊細でやわらかな風を感じさせてくれました。

職員室の裏口の秘密の開け方を教えてくれる彼をダークヒーローとするところも魅力的でした。大人とは違う私たちだけの秘密の世界が水の輪のように広がりました。そんなドキドキさせてくれる「山田くん」とだんだん離れ離れになっていく様子には、時計の秒針に肌をつつかれるような時の痛みも伝わってきました。

「山田くん」のいない時間に慣れてゆく私にも胸をきゅっとしめつけられるような切なさが伝わってきました。もうあんな人に会えないかもしれないという何とも言えないぼやけた不安のような気持ちと共に。

人の領域に土足に踏み入ることなく、気にしていないようで、実はさりげなく相手を気遣うという、振り返りという優しさ。優しさの視点がとても甘酸っぱい作品だと感じました。



☆ランナーズハイ  喜太郎 さん

新年、毎年行われる駅伝の中継。この作品を拝見していると、その時に走っていいたランナーの姿が巡りました。

「!」の連発もしかり、全体的にランナーの必死さが沸き上がってきました。限界を突破しなければゴールに辿り着けないランナーのエネルギーの力強さに圧倒されました。

ところどころ、文末を「い」や「だ」や「を」に揃えたり、命令形に揃えたりと、同じような音を揃えることによって、一定のリズム感が生まれ、走っている様子に勢いを与えていると感じられました。

個人的に気になったところは「今を生きる」という言葉でした。意識がなくなるような朦朧とした事態で「今を生きるんだ」という余裕が果たして生まれるかどうかということを、自分ならどうだろうと問いかけてみたところ、そこまで余裕はないかもなぁという気持ちになりました。言葉の感覚としては、若干、大き目なフレーズのようにも感じるので、別の言葉を考えてみるのもよいかもしれないです。そういう意味では七連目の「今を生きろの~」の部分は「答えなんか/答えなんか後でいい/走れ!走れ!走れ!/答えはついてくるんだ」のようにしてもいいかなと思いました。

八連目の地上5センチ上を走っているという場面を表現したシーンは、とても個性が光っていました。浮足立ちながらも前進している様子を飛んでいるとした表現は、ランナーの「ふんばり」が伝わってきました。

そして九連目の「胸を晴れっ!」この「晴れ」は「張れ」変換ミスなのか、それともあえてこのようにしているのかはわからないですが、少しでも前に行こうとしている気持ちがよく表れていると思いました。ゴールに向かって大きくステップを踏んでいるようなエネルギーも感じさせてくれました。

最終連の一つ手前の連の「そんな事を思ってる」は省略しても伝わるので無しにしてもよいかと思いました。最終連の一言は、とても素敵でした。いつか辛い出来事に出会った時、今日の日の頑張りが支えてくれるという意味や、この日があったからこそ、今の自分があるんだと、いつか分かる日が来るというようなメッセージを伝えてくれました。鼓動と息使いが伝わってくる作品、今回は佳作半歩手前で。



☆色彩の環  Ema さん

日暮れの様子を丁寧に表現してくれましたね。まるで小さなドキュメンタリー番組を見ているようです。また、色彩の変化の様子をこまやかに表現してくれていることで、少しずつ日暮れてゆく様子が、読み手の目の中にも静かに浮かび上がってきました。

個人的に気になったのは、漢字の使い方でした。読みやすさでひらがなを用いてみたり、グラデーションなど、やわらかさを強調するためにひらがなを用いてみると、より一層、よい作品に仕上げることができるように思えました。一例を並べてみました。何かお役に立てれば嬉しいです。

うすきいろ
うすべにいろ
うすむらさきいろ 
淡い色が重なる

↑(ひらがなにしても「淡い色」としているので、ひらがなを用いても色だとわかる)

弓形に見える天空の縁を
綾なす色彩

↑(穹窿は、普段あまり用いない漢字なので、違う言葉に変える方が、意味が伝わりやすいと感じました)

狭間をたゆたう
↑(同じく、普段あまり用いない漢字なのでひらがなに変えてみました)

ところで、別件でもうひとつ。「つややかで透きとおった/黄金糖を思う」の「黄金糖」ですが、こちらはお菓子の商品名になるので「黄金のキャンディー」もしくは「べっこう飴」にする方が安心かなと思いました。一例を。

つややかで透きとおった
黄金のキャンディーを思う

目を瞑って
手元にないその黄金を
ひと粒ふくんでみる

最後の太陽の光を黄金の飴に例えるところは、とても印象的でした。夕暮れ色が溶けて夜になる様子。黄金糖は、幼い頃に食べた飴なのかな。懐かしさという言葉とうまく溶け合って、ノスタルジアな空気をも醸し出しています。その飴の甘みが無くなった後にくる夜の帳。現実に引き戻されたかのような、小さな哀愁を感じさせてくれる着地でした。見過ごせば一瞬ぐらいに感じる日暮れの光景をとても丁寧に表現してくれた作品。今回は佳作一歩手前を。



☆クリスマスの夜  埼玉のさっちゃん さん

何なんでしょう。詩を拝見した後のその読後感のあたたかさ。とても寒い日、あたたかい部屋の窓ガラスが曇ってしまうような、人いきれを感じる温もりを感じさせてくれました。

昨今、クリスマスと言えば、メディアもこぞって、どこどこのお店のメニューが、どこどこスポットが、インスタバエしますよ等々、人に見せることの前提の情報であふれていますよね。そして、それらの情報をもとに現地に向かったりして、キラキラとした幸せ感を打ち出しているパターンが多く感じられるのですが、この作品を拝見していると、人の、ずっと昔からある幸福感、今を生きる人たちが忘れかけたり、置き去りにしてしまっているものを浮かび上がらせてくれているようにも思えたのです。

表現の方法についても、何の飾り気も感じさせず、ただただ、自分が幸福と思えることを素直に純粋に、子供のような心で綴っていらっしゃる、その部分もまた好感が持てました。仮に、同じ内容を綴っていても、背伸びした言葉を選んでいると、この作品は味わいの少ないきれいごとの作品に終わっていたかもしれません。

作中の中心にしっかりと置かれている「ただいま」と「おかえりなさい」のこの二語に込められた作者の「幸福感」がこの作品にマッチし、作品全体に広がりのある温みを与えているのだと感じました。おいしくてあったかいホットミルクに出会えたような作品でした。佳作を。



☆夕暮れの色  人と庸 さん

作者さんの夕暮れに対する視線、繊細な心配りが感じられる作品でした。

一日一日絶えず流れてゆく時間。季節の動き。実際に目にする自然の変化に重ねて、季節の変化を独自の言葉の選択で上手に表現されていますね。特に三連目の「青葉から紅葉に変化しようとしている」の後の空き家の光景を持ってきたところは、止まってしまった人の生活がより一層の止まらない季節の流れを感じさせてくれました。また、青葉から紅葉に変化すると感覚は、枯れてしまうというよりも、次の季節に向かっているという息吹を感じさせてくれました。このような言葉の持って行き方は、簡単に書けそうで、なかなか書けないのではないかと思いました。季節の流れ、生活、一生、というような言葉の意味合いについての思い入れがそうさせているように感じました。

赤くて小さな葉っぱがひとひら
鼻の頭に乗っかった

こちらも次の連の「痛みとともに」の痛み、葉っぱにあたった痛み、他者が気づかないほどの葉っぱの心の、小さな存在の痛みを連想させてくれる、よい役割を果たしてくれているように思いました。

ところで、このままでもいけそうなのですが、少しだけ気になったのは、こちらです。

一日の夕暮れどきに
一年の夕暮れの中をゆく

こちらは、一日の夕暮れは一年の中の一日の夕暮れであるということだと思ったのですが、場合によっては、一年の終わりと勘違いされる可能性がありそうです。「一日の夕暮れどきをゆく/一年の中の夕暮れどきをゆく」というような感じの言葉を加えてみると、更にわかりやすくなると思いました。

最終連の「せわしなく」は、赤いから冬に葉っぱが枯れていくことは、一見、勢いの落としているようにも見えるけれど、実際に目を凝らしてみると花芽をいっぱいに湛えているんだという動きを、一言にまとめて強調してくれています。芽は実際には動いて見えることはないですが、この言葉を用いることによって、人の動きを連想させ、まるで花芽が動いているようにも思えてきます。

言葉の一語一語に作者さんの思い入れを感じられる作品でした。ふんわりあまめの佳作を。



☆私小説的仙吉譚〜「小僧の神様」異聞〜  トキ・ケッコウ さん

小僧の神様の仙吉を現代の鮨屋、しかも回転鮨店にタイムスリップさせてみるという、とてもユニークな作品。物語的な要素に光を当ててみると、面白く読めました。そこを通じて、古典的な物語と現代作品との融合を考え、現代の感覚や問題意識を問うてみたりすると、現代社会の無機質さが見えてきそうです。単に便利な何かに、恵まれている誰かに与えられるものが神様と思えるような感情を引き起こすのかというと、必ずしもそうではないということが伝わってきました。

小僧の神様では、貴族院の議員の方が、小僧に鮨を食べたいという夢を叶えてあげていますが、このいきさつを読んだ他者の中には、金持ちが貧乏人に与えてやるという驕りだと捉える人も、必ずいます。そのようなことを考えると、何が善か悪なのかということもわからなくなってしまいそうです。大切さの根本を問うと、小僧自身が貴族院の方を神様と思えたほどの感情を、自分の手と足と心で感じとった、これ一つに尽きるのではないかということでした。何かを神様と思える現状を引き寄せるのは、自分の手と足、感じる心であり、意図的に他から運んできてもらうものでもないということが伝わってきました。

大量に魚を保存できて、鮨をたくさん作れる冷蔵庫も、好きな鮨を自分の好きなタイミングでとれる回転鮨も、非常に便利で、ありがたいものではありますが、あれだけの鮨が並んでいながら、自分の方へ回ってきてくれようとも、小僧には神様を感じる瞬間がありませんでしたね。そのようなことをうまく引用しながら、神様と思える瞬間とは何かということを、読み手に感じさせてくれたと思います。

詩の組み立て方というか、形の面に光を当てると、前半は物語の要素に入る前の注釈のようになっていてかなりの幅があります。中盤では物語のようになっていて、その合間や終盤では散文のような形になっています。結構、複雑な感じで、「○○詩」と例えることの難しさがありました。また何度も作中で登場する「・・・・」ですが、四つではなく「・・・・・・」の六つが一般的な形になります。一応、お伝えしておきますね。

「ベルトコンベアーの上を回ってやって来る寿司はまるで周り燈籠のようであり、手を伸ばすさきから消えていくような錯覚に彼は襲われている」

作中にあったこちらの表現はとても美しかったです。このような情景描写の豊かさを感じられる表現が、今回は、少し不足しているように個人的には感じました。「神様探しの小さな旅」というテーマ。とてもユニークで、独創的な香り際立つ作品でした。今回は佳作一歩手前を。


*********************************************************************

新しい年が始まりました。一日一日が新しいということを改めて感じられる、一年の初め。睦月です。

みなさまの詩生活が、すこやかで充実した一年となりますように。

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夏生様 感想の御礼 トキ・ケッコウ

夏生様 大変お返事遅くなり失礼いたしました。私事ですが年末年始にかけてパソコンが壊れたりなど、とにかく「壊れる」という事象が立て続けにおき、ついついお返事を先送りにしておりました。作品にも表しましたが、偶然と言いますか、今回のこれらの「壊れる」という事象が、できること、できないことの、源に、どこか触っているような気がしております。やりたくてもできないこと、逆にやりたくないのにできることの、間に挟まれ、わたくしのまわりが大きくあるいはちいさく壊れてあったのではないかという疑念をいま抱いております。ともあれ詩を書くということが、果たして自分にとって「可能なことであるのか(可能としてそれが適切なことなのか)」という、疑いを、その続きとして掛けている最中です。御礼のつもりが愚痴めいてしまい申し訳ありません。ともあれまた書きます。書くことだけが真偽を超えた結果であると思うようにいたします。

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私春記  上原有栖

    「はぁ。」
夫婦の何気ない会話のなかで
左の胸に嵌った小瓶が震えた
瓶の内側に満ちている水溶液
無色透明に見えたなら幸せ者
なかに浮かんだ小さな欠片は
あの日から溶けてくれないよ

*************

忘れられないわ思春期の古傷
私はある日仲間外れにされた
原因は些細なことだったのか
当人たちはきっと忘れてるね 
そんなことした意識も無いか
突然会話が続かなくなったの
返ってくるのは曖昧な相槌で
    「はぁ。」
    「そぅ。」
    「へぇ。」
無理に作り上げた愛想笑いは
どうやっても続かなかったよ
だれにも見つからないように
トイレの鏡に向かって涙した

*************

もう周りを信じられなかった
なのに私の渦巻く感情なんて
知らんぷりしてある日のこと
突然同級生が話してきたから
背筋が震えて止まらなかった
昨日までの私と何が違うの?
私は何も変わっていないのに
どこも変わってないわよね?

周りの友人がとても怖かった
何故あんなに冷たかったのか
結局聞くことが出来ず終いで
だから心に蓋をして過ごした

*************

小瓶の中の液体は悪臭がする
同級生と会うことはもう無い
それぞれ悲喜交々を経験して
それぞれ幸せな家庭を築いて
昔は楽しかったと言うのかな
     けれど
過ぎ去った私の青春の記憶は
恐怖をずっと引きずったまま
     きっと
この身体が灰煙になった後も
心が空に高く昇っていくまで
ぜったいに忘れないでしょう 

少し汚れた半透明の小瓶の中
ちゃぷんと波打つ記憶の溶液
思春期の痛くて苦い想い出に
私はこれからも添い寝するの

編集・削除(未編集)

五分間  aristotles200

目の前が揺らぎ始める
まただ、過去に戻る

瞬きする間に、場所と時間が違う
それも五分ほど

未来には行けない
自分以外の、赤の他人の過去を見る
不思議

何の為か、わからない

繰り返し、他人の人生を経験する
鎌倉の戦乱
江戸の泰平…

大正の変革
昭和の大戦…
様々な人生、五分ほどの同一化

再び現代に戻る
最近、過去に戻る回数が増えている

スマホのニュース欄に表示
「二大大国の衝突は避けようもなく
今週にも全面戦争に突入する恐れが⋯」

これと関係あるんだろうか

社会欄のニュース
「短い時間、過去に戻ったという人が
最近、増え続けています⋯」

良かった、自分だけじゃない

緊急速報、アラーム音が鳴り響く
「特報、終末戦争始まる
核兵器の応酬、人類絶滅の危機に⋯」

そうか
⋯連なり

過去は過去、されど血の連なり
…走馬灯

記憶の完成
人類の終焉

通勤電車は何ごともなく走っている

      ー閃光ー

消滅

地球、各都市が閃光に包まれていく
冷たい雨が世界を覆う
地上は汚染され、氷河期を迎えた

廃墟と荒野
静寂

無数の骨の山々

   ✳

通勤電車、到着のアナウンス
まもなく、十三駅に到着いたします
出口は右側です
ドア付近のお客様は
足元にご注意ください

揺らぎが収まっていく
これは未来、なのか

目前に、無数の骨が散らばっている

いや、今そのものが既に
記憶の一部…

編集・削除(編集済: 2026年01月06日 05:47)

俺を咎めよ  佐々木礫

神は、俺の独白を成り立たせるための、壮大な舞台装置である。
信仰なき俺が、語るに足る罪と赦しを演じるための前提。
普段は神のことなど考えず、時々、
己の寛容さを主張する似非クリスチャンに対して、
中指で十字架を切る俺ではあるが、
自己の悪徳についての詩を一つ書こうという時には、たったの一行だけだとしても、
俺に運命を与え、独白を許す存在の主語が必要になることがある。
だからこれから先、俺は信仰なしに神を利用することを断っておく。

――

「俺は決して見捨てず、助けもしない。彼らがどんなに恵まれていないか、どんな改善があり得るかを列挙した後、それを実行することは助けず、ただ深く愛してみせよう。」

罪に塗れた少年時代に立脚して、
裁かれる者を愛すると宣誓した、
自己の悪徳の隠蔽者である俺は、
過去の自身の過失の被害者へ謝罪を述べて、
社会善を弁えた者だと偽装した。

しかし、
その謝罪に対する、
神より授かりし返報が、
薄汚い1セント硬貨ほどの、
カインの刻印を模倣した、
偽善の勲章一つであることを見て、
それを溝川に投げ捨てた。

俺を愛し損ねた人よ、
臆病で猜疑心の強く、
他人を恐怖し傷つける、
戦争犯罪人たる俺を軽蔑し、
全く碌でもない人間だと噂を流せ。
それは見事なまでの復讐であり、
何の障害もなく俺の苦悩となる。
あなたは、
極めて快楽な会話の中で、
俺から受けた傷を癒やして、
有り余る快楽を得るだろう。

俺を愛した人よ、
笑顔も涙も見せることなく、
別れも告げずに去れ。
そして俺の記念にならないように、
捉えようの無い思い出となるのだ。
俺は決して手を出さないから、
あなたは、
視線に怯えて背筋を伸ばす俺のことを、
誇り高き者として鑑賞することができる。

正義に身を置く者よ。
俺のことは信頼せずに、
身勝手な期待をせよ。
俺が啞然としてしまうような表面的な反省の色を改善の印であると信じ、
不遜な態度は中身の無さと率直に捉え、これから働く不義理の証左と見ろ。
そうすれば、
俺を永遠に大衆の牢獄へ閉じ込めて置ける。
あなたは無知な凡人から、
晴れて尊き看守となるのだ。

編集・削除(編集済: 2026年01月12日 01:26)

三浦様 お礼です 上原有栖

今回も丁寧な感想と評を頂きまして誠にありがとうございます。
色々と手を拡げ過ぎたところを諭してくださり、良かったです。
『風船』……多くの方が表現してきたテーマですが、言葉の使い方、表現の書き方、何度も何度も推敲を重ねました。
今回も佳作を頂けたことはもちろん嬉しいですが、書き上げた詩をこの場に出せたこともまた嬉しい限りです。
これからも美しく響く詩を書きたいと思いました。
そして、私の抒情がより世間一般に届くようにもっと努力していきます。
今年もどうぞ宜しくお願いいたします!

編集・削除(未編集)

頬に灯る形見  ゆづは

あと三日で百歳だった祖母が
この世を去ってから
季節が何度巡っただろう

ふと 鏡を覗けば
そこに映る自分の輪郭が
一瞬 祖母の遺影と重なって息を呑む

そのとき 私は思い出す
ずっと昔に置き去りにしてきた
小さな問いがあったことを

私のこのえくぼは
誰に似たのだろう──

両親のどこを探しても見つからず
いつしか考えることも
すっかり忘れていた
遠い日の疑問

けれど今 鏡の中の私が笑うと
記憶の中の祖母が
同じように微笑む

ああ そうか
こんなところに 隠れていたのか
何年も 何十年も経ってから
ようやく見つけた 私の中の答え

受け継いだのは 形見だけじゃない
笑うたびに灯る この小さなくぼみ

三日届かなかった百年の続きが
私の頬で そっと生きはじめる


********

島 秀生様、評者の皆様

小寒を迎え、澄み渡る風に新しい年の鼓動を感じております。
皆様の日々に、ささやかな幸いが芽吹きますよう。
本年も変わらぬご指導のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。

編集・削除(編集済: 2026年01月16日 19:37)

奇跡の液体  光山登


テーブルに並べられた茶色の液体は、
昆布だしと豆腐のほのかな甘みがかきたてる幸福と、大根と黒味噌の確かな苦味がもたらす不幸が混じって、
僕らにひとつのイメージを見せつけていた。

僕らはどこへ連れ去られようとしているのだろう?

むごい現実がいたるところで漆黒の翼を広げながら待ち伏せしている。
鋭利な翼の先には猛毒が塗られている。


その液体はやわらかな湯気とともに、僕らを現実の先へと連れて行く。

不幸の苦味は幸福を引き立てるアクセントとなり、僕らをやさしく包み込むコンポーネントのひとつとなる。

快楽、
それだけにとどまらない至福の瞬間が、
濁った液体の中に潜んでいる。

茶色に見えていた液体は、舌に含んだ瞬間にピンク色に染まり、
僕らのむごい現実をも明るく染めていく。

純粋な喜びの瞬間が、ここにある。

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