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ここから詩人として巣立った人は数知れず、です。あなたの詩を継続的に見守り、詩の成長を助ける掲示板です。
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編集・削除(編集済: 2026年05月30日 02:08)

お礼 水無川さま  八月野 蝉

拙作をお読みいただきありがとうございます。
頂いた感想を拝読して、心温まる思いでいっぱいです。作風もまだ定まっておらず、色々な方向性の詩に挑戦しようと思ってます。未熟者ですが、今後ともよろしくお願いします。

編集・削除(未編集)

棺 上原有栖

北風に冬の号令を感じられるようになったころ、疎遠になっていた
知人の葬儀に参列した。歳若くまだまだこれから、といったところ
で逝ってしまった。報せを聞いたときに掴んでいたカップを落とし
てしまった程だ。床に落下してひび割れたそれは、故人からかつて
貰ったものだった。乾いた音を立てて外れた持ち手は、修復を拒む
かのように砕けてしまった。/葬儀の地は、私の地元でもあった。
卒業して仕事に就いてから、戻ることはあまり無かった。都会から
少し離れた町、田舎と表現するほどには辺鄙ではないが栄えている
とも言えない。そこに、私達の故郷はあった。実家に荷物を置き、
喪服に着替え式場へ向かう。今住んでいる街に慣れてしまったのか
、ここには色が少ないように思えた。家々の外壁塗装や道路の信号
機、道端のポスト、自販機のイラストさえも、白く掠れて見えた。
/読経が読み上げられるのを聴きながら目を伏せていた。ふと、辺
りを見回すと数人の知った顔と目が合った。なかなか帰ってこない
手前でこちらから声をかけるのも気が引けてしまったので、目配せ
で再会に代えさせてもらった。仕事先の繋がりなのか、ほとんどの
参列者は知らない顔だった。故人と疎遠になってからの近況は分か
らない。ただ、これだけの人数が来るということは将来も嘱望され
ていたようでその事を考えると胸のどこかで軋むような音がした。
/一人の女性が肩を震わせながら泣いていた。親族の席に座ってい
ないのだから血縁者では無いのだろう。彼女は時折嗚咽を漏らしハ
ンカチで涙をぬぐっている。隣に座る友人とおぼしき女性は肩をさ
すってやっていた。どんな関係性なのか、ただそれだけの悲しみに
苛まれるということは、それなりの関係だったのだろう。この世か
ら居なくなってしまった後もここまで涙を流してもらえる、そんな
姿をみて故人の生前を想った。/棺は白く、清廉であった。故人の
顔も旅立ちのために整えられていた。どんな気持ちで逝ってしまっ
たのか私に分かるはずもないがその閉じられた瞳に問えるのならば
聞いてみたいと思った。そして、貴方のために多くの人が哀しみ、
涙を流し、別れを惜しんでいるということを伝えてあげたかった。
/全てが終わって私は日常に帰っていく。次にこの町に戻ってくる
のはいつになるのか。また誰かを見送るのかもしれないし、もしか
したら自分が見送られる側になるかもしれない。そのとき、式場に
いたあの女性のように私のことを悲しんでくれる人がいるのだろう
か。彼女が肩を震わせながら漏らしていた嗚咽の響きが耳の中に残
って、まだ消えてくれない。

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欠片  May

ゆで卵の殻をツルンと剥くように目が覚める
オムツを着けた老猫が身体を擦り付け餌をよこせと催促する
夫の布団の横に花柄もようの杖
砕けてこぼれた欠片をひとつづつ拾い集めて朝が始まる
急かすから猫の餌やりは忘れない
水を入れた鍋をガスコンロに掛け
タイマーボタンを押すから放置しても大丈夫
血圧を測りながらメモを取る
夫はもう「杖をつく人」ではなく「杖を持ち歩く人」になり
杖を置き忘れて探し回る
「14秒で忘れる」と私の記憶力を診断された日を忘れない
アプリにメモを取り1日スマホを見てる
薬を飲み忘れたとまた飲んで丈夫な身体に苦笑する
番組に合わせて支度する夫は相変わらずで
3時10分テレビを入れまた消して相撲ロス

編集・削除(未編集)

水無川様へお礼です  May

水無川様丁寧なご感想をありがとうございます。
この作品は元は
「潰えた」という語句を使ってみたいという動機から始まりました
更に主人公にエヴァンゲリオンの碇シンジ君を据え、
臆病な彼が戦い続けるには恐怖に打ち勝つ「生存本能」を呼び起すしかなく、具体的な「死」のイメージとして
「潰えた黄金虫」を置きました
自分の存在意義を探し求める彼に
「探さなくていい」と呼び掛けるイメージで作りました。
「潰えた黄金虫」と「探さなくていい」に目を止めていただき
嬉しく思います。
また投稿したいと思います。
よろしくお願いします。

編集・削除(未編集)

面の中身は吉か凶か  月森うさこ

鴉の不吉な鳴き声と
祭り囃子の吉兆が交わるとき

妖達が集まり宴を始める
お面を被れば ほぼ人間

狐の面を被った人間の子
焼きとうもろこしを抱えて
半泣きで彷徨い辿り着いた

遊ぼう〜(人間)遊ぼう〜(人間)
食べよう(子の妖)たべよう(子の妖)
石の上で分け合う焼きとうもろこし

踊るぞ〜(人間)踊るぞ〜(人間)
カランロコン カンカンコロリ
下駄の音色が響き 手を取り合う
あやかしの子と人間の子は 笑い合う

さあさあ、ちこをよれ(人間)
良う出来た狐のお面よ
お前達 あたしらと会ったことは
吉兆なり吉兆なりトントントン
お面のおでこに虹石を打ち込む

さあ(人間)鴉の不吉がばら撒かれる前に
あの小川に沿って面をかぶって
思いっきり走るのじゃ(人間)
またあえるさ お前達の澄んだ心が
ここへまた導いてくれようぞ(人間)

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名前  石川ぼうず

もっと
もっとと穴を掘る

欲望という名前の穴を掘り
自分で穴を埋め
また掘り始める

見ているだけで
嫌になった

だから
ぼくはその人から目をそらした

そうしたと同時に
その人も顔をそらす

嫌っていたのは
他人ではなく

他人と同じように
穴を掘る
ぼくだった

欲望は
他人の中にあるときほど
欲深く見える

そして
自分の中にあるときには
うまく名前を変える

向上心
知的好奇心
正義
夢
愛

鏡の中のぼくは今日も
言い訳をしながら
穴を掘り続ける

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水無川様 ありがとうございます  石川ぼうず

ご丁寧なご感想をありがとうございます。

揚げたてのカレーパンのおいしさや、作品の軽やかなリズムを感じ取っていただけて、とても嬉しく思います。また、ラストの「ペダルが重くなる」という一行から、爽やかな読後感を受け取っていただけたことも励みになりました。

シリアスな作品だけでなく、こうした日常の楽しさを気軽に味わっていただける詩も書いていきたいと思っています。

温かいご感想をありがとうございました。これからも投稿を続けていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

編集・削除(未編集)

晴れの日  三津山破依

一、海の向こうで

拍手と怒号が鳴り響いた。
遠い水平線の彼方で
積乱雲がかすんで見える。
まだ、ぱちぱちとやってる奴は
リボンのついたメダルは貰えまい。

今日の昼には、
冷凍うどんをチンして食べる。
卵を割って、葱をちぎって。

ひらいた掌は拳に変わり、
突き上げる。
雲は突き抜けないけれど。

湯豆腐には絹豆腐が良い。
箸でつまんで崩れて、すくって。

あなたたちは、きのう何を食べたの?
誰かはたぶん、
カップ麺をずるずるとすする。

そこらへんの奴らが、
来週の食事のメニューを決める。
まだ、パチパチとやっているというのに。
あはははは。
海の向こうでは
今日は良い天気だってさ。


二、風に吹かれて

すべてが終わっても、
あなたは祖国へ戻らない。
厚手のコートを
タンスにしまう頃でも、
あなたはあちらで
珈琲豆を挽いている。
向日葵が背丈ほど伸びた。
赤い空は夕焼けのこと。

風が吹いている。
こちらからあちらへと。
明日も晴れるでしょうね。

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感想と評 9/22~24ご投稿分  水無川 渉

お待たせいたしました。9/22~24ご投稿分の感想と評です。コメントで提示している解釈やアドバイスはあくまでも私の個人的意見ですので、作者の意図とは食い違っていることがあるかもしれません。そもそも詩の解釈に「正解」はありませんので、参考程度に受け止めていただけたらと思います。
 なお私は詩を読む時には作品中の一人称(語り手)と作者ご本人とは区別して、たとえ作者の実体験に基づいた詩であっても、あくまでも独立した文学作品として読んでいますので、作品中の語り手については、「私」のように鉤括弧を付けて表記しています。

●石川ぼうずさん「カレーとペダル」
 石川さん、こんにちは。初めての方なので感想を書かせていただきます。
 軽やかな文体とリズムで書かれた作品ですね。揚げたてのカレーパンのおいしさが伝わってくる描写で、思わずこちらもカレーパンが食べたくなってしまいました。食べ物を描く詩としてはまずこれで成功していると思います。オノマトペの多用も、特にユニークなものではありませんが、詩の雰囲気とマッチしています。
 そしてラストの落ちが良いですね。「ペダルが重くなる」という終行の言葉とは裏腹に、読後感は爽やかです。
 シリアスな作品ではありませんが、こういう詩も楽しくて好感が持てます。またのご投稿をお待ちしています。

●八月野 蝉さん「天上の子守唄」
 八月野さん、こんにちは。初めての方なので感想を書かせていただきます。
 「御前さま」は民間伝承に登場する女の妖怪あるいは女神でしょうか。女の姿を取って人間の男と結ばれ、子を産んだ後に本来の姿を現わして天に昇っていったというストーリーが想像できます。この別れは望まざるものだったのでしょうか、イラクサの揺りかごに入れられた幼子のために遠い天から子守唄が聞こえてくるという、もの悲しいイメージで締めくくられています。
 全体的に民話風の内容になっていますが、もしかしたら現代の複雑な人間関係のことを暗示的に描いた詩なのかも知れないとも思いました。凝縮された短い詩行からいろいろなイメージと解釈の広がりを想像することができる、味わい深い小品だと思いました。またのご投稿をお待ちしています。

●Mayさん「白昼夢」
 Mayさん、こんにちは。初めての方なので感想を書かせていただきます。
 この作品の主題は「本物」と「偽物」の対比だと思います。二行目の「偽物の夏」と終行の「本物の夏」が全体を囲い込む構造になっており、その中で昼と夜にまつわるイメージ(太陽と月など)が入り交じって描かれていきます。
 「白昼夢」というタイトルから、おそらく語り手にとっての現在は昼だと思われますが、そこで語り手が夢見ている月にいる「僕」の方が「本当」であるという、「本物」と「偽物」の逆転が見られます。夢想と現実の境が崩れていく幻想的な雰囲気がよく出ていると思いました。パーツとしては、

街灯の下で潰えた黄金虫
探さなくていい
此処にあるから

という部分が印象に残りました。またのご投稿をお待ちしています。

●aristotles200さん「名」
 aristotles200さん、こんにちは。これはaristotles200さんお得意の哲学詩ですね。「世界は存在しない」とか「運命は存在しない」という主張は、哲学の世界ではそれほどユニークな主張ではないと思います。だからそれを詩にしてはいけないということではなく、むしろありふれた素材をいかに独自の視点から提示してみせるかが詩人の腕の見せ所であると思います。
 さて、本作品で重要な役割を果たしているのは「海」の存在であると私は思いました。すべてが存在しないとされる中で唯一存在している海。

何処でもない
暗闇の中で
潮騒が
音をたてている

この部分から、私は旧約聖書の創世記冒頭部分を思い起こしました。

初めに神は天と地を創造された。
地は混沌として、闇が深淵の面にあり、神の霊が水の面を動いていた。
神は言われた。「光あれ。」すると光があった。

神が「○○あれ」と「名づける」ことによって万物が創造されていく、というのが創世記の記述ですが、不思議なことに、その前に「深淵」や「水」があったとされています。本作品の「海」も、そのような世界の存在以前に存在した原初の海をイメージしているのかと思いました。
 そう考えると、この詩ではユダヤ・キリスト教的な創造概念をひっくり返しているのではないかと読めてきます。「名づける」ことによって生み出されたすべてのものは存在しない。あるのはそれ以前の混沌とした「海」だけである、と。
 この「海」があることによって、この詩はありふれた哲学的概念の繰り返しではなくなり、ぐっと内容に深みが増したと思います。評価は佳作とさせていただきます。

●人と庸さん「不在」
 人と庸さん、こんにちは。これは不思議な雰囲気をたたえた詩ですね。舞台となっているのは廃墟となったゴーストタウンですが、評者は読みながら東日本大震災の帰還困難区域を思い起こしました。投稿日が9月であることから、もしかしたら作者の意図もそこにあるのかもしれませんが、はっきりとは分かりません。いずれにしても、長く見捨てられていた場所も新しい家が建ち、復興の兆しが見える。けれどもそこに人は(まだ)住んでいない……。
 この詩の語り手がなぜ家々を訪問しているのか、なぜ町は無人なのか、一切説明されておらず、読者の想像力に委ねられています。それは不気味な光景とも受け取れますが、同時に生い茂る草木や蝉、入道雲といった自然描写の中に、いのちへの希望がそこはかとなく示されているようにも思います。
 いろいろなことを考えさせられる、味わい深い作品でした。評価は佳作とさせていただきます。

●れもんさん「乾いていたい」
 れもんさん、こんにちは。初めての方なので感想を書かせていただきます。
 これは「正しさ」を主題とした作品ですね。「正義」と言ってもいいのかもしれません。人は正しく生きようと願うけれども、現実にはなかなか難しい。これはいつの世にもある葛藤だと思いますが、この詩では「正しさ」を「乾き」と表現しているのがユニークだと思います。そして乾いた「正しさ」の対極にあるのが「べたべた」した状態ということですね。
 語り手の「ぼく」は正しさを求めながらもどうしても身体がべたついてしまう。かといってそれを乾かそうと風を入れると今度はかさついて痛い。正義をめぐるジレンマが肌感覚のメタファーで生理的に感じられるように描かれているところが巧いと思いました。
 タイトルの「乾いていたい」も、乾いた(正しい)状態でいたいという願望と、乾いて「痛い」という状態のダブルミーニングになっているのが面白かったです。またのご投稿をお待ちしています。

●そらねこさん「コトノハ」
 そらねこさん、こんにちは。初めての方なので感想を書かせていただきます。
 これは「ことば」についての詩ですね。人の心を豊かにし、人と人をつなぐためにあるはずのことばが心を満たすことができないばかりか、人を傷つけ血を流させるものとなってしまっている。これは情報はあふれているのにますます人々が生きづらさを感じるようになった現代社会の状況(特にSNS等)を鋭く描いていると思います。
 語り手の「僕」はそのような社会の中で、自らを満たしてくれるような本物のことばを探している。それがタイトルにある「コトノハ」ということなのでしょう。あえて古風な表現をタイトルに持ってきたのは、かつての日本人が持っていたゆたかな言語感覚を取り戻したいという作者の願いの表れかもしれません。
 この作品ではことばについて異なる表記が用いられていますが、1-2連の「言葉」と4連の「コトバ」はどちらも否定的な意味で用いられています。これに対して、下から2行目の「言葉」は肯定的な意味で用いられていると思いますので、「ことば」あるいはタイトルと合わせて「コトノハ」など、異なる表記にした方が良かったかも知れないと思いました。
 現代人をとりまく言語状況に対する作者の切実な危機感が伝わってくるような、胸に迫る作品でした。またのご投稿をお待ちしています。

*

以上、7篇でした。今回は初めての方が多かったです。いつもの常連さんに加え、新しい詩人さんとの出会いが与えられたことを感謝します。

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人知れず、あなた

餡の声を持つ人がいる

その重さ、粒子、甘みよ

ひとの心を、ひとの思想を

淡々、淡々と読む

ただ声のみに宿るあたたかさ

それだけのことで私は満足なのだ

たったそれだけ、それだけで

僕はあなたを知らない、知ることもないだろう

でも忘れることはない

わたしにくれたものを、そのじんわりとした温かみを、立ち上がる力をくれる甘みを

あなたのような人々に幸あらんことを

編集・削除(編集済: 2026年10月07日 12:02)
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