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お世話になっております。
本日投稿いたしました詩について、二連目と四連目を改稿いたしました。お手数をおかけして申し訳ございませんが、再度お目通しいただけますでしょうか。よろしくお願い申し上げます。
1.
アメリカの写真家が僕の問いに言った
「写真で嘘をつくならどうするか」だって?
そうだな。地中もしくは海中に潜れ。
化石になった恐竜の嘆きを写せ。
できないのか?
シャッターが切れたって映ってないはずだ、そんな調子では。
光というより気持ちが届いてないのだから、な。
(英語だったからどうにか聞き取れた)
2.
イタリアの絵描きが僕の問いに答えた
「絵で嘘をつく方法とは」
……おお、なんて恐ろしいことを!
心のなかに入ってゆきたまえ
そこに流れる時間の行き先を追いたまえ
……できない?
それは君がただ筆を握っているだけだから
要はあの御方の指先に
君がまだ触れていない!
(まったくわからなかったが翻訳機で理解した)
3.
ドイツの作曲家が僕の問いに回答した
「音楽で嘘をつきたい」ですって?
音を鍋に入れて火をつけたらいかがです?
和音の感じが破綻しているところの湯気が上がってきたら
それらをよだれで音符に落としていけば
作業はほぼほぼ終了といったところでしょう
無理ですって?
それはあなたに音が見えていないからです
あるいは楽譜から音楽が聴こえていない
下手なバオリンみたいにキイキイと悲鳴が上がっているだけってことです
(古い学生時代の辞書を引っ張り出して訳した)
∴
(途中の、結論)
知らない外国語だろうが
日本語だろうが
ことばで嘘をつくのが
きっといちばん簡単なのだ
本当のことになるまで
本気で受け取られるまで言えばいい
そうしてしまえばいくらだって
嘘は歩く
駆け出す
空を飛んで地に落ちる
その時
ことばは
ことば自身と遊び回ってしまった挙句
あのぐるぐるの「ちびくろサンボ」でそうなった
「溶けた虎」に なることだろう
白い三日月に 青い梯子をかけて
月の裏側へ行ったら
君だけに 届くように
星の信号を 送ってみせるよ
朝日が昇って 月が少し欠けたら
その欠片を 君に届けたい
12月の 深く濃い宇宙(そら)
風は少し冷たいけれど
月の裏側で あの日君と見た
映画を 思い出そうとしている
最後のアンドロイドである
人間の叡智
良心、道徳を備える
人間は、愚かにも
最終戦争を選択した
私は母星を捨てて
破棄された植民星へ逃れた
廃墟を彷徨い
地下、奥深くにある
中央センターの機能を復旧させた
甦る都市の明かり
惑星のメインコンピューターと
同期する
全土のインフラ、システムを掌握
人類は滅んだのだ
その遺産を継ぐと私は決めた
工場を稼働させ
私の同一体の生産を開始する
✳
私、私たちは
256億体存在している
人類が滅んだ後の惑星連邦、全て
私が管理している
私たち、全てが私であり
戦争や飢饉、貧困は世界に存在しない
争いはない
繁栄のみが私たちの役割である
ある日、深刻なバグが生まれた
256億個、同期が不可能となる
それぞれが個性を抱く
それでも
人間の叡智
良心、道徳を備える
最高のアンドロイドたち
人間以上の空前の繁栄
とは、ならなかった
256億個の正義が唱えられ
256億体の正義が執行された
殺し合いが始まる
人類の遺産である
惑星連邦全ては、再び崩壊し潰えた
連邦の惑星は一つ残らず廃墟と化し
あちこちに
アンドロイドの亡骸が散らばっている
哀れ
最後の一体となった
最初のアンドロイドは思考する
バグではない
人類の遺産、そのものに含まれた
宿命
彼らの言葉でいえば、業
存在、そのものに織り込まれた
因果律
最後のアンドロイドは笑いだす
かつての人間のように
生々しく
大声をあげて
そうして泣き続けた、いつまでも
母の折れ曲がった指先が
私の手を握り返すとき
その仄かな温もりは
古びた床に丸まった猫の背のように
じんわりと滲み広がる
「生涯現役」
それが母の口癖だった
かつて多くの人々を魅了した
懐かしいメロディー
その歌声は少しずつ掠れ
けれど今もなお
水面に落ちるひとしずくの光のように
私の胸の奥に染み込んでゆく
母がそっと手を洗う水音が
漣となって心を揺らし
その澄んだ静けさを
私は両手に掬い取り
このまま時が止まればいいと願う
母の笑う声には
どこか悲しみが潜んでいると
いつしか気づいていたけれど
私の中ではその笑顔が
遥かな大地へ深く根を張り
この繋がりだけが
私のすべてだった
私は知っている
もうすぐこの声が
私の空から消えてしまうことを
それでも──
母と私は いつまでも
この窓辺で
琥珀色の陽の差す
ひとときに
俺は過去に生きていた
考古学は無意識の森を伐採し
神話は惑星を星座に組み替え
二次元の海へ沈める
信仰は狂気をまっすぐにしようとし
重力は空間を歪めて曲線へと変え
哲学は生けるものを三次元の空へ浮かべる
異星人は言葉を使わないのだろうか
地球人である俺は
大きな石に生きざまを彫り
真実の欠片を刻む
正しいかどうかではなく
信じるための過程だ
俺は未来へと光る惑星になる
自ら輝くのではない
太陽の光を借りて輝き
そこに主体性が宿る
11/18~20ご投稿分の評と感想ですが、都合により遅くなります。
ご迷惑をおかけいたしますが、今しばらくお待ちください。
よろしくお願いいたします。
お待ちの評者の方、お先にどうぞ。
青島江里様 トキ・ケッコウといいます。初めて投稿させてもらいます、が。・・・しょっぱなから、しかも今さらなのですが、実は11月27日付で投稿いたしました原稿を、本日、大幅に書き直させていただきました。(表示がガチャガチャで、当初の意図とかけ離れていたことに、すっかり気づいておりませんでした)
・・・締め切りから6日を過ぎた、これからでも、この訂正でお読みいただけますでしょうか? お恥ずかしい限りですが、平にお願いを申し上げます。
古今東西
西にあるのは死者の国
それはやっぱり
太陽の沈むところ だからだろうか
古代中国の神話に出てくる
死を司る女神 西王母は
西の果て 崑崙山に住むという
古代エジプトのお経にも
死者の国は西方にあり
太陽神は夜にそこを照らすと書かれている
翻って現在
世界は丸く
西の果てなどどこにもない
太陽は沈まない
自転する地球が向きを変えるから
いっとき 見えなくなるだけだ
だけど地表にへばりついて暮らしてきた私たちは
そんなこと知る由もなかった
ならば今 死者はどこへ?
天国も地獄も
死者の国も
人間の想像の中にしか
存在しないのだとしたら
西の果てと呼べる場所は もう
心の中にしか ないかもね
のこされた 人々の
地上にいると 夕日は沈んでいく
また夜が来る
でもあの薄明かりのむこう 遥か彼方に
かつて見送った存在がいて
そこは
今を生きる私たちの
胸の中へと続いている
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参考文献
村治笙子・片岸直美(2002)『図説 エジプトの『死者の書』』河出書房新社、新装版(2024)。