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編集・削除(編集済: 2026年05月12日 01:28)

◎2026年 4月14日~4月16日ご投稿分、評と感想です  (青島江里)

【2026年 4月14日~4月16日ご投稿分、評と感想です】

☆白い名札  松本福広 さん

コロナ禍の時代を彷彿させる空気感と自身の存在を確かめ、胸に刻もうとする心象風景を、白という色と布に重ねながら一つの世界を完成していこうとされている作品だと感じました。全体的には静かなイメージのする作品ですが、その中にもしっかりとした芯を感じられる作品だと思いました。

コロナ禍→マスク、隔離、消毒とイメージさせることで、白、始まり、リセットの意味が自然と結びつきました。そこからまた奥に踏み込んで、「白」については、時間の流れに応じて潔白、狂騒と、幾層にも意味を変えて変容させています。その変容の成り立つ様子、後になればなるほど、じわじわとしみてくるようなものを感じさせてくれました。

少し気になったところは、時間軸についてです。五連目の「以前と呼ばれた頃、以後と呼ばれた場所/その中間。」の表現は、個人的には、少し迷ってしまったので、迷いにくそうな言葉がみつかればよいなと思いました。それから、その後に続いている「鉄にも似たような圧の声」なのですが、無言なのか、それとも世間なのか、何らかの組織なのか……等々、はっきりではなくてもいいので、主語を表すような言葉を示せば、より伝わりやすさが高まると思いました。

コロナ禍という大きな悲劇を直接語らずに、白というカラーや布、消毒などのモチーフだけを使って静かに表現したところや、その表現の中に、時代の息苦しさを感じながらも、どうにか生きていきたいという心の表現を投入した組み立て方は上手だなぁと思いました、ある時はマスク、またある時は消毒液を含ませた白い布が、最後には一枚の名札になって、この時代に生きていた証になる名札に変わる表現も、強い意志を感じました。まるで白い布が生きているかのような変容の表現でした。そして独創的でとても印象深い表現でした。少し気になる部分があったというものの、これらの詩の構成やモチーフの取り入れ方、言葉のイメージの一体感や、言葉織りなすイメージの変容の方法等が、圧倒的に気になる部分をカバー、覆いつくしてくれているように感じました。今回はふんわりあまめの佳作を。



☆雨を歩く  aristotles200 さん

雨の中を歩くという行為自体が、日頃の沁みついてくる闇雲を洗い流すかのような「浄化」を感じさせてくれる作品だと感じました。

三連目の「雨に散る花びら」は哀愁をイメージさせるものでしたが、続く「薄緑の桜並木」からは「新緑」という新たな芽吹きやその周辺に広がる初夏の光を感じさせてくれ、心象の部分では「ほのかな希望」が浮かび上がってきました。

自然の時の流れを思わせてくれた連から続く「森の匂い」に関しては、吸い込むだけにとどまらず「ゆっくりと元に戻す」とした表現したところがとてもよかったです。たとえば、雨が降って空に戻ることや、二酸化炭素が酸素に変わるなど、自然の循環をイメージさせてくれた印象深い連でした。人間も自然の一部であるということや、雨もやがて晴れに変わるなど、未来に関する光も間接的に感じられました。

少しだけ気になったところは五連目です。「人間の喧騒と穢れ/嫌悪」ですが、この部分をもう少し具体的に表現すると作品の全体像がくっきりとすると感じました。

最終連の「雨と私が/ここにいる」……ここに在るだけという存在の意識がクローズアップされているところがよかったです。このままでもよいのですが、個人的には雨と私の一体感を更に印象付けるという意味で「ビニール傘を下ろす~」の連の「見つめる」を過去形にして(いつの間にか感を出すため)最終連の手前に置くと、雨の音が深まり、雨と私が見つめ合っているというような「雨と私だけ」を更にクローズアップすることができるような気がしました。一例として、少し手を加えたものを置いておきますね。何かのお役に立てればうれしいです。

人間が
人間にする
愚かさと哀しさを
洗い流している

ビニール傘を下ろし
一つ一つの雨粒を
顔に感じながら
空を見つめていた

雨と私が
ここにいる

雨の情景と心象の部分の重ね合わせがとても繊細で、静けさや余韻の感じられる作品でした。今回は佳作半歩手前を。



☆Agneau Pascal ―春を告げる仔羊―  ゆづは さん

目に見えるものや、香ってくるもの、触れるものを一つの空間で一体化。ここは、あたたかな日差しのある静かなキッチンだと、自然と感じることができました。また、二連目では、復活祭という特別な日であることを示しており、今日のテーブルのメニューは、特別な日のものだということを察することができました。一連目の最後では「香ばしい焼き色の/仔羊が目を覚ます」というところが、何かを比喩しているものなのか、それともテーブルにある食べ物かということで読みどまりになりそうですが、詩の終わりの注記があるため、「アニョー・パスカル」という言葉の意味と同時に、すぐに状態を理解することができました。通常の読み手の立場を考えた推敲の丁寧さを感じました。

二箇所にある対比の表現にも注目。①(二連目)復活祭を告げる鐘の音/テーブルに ひそやかに佇み……外界の音と室内の静けさの対比は、空間の高さや奥行きを感じさせてくれて、とても立体的な風景を感じさせてくれました。

②(三連目)ナイフを入れる その痛みさえ/ひとくちごとに/喜びに変わる……ナイフを入れるという痛みを伴うイメージと反する「ひとぐちごとに喜びに変わる」という言葉。凍てつく冬の痛みから解放されるイメージを感じさせてくれると同時に、あまくやさしい春の到来のイメージをふくらませてくれました。

そして終盤では「分厚い毛布を 折りたたみ/窓を明け放てば/こぼれる花の香り」という、日常にある所作を用いて季節の訪れを表現しているところも、自然と景色が浮かんできて心地よかったです。そして、外の世界につながる光や風を感じることができるところも丁寧な気持ちを感じました。

焼き菓子のことと季節の移ろいに焦点をあて、その世界観が最初から最後までブレていないところも好感を抱くことができました。ずっと同じリズムが続いていて、このままでも充分ですが、作中に抽象的な比喩を混ぜ込んで印象付ける余白もありそうですね。とてもなめらかで、おだやかなイメージのつながりを感じられる作品。佳作を。



+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

いつもできること、長くから身近にあるものが、どれだけありがたいものか、心強いものなのかを、
いつも以上に感じるこのごろでした。今日をありがとう。

寒暖差の続くこの頃。どうぞご自愛くださいね。

みなさま、今日も一日お疲れ様です。

編集・削除(未編集)

三浦様 お礼です 上原有栖

三浦様、今回も丁寧な感想と評をありがとうございます。
現実にはなかなか難しいかもしれない、と思う事柄を表現できるのは詩の良いところだと思います。
(雨だれ音が果たして音楽を奏でられるのか……)
こう現実的に考えてしまってはそこで物語はお終いです。
雰囲気と勢いで描き切りました(笑)

雨の擬音問題、悩ましいですね。考えてみます。
『しとぴっちゃん』は子連れ狼が絶対連想されるほど結びついていますね。

学生時代、バンドを組んでアルペジオはたくさん練習しました。あの頃は指の皮がカッチカチだったのに今は随分と柔くなってしまいました。

次回は、私がお世話になっている横浜金沢に関する詩を投稿したいと思っています。どうぞ宜しくお願いいたします!

編集・削除(未編集)

雨音様 御礼 月森うさこ

この度はご感想いただきありがとうございます。
読み手としてのワクワク感や安心して謎解きが楽しめると、おっしゃっていただき書き手としてはとても嬉しいです。

次に繋げられるように、アドバイスも受け止め、改めて寄稿できればと思います。

次回もよろしくお願いします。

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水無川様 お礼です 上原有栖

水無川様、今回も丁寧な感想と評をありがとうございます。
詩中の人々の背景情報がもう少し欲しいという
ご指摘、おっしゃる通りです。
佳作半歩前という評価、精進いたします!
もっと読み手が詩に入り込めるよう、文体の底を固める知識と書き方に努めて意識を向けたいと思います。

怪談や民間伝承といった事例が好きなので、
積極的にこのような作品を書けるように勉強します。
次の投稿もどうぞ宜しくお願いいたします。

編集・削除(未編集)

雨音様  お礼です。  松本福広

ありがとうございます。励みになります。

書いたきっかけはフェンタニルの記事と、自分の親知らずを抜いたことです。
雨音さんもつい最近抜歯されたとのことで。「歯を抜く」っていうのが、聞くだけで怖い。小心者なので、サラッと書いた通りに行けたわけではないです。
前の親知らずを抜いてから、次の親知らずを抜くまで心を決めるまで一年ほどかかっています 苦笑
自分の場合は書いた通りで、麻酔の処置そのもの以外の痛みはなかったのですが……。

フェンタニル。麻酔。元を辿れば大麻……それと人類の歴史に繋がる。
フェンタニルを乱用した人。大麻から麻薬、モルヒネ、フェンタニルに繋がった今日までの歴史。そして、自分。根底にある願いはそんなに変わらなかったのかもしれない。
薬物はダメ。それは当然だけど。それだけじゃ詩にならない。
誰にでも共通の願いがあって
それを解消する方法のアクセスが容易だけれど
その方法は非合法……平穏な日常からの逸脱に繋がる。
フェンタニルは海外で目立つけど、ここまで書いたことを考えると無関係ではいられないし、怖いことだよね。とあの詩を作ることになりました。
人は痛みとの向き合い方で、歴史を、制度を、技術を、医療を発展させて、世界的な繋がりがあると考えれば、詩になるのかな?と試みました。

またよろしくお願いします。

編集・削除(未編集)

評ですね。4月10日〜13日ご投稿分  雨音

「ペインレス」松本福広さん

松本さん、こんにちは。お待たせいたしました。
こちらの作品は、親知らずの抜歯というごく日常的な体験から出発しながら、「痛み」と「幸福」、そしてそれを取り巻く社会や科学の問題へと自然に視野を大きく広げていく構成が強い印象として残りました。淡々とした静かな導入から後半にかけて不穏さが増していく流れはとても秀逸で、読者を知らず知らず深い思考へ導いていきます。
「管理される痛み」と「管理されない痛み」の対比や、「幸福=痛くないこと」というシンプルな定義から科学や薬へと展開していく流れには説得力があります。確かに、痛みを管理するという技術の進歩は「できる限り苦痛を取り除く」という発想からスタートし、それはフィジカルな苦痛にフォーカスされていますが、結果的には痛くないことから生まれる精神的な幸福感というのは確かにあって、読みながら色々深く考えました。後半の「贋作の奇跡」「科学的な処理で生まれた呪い」といった表現からは、理知的な語りの中に静かな不安を滲ませている点が魅力的です。
全体として、個人的な体験から普遍的なテーマへと深く踏み込んでいく、思索性と余韻のある力強い作品だと感じました。佳作です。
あえて一点だけ挙げるなら、冒頭の語りの位置づけをわずかに調整することで、作品全体の広がりがより自然に伝わるかもしれません。もう少しだけ読者が理解しやすいところまで降りてくると、詩本編への導入として入り込みやすくなるように感じました。こちらは好みの範囲なので、ご参考までに。
余談ですが、私も最近抜歯をしました。それでより感情移入して拝見しましたが、松本さんらしい思考の展開がとても印象的でした。

「名探偵とドジな学者」月森うさこさん

月森さん、お待たせいたしました。
とても個性的で、楽しく読み進められる作品ですね。この作品は、「コーヒーが溶けてなくなる」「論文が盗まれる」といったちょっと不条理な出来事から始まり、それをラブラドールが解決していくというファンタジー小説のような軽やかな展開が印象的です。出来事自体はどこか非現実的でありつつも、語り口はあくまで淡々としていて、そのギャップが作品全体に独特のユーモアを生み出しています。
特に素敵なのは、ラブラドールの存在です。「不満そうに探しに行った」「しっぽを振ってお座り」といった描写で、頼もしくも愛らしいキャラクター像が自然に頭に浮かんできます。読者は安心してこの“謎解き”を見守り、その安心感が同時に後半へのワクワク感にもつながっています。
終盤で明かされる「学者が爆睡しており、論文は真っ白、カップは床に落ちていた」という夢オチにより、大げさな事件のように見えていたものが、実は身近な出来事に収束することで、じんわりとしたおかしみの余韻が生まれています。
一つだけアドバイスするとしたら、冒頭の「突然」が繰り返される部分に少し変化をつけることで、リズムにより豊かさが出るかもしれません。こちらは好みの範囲ですのでご参考までに。
なんと言っても頭の中で物語が動きだし、それがなんともユーモラスなことがこの作品の魅力です。そしてきっと月森さんご自身の魅力でもあるのかなと感じました。次回も楽しみにしています。

:::
急用があり、渡英中です。
3月から多忙で桜も気づけば散っていましたが、英国は今ちょうど桜が満開で、こちらで春を感じています。
次回の評は日本からお届けいたします。
季節の変わり目、皆様どうぞご自愛くださいね。

編集・削除(未編集)

三浦志郎様 御礼 月森うさこ

この度は感想をいただき、ありがとうございます。
まだ始めたばかりで解説を付けて良かったのだと学びました。

ヴェセルはフランス語で食器類になります。
理由のわからない中、一つ一つ丁寧に読み解いていただきありがとうございます。

この度はありがとうございました。

編集・削除(未編集)

三浦志郎様  御礼  三津山破依

ご丁寧なご感想をいただき、ありがとうございます。

作風や書き分けについて、バリエーションをもっと増やしたいとは考えているのですが、なかなか難しいところです。
この度はありがとうございました。

編集・削除(未編集)

水無川 渉様  御礼  三津山破依

ご丁寧なご感想をいただき、誠にありがとうございます。

自分なりに、心情をなるべく直接説明しないよう心がけて書いておりますので、その部分に触れていただけたことをありがたく思います。
読み手の中で静かに広がっていくものがあれば本望です。

この度はありがとうございました。

編集・削除(編集済: 2026年04月25日 07:49)

感想と評 4/17~4/20 ご投稿分 三浦志郎

1 月森うさこさん 「ヴェセル」 4/17

英語表記は「VESSEL」でいいでしょうか。もし、そうならば、「文脈に応じて、船・血管・容器を意味する」とあります。文脈に応じて液体や物を入れる器の解釈を取りましょう。
しかし、この詩の詳細な解釈は、正直さっぱりわかりません。しかし、詩とは時にそういうものであります。感覚的に感じた事柄のみ書きましょう。タイトル通り器が準主役的な役割を果たし、内容を入れる容器のようです。登場人物は「母→私(長女?)→弟達(2名以上?)。主役は私と母。
この二人は姉妹のように仲が良いのだと思う。舞台は容器や食べ物を交えての食卓場面。
各人の表情・仕草・行動、あるいはちょっとした場面がよくわからない、といった感じですね。
わけわからないうちに引き込まれていくようなユーモアは感じますね。そんな中にあって、終連です。ここが案外、爽やかな感謝とホンネといった気がします。評価の初めは恒例の佳作二歩前からで願います。


2 三津山破依さん 「星が近づいてくる」 4/17 初めてのかたなので、今回は感想のみになります。

すでに、結構書かれているかたです。諸作概観させて頂きました。さり気ない文体の中に抒情や深さを忍ばせたもの、やや詩的荒唐無稽に振ったもの。そんな書き分け方を感じました。本作はどちらかと言えば、後者的ですが、案外、実生活に即した想像かもしれない。たとえば、二階の自室。
ベッドに寝そべって窓辺の夜空を眺めていた。そこでふと浮かぶ想像、幻想。ちょっとオチャメなユーモアもありそう。「ペペロンチーノとにんにく」が笑えます。こんな要素が、この詩の妙味でしょう。又書いてみてください。


3 上原有栖さん 「雨日のアルペジオ」 4/17

雨の日、雨音の妙味です。鉄琴を介して、マイナーのコード進行、アルペジオ。まあ、詩の世界の事とは言え、凄い自然の力が描かれていますね。これ、聴いてる人も絶対音階の持主でしょうね。
この詩の良い点は音が聴こえてくるのもさることながら、「屋根の端から雨垂れる」「錆びた鉄琴を鳴らす」など、風景も充分想像可能な点です。これらによって、音が出ているのですが、その音がかえって静かな気配を感じさせてくれたりしています。ところで、この詩には絶対、擬音は必要なのですが、冒頭と中間に出て来る擬音が僕にはどうしても「子連れ狼」のテーマソング(歌・橋幸夫)
のイメージになってしまいます。まあ、殆ど趣味の領域なので、問題ないのですが。これはこれで完成形。甘め佳作を。ただし、雨の音の擬音って、結構難しくて、考えてみたけど、いいのが浮かびませんでした。もしも気になるようでしたら、暇な時に考えてみてください。
アフターアワーズ。
解説もありがとうございます。僕はリズム以外、メロディーもハーモニーも全く無知ですが、調べたところ「マイナーキーのスリーコードの基本はAmとDmとE7」とありました。メジャーかマイナーかは、素人でも、不思議とわかるものですね。アルペジオはクラシックギターが一番しっくりくるようなイメージですね。



評のおわりに。

「切通しにて」

歩いている

山道
切通し
あまりの急坂に
亀も引き返した
そんな言い伝えを
思っている

今は
つつじの盛りを見ている

来るべきもの

紫陽花が静かに
”支度している“ことを
想っている


では、また。

編集・削除(編集済: 2026年04月24日 16:18)
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