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2/24〜2 /26にご投稿いただいた作品の感想・評でございます。
素敵な詩をありがとうございました。
一所懸命、拝読させていただきました。
しかしながら、作者の意図を読み取れていない部分も多々あるかと存じます。
的外れな感想を述べてしまっているかも知れませんが、詩の味わい方の一つとして、お考えいただけたら幸いです。
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☆「鉛筆」 トキ・ケッコウさま
トキ・ケッコウさま、こんにちは。
御投稿ありがとうございます。
〈鉛筆は/何かを残す〉
哲学的な問いを含み、詩は始まります。
鉛筆が、文字や言葉を残していくことを示唆しているのでしょうか……。
〈その圧力を〉とは、筆圧や鉛筆が記していく文字の責任でしょうか。
「誰かのせい」にしようとします。
後ろからは「おい!」と急かされ、隣からは「早く!」と煽られるようです。
つまり、鉛筆(書く者)は自分の意思で動いているのではなく、周囲の圧力によって「書かされている」という受動的な苦悩が浮かび上がります。
〈鉛筆は/削られるしかない〉
使われれば使われるほど身を削り、短くなっていく鉛筆の宿命が語られます。
さらに〈神にだって無重力で/こすられ続けているからだ〉という表現からは、宇宙の摂理として、抗えない力で摩耗させられている、鉛筆の逃れようのない摩耗のリアリティが伝わってきます。
鉛筆は迷いながらその役割を担い、削られ、圧力を誰かのせいにしながら、必死に何かを残そうとプロセスを歩むわけですね。
そこに
〈判決が下った〉
鮮烈な転換です。
〈被告//無期懲役に処す〉
一人の人間の人生を決定づけるような冷酷な言葉です。
しかし、その決定的な一言を記したのは、身を削る鉛筆ではなく、消すことのできないインクを持つ「ボールペン」……。
周囲に急かされながら考える鉛筆が身を削り続けるように、人間の葛藤にも際限がありません。
そして、その苦悩に残酷な結果を認識させたのは、感情を持たず、ただ事務的にインクを出す「ボールペン」だったわけです。
最後、〈それを記した/ボールペンが//転がった〉という描写には、あまりにも重い言葉を記した後の、冷ややかな「虚無感」や無機質な「他人事感」が漂っているように感じました。
哲学的で、読み手に「お前は書く側か、書かれる側か、あるいはただ転がるボールペンか」と問いかけられているように感じられました。
身近な筆記具を借りて、人間社会の不条理を風刺した見事な作品だと思います。
御作、佳作とさせていただきます。
ありがとうございました。
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☆「大気圏」 荒木章太郎さま
荒木章太郎さま、こんにちは。
御投稿ありがとうございます。
冒頭の〈僕らは暗い宇宙へ放り出されたまま/互いに異なる世界を彷徨っていた〉という一節に、まず、深く引き込まれました。
ここには、たとえ誰かと共にいても決して埋まることのない根源的な孤独が描かれています。
同じ宇宙にいながら、交わらない世界を彷徨っている……「個」としての隔たりが、物語の背景として重く横たわっていることを予感させます。
2連……若い頃は、自分の意志で世界を回し、どこへでも行けるという「遠心力」の中にいたことが綴られます。
3、4連……歳月を経て状況は一変します。
〈向き合わねばならない〉〈行かねばならない〉〈やらねばならない〉という反復は、自分の自由意志が通用しない、〈傷つき 傷つけた歴史と〉逃れられない力に縛り付けられる現状を痛切に物語っています。
5連……〈細胞は あの頃の/傷ついた記憶のまま〉と時間が解決してくれない肉体的な痛みが語られます。
頭では理解していても、細胞レベルで刻まれた〈凍りついて〉〈震えている〉記憶が、今もなお二人を縛り続けていることが窺え、過去の傷の深さを思い知らされます。
6、7連…かつて〈君を置き去りにした〉という消えない罪悪感。しかし、その〈罪の連鎖〉こそが、今や二人を繋ぎ止める唯一の〈命網〉になっているという描写に、離れることもできない二人の重苦しくも切実な結びつきを感じます。
物語が核心に触れるのは、「大気圏」への突入シーンです。
なぜ「君」は〈燃え尽きようとしている〉のか。
それは、後半にある〈君は消そうとし〉という言葉が示すように、過去の痛みや消し去ってしまいたいという、切実な思いが原因であったように推測されます。
対して「僕」は、かつて置き去りにしてしまった君を、今度は〈抱きしめ〉、祈りながら共に進もうとします。
〈「大丈夫だよ」〉と繰り返される言葉は、かつて言えなかった後悔の裏返しであり、君の悲しみに寄り添おうとする精一杯の姿のように感じられます。
終盤に入ります。
〈ああ 通過点が燃えている〉
ここは、消そうとする君と、抱きしめて守ろうとする僕……二人の強い思いがぶつかり合っている現在地を指しているのでしょう。
その結果として訪れるのが、
〈君は軽くなり/僕は深くなった〉
という対比です。
消えていこうとする君の「軽さ」と、その悲しみの深さを知り、すべてを受け止めて沈んでいく僕の「深さ」。
二人が辿り着いた、あまりに異なる魂のありようが鮮やかに描かれています。
〈ここで分かれるのだろう〉
あえて一行だけ離して置かれたこの言葉に、胸を突かれます。
どれほど抱きしめ合っても、最終的にはそれぞれ別の運命を辿らざるを得ないのです。
〈それでも/僕は間に合ったのだろうか〉
最後の自問。
その答えは書かれていませんが、震えながら〈祈ることしかできない〉自分の弱さを認め、最後まで君を離さなかった僕の姿は、読者の心に静かな余韻を残します。
後悔という重い感情を、宇宙から大気圏へ戻る壮大な景色に重ねて描き切った、誠実で力強い一作だと感じました。
御作、佳作とさせていただきます。
ありがとうございました。
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☆「昼下がり 公園のベンチ 君と二人」 喜太郎さま
喜太郎さま、こんにちは。
御投稿ありがとうございます。
青い空と白い雲、そして公園のベンチ。
冒頭の穏やかな景色から一転、物語は「愛する人を失うこと」という、重く切実な問いへと向かっていきます。
ベンチに座る老夫婦を見つめる「僕」と「君」。
〈『あんな風になれたらいいね』〉という微笑ましい未来を想像した直後、君から投げかけられた言葉は〈『どちらかが先に亡くなったら/残された方はどうするんだろう?』〉という、あまりに現実的で鋭い問いでした。
共に歩み続けることの先に、待ち受ける「相手を失う恐怖」をこの一言が鮮烈に突きつけてきます。
答えに窮し、〈『あの二人にしかわからないよね』〉とはぐらかすように立ち上がる君。
(〈背伸びをする〉とありますが、この場合は「伸びをする」の方が適切かと存じます)
そして、冗談めかしながら発せられた〈『先に死なないでね』〉という言葉……。
〈目は真剣に僕に刺した〉という描写には、君の心の奥にある切実な願いと孤独への恐れ、受け止める僕の気持ちが凝縮されています。
〈簡素で味気ない思い〉しか抱けない自分に自己嫌悪する僕。
「君を亡くしたら生きていけるのか」を己に問う僕の思いとして、〈簡素で味気ない〉というのは少し違う気もします。
ご一考いただきたいところです。
相手を失うことの想像を絶する重さをもう少し補っていただいてもよいかと感じました。
最後の一行、
〈それでも死ぬまで一緒にいたいんだ〉
理屈や答えなど出せなくても、ただシンプルに「共にいたい」と願う。
迷いや自己嫌悪を経たからこそ、この結びの言葉が飾りのない、純粋な誓いとしてまっすぐに響きます。
並んで腰掛ける二人の、互いを思うからこそ生まれる不安と、それを超える深い愛情が伝わってくる、心温まる一作でした。
御作、佳作とさせていただきます。
ありがとうございました。
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☆「ぽちゃり」 人と庸さま
人と庸さま、こんにちは。
御投稿ありがとうございます。
「ぽちゃり」という可愛らしい音から詩は始まります。
頭上から落ちてくる水滴。
雨か、あるいは日常の些細な雫かと思いきや、〈これに当たったらたいへんだ〉という一文。
読者は驚かされます。
回るタービンや吹き出す蒸気は、私たちの生活を支える何かなのでしょう。
しかし、
見上げる天井には、水滴ではなく、〈エネルギーの残骸がいちめんに生っていて/熟れたものからひとつふたつと落ちてくる〉
どこか放射性物質や放射性廃棄物を連想させる不気味な光景が一気に広がります。
絶え間なく動き、一歩間違えれば制御不能になる巨大なシステム……。
私たちの日常の裏側に潜む「正体の知れない不穏さ」は雫となり、読者の胸にも落ちていくようです。
中盤、物語は突如として「重箱」の中身……家族の歴史や古い慣習の描写へと移ります。
母や祖母たちが守ってきた〈脅迫めいた美徳〉や、代々受け継がれてきた〈慣れ親しんだ味〉。
それは愛情であると同時に、自分を縛り付ける「重荷」でもあったようです。
そして、この「逃れられない継承」の形は、天井から落ちてくる水滴を避けられない姿と重なり、深い徒労感を感じさせます。
〈十二時を過ぎている〉
新しい年を迎えるのでしょうか。
祝いの言葉が飛び交う中でも、タービンは止まらず、新しいものはすぐさま古くなっていく。
〈あつい蒸気がつめたくなるように〉、時を経て、冷たく危険な残骸へと変質していく文明の皮肉が描かれているように感じます。
終盤、〈次の器が / 口を開けて待っている―〉という一節には、強い戦慄を覚えます。
ここでの「器」とは、新しい時代や次の世代という枠組みを指すのでしょうか。
古いシステムや原発が負の遺産(冷えた水滴)を垂れ流し続けても、社会はまた新たな「器」を用意し、同じ構造を維持しようとする。
その終わりのない供給の連鎖に、私たち自身もまた、古い習慣や美徳という名目で加担し続けている。
だからこそ、最後の〈ぽっ……つめたっ!!〉という叫びは、避けていたはずの「残骸」が、ついに自らの身に降りかかってきたという、引き返せない現実の露呈として響きます。
大きな社会構造や家族の歴史という重い連鎖のなかにいて、逃げ切ることも防ぐこともできず、その結末を身をもって受けるしかない。
「今、この瞬間の冷たさ」に驚き、生きていくしかないという、滑稽なほどの無力さ、切実な人間の姿を映し出しているようです。
同じオノマトペを巧みに重ね、多角的視点で社会を風刺した素晴らしい作品でした。
御作、佳作とさせていただきます。
ありがとうございました。
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☆「春雨」 小林大鬼さま
小林大鬼さま、こんにちは。
御投稿ありがとうございます。
現代の都市近郊(筑波)を舞台に、春雨の降る朝、バスに乗る一連の情景を通じて、作者が感じたことが丁寧に紡がれています。
タイトル「春雨」からは柔らかく優しいイメージが想像されますが、「泥だらけ」「白く濁らせ」「疲れたように」と対極的な言葉のイメージが重ねられることにより、現代の喪失感が際立たって表現されているようにも感じます。
構成は、歩行→バス乗車→車窓の風景という時間の流れに沿って進み、自然(雨・雉・かつての湿原)と人工(車・バス・整地された荒地)の対比が軸として浮かびあがってきます。
かつての野鳥の楽園が「整地」という人為的な行為によって泥だらけの荒地へと変貌してしまった現実、個人の内面的な涙や街を覆う春雨の白濁した空気……よく描かれています。
疲弊して走り続けるバスの姿は、荒れ地に住む人々の暮らしを、そのまま閉じ込めたかのようにも感じられます。
春雨に浮かび上がる屈折した思いや描写が見事で、趣深い作品ですが、3連で登場する雉がやや唐突な感じを受けました。
4連に〈前は野鳥の楽園だった〉〈鳥の声すら聞こえない〉とありますので、雉は環境破壊の大切なモチーフになっているのだと思います。
恐らく、実際にご覧になった光景なのだと思います。
雉を活かし、もう少し掘り下げて書いていただいてもよいかもしれません。
或いは、全てをバスの中からの描写とし、凝縮してみるのも一つの手法としてあり得るかとも考えました。
少し手をくわえると、さらにぐっとよくなるかと存じます。
その期待もこめて、御作、佳作とさせていただきます。
ありがとうございました。
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☆「春を忍ばせて」 ゆづはさま
ゆづはさま、こんにちは。
御投稿ありがとうございます。
優しさにあふれた詩ですね。
私事ですが、学生時代、開店前のスーパーのパンの品出しアルバイトをしていたことがあります。
懐かしさと共に、恐らくはお母さまであるゆずはさんが、このような何ということのない地味な風景の中に、御子息の働きを思い、詩に紡いでくださったことに感動を覚えました。
お幸せな御子息ですね。
私の母も、遠い故郷で娘の私のことをこんな風に思ってくれたこともあったのかしら……と胸があつくなりました。
詩とは、いいものですね。
ゆずはさんの御子息を想う詩は私の懐かしい思い出、母への想いにも繋がりました。
ありがとうございました。
「午前五時」という、世界がまだ眠りについている静寂の中から詩は始まります。
〈薄暗い廊下の床が/まだ寝息をたてている〉という擬人化された表現が、早朝のひっそりとした家の中の空気感を優しく伝えてくれます。
〈ガレージのシャッターが上がり〉、エンジン音が遠ざかっていく。
何気ない出発の描写ですが、そこから作者の意識は、町の小さなスーパーで働く我が子(あるいは大切な誰か)の姿へと飛躍します。
〈あかぎれでかじかんだ手が/陳列棚にパンを並べる姿を〉
直接その場で見ているのではなく「瞼の裏に思い描く」という点に、子の苦労を我がことのように案じる深い慈しみを感じました。
かつては〈私の指を握り返した〉〈小さく柔らかな手のひら〉だった子が、今は誰かの朝を支えるために、「逞しく傷だらけに」なって働いている。
その成長の逞しさと、親心の切なさが、パンを並べるビニールの音の中に、「朝の鼓動」と共に静かに響いているようです。
誰かがそのパンを手に取ることで、町に「穏やかな朝」が灯っていくという視点も素敵です。
一人の労働が誰かの幸せに繋がっているという肯定感は、まさしく「春の温もり」のようです。
最後の連……〈エプロンのポケットに忍ばせた/花の香りのハンドクリーム〉。
これがタイトルの「春を忍ばせて」の正体であり、言葉にできない「お疲れ様」という労いの形なのですね。
〈かつて/私の指を握り返した/あの小さく柔らかな手のひら〉、今は逞しいけれど、傷だらけであかぎれのある我が子の手を癒やすための……「花の香りのハンドクリーム」。
愛情を忍ばせて見守る、母の愛ですね。
家族を思う心……温かな体温が伝わってくる、非常に完成度の高い作品だと感じました。
御作、佳作とさせていただきます。
ありがとうございました。
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以上、6作品をご投稿いただき、誠にありがとうございました。
それぞれに、心を打つ素晴らしい作品でした。
拙い読みの中で、十分に汲み取れていない部分も多かったかと存じます。
もし読み違いなどございましたら、お知らせいただけましたら幸いです。
すっかり春めいてまいりました。
皆様、素敵な春をお過ごしください。
拙作「電子化の帰り道」を丁寧にお読みくださり、温かい評をいただきありがとうございました。
構成は私自身にとっても難しい課題でしたので、電子化という現代的な行為を通して、肉体・記憶・信仰・思想へと続く流れを受け取っていただけたことに、胸を撫で下ろす思いでした。「神様がいた頃のほうが汚れていた」という一文や、涙で結ぶ終わりについても、AIが隅々まで行き渡る世界のなかで、見えない何かが静かに忍び寄ってくるような感覚を汲み取っていただけたことを、とても嬉しく思いました。
また、ご提案いただいたように「祈り」と「捧げる」という位置づけを整理することで、物質的なものや自己中心性を捧げる行為が、最後の「人の想いが胸に宿る」という言葉をより鮮明に浮かび上がらせるのだと気づかされました。
貴重なご指摘をありがとうございました。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
拙作「芯の重さ」を誠実にお読みくださり、ありがとうございました。
本作は、2月10日に投稿しました「9ポンドハンマー」から生まれた問いに応える形で書いたものです。作品の核である「言葉の本質を見極める」という点を読み取っていただき、とても嬉しく感じております。ネット社会におけるコミュニケーションや言葉のやり取り、その葛藤の部分が伝わっていたことにも安堵いたしました。
現在、自分の中では作品を構成していくことの難しさに直面しております。ご指摘いただいた箇所については、小手先の言葉選びに逃げるのではなく、「芯の重さ」という主題のもと、それぞれの階層をつなぐ言葉を改めて探していく課題として受け止めています。
引き続きご指導、ご助言をいただきますようお願いいたします。
坂道の顔をした少女たちを
俺は見分けられない
日頃から
横道に逸れた顔と
つるんでいるからだ
一つの顔だけでは
信用されない時代
人は
道で
区分けされる
みんな
自分の顔ばかり見ている
似た顔が
似た顔を呼び
外に開かれず
下ばかり見ている
親和性の高い
神話ばかり
集まる
神の座に就こうとする
権力者は
「すべての道は
己に通ずる」と
耳障りのよい道へ
誘う
風を煽り
不安を彩る
広告塔
無数のビラが
あの手この手と
降ってきて
進むべき道が
見当たらない
俺は
気がつけば
王道を選んでいた
整備された道がいい
公道は安全だ
標識は間違えない
自動的に進むことに
慣れてしまった
でこぼこ道
けもの道
急な坂道
道なき道
草をかき分け
果敢に攻めた
鏡に映る
脇道の顔
かつての仲間に
連絡を取ろう
グループを作ろう
横道坂48
風 どういう色?
風の色 は 透明色
風景の色 が 風の色
風 染めます 彩ります
湖畔に立ち
あなたと待ち合わせ
さざ波を見て
あなたを迎えます
わたしを暖かく染めてください
(わたしのからだで
あなたを暖かく染めましょう)
風 そう答えてくれたのです
舟の隙間から愛がこぼれて
ぽつぽつと落ちていく
僕の舟が雲ならば
朝、君を美しく照らすだろう
夕陽に君の寂しさを背負って
その声に耳を澄ますだろう
輝く星が全て涙なら
僕は喜びも悲しみも全て受け入れるだろう
僕の愛が君の隙間ならいいのに
そして太陽のように優雅な舟であればいいのに
僕は君だけをつれて旅にでるだろう
一生かかっても捉えきれない
君の無数の星座を捕まえに
あの星の光りはさあ
もしかしたら何万年も前の光りかもしれないんだよ
手を繋ぎ歩く帰り道
あなたが自慢げに語る
そのぐらいの事は知ってるよ
言いかけてやめた
せっかくのあなたの自尊心
受け止めてあげましょう
だとするとさぁ 僕たちの地球の輝きも
他の星の住人から見たら
何万年も前の光りになるんだよな
その時には当たり前だけど
君も僕も生きてはいないし
地球だって残っているか分からない
あなたは歩くのをやめて
握る手の力が増した
どうしたの?
悲しくなった
今の二人の今日が
とても幸せで 楽しかった一日が
すごくすごく……
光の速さの様に感じた
この先も今日の様に
あっという間に楽しさは過ぎてしまうのかなって
そう思ったら悲しくなった
でも この今の星の輝きと一緒に
僕の幸せな気持ちが
どこかの星の空の上で光ったのなら
同じ様に感じてくれる
誰かがいたら 嬉しいかな
あなたは相変わらずのロマンチストですね
あなたは詩が好きだ
よく詩を書いて詠んでくれる
恋愛詩が多くてロマンチスト
可愛い
遠回りして帰らない?
あなたからの提案
きっと今日をまだ終わらせたくないのだろう
私も繋いだ手を強く握り
大きく頷いた
良いよ 付き合うよ
こんな綺麗な星空の下
二人で歩ける今日を楽しも
なんてカップルが話してるかもしれないよ
彼が夜空を見上げながら話してる
想像力旺盛な彼が好きだ
それは想像を超えた突拍子もない世界観に
私を連れ込んでくれるから
そして今夜も二人は
彼の想像の星空の中を漂いながら
ささやかながらも この星の光りとなるのかな
わたしが好きになったのは
太陽みたいな人だった
あなたと話すと
雨模様の荒んだ気持ちが
さっと晴れ渡っていく
「僕は雨男なのだけど」
笑いながら軽口をたたく
少し掠れた声が
耳に残って心地よい
「僕は雨の日が好きなのだけど」
しとしと降る雨の日が
読書をするのに
丁度いいのだという
あなたはわたしの知らないことを
たくさん知ってる
ある晴れた日に
わたしは想いを告げた
恥ずかしくて
心臓が飛び出しそうだった
うわずって途切れ途切れの告白を
あなたは
ちゃんと最後まで聞いてくれた
「あのひこうき雲が長く残ったら
わたしとお付き合いしてください」
苦し紛れに伝えた精一杯の言ノ葉
あなたは
やさしく微笑んで
肩に提げた鞄から
折りたたみ傘を取り出した
「じゃあ 帰りは相合傘で帰ろうよ」
******
(解説)
観天望気としての定説から。
飛行機雲が長く残る=上空の湿度が高く、低気圧や前線が接近中
→ 雨が近づいている・天気が崩れるサイン。
昔からの言い伝え「飛行機雲が長く残ると雨」「広がると天気が崩れる」として。
今回もていねいな感想と評をいただきまして、誠にありがとうございます。
とても励みになります。
素敵と言ってもらえてとても嬉しいです。
今回も何度も推敲を重ねました。
流れは淀みないか?
少女の動きに違和感は無いか?
と、頭の中で詩のシーンを思い浮かべながら書き上げていきました。
「首から上がないから~」の箇所はこの詩の核で、ここを決めてから
全体を肉付けをしていったのが思い出深いです。
次回もイメージを膨らませて、作品を書き上げて
いきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
身の丈5mのロボットが
後ろにいる
つい、この前気がついた
家の前
会社の前で隠れている
動きは、かなり素早い
いつも後ろにいて
振り向いても、姿は見えない
何気なく
スマホで後ろを見ると
鉄の、赤錆たロボットがいる
胸には大きく909
どこか、記憶に残る数字
足音も立てない
ただ、見守っているだけ
人のいない森を歩いていると
すぐ、後ろで
落ち葉を踏みしめる音がする
よく見れば愛嬌のある
拙い、60年代風のロボット
いつから居るのか
いつまで居るのか
小さなころ
クレヨンで描いた気もする
マンションの部屋番号も
✳
よく転ける
いつも、かさぶただらけの男の子
方向音痴で
いつも、迷ってばかり
心配ばかりするお母さん
その絵に向かって
おまじないを唱えました
「ちちんぷいぷい
この子を守ってくれますように」
ちちんぷいぷい
ある日
ロボットが消えた
何の兆候もなく
ただ
息子が生まれた、その朝に