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編集・削除(編集済: 2025年01月02日 01:55)

評、10/10~10/13、ご投稿分、その2。  島 秀生

MLBポストシーズンを見ていて学んだことがあります。

・レッズとレッドソックスは別のチーム
・ブリュワーズとブルージェイズも別のチーム
・ブルーソックスというチームはない
・靴下をはいていない男はいる
・Los Angeles にも天使はいる

(どこまでがマジメなのやら……)

連ドラ『ばけばけ』のヘブン(小泉八雲)役の、トミー・バストウさんが言うには、
撮影が終わったあとに、スタッフ含めみんなが「お疲れ様」と言い合う、この「お疲れ様」に当たる言葉が英語にはないと言う。

英語で近いのは「good job」だけど、「good job」はちょっと上から目線になるんだそうな。皆が対等に、互いの仕事をたたえ合う、「お疲れ様」という言葉は、英語にはないと言う。
日常使うなにげない日本語を、誇らしく思えたエピソードでした。


●トキ・ケッコウさん「訪問」  

トキ・ケッコウさんは、結構書ける人だなと、実は横目で見てたんですけど、この作品を見ると、やっぱり本物だなとわかりますね。

過度に多忙を極める時や、悩みが一度に複数襲ってくる時などに、心に鬱が入ってくる人は少なくありません。大事なことは、自分に鬱が入ってきてる時に、あ、いまオレ鬱が入ってきてるなと、自分で気づけることなんです。そういう、自分を客観視できる眼が自分にブレーキを踏めるのですけど。
この詩はいわばその自分への客観視の延長で、鬱に行く自分を、自分の分身として描いてみせています。本質のところで鬱に向かって行きがちな自分を、もう一人のちょっと冷静な自分が、なだめすかそうとしている構図で描かれている感です。
ただ、妙に明るすぎるふるまいをする自分も、本当の自分でないと思うところもあり、両者のバランスを取るのが難しいですよね。
この物語は、物語風でありながら、表裏一体の裏側で、自分との対話をずっと続けているかのようです。
深いし、且つおもしろいですよね。文体も1行1行丁寧に追えていて、いいと思います。
この作は、トキ・ケッコウさんの現時点におけるベストパフォーマンスじゃないですか。
名作あげましょう。


●相野零次さん「ロスト」  

最初は寂寥感として登場する「ロスト」ですが、
ロストがしだいに膨張していくのに従い、恐怖と焦燥に変わっていくかのような加速感が詩にあります。そこがこの詩のいいところですね。
世界からすべてがロストしそうな中、ぎりぎり間に合った主人公は、神の啓示を受け、自分のやるべきことに気づきます。
ロスト前の世界の記憶を書き残すこと。それはこの物語上のことにも見えるし、今現実の作者の使命感でもあるような気がします。

相変わらずの荒削りさはあるんだけどね、いい詩でした。一歩前に進んだ。
(一歩前に進んだので、ちょっとハードル上げて)おまけの名作あげましょう。

ちょっと一点。後ろから2行目。
「成る丈」(なるたけ)に由来する「なるだけ」という言い方も×ではなく、あるのはあるんですけどね。ここは「自分のできうる限りの克明さで記録した。」くらいの言い方の方が標準語的でいいと思います。


●上原有栖さん「やどかり」  

私、この詩、4連がとても好きですね。たしかに波には自分の影がちゃんと映らない。そう言われてみればそうだという発見と、そのことに関わる心の描写がとてもいい。
また、2連の1~2行目の言い方も、すごくオシャレでステキでした。

ラスト3連も、この詩の主人公が少年だという設定に立てば、足をケガしても、ひとりぼっちで海から帰ろうとしない様が、少年の寂しさや孤独感の情景を、よく表現できていていいと思う。
ただ、5連以降に来るまで、少年と思わなかった、というか、「少年」と設定しなくても読めてしまうので、後半になって極端に少年化したな、の感はあります。

うむ、でも情景を丁寧に書いてくれてるのは好感。名作あげましょう。

あと、もうちょっとだけ気になる点をいうと、
2連の3行目「潮に流れて押し流されて」は強いていえば、「潮に流れて押し戻されて」かな、と思うけれど、
この詩、初連で場の状況を、すでにしっかり書いてくれているので、2連3行目自体が繰り返しに過ぎない。リズム的に入れたいのかな?と思うだけで、ホントはない方がすっきりします。流れを見てもらうのに、初連から行きます。

潮が引いて現れた
凸凹の窪みに波音が打ち震えて
塩辛いプールに取り残されている
小さな生き物の気配
そっと陰に隠れたのは やどかり

母なる海は遠く沖の向こうまで
ポセイドンに呼ばれて行ってしまったよ
だから暫くここに居ようよ
そう言って
ぼくは足を君たちの住む世界に浸した

初連でもう場を完全に言っちゃってるので、2連は次の展開に行って、いいと思うのです。私は2連3行目は、いらない案です。
それと「短い足」は、自身を謙遜しての言葉、あるいは少年を意識しての言葉だと思うけど、自虐ジョークはいらない場面だと思うことと、ここ、他の生物も出てくるので、「短い足」がまた別の生物がいるかに想起させるので、その言い方は、ここではやめた方がいいです。

あと、3連1行目なんですが、
ここ、主語の切り替わりがあるので、新たな主語を置いているという意味で、「岩礁の奇岩城」は単独で置いてほうが私はいいと思います。
それにしてもこの奇岩城、(城というかぎりは聳えてるはずだけど)、怪物が住んでた跡ということなのか、上陸の際に削れた足跡があるということなのか、どこが何に見えるという話なのか、もう少し書いた方がいいかもしれないですね。2行目だけではどこを何に見立ててるのか、ちょっと想像しにくいですね。(ポセイドンを出したから、もう一つと、クラーケンも出したのでしょうけど)


●荒木章太郎さん「自由だ」  

1~3連の「自由」のところは、デニムのジャケットとかを想像すると、ちょうど嵌まりそうですね。「カジュアル」という言葉の中にも似た意味がありますけど、作者の「衣」のジャンルにおける自由マインドの象徴である一着であったようです。一方、リモートの彼女は、デニムをフォーマルに着こなしていたようです。4連の( )内の彼女のセリフにも一理ありますね。とりわけ女子高とかは制服の細かいとこまでうるさいところが多いので、卒業後の私服の解放感には、「自由」を体感するものがあったのでしょう。

2連のメルカリの「誰が仕入れたのかも/知らない自由だ」も、なるほどこれも「自由」のうちなのかと、この「自由」の捉え方も、ちょっとおもしろかったです。

5連の論を経て6連(終連)では、現代社会の方針としての「自由」、あるいは社会人として生きるに規定されるところの「自由」を、先程の衣の自由の話に絡めて、

世界中の国々で着古された自由を
俺はどのように身につければ良いのか

と表現されたところも、おもしろかったです。

一点いうと終行は、

俺はどのように身につければ良いのか
夕暮れに沈み込む灰色の壁を
ただ途方に暮れて見つめていた

これでもいいように思います。

また、「新自由主義は」という言い方をしてしまうと、政治・経済の施策におけるネオリベラリズムの意に抵触してくるので、つまり定義的なものと同じ言い方になってしまうので、「先進の自由主義」「最新の自由主義」などの言い方に逃げたほうがいいと思います。

うむ、まあ悪くない。秀作プラスを。

編集・削除(編集済: 2025年10月25日 18:24)

評、10/10~10/13、ご投稿分、その1。  島 秀生

●じじいじじいさん「信じる」  

うーーん、名前の「未来」のところは、おっ!と思ったんですがね、詩の後半、なんでその「未来」で、もっと押していかないかなあー
名前の未来と子供の未来をもっともっとタイアップさせて、話を続けて行かないかなあー
いつも良いこと、良いところを書いてくれていて、スタートはいいのだけど、話の突っ込み、深さのところで足りないので、結果、どうも平凡なところで終わってしまいがちになります。さわりのところは書くんだけど、その人の心情への入り込みが足りない。

今回も、子供の誕生のシーンを描いてくれていて、いいシーンなんだけど、本当にママになったばかりの人の心情を描いているなら、もっと真剣にその人の心情で書いてほしいと思うわけです。
まずもって、その子の健康を願わない親はいない。その言葉がない。また、後ろの2連目は、あまり生まれたばかりの子供に言う事柄ではない。もし同様の内容を言ったとしても、そんな説教がましい言い方は、生まれたばかりの子に絶対しない。「一つだけ言っておきますね」なんてセリフは論外です。
そういうところがいつも安易なんですよね。その人の心情にもっと真剣に入り込んで欲しいと思うわけです。

終連もそう。最初に「ママ」と言ってるんだから、終連も「パパと私は」じゃなくて、「パパとママは」ですよね。入り方が浅いところが、こういうところにも出てるんです。

たぶん、前の1~3連は見聞きした部分があるのか、ベースがあるのか、まだしゃんとしてるんですけど、4連以降の後半がいけない。

市販の絵本を読んで頂いても、どの本にもハッと感動させるものがあるでしょう? じじいじじいさんのは、雰囲気似てても、そこがないんですよね。そのハッと感動させるものは何かというと、やっぱりぐっと深い想いや、ぐっと深いヒューマンから出てくる意外なひとことや事柄なわけです。私はそこを求めたい。それがないのは視点とか個性とかの問題じゃなくて、つまるところ深さが足りないから出てこないのだと理解してほしいわけです。

ピュアーな心から出てくるやさしい言葉もたしかにあるのだけど、ぐっと深い想いや考えから出てくる、やさしい言葉もあると知ってほしいし、じじいじじいさんに望みたいのはむしろ後者。

うーーん、どうもいっこうに改善が見えないので、きょうはちょっと厳しめに書きました。ご容赦下さい。
秀作一歩前です。


●aristotles200さん「アンデッド」  

うむ、この詩はちゃんと視線が順に追えてるのでいいと思います。主たる人物の輪郭と行動が明瞭に伝わります。
この詩の舞台は、「大きな戦争とそのあとに起きたウイルス汚染で死体の山」となった世界、すなわち人類が死滅した後の世界であるようです。現実に、地球全体を巻き込む核戦争と隣り合わせの現代であれば、この舞台設定自体が、人類への警鐘の意味を持っていると、まずもって言えます。
また、意志を持たない完全悪として描かれがちなアンデッドですが、アンデッドとは終末戦争後の元・人間の姿であり、アンデッドにもアンデッドの孤独があると描かれているところが特徴的です。
設定が非常に興味深いし、人物もよく追えている、いい詩だと思います。途中で驢馬と出会うのもナイスアイデアでした。
名作あげましょう。

2点、気になるところがあります。
まず5連。リズム的に今の5連がちょっと浮いてるので、5連をうまくはめるために、5~7連前半までをこんな感じに置いてはどうでしょう?

赤色と化した海にも潜った
魚はおろか
藻すら見かけない

襤褸をまとい
遥かなる高峰にも登った
頂上で見つけたのは、白骨のみ

そうして
何十回目かの荒野で、アンデッドの驢馬と出会う

こんな感じが一つの案です。
あともう1箇所。
ラストの処理なのだが、東の国の話は、暗に、今の日本にはアンデッドみたいな人が多いというアイロニーにも受け取れて、それはそれで意味があるところも認めるのだが、ストーリー上は、ここでアンデッドに一縷の希望を作ってしまうことになる。
すると、その希望についての後処理が必要になってくる。また続編を書いて、その希望を叶えてあげるか、なんらかの形で、その希望も消失させるかが、必要になってくる。
例1

記憶の人たちと
何処かで
出会えるかも知れない

白骨となった旅行者の手帳には
こう記されていた
遥か東の島国に
不死者たちの国が存在する
朱色をしたtoriiをくぐると
人間のように
語り、生活できるのだという

しかしアンデッドになった彼に
もう文字は読めない

襤褸をまといしアンデッドは
今日も一人
荒野を彷徨っている

という感じが、その希望を消失させる方の例です。
しかしながら、ここまでのこの話の流れから感じるのは、ある意味、人間の永遠の欲望である「不死」が、決して幸せなどではなく、絶望の無限ループであることを思わせる。私はこの幸せにも希望にも出会わない不条理な生のまま終えた方が、ストーリー全体として意味があるように思う。なので、私の意見としては、後ろから2連目は削除で、希望を作らないまま終わる案、
例2

記憶の人たちと
何処かで
出会えるかも知れない

襤褸をまといしアンデッドは
今日も一人
荒野を彷徨っている

の方が良いと思えるが、そこの判断は作者にお任せします。
ただ、後ろから2連目については、後処理をするか、削除するか、なんらかの処理が必要となる箇所で、このまま放置はいけない、という点だけは申し上げておきたいです。


●松本福広さん「鏡の憂鬱」  

まずもって、いつもながら、松本福広さんの視野の広さには感心します。題材の範囲の広さはピカイチです。

4連の「鏡の法則なるものがあるらしい。」以降、その解説となるところ。また、7~8連の、空を見られる私たちの特権の話のところは、凄く説得力のある話で、とても良かった。感激がありました。
正直、この8連で終わってもいい気がしましたが、作者的には終連が書きたかったのだろうから、まあ……、止めないでおきますが、9連をもうちょっとスルリと軽く書いてもらったら、終連まで行きやすくなったと思います。

力作でしたね、名作を。

ところで、ちょっと万華鏡の話をしますが。

※奇数の合わせ鏡……万華鏡は偶数の合わせ鏡で作られます。奇数だと鏡像が重なってしまいブレた画像になってしまうそうです。

と、書かれている注釈があまり正確な言い方でないので、ちょっと訂正させて頂きたい。

まず一般的な万華鏡は、正三角形の状態に置かれた合わせ鏡です。鏡の数だけを言うならば奇数です。また鏡4枚で四角形の形でもできるのですが、鏡像がただ単調な繰り返しになるだけとなり、おもしろくない。美しいのは三角形が繰り返し隙間なく並ぶ形なので、ある条件を満たす三角形が使われます。その条件は、

条件①内角が360゚の約数であること。
さらにその約数は、360度から割った時に偶数となることです。
条件②360÷内角=偶数であること。
です。
これらの条件を満たし、且つ
条件③三角形を描ける角度であること。
を満たすのは、
30,45,60,90の4つの角度だけです。この4つの角度から作れる三角形は3つあるんですが、中心部にのぞき穴をあけたい。また円筒形にして回したい、ということから3枚の鏡を正三角形に合わせる形が万華鏡では使われます。(芸術作品などの特殊なケースをのぞき、この形)

なお、条件の①②を満たすことから、六角形、八角形も理論上できるかに見えますが、六角形以上は万華鏡の法則自体が成り立たなくなる(無限の繰り返しが起こらなくなる)ので不可です。

言っておられるのは、条件②のところの偶数のことではないのでしょうか(五角形がダメな理由となる)。

詩に話を戻すと、
詩中の、奇数の合わせ鏡が重ならないこと自体は間違ってはないし、万華鏡が多重の合わせ鏡であることにはちがいないので、ある意味、詩中は明瞭には書いていないのでセーフに思います。注釈だけはずしてもらえばいいと思います。(注釈ではっきり書こうとした時に、語弊が出てるだけなので。)
注釈さえなければ、詩はそれなりにちゃんと読めます。「万華鏡」メインの話ではなく、「合わせ鏡」メインの話として読めます(万華鏡は脇役として)。


●ゆづはさん「霧の朝」  

金木犀の香りは、お父さんが亡くなった季節を思い出す香りでもあるという、とても想いの深い詩だと思います。また、この詩、とてもしっかりと書いてくれていて、そこは評価したいと思います。

ただこの詩は、構成上、ちょっと考えてほしいところがあります。時制(現在と過去)が激しく出入りすることです。

1~2連(現在)、3連(過去)、4連(現在)、5連と6連は、どちらも1~2行目のみ(過去)で、3行目以降が(現在)のハーフです。この出入りの激しさにより、映像がすごく分散してしまう。読んでてワールドが定まらないのです。なので、時制の整理をされた方がいい。

提案としては、現在→過去→現在、の3区切りに集約した方がいいと考えます。
1~2連は現在ですが、3連アタマで、「あの日 私は」とあるので、ここをスタートに、過去部分は集約してしまう。そして最後はまた現在に戻るというパターンです。

それと、初連で、「六度目」という言葉があり、これは「何からの六度目なのだろう?」という謎かけを、最初に読み手に投げかけていることにもなっているので、その謎かけの答えであるところの「父」という言葉は、もう少しくっきりさせた方がいいです。

以上の理由で、3連以降は、こんな感じにしてみる、というのが提案です。

あの朝 私は
深い霧の底で息をひそめていた

掠れた父の声が
病室の闇に溶けて
世界は輪郭を失い
庭の木々も 鳥の声も
ただ白い静寂に包まれていた

秋の気配がまた肩を撫でると
遠く どこかで歌声が響く

それは 父の声なのだが
記憶の残響と混ざり合い
もうはっきりと思い出せない

ただ 傍らにあった温もりは失せ
空だけが
いつもの場所で
違う色を滲ませている


この構成を参考に、ご自分で一考してみて下さい。

内容は亡き父を想う、とてもいい詩なんですけどね。ちょっと惜しい。
秀作半歩前とします。

編集・削除(未編集)

後悔心理  上原有栖

珍しく娘と喧嘩をした

 明日には大人になっちゃうんだから

どういう意味なの と
わたしが聞き返す前に
そんな捨て台詞を残して
二階へ上がって行った彼女は
次の日降りてこなかった
 
 原因不明の突然死だった

時が止まったようだ
かけがえのないものが消えてしまった
失った存在の大きさに呆然とする

それでも淡々と 為すべきことを為した
知人はお悔やみの言葉をかけてくれる
それに合わせて
人形みたいな会釈を繰り返した

身体から想い出が溶けだすように
わたしの黒髪は白くなった
悲しみを引きずっているのに
何故か涙は出なかった 

ある日 洗い物をしていて
娘のコップを割ってしまった
派手な音を立てて飛び散る破片に手がすくむ
飛び散った欠片を拾っていると
いままで流れなかった涙が零れ落ちた

 それから 泣いて 泣いて
 そのまま 床に崩れ落ちた

いつの間にか夜が明けていた
わたしが顔をあげると
降りてきた娘と目が合った

 あっ おはよう なにしてるの

その声に心臓がざわつく
瞬間 夢と現実が交差する
カレンダーは彼女が眠りについた日付に戻っていた
あの過ぎた日々は只の幻想だったのか

  娘が亡くなって時間が止まった夢
        または
 娘が生きていて大人になっていく現実

昨日の喧嘩で取っ手が外れたコップを
彼女はこれから湯呑みとして使っていくらしい
屈託なく報告する姿を見て気が付く

まだ離れられないのは わたしの方なのかも と

編集・削除(未編集)

関係者以外立入禁止  松本福広

あらゆる種類の施設にある「関係者以外立入禁止」の硬い文言。そこで働くスタッフだけは入れるけど、僕は入れない境目──

例えば、サーカス。
マジシャンが手品の種を
鉢植えに植えて育てていたり
ライオンが人間のきぐるみを着るのを
ライオンのきぐるみを着た人間が手伝ったり
事務員さんまで廊下の行き来は
タップ・スキップ・ジャンプ・ターンで移動
魔法は、いつものお世話から。

例えば、水族館(※)。
マンボウが自分の弱さに対して
さめざめ泣いていると
イワシの群れが、慰めの舞
「強くなくても小さくても大丈夫だよ」
海藻から「勝てないもんは勝てませんな」と
さらっとぬめぬめした横やり、気持ち冷め
ネズミザメも寄ってきて
僕なんか人間によく食べられているけどね
と魚たちの井戸端会議。

例えば、町にある
何を作っているか分からないけど
とにかく大きな工場。
僕が通っていた学校より大きい
あの工場から出てきたおじさんが
お兄さんの肩を叩きながら
「俺も最初はよく工場の中で迷子になってたよ」
なんて笑いながら話しているのを聞いた
大人も迷うほど大きい
きっと、あそこはロボットを作っているのだろう
ロケットパンチのバネだって
よっぽど大きくないとダメだろう
だから、あんなに大きな工場なのだ。

……と思っていた時期がありました。
いろいろ知らないことの方が増えましたが
体だけは大きくなりました
ドラッグストアの関係者以外立入禁止に
入れるようになりました。
在庫が積まれて
スタッフにも防犯カメラが
「今日もよろしく」と光る
分かってますとも
華やかな店舗作りのためには
日頃の掃除からですよね?

忙しなく行き来する人々
カゴ車に何台も積まれた
段ボールの山が
作業量を物語る
新しく搬入されたカゴ車の量
レジには行列
忙しくなるぞと
さめざめ泣きそう。

小さな店だけど、それでも
たくさんの人の出入りと
それを支える
たくさんの秘密と思惑があるけど
それも意識していられないくらい
僕は今日も忙しい。
何から手をつけていいのか
迷子になるけど
一個ずつやるしかないんだ。

関係者以外立入禁止の扉を抜けて
店から出れば
僕らはそれぞれ自分の拠り所へ帰る。
そこに関係者以外立入禁止なんて
ご丁寧に明記はされていないけれど。
めいめい休む生活の灯りの群れが
誰かにとって水族館のイワシの群れの
光と重なれば、なんてね。
誰だって境界線はある─

踏み入れられないことも沢山あるけど
本や、人の話から
その境界線を越えた人から
読んだり聞いたり
あの線を越えた
見えない向こうへの気持ちは
そんなに変わらないのかもしれない

関係者以外立入禁止に区切られた
扉の向こうについて
知らないことがまだまだある
今日もどこかの立入禁止に
入ったり
興味はあるけど
入れなかったり
(興味もわかなかったり……)

線を越えるのは
関わることから
関わりのはじめは
いつだって一歩から。
電話をどこかにかける
どこだっていい
面談、面接、あなたと話したい、今日会える?
アポ、お願い、約束、ゆびきりげんまん
用事なんてなんだっていい
いつだって一言から。


※補足というより、小ネタに近いことですが……
茨城県立水族館を舞台にしています。
日本最大(2025年現在)のマンボウ水槽を有しており、サメの種類が多いのが特徴です。入り口すぐにイワシの群れがお出迎え。さらに進んだイワシの群れの大水槽なども見所です。

写真はトリップアドバイザー(URLは下記)より

https://www.tripadvisor.jp/LocationPhotoDirectLink-g1121031-d1424209-i147266527-Aqua_World_Ibaraki_Prefectural_Oarai_Aquarium-Oarai_machi_Higashiibarak.html

編集・削除(編集済: 2025年10月24日 06:58)

通勤風景  aristotles200

夜明け前、朝の通勤風景
あくび、眠け
駅のホームで並んでいる
ビルに囲まれ
空は少ししか見えない

突然、空が白く輝く
ざわつく通勤客
何が起こったのだろうか
重量音がする、振動
ベチャ、ベチャと聞こえる
悲鳴が、あちこちから上がる
空を見上げると
巨大な、黒と赤のお腹が見える
え?
膨らんでは縮む
ビルを凌ぐほど大きい
アカハライモリが目の前にいる

巨大な両生類は
目の前の餌に気づく
じっと見つめ
驚くほどの敏捷さで
通勤客を呑み込み始める
悲鳴
パニック
それぞれ逃げ始めた

ペチャ、ペチャ
後ろに
巨大なアカハライモリの息
イモリは動かない
この表情と、お腹のまだら模様は
家で飼っている
アカハライモリそっくりだ

まさか
ニョロか?
こちらを見ている
ああ、ニョロだ
どうしたんだ、いったい
目の前に迫る
巨大なアカハライモリの顔
肌に触れる、うまく制御できるかも

遠い記憶が蘇る
数千年前、文明を崩壊させた
−巨神兵の七日間−
巨神・イモリの口から放たれし
ソドムとゴモラを滅ぼした、天の炎

大きく口を開けるアカハライモリ
面白い
ニョロに命じる
薙ぎ払え

と、呑み込まれた

編集・削除(編集済: 2025年10月24日 08:08)

水の本性 多年音

水の本性ってなんだろう
今飲んでるこのおいしい状態が本性?
ほんとかな
水って怖い時あるからね

この量だから飲みこめるけど
落ちて流れて集まって
深い深い海になれば
飲まれるのは僕の方だもんね

温度を変えても危険になるよね
例えば熱湯とか
浴びてしまってやけどを負うと
最悪酷い事になるくらいには
例えばつららとか
長いの刺さったら致命傷だよ
子供の時冬に屋根下くぐるの怖かったんだよなぁ

後は機械で発射すれば何でも切れるレーザーになったり
それは人が手加えてるからアレだけど

うん?でも他のやつはどうなんだろう
他のも周りのせいじゃないか?
その環境だから
水もそういう状況だから
それに合わせた態度取ってるだけで
どの状況にいる時が本性なんだ?

人間はどうだろう
俺は一人でいる時が本性だと思ってたけど
一人でいるからそうなってる訳で
そうだね
水の本性決めかねるなら
人間の本性も決めかねないとね

ポツ ポツ
雨が降り始めて来た
やだな、傘持ってきてないよ
そういえばここ最近ずっと振ってなかったよな
「畑が潤う」とか
じいちゃん呟いてんだろうな

編集・削除(未編集)

二人乗り紙飛行機  トキ・ケッコウ

あの人たちはひとつの紙飛行機に乗っているのだ。晴れていればいいが雨もあるから二人とも落ちるかもしれない。そこでくだらない子供に拾われ折り直されてしまってもう飛べなくなるかもわからない。しかしそんなことはあの人たちにはきっと織り込み済みなのだ。だからなんとも思わないふりをして飛ぶのだろうしカラスやスズメやそういった羽のあるやつらがちょっかいをだしてくることも時にはあるだろうけれどおそらくそれもあの人たちにしてみれば想定されたことなのだ。ただ。

もどかしいのは…… あの人たちがどこまで二人で飛べるのかではなくどのタイミングでヒトの手に渡って捨てられてしまうかということだ。── こればかりは飛んで行かなければわからないことになると思う。でも。

あの人たちは飛ぶし仮にどちらかが力尽きて飛べなくなったとしても互いの相方を背負って飛んで行く。それだけははっきりしておりそうやって二人ひとつの紙飛行機として飛んで行きやがて降りることになるのだろうと信じる。ところでそこは目的地ではないし終点でもない。補給地でも経由地でもない。── ではどんなところだろう。

地平線いっぱいに広がった、そこはおおきな一枚の紙なのだ。…… もう誰も覚えていないとされる場所でもある。そこでようやく紙飛行機に乗るのをやめたあの人たちは。

ふたたび、二人それぞれの紙へと切り分けられるのだ。

編集・削除(未編集)

赤ずきんさん 喜太郎

好きだったんだ
本当に心から
愛していたと言ってもいい
森の中で初めて彼女を見つけた日から
食欲よりも愛が勝ってしまったんだ
だから何度も何度も
お婆さんにお願いしたんだ
お付き合いを許してもらおうと
だけど………だけど人とケモノは………
気づいた時には
お婆さんを丸呑みにして胃袋の中
やがて来る赤ずきんさん
どうしても一度だけでも
赤ずきんさんと近くで話がしたかった
赤ずきんさんを近くで見たかった
赤ずきんさんに少しでも触れてみたかった

赤ずきんさんはベッドの中に隠れている僕に尋ねるんだ
俺は素直に心のまま答えていた

大きな耳は君の声を聞きたいから
大きな鋭い瞳は君を見つめていたいから
大きな手は君に触れてみたいから
そして大きな口は………ケモノだから!
食べてしまいたいくらい愛していたから

誰にも渡したくない
強く危険な衝動は
赤ずきんさんの怯えたケモノを見る目に動かされた
気づいた時には
彼女は僕の胃の中で僕と一つになった

安堵感と満腹感で僕は寝てしまった
通りすがりの狩人が僕の腹を割くまで
僕は何も気づかないで夢の中だった
身体を走る痛みで開けた瞼の先には
真っ赤なお婆さんと赤ずきんさん
あの時の君の瞳に宿る憎しみ
僕の意識が薄れてゆく中で聞こえたんだ
このケダモノ!って

狩人がつぶやく
なぜ丸呑みしたんだろう?と
当たり前じゃないか
愛する人を牙で傷付ける訳ないだろう
ああ でも一瞬でも一つになれた幸せを僕は胸に抱いて
地獄へと落ちてゆく
後悔なんてありはしないさ
愛する人を食べれたんだから

編集・削除(編集済: 2025年10月22日 07:15)

老いらくのフレーム  つる

人生のフレームが大きくなってゆく

フレームの素材が
いつの間にか硝子から木に変わって
そのフレームの中に軽石を投げ続ける行為が
生きてゆくことのように思えて

やがて投げること自体を止めた時
フレームの奥に在る空を見つめる時節が訪れ
死という確かな予知をして

小雀の命と私の命の
ひとときの出逢いを恵みとして
小さく生きれば
フレームのより大きくなったように思えて
愛らしく人生を枯れてゆくのです

私の中から
思い出と記憶が取り払われて
フレームにその代わりとして
形骸的な飾りを残したく

私は見ることが出来なくなり
聞く耳を持たぬようになることを
自然と自分に許されんことを

小雀が飛んだ軌跡が
もしくは
誰かが小雀を見た記憶が
私にデジャブすることを目下の願いとして
是と記すものです

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漆黒の薔薇  ゆづは

胸の奥でひそやかに囁く
呪文にも似た願いは
一枚の濡れた花弁となり
凍てつく土へと還る

それはかつて
闇に呑まれし言葉が
刹那の命を宿し
無声の風に舞い上がる

想いの棘に貫かれ
痛みに引き裂かれた言葉の残骸は
月光すら届かぬ深海に堕ち
ただ空虚な響きを残し
西の涯へと沈みゆく──

やがて朽ち果てた花のように
この躯は時の深淵に葬られ
無垢なる死の安らぎを纏うだろう

それでもなお──
静寂の闇に抱かれ
苔むした墓石の下で
息をひそめ
再び咲き誇る日を夢見ている

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