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やってみることは止めませんけど、大きなところのノー・レスポンスにがっかりしたら、
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「地図を創る」荒木章太郎さん
荒木さん、こんばんは。お待たせいたしました。
だれかのために地図を創り続けてきた「俺」は自分の地図を創ろうと決意したのですね。この作品は、俺の地図創る、という趣旨で在り、また内容的にも壮大なことを書かれているのですが、ちっとも力みを感じません。それがとてもよいところだと思います。これはすごく荒木さんらしくて個性的です。それがもっと良いところだと思います。ユーモラスだし、最終連への展開も納得できました。
ただ、推敲がちょっと足りなかったかもしれません。どうだったでしょう?荒木さんの(頭の)回転速度が速くて、ゆっくりしていたらおいていかれちゃった、みたいな感じが少しあります。それがもったいないなと感じました。言葉の重なりとか意図の伝わり方とか、音読してみて少し推敲してみてください。たとえばですが、3連目、「空を眺め星を繋げる/考えてみたら/あのひつじ雲のように」とあります。空を眺め星を繋げる→夜をイメージしていたけれど、ひつじ雲であら昼間だわ!というような調子です。この場合、空、が昼の空だったのかもしれませんが、伝わりにくいかもしれません。足し算するか引き算するか、どちらがより荒木さんの描きたい世界に近づくのかいろいろやってみてくださいね。
「れんげ畑でつかまえて」上田一眞さん
上田さん、こんばんは。お待たせしました。
上田さんの作品をたくさん拝見しているので、私の中ではみいちゃんはすでに可愛らしい姿ではっきりと存在しています。今回はまだまだきっととても小さなころのみいちゃんだったのかなと想像しました。
さてこちらはついサリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」と重ねてしまうのですが、真逆の無邪気な世界が広がっていました。れんげという可憐で素朴な花とみいちゃんの無邪気さ、春、なにもかもが明るく、あっけらかんとしています。そんな中で「めくるめく」だったり、れんげ畑でのトイレだったり、ハチにお尻をさされたり、無邪気さにほんの少しだけ色っぽさも加えられたのかなと私は感じたのですが、考えすぎかもしれません。もしもそうだとしたら、上田さん自身が「ここまでならいいかな」と手さぐりされたかもしれませんね。佳作一歩手前です。
ここからは好みの問題なので参考までに読んでくださいね。この作品は①兄目線で語られているストーリー部分②みいちゃんの言葉③兄の言葉と3つにわかれています。誰かの感じたことを書けるとしたら①の部分になるので、ここにお兄ちゃんの感情がほんの少し入るとよいかもしれないなと思いました。淡々と描かれたと思いますし、それによってみいちゃんのかわいらしさが引き立ちますが、お兄ちゃんがみいちゃんを愛おしいと思うような一瞬があったはずでそれを彼の言葉で聞いてみたいななんて感じました。
「旅立ちの日」こすもすさん
こすもすさん、こんばんは。お待たせしました。
のどかな駅の朝の旅立ち、春だもの、と思いながら読ませていただいていたのですが、「私」はやり切れない思いを心に持っていることがわかります。読んでいる私の心にも緊張が走り、ここからは緊張感をもって最後まで一気に読ませていただきました。何があったの?と一瞬サスペンスを想像しましたがそれは考えすぎだったようです。けれど、「私」にとってはこの旅立ちがきっと本当に予想外の大きな出来事だったのだなと伝わってきました。そうですよね。誰にも告げず町をでていくのですから。
こちらの作品は淡々と書かれていて、作品の真ん中に当たる四連目だけに主人公の感情が現れます。そのコントラストがとてもよかったです。もうほんの少しだけ主人公の気持ちが最後に加わってもいいかもしれません。佳作一歩手前です。
「ヒヤシンスの家族」津田古星さん
津田さん、こんばんは。お待たせしました。
すごい!すごいですね。びっくりしました。壮大なストーリーです。こんなことが起こるんですね。
こちらさらさらと読めますが、実は結構複雑な構図を描いてらっしゃいます。それが破綻なくはっきりとつたわってきて、私の頭の中にはその位置関係や感動が伝わってきました。まずそれが素晴らしいと思いました。同時に、33年間という長い時間の親子の機微や幸せの形も伝わってきます。それもとても素敵ですね。佳作です。直すところはないと思いますし、ライトタッチで最終連もさりげなくまとめられているところがとても良いと思いました。
ヒヤシンスの種はしらなかったので調べてみましたが、種が落ちて球根に育ち花が咲くまでは葉っぱしか出ないそうです。6年くらいかかってようやく花を咲かせるまでになるとか。放っておいたことが功を奏したのですよね。このこともなんだか子育てにつながっていくような素敵なエピソードです。私は花が終わると花の茎を剪定してしまうのですが、もう絶対に剪定しません。そしたらこんな風に素敵なサプライズがおこるかもしれませんね。
「次の千年紀を生きるあなたへ」上原有栖さん
上原さん、お待たせしました。こんばんは。
この作品の面白さは、次の千年紀がいつなのかという視点の置き方を変えられることです。この手紙を書いた人はもしかしたら今書いているのかもしれません。これが一般的かな。すると3025年を生きているあなたへ、だから、1000年後のあなたへ当てています。実際には1000年後の地球がどうなっているかわかりません、人類が滅亡していることの方がずっと現実的かもしれない。それは明日かもしれないしあさってかもしれない、というのは大げさですが、そんな風に考えると、この手紙は1000年前から来たものかもしれないと考えることができるんですよね。いつの世を生きる人も虚無感や絶望、悲しみを抱きながらも、愛情を持ち続けているのかもしれないなんて思わせてくれる作品でした。とても良い作品です。佳作一歩手前です。
少し細かく推敲してみてください。ほんの少しだけ引き算してみるとよいかもしれません。たとえば、三連目の冒頭、私が縦に二つ並んでいますが、最初の「私は」はなくてもいいかもしれません。それによって、絶望している、という言葉が際立ちます。こんな感じで細かくやってみてください。1000年後、この手紙を読んだ人からどんなお返事がくるのか私も楽しみになるような作品でした。
「谷川では瑠璃色の美しい鳥が朝を告げる」森山遼さん
森山さん、こんばんは。夜も更けてきました。
この作品は昔話とか民話とかそういったテイストですが、( )でくくられた部分、特に前半の時間の流れを差している部分がとても素敵でした。佳作一歩手前です。とても面白かったです。そのうえでちょっと細かいことをひとつだけ。三連目の(今日一日の~)ですが、これは月の光を表しているとおもいます。今日一日の天啓、のところで夕陽のことかなと思ったのですが、谷から山々にのぼっていくとあるので月だろうと思いました。ここがすんなりと月だとわかるようになっているととても良いと私は思います。
それから脚注ですがこれは末尾にもっていくとよいとおもいます。途中にあると物語が遮られてしまうことがとても残念です。
「花」樺里ゆうさん
樺里さん、こんばんは。お待たせしました。
とても共感しました。よく原っぱや海岸で枯れ草を見ますが、よく見るととても美しい形をしています。花もついたままでそのままの姿でただカラフルな色を失っているだけです。オーガニックな姿はとても美しいことに私もここ数年の間で気づきました。だから、樺里さんの視点がとても素敵だなと思っています。これは、人にも当てはまりますよね。花だけのことではなくて、表面的なものばかりを気にしていたら大切なことを見失ってしまう、というメッセージのように感じています。佳作です。
ひとつだけ細かいことですが、八連ですが、花の一生は から始まるので、花弁を失ったあとも 続く、でいいかなと思いました。
良い作品でした。次から少し厳しめになります。
〇
花冷えのころ、初夏のようだったり毛布が恋しくなったり忙しいお天気ですが、みなさま体調をくずさないように気を付けてお過ごしくださいね。
身に余るお言葉を頂き恐縮です。
どの書き手さんも詩を産むのは簡単ではないと思いますが、この作品は私なりに今まで以上に絞り出して作りました。
『「新たな分野を開拓する」が想像されます。』と三浦さんに仰って頂き、「希望」を見つける、忘れない。と自分に言い聞かせているのだと、改めて気づきました。
そんな気づきを与えて頂いた感想をありがとうございます。
これからも、じっくり詩に向き合っていこうと思います。
雉が鳴いていた
集会所のそばを流れる
川の向こう
どこまでもどこまでも
遠くへ届くような切ない声が
咲き出した桜とともに
暖かな空気を
満たしてゆく
視界の片隅では
首を擡げて静かに休む重機が
夕焼けに染まっていた
いつのまにか
切り開かれた雑木林
風景に開けた穴を
灰色に塗り潰しながら
わたしたちの生活は
どこまでもどこまでも
便利になっていく
どこまでいけば
わたしたちは満たされるだろう
どこまでいけば
あの雉の母性を根ざす地は
守られるだろう
ざわざわと
微かな不安を連れて
明るい夜がくる
夜空を駆け抜けるような
貨物列車の音は
人の営みを愛おしく感じさせる
けれどその早さで
時も運ばれていたかのように
わたしがここに越してきて
七年が経っていた
様変わりした町並み
ここがかつてどんな風景だったのか
思い出せないことに気づいて
まだ残されている
何もない場所を
咲き出した桜とともに
写真に収めた
耳を澄ましても
もう
雉の鳴き声は
聞こえない
「息子へ」に評をありがとうございました。「息子の考えと行動に満足」と読みとっていただき、満足がふくらんで空に飛んでいくかのように思えて嬉しかったです。そうなんですね、「受け継ぎ」のようなの!「同じだね」で触れた気になってしまっていました。息子も受け継ぐかもしれないところまで思いが及んだら、もう少し厚みが出たのかな、なんて思いました。ありがとうございました。
今回も私の詩にお目を通して頂き、誠にありがとうございます。佳作
との評をくださり、とても励みになります。
そうですね、「ごらんなさい」は「見よ!」、「きみの」は「その」の方が、
ぐっと引き締まりますね!どうもありがとうございます。
もう10年前のことになりますが、勤務の関係で2年ほど釜山に滞在したことがあります。
その折りの印象を思い起こしながら、この詩を書きましたので、
釜山に「行きたくなってきました」と仰って頂き、本当に嬉しく存じます。
今後とも、どうかよろしくお願い致します。
拙作への評をありがとうございます。
毎年見ているはずなのに眺めずにはいられない。
そんな桜の魅力はどこから来るのでしょう?
そんあ魅力に引っ張られるまま書いて
日常に溶け込みながら、素朴な顔して、
そんな魅力をもつ魔性にタイトルをつけてみましたが
つっこまれずに安心いたしました 苦笑
詩にも書いたように勢いで書いてしまった部分があるのでご指摘の部分を読み「おぉ!」と思いました。
掲示板の内容も桜の詩が目立っているようで
他の方も書きたくなるんだなぁと正直うれしくなりました。
急に冷え込んだりする時期ですがお体にお気をつけお過ごしください。
またよろしくお願いします。
稲荷神社に住み着いているキツネの僕。
そんな僕の隣にいるのは、犬の「わんこちゃん」
僕は彼女に片思いをしている。
人や、他のキツネから見れば「ふつう」の犬にしか見えないだろう。
どこにでもいる「ふつう」のキツネと犬。それが僕たちだ。
いつものように稲荷神社の片隅で人目を盗んで、こっそりと会う。
こんこんこん
わんわんわん
僕らの会話はきっとこう聞こえるのだろう。
今日はおいなりさんの話をしている。
お腹空いたなぁ。おいなりさんが食べたい。
あなたって、いつもおいなりさん食べたいばかりよね。
いつも食べたいんだ。僕だけじゃなくて家族みんなそうなんだよ。
ご家族の皆さんもおいなりさんが好きなの?
そうだよ。みんな。
おいなりさんって、どれも同じじゃないの?
同じって、どういうこと?
こないだ、人間さんが助六寿司っていうお弁当を捨てていたのだけど、
そこに入っていたいなり寿司。おいなりさんってあれでしょ?
そうだね。それもおいなりさんには違いないね。
それも? 他にもおいなりさんがあるっていうの?
他のもイメージ的には同じ形かもしれないね。
ほら、やっぱり同じなんでしょ?
いや、色々と違いがあるんだよ。
へぇ、例えば?
そう言われて、僕は家族の話をし始める。
僕はとても甘く煮た油揚げを三角にして包んだ
おむすびのようなおいなりさんが好き。
姉さんは皮の色がカラフルなのが好きでね
油揚げと一緒に煮て鮮やかな黄色になったり
抹茶と一緒に煮て緑っぽくなったりしたやつね。
お母さんは中のご飯が炊き込みご飯になったのが好きなんだ。
コンニャクや竹の子の触感がいいんだ。
お父さんは食いしん坊だから、何でもとにかく大きいのが大好きなんだ。
なるほどねぇ。色々あるのね。
そうなんだ。わんこちゃんは、おいなりさん、好き?
うん。私もふつうに好きだよ。
よかった。好きっていってもらえて。
会話が途切れ、僕は道端で見つけたお花を彼女に渡した。
お花?きれい。ありがとう。なんてお花なの?
「キツネノマゴ」っていうんだって。僕の名前の花。
尻尾をふりふりして、フフッと微笑む彼女。
わんこちゃんには言えなかったけど
キツネノマゴを拾った理由は
僕の名前が付いていて面白かったという理由じゃない。
人間さんの親子がキツネノマゴの花を見ながら
花言葉の話をしていたのが聞こえたから。
「あなたはこの上なく愛らしくかわいい」
そう話す親の人間さんは
子どもの人間さんを優しい目で見ていた気がする。
それは、君にも伝えたい言葉だと思ったんだ。
おいなりさんって聞いて、「ふつう」のおいなりさんを想像した君だけれど
「ふつう」の君は僕の言葉を聞いたら、どう思ってくれるかな?
好きって言葉の形に「ふつう」はあるのか
僕には分からないけれど
君がどう答えてくれるのか気になるんだ。
※いなり寿司については下記のHPを参照いたしました。
オーケーフードHP内
いなりずしの文化
https://ok-food.co.jp/learning/
◎2025年3月18日~3月20日ご投稿分 評と感想です。
☆魔桜(まおう) 松本福広さん
埼玉県幸手市の権現堂堤。埼玉県には、このような美しい場所があるのですね。とてもいいいところですね。続いて、タイトルの「魔桜」。こちらも目を引きますね。意味もなく、太宰治の小説に出てきそうな感じがしました。
三連にわたって、桜は美しく清らかであるイメージがあるものの、それだけではなく、妖艶で危険な香りや空気をもたらす花でもありますよと表現してくれていると伝わってきました。三連ともよく似た系統の言葉や響きの言葉を選択されていて、とても丁寧に書き込まれていると感じました。
気になったところは、三連以降の連でした。最初の三連をうけての「私」の気持ちが綴られている部分になると思うのですが、前の三連の感じと違って、一気に流れが変わっていくように思えました。変わっても大きく問題が生じるというわけではないのですが、どこかしら、一気に思いを流し込んでしまっているようにも捉えられてしまいそうな感じもして、最後の「春るらら」が浮いてしまっているような気にもなりました。書いていることはいい内容だと思ったので、全体的に文体を変えてみたりするのもよいかと思いました。何例かを、私なりに考えて書いてみますね。
桜を愛でて春を歌う
人間の歴史
今の私の視界は
瞬間的なものしか
とらえられず
意味の重なりそうなものや、省略しても意味の通りそうなものを考えて書いてみました。
締めの句点が
見つからない散文を
書かずにいられない
私もいたずらに
乱れるままに
流れるままに
春るらら
終盤ですが「書かずにいられない」の部分が浮いているように思えたので「見つからない散文を」の後に持ってきてみました。こうすると最後の三行が乱れる、流れる、春る……と「る」の響きが三行お揃えになって、綺麗に思えたので、このようにしてみました。以上、ただの一個人の考えですが、何かのお役にたてれば嬉しいです。
桜の妖艶の部分に焦点を当てて、美しく表現してくださった作品。今回は佳作半歩手前を。
☆忘れるな 天さん
初めてのお方ですね。今回は感想を書かせていただきますね。こちらの作品、ご自身の書きたいことが、とてもはっきりしていて、よく整理されて書かれていると思いました。
私が感じたのは、今いるのは先代の命があったからということ。人は色々な命に助けていただきながら生きていることを忘れるなということ。この世のおかしいと思うことや理不尽さ、また、年々歯車が歪んできていると感じてしまいそうな気象変動など、よくわからないことだらけだけど、元気でやっていけるようにという願いなど、勢いよく流れてゆく詩行の流れの間に、勢いよく注ぎ込まれてゆく作者さんの後を生きる世代への思いや叫びを、息をつく暇もなく感じました。
血や体温、熱さで蒸気するような湯気までも感じさせてくれる作品でした。「~しろ」「~するな」という命令形になっているのに、全然説教臭くも威圧感もなく感じられるのは、相手を本気で思いやる気持ちが、詩行に滲み出ているからなのでしょうね。とっても良い意味で人間臭い言葉で溢れている作品になっていると思いました。
☆各駅停車 喜太郎さん
片思いの様子を描いてくれているのですが、なかなか面白いシチュエーションでした。
コンマ何秒の中 僕は毎朝見つけてた
その時だけ頭の中ではスローモーションとなり
見えた喜びと今日もクラスで会える喜びが
僕の一日を有意義にしてくれた
各駅電車を待つ本人が、通り過ぎる準急電車の中の彼女を見て幸せな気持ちになっている。この描写を「コンマ何秒の中」と表現したのはお見事でした。しかも「その時だけはスローモーション」というスピードの対峙した言葉を並べることで、本人の彼女に対する気持ちが浮き彫りにされてゆきます。見えるだけで嬉しいという心の現れも、彼女に対する思いを浮かびあがらせており、純粋な気持ちが感じられました。
きっと追いつく事はない片思いの各駅停車
準急は各停に追いつくことはないという現実を、自分の恋になぞらえています。あきらめにも似た気持ちを読み手にわかりやすく例えてくれました。
作品の所々に散りばめられた春を思わせる単語の数々。「芽生えた告白」「春まだ浅い青空」など、時間に対する期待の念と同時に、季節感を作中に広げてくれています。
ラストは告白が叶って彼女になってくれるというハッピーエンド。ただハッピーエンドを描くだけだったら、ドラマで見かけたことのあるラストになっていたかもしれません。最後の最後がいいですね。
「サクラサク」
よく受験合格に用いられる言葉ですが、言葉からくる、受験現場で飛び上がって喜ぶ様子が、彼女が彼氏に昇格してくれたというシーンとうまく重なって、歓喜の気持ちが突出していました。と、同時に、満開の桜が新学期を思わせてくれ、これから始まる二人の幸せな時間も感じさせてくれました。着地点が作者さん独特で、しかも大きな幸せの余韻を感じさせてくれました。佳作を。
☆はるがきた じじいじじいさん
啓蟄も過ぎて、あたりの緑も増し、春ですね。カレンダー無しでも春ってわかりますね。
森の動物の気持ちになって、春を喜ぶ詩を書いてくださったのですね。
森の動物のみんなが次々に目を覚まし、春を喜んでいるという様子はよくわかりました。ただ、詩の中のすべてが現実のままに綴りすぎているために、あと少し、じじいじじいさんの味付けを試みてもよいかなと感じました。ただ、一から十まで味付けしすぎると、これまた、くどい味付けになってしまうと思うので、もう少し味付け可能な部分をピックアップしてみました。こことここを味付けしたらいいなという箇所を選んでいただいて、更に、更に、じじいじじいさんテイストの優しい春の詩に挑戦してみてください。
※はるがきたからみんなでてきた→どんなことを春だと感じて出てきたのかに注目してみる。
※ゆきがとけてみどりがふえてきた→雪の解ける様子や溶けてみどりが見えてくる様子を作者さんなりの感性で表現してみる。
※みんなはるがきてうれしいね たのしいね→「たのしい」や「うれしい」このワードをそのまま単独で使ってもぜんぜんOKなのですが、どんなふうにうれしいのか、なにがたのしいのか、このワードの周辺に関して、自分なり表現を考えてみる時間を持つことも面白いと思いました。
※これからもりでいっぱいあそべるね→どんなふうに遊んでいるのか、遊びたいのかを短い言葉にまとめて印象付けてみる。動物や自然の様子を、オノマトペなどを使用して表現するのも楽しいかも。
春の喜びを表す作品。この作品には、まだまだ、いろんなたのしさや喜びを表現できる可能性があるので、これだというお味を探しつつ、詩を書くことを楽しんでいただければ嬉しいです。今回は佳作三歩手前で。
☆挨拶 相野零次さん
挨拶は生活にあふれていますね。スマホの時代になってから、あちらこちらで挨拶を交わし合っている姿はずいぶん減った感じがしますが、まだまだ健在ですね。
全体にわたって、人間の一生を綴っている流れになっていますね。人間の喜怒哀楽や、季節感をうまく盛り込んでいますね。
「人間は神様が作った芸術」と「挨拶」
二つの言葉は、並べみているだけでは、何の結びつきもなさそうな言葉ですが、この作品の中で見事に取り込まれていますね。作品の流れと組み立てが綺麗にまとめられているので、ひとつだけの連だけが浮いているなどの違和感もありませんでした。
そのままでも、全く大丈夫なのですが、個人的に、以下の表現の「ならなくちゃならない」と、「演じながら」の部分。
僕たちは人間という芸術にならなくちゃならない
タイトルをつけられなくちゃならない
さまざまなドラマを演じながら
「ならなくちゃいけない」となると、親か誰かにやらされている感が表に出てしまう気がして、生きるって「やらされるってこと」と、読み手に感じさせてしまう気がしたのです。ある意味、「生きる」って、神様が人の姿を与えてくれた魂の自由のような気もするので、「ならなくちゃならない」というよりは「~でありたい」などの自らの意志を意味する表現の方がいいのかなどと思ったりもしました。
「演じて」と言う表現も同じようなことを感じました。「ドラマ」自体は芸術に関係する言葉なのでそのまま用いられたのだと思いますが、やはり、制作されたもののイメージもつくので、「ドラマ」自体の例を外して、舞台などを用い「時の舞台をステップしながら」という感じで、近くで生身の人の息を感じさせてくれるような言葉を探していくのもいいのではないかと思いました。別件になりますが、「こんにちわ」は「こんにちは」の方がいいと思いました。
ラストのまとめ方は、とてもき綺麗でした。人生の終わりを「おやすみなさい」という言葉で表現して静かに詩をまとめられた点、舞台を見てゆっくりカーテンが降りていくような感じ、或いは、映画を見て自然にエンドロールが流れてくるような、とても自然な感じがよかったです。今回はふんわりあまめの佳作を。
☆吠える先生 温泉郷さん
タイトルだけを拝見している時点では、先生が吠える??どういった内容なのだろうかと見当もつきませんでした。
実際に内容の中に入ってみると、何とも言えない切なさがありました。「吠える」というのは、最後の声を振り絞って出されていた声だったのですね。
どうしても先生に会いたい。ひと声でもいいから先生の声を聞きたい。その気持ちを前面に出してしまったことで、大きく後悔している思いがとてつもなく、読み手に伝わってきました。先生の意思で面会制限をしているけれど「ごくごく親しい人」ではなく「どうしても仕事上の連絡が必要な人」として待たなければならないや、要件の電話が最後の電話になってしまったことなどの表現、「先生の最後の数分を奪ってしまった」の思いは、読み手の私も複雑な心境と同時に辛い気持ちになりました。
事実を順番に書かれている中の、その一行一行、ひとことひとことに、隠しきれない作者さんの思いが滲み出ているように思えてなりません。仮に、鉛筆書きでこの詩を紙に書くとしたら、どれだけの筆圧が生じたのだろうか。そんなことまで考えてしまいました。読み終え、改めてタイトルを拝見すると、このタイトルの凄さを感じずにはいられませんでした。佳作を。
☆魂は燃えている ふわり座さん
命には限りがあるからこそ、夢を持って、夢に向かって頑張ろうよ。そこには困難があるけれど、自分の道を見つけ、時には立ち止まり、自分の信じた進路を選択を信じて生き抜こう!
私の元には、このような強い意味合いのメッセージが届きました。とても力強くて、勢いのある作品だと思いました。エネルギーを感じさせる言葉「夢」「魂」「宇宙」「前進」をバランスよく使っています。詩行に躍動を感じさせてくれました。エネルギッシュなところは、とてもよかったのですが、個人的に気になったのは、テーマを少し広げすぎたのではないかというところでした。
登場人物の「僕」の夢は最終連に記された通りで「愛すべきたった一人を見つけ出し/
最後まで守り抜き/何が起こっても愛し続けるという夢」となっています。最終連の「夢」は、おそらく「夢」の最終形態なのだと思いますが、三点を一気に並べて一つの夢として描こうとすることは何も問題はないのですが、「大切な人に巡り合う夢」や「今いる大切な人を守りぬく夢」についてなど、一つに絞って描かれた方がよかったようにも思えました。最終連の三点の夢を最終形態としての着地点にしようとするあまりに、それまでの連に関して、書くことが横にも上にも膨らみすぎてしまっているかなぁというふうに、感じてしまったからです。極端なお話になりますが、例えば、大きくテーマを広げて「戦争反対!世界に平和を!僕は最後まで愛を信じ続ける!この世にいのちの愛の光よ広がれ!」とするのを、少し指しどころを縮小して「戦争は絶対嫌だ!/憎しみ合うより/みんなが泣かずに笑って/光の朝を迎えられる世界がいい!」……どちらも同じようなことを言っているのですが、後の例は指している範囲が若干狭くなっています。このような感じでしょうか。うまく言えなくて申し訳ないですが。
話は変わって、中ほどの連の進路を信号に例えたところは面白かったです。魂が燃えているから金色発進とするところが特に。
一生懸命、熱をもって書かれている作品だと感じました。今回は佳作一歩手前を。
+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
三寒四温で春本番と言われますが、今年の三月はいったいどうなっているのでしょうか??
六寒二温二熱?? 雹が降ったり、夏日になったり??二月の気温になったりと、
人も周辺の生き物も草木もたいへんな三月でした。早く落ち着いてほしいと思うこの頃でした。
みなさま、今日も一日、おつかれさまでした。
評をいただきありがとうございます。
この詩は深い闇から解放されていく心を描きたくて作りました。
映像感と幻想性を評価していただき嬉しく思います。励みになります。
今後ともよろしくお願いいたします。
こんにちは。上田です。
桜の季節になりましたね。嬉しさと共に懐かしさが込み上げて、本作を書きました。
サクランボの好きなきみちゃんは現在京都で元気に過ごしてます。サクランボのことを話すと「染井吉野のサクランボはどうしてこんなに小さいのだろう」とガッカリしたのだそうです。まあでも私たちには宝物のようなものでした。確かにそんなに美味しいもではありませんでしたが。
本作は私の詩作における重要なテーマである私の歴史の回顧です。このようなただ過去を懐かしむものから、より詩的純度の高いものにして行くにはどうしたらよいのか考え続けています。宜しければこの点ご教授頂ければと思います。