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編集・削除(編集済: 2024年09月10日 18:37)

T・クルーズ  山雀詩人

夏の午後
今日も暑い いや熱い

冷房のこの部屋からも
灼熱ぶりが見てとれる

今日は風があるようだ
それもけっこう強い風
ベランダで洗濯物が泳いでる

いちばん風上に僕のTシャツ
そのすぐ後ろに君のTシャツ

ふたりぴったりくっついて
まるで僕が守ってるみたい

そうか
僕はいま戦ってるんだ

美女を背に
押し寄せる敵を相手に

まるで映画のヒーローだ

右を向き左を向いて
返す刀でまた右へ
ときどき押しこまれ
体勢を崩されつつも
命がけで君を守って
君も君で僕を信じて

いやぁ カッコいい
やりたかったんだ こんな役

現実はどうだろう
おりしも君は昼寝中
そのすやすやからすると
いちおう守れているのだろうか
あの〝T〟・クルーズほどではないにしろ

だってあいつタフだもんな
まだ戦ってるよ 暑い中
もう何テイク目なんだろう

でもカット!
ごめん T・クルーズさあ
君 カッコいいんだけど
そのTシャツ 裏返しだよ
 

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砂丘にて

砂丘に捨て去ったはずの
腕時計を探すために
もう一度戻ってきた
この暑苦しい砂丘に
あなたがかつて贈ってくれた
腕時計はどこだろう

砂丘の向こうには
海がなみなみと横たわり
海鳥が舞って来ては
小さな砂埃をあげる

この砂丘で私は独りきり
私のもとを去ってしまった
あなたを想う
笑顔がまるで子どものように
無垢だったあなたを胸に抱くけど
その可愛らしさが今では憎い
あの腕時計はまだ動いているか

夏になると真っ青の空と
褐色の砂丘が鮮やかな
コントラストを成す
青空の下をひとり歩を進める

あなたとあの夏別れた
海辺にたどり着いたが
やはり誰もいない
海に向かって叫んでも
もう君には届かない
荒々しい海風が
砂を私の身体に浴びせて
舞っているだけ

あなたと別れた場所の辺りに
まだ動いている腕時計を見つけたよ
あなたと私の時を刻む
たった一人の生き証人
砂に半分埋もれていたよ

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スカート  妻咲邦香

パリパリのラスク
粉がこぼれて
僕のスカート汚した
僕のお気に入りのスカート
この地球を産んだという
大層立派なスカート
夜空に翻る
白い足がちらりとのぞく
宇宙の一部も隠してしまう
僕のスカート
君が一生懸命ほめてくれた
自慢のスカート

パリパリのラスク
分け合って食べた
半分以上君が食べた
僕のスカートの上で
見渡す限り広がる
スカートの草原で

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たいようのおかお  じじいじじい

はれたひはいっぱいニコニコえがお
あおぞらもニコニコ

くもりのひはげんきがないおかお
そらもくもだらけモヤモヤ

あめのひはないてるおかお
ザーザーさみしいあめやんで

はれもくもりもあめも
たいようのおかお
どんなおかおもたいようのこころのこえ
みんなもわたしもたいようとおなじ
ニコニコ モヤモヤ ザーザーあるね

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かき氷屋蛙 紫陽花

ここは蛙横丁1丁目1番地
気温が35度を越した日が
10日程続くと限定オープンする
かき氷屋蛙

メニューはひとつかき氷だけ
蛙色のシロップは選べます
赤色蛙 黄色蛙 緑蛙 青蛙
その日の蛙店長の気まぐれで
虹色蛙もありますよ

今日もやって来ましたお客様
緑蛙色した蛙特製かき氷をご注文
夏休みなのでやっぱり
蛙学園1年1組の学生蛙が
エメラルドグリーンの氷を運んできた
ただただそれだけのことなのに
何故か目を離せない
ああ なんて綺麗なんだろう
氷の粒ひとつひとつが
透き通って窓からの光に反射する

次の瞬間 彼女の顔が歪む
それは彼女が蛙の舌で
頭を叩かれたからでもなく
突然降り出した雨に
打たれたからでもなく

彼女の手にあったはずの
スプーンが消えたからだ
彼女の指が減っている
というか吸盤がついて
これは蛙?
考える暇もなく
目の前のかき氷色に
彼女の体が染まっていく
ああ 蛙だ
彼女は蛙の顔でにっこり微笑み
長い舌でペロリペロリと
かき氷を舐め始めた

そこで はっとして
私も自分の手を確かめる
ああ私もいつの間にか
蛙になっている

でもこのままこのまま
本能のまま
生きていくのもいいかもしれない
ちなみに私は虹色蛙になった
ああ なんだか自由だ

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夏生 様 評のお礼です 喜太郎

先ずは褒めて頂き、誠に有馬がとうございます。
とても励みになりました。そして詩を書いていく上での何か大切なものを感じた気がいたします。
これからも精進していきます。

編集・削除(未編集)

詩の書き方 喜太郎

詩を考えている
ほんの些細なキッカケが
大きなうねりとなり
脳内を駆け巡る
そうなると直ぐにダイブする
自分と言う服を脱ぎ捨て
そして性別も国籍も老若男女も
ありとあらゆる可能性の中で
詩の創作者に生まれ変わる
どんな両親のもとに生まれて
どんな育ち方をして
どんな恋をしたり
どんな考えを持っているのか
エトセトラエトセトラ
影の人生が登場人物に彩りを与える
そして指先が赴くままに
フリップ入力してゆく
深く深くダイブした奥底から浮かび上がり
自分を纏う………携帯の画面には一つの詩のようなものが
今 ここにあの人は存在した
架空の世界の中かもしれないが
確実に自分の中では世界の人口に一人増えていた

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朝が来た  朝霧綾め

朝が来た
それを新しいと思うか
変わらないと思うかは人それぞれ
でも朝が来たということ
それだけは確か

地平線の下を通っていた太陽が
ようやく東の空に顔を出した
地面の草に日が射し
家々の屋根が輝いた

じょうろであげた水が
観葉植物の葉の上できらりと光る
湯気を立てるマグカップのコーヒー
眠い目をこすりながら飲む

世界には不幸な人が
たくさんいることを知っている
悲しみのうちに今朝を過ごす人がいることも
でも朝は来る
厳粛で静かに朝は来る

朝が来た
新しくなど ないかもしれない
けれど私は手を振って迎える
今日というこの一日を

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引きこもり   晶子

言葉はあるけど
心はない
力はあるけど
願いはない
その虚しさ
だから僕はゴーレムの
屹立する陰の中
崩れていくのを怖れながら期待する

ゴーレムの額に貼った文字は
『始まれば終わる。何もかも。』
止めることはできたけど
まだ崩れないのは
僕の諦めの悪さ

心はあるけど
言葉がない
願いはあるけど
叶えるすべがない
その腹立たしさよ
輝かしき時よ
僕は唇を噛み締めて
日に血を輝かせて
山を登って来たはず
ゴーレムをつくった土塊は
芳醇な土壌だったはず

ゴーレム ゴーレム
本当はどうしたい
暴れて全てを壊したい
それとも
この引きこもった心から飛び出して
風の良く通る草原を
身体が擦り減るのも構わずに
吠えて走っていきたいか

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
ゴーレム・・・自分で動く泥人形。ロボットのような存在。運用上の厳格な制約が数多くあり、それを守らないと狂暴化する。呪文を唱え、「אמת」(emeth、真理、真実、英語ではtruthと翻訳される)という文字を書いた羊皮紙を人形の額に貼り付けることで完成する。ゴーレムを壊す時には、「אמת」(emeth)の「א」( e )の一文字を消し、「מת」(meth、死んだ、死、英語ではdeathと翻訳される)にすれば良いとされる。

編集・削除(編集済: 2023年08月01日 11:43)

七夕の悲しみ  久遠恭子

織姫と彦星は毎年会えない
こういうことは往々にしてある
雨が降るから仕方ないよとみんな言うけど
分かっているけど…
そこまで言って涙が流れた

『いつか会えるよ』
彦星は言う
『いつかっていつ?』
織姫は問う

こんなことなら
出逢わなければ良かったと織姫は泣く
彦星は困ったように
遠くから彼女の様子を見ている

天の川が何百年も流れ続けたなら
会えるのかしら
星は流星となって
いつか消えるだけでしょう?

悔しくて地団駄を踏むけれど
宇宙はしんとしていて何も答えない
『あなたもわたしも別の星の住人だもの』
織姫は咽び泣く
その嗚咽を聞いても
彦星はやっぱり何も言えないのだ

宇宙の摂理はこんなにも切ない!
誰も抗えないのだ!

それでも何処かに
奇跡と呼べるものが存在するなら
小さな石ころみたいな希望でもいい
あるなら…
織姫と彦星を会わせてあげて下さい
神様どうかお願いします




※お久しぶりです。久遠キョウコというペンネームから久遠恭子に変えました。また、投稿させていただきます。よろしくお願いいたします!

編集・削除(編集済: 2023年07月29日 16:09)
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