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廃止になったteacup掲示板から、この新たな掲示板(ロケットBBS)に引っ越してきて、
きょうでちょうど2年です。
2年で54万あまりのアクセス数がありました。
皆様に感謝致します。
引き続き、皆様のご利用が広がりますことを願ってやみません。
それは、MY DEAR個人のことのみならず、
現代詩の広がりに通ずるものだと思うからです。
引き続きどうぞよろしくお願い申し上げます。
建物ばかりのまちの中に
緑がこんもりと繁っている一角がある
そういうところは
神聖な場所であったりする
ひさしぶりにここへきた
前にきたときよりも
緑のにおいが濃くなっている
最後にきたときは
まだ透きとおるような若葉色だった
ここの楓や楠たちは
今日はことさらにしずかだ
以前は仕事に行くまえに必ずここに立ち寄った
職場の人たちの視線
いや 視線は向けられていない
向けられていないのに
つき刺さる
わたしの目は半分の大きさになった
まぶたでいろんなものを隠すから
心の水面(みなも)を鎮めるために
神さまに手を合わせ
緑に向かって深呼吸をし
ここで禅語の本を読んだ
(神さまは許してくださるだろう)
今はそれらをしていない
自分の中の形のないものを
だれにでも認識できる形にする
そんな試みをはじめたから
水面がふるえて 波立って
何かがポチャリとこぼれると
白い平原に ことばという花がひらく
そんな気がするから
わたしがここにくるのは
今はもっぱら家族のためだ
今日はむすこの修学旅行の安全を
(「困ったときの〜」もたいがいにせよとおっしゃっているだろうか)
お詣りを終えたとき
木々のどこかで 鳥がないた
「鳥啼(な)いて山更(さら)に幽(しずか)なり」✽
わたしの中の水面がふるえた
✽禅の言葉
(六世紀前半の詩人•王籍の五言古詩の一節「蝉噪林逾静(せみさわいではやしいよいよしずか) 鳥啼山更幽」より)
「ありがとう」
涙を瞳に滲ませながら何度も何度も
乾いた手で私の手を握った
病室の孤独なベッドの上で
「来るとは思わなかったから
会えて本当に良かった」
ひととき虚ろな目が活気づき
感謝の言葉を述べるKさん
「元気になったら必ず教会へ伺います。
あなたに続いて洗礼を受けます」
痩せこけた頬に朱が浮かび
力強い口調で断言する
「また詩についてもいろいろ
お話ししましょう」
「ぜひそうしましょう」
二人だけの約束
「詩以外でもお友達でいましょう」
そのKさんの言葉がぐっと心に染み込んだ
お母さんに高校に通学するための
雨の日用にカッパを買ってきてと頼んだ
私のお母さんは少し変わっている
よく幽霊がやってくる
怖い怖いと言っては
お札を部屋中に貼り
ぶつぶつ何か唱えている
私には見えない何かを見ている
私のお母さんだから
私はお母さんがどうあっても好きだ
さっきお母さんはカッパを
買ってきてくれた
いや連れてきてくれた
もちろんそのカッパは
薄緑色で手足があってお皿があって
くりくりした目でこっちを見ている
こんな調子だから親子そろって
いくら人間界に溶け込もうとしても
いまだに友達ができない
パブロフ博士の時代から
流行った行進曲の背中を
巡回バスは規則正しく
労働者を乗せて走る
この街で叩き込まれた
オペレーションと
この体に叩き込まれた
旧態依然の体質を
毎日この血に循環させて
条件反射で生きてきた
時代の風向きが変わったというのに
自由の顔をした支配者の前で
思考も行動も更新できない
情報化したブルドーザーが
知性を薙ぎ倒してゆく
海や山や森を下敷きにして
建設された超高層ビル
記号化された天の川に架ける
巨大な橋のプロジェクト
名もなき欲望は抑圧され
大地に詰め込む人柱
圧縮させて爆発させて
移り変わってゆく景色を
頬杖ついて車窓から眺めていた
自然と無意識が
無意識と肉体が
肉体と人工が
自然と意識が
意識と肉体が
自然と人工とが
交わる錯覚を味わっていた
(こんな事業に加担していたのか)
罪を薄めてでも生き延びるため
あくまでも正当化する俺の肉体
深緑に寝かしつけておいた反骨を覚えているか
この仕事を辞める前に掘り起こしてみるか
友の学校の文化祭
遠くから指差す先に
あの子は笑っていた
学校で一番の人気者だと?
『!』
僕の心は問答無用で
切り捨て御免の恋に落ち
無理無理無理の友の声
何にも知らない初対面
いきなり藪から棒の馬の骨
それでも問答無用で切り捨てられたこの心
責任取ってくれよと這い上がり
必死だろうが決死だろうが立ち向かう
ありのまま思うままの上段の構え
思い切って彼女に振り下ろす
『一目惚れしました
友達から僕を知ってみてください』
多少は太刀筋『友達切り』の弱めにしといだけど
これは決して弱腰なんかじゃない
肉を切らせて骨を断つの極意………かな?
などと思っていたら
『良いよ じゃあ とりあえずLINE交換しよ』
思いっきりの返り討ちをくらいあたふた携帯探し出す
日も暮れて満月照らす俺の部屋
両手で携帯 机に向かい
さぁさ これから本勝負の真剣勝負
今度はしっかり向かい合い
剣先を合わせ立ち向かうのだ
『初めっ!』
この真剣勝負 鍔迫り合いでこちらがリードし
突き放しての面一本の狙い撃ち
決して負けるもんかと
何度も書いては消しての繰り返し
とりあえずは様子見と
小さく小手先狙いで自己紹介
既読がつくだけでベッドでのたうち回る
もう既に一本取られてる気がする
まだまだこれから三本勝負
ん?一目惚れ一本 既読で一本
返信来たら また一本
何本取られても 好き好き大好き!
読んでくださりありがとうございます。本作は私の最近見た夢がモチーフとなっています。レッドロブスターに「ワニ」というメニューがあったのですね。存じ上げませんでした。自分の夢が、詩によって具現化され、さらに現実と繋がっていく有様に感慨深くなりました。その一方で、読み手に伝わる詩を書くという視点で考えると私の夢の話であると伝えた方が良かったか。読み手の経験によってこの詩が唐突でない詩であると感じられたとするならば、この作品はワニを食べさせられる夢であることを書くべきだったかとも思うのです。
こころは
外から見えないから
周りの人は
本人の苦しみに
気づかないけれど
でも
耐えられないほど
つらいことがあったり
ひどいショックを受けたりすれば
こころだって血を流すし
骨折もし
脱臼もする
だから
そんなときには
腕や足と同じように
リハビリをし
ゆっくりと時間をかけて
大切に労わって
回復させてやらないといけない
それでも
ときには
こころを引き裂かれるような
大きな怪我をすることだってある
こころの一番大切な部分ー
そう、周りの世界への信頼を
切断されてしまうことだってある
そんな
取り返しのつかない
過酷な体験をした人は
いったいどうやって
こころを取り戻したらよいのだろう?
同じように
身体の大事なところを
なくしてしまった
パラアスリートが
苦しい葛藤を経て
やがてたどり着いたような
新たな生きがいや目標を
見つけることができるだろうか?
その道筋は
果てしなく遠いかもしれない
でも
パラアスリートが
観客を魅了するのは
そのパフォーマンスだけではないー
遥かな険しい道のりを
乗り越えてきた内面のドラマが
競技の場に臨むその選手を
輝かしているからだ
痛々しく傷ついた
こころを持った人も
書いたり、描いたり、作曲したり、
奥底からの叫びと
苦悩を表現していくうちに
自己を癒し
断ち切られた世界との絆を
回復できるよすがを
見つけられるに違いない
内面の深いところから
発する表現が
わたしたちを感動させ
まさにそのことが
表現する人にとって
生きがいになるだろう
古今の優れた芸術家の多くが
こころと精神に
傷を受けた人たちであることは
決して偶然ではない
私はね
悲しいことがあると
その日の晩ご飯の支度は
玉ねぎを刻むの
だって悲しい顔して泣いていたら
娘が心配するもの
「おかあさん、どうしたの」って
でもね
玉ねぎを刻んでいれば
玉ねぎのせいよって言えるでしょ
いっぱい泣いて
涙を隠して
玉ねぎが飴色に変わる頃は
何で泣いていたか
忘れてしまうのよ
私には娘がいる
この子を一人前の大人に育てなければって
強さに変わるのよ
それが私の人生
Kazu.様
ご無沙汰しております。
ご受賞おめでとうございます。
何回かいただいた丁寧なご批評は大変勉強になりました。
少しでも早くご回復されますようお祈り致します。