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編集・削除(編集済: 2025年01月02日 01:55)

島様 評 感謝  松本福広

こんばんは。
拙作『ペットボトル・ヒューマン』秀作プラスの評価ありがとうございます。

ディティール、意識できていませんでした 苦笑
美文化……書いていて、説明的すぎるかな?と思うことがあって、うん……といった感じがあり、全体的に見直したい部分ですね。
ありがとうございました!

編集・削除(未編集)

島様へ、評のお礼  秋さやか

いつもお忙しい中、評をいただき有難うございます。
今回、前半部分はわりとすらすら浮かんだのですが
後半部分ちょっと試行錯誤してたので
ラストの意図を丁寧に汲んでいただけて嬉しかったです。
乱視でも見えづらい色などが出てくるのですね!
人との会話で、ごめん色弱でちょっとわからないって初めて伝える時は
なんだか劣等感のような気持ちがとてもうっすらですが湧いてきてしまいます。
空が濃く見えるというのは思い込みですかね。それを聞いてから心なし濃くなってる気がしちゃいます笑
珍しくキュンとする詩が書けて良かったです。
また宜しくお願いいたします!
有難うございました。

編集・削除(未編集)

島様 評のお礼です。  荒木章太郎

秀作の評ありがとうございました。やっと、初めて佳作を超えることができました。着地点が分からなくなったり、まとまらなくなったら主訴に立ち返る。最初に戻ることが大切なのですね。勉強になります。本作とはもう少し向き合ってみます。今後ともどうぞよろしくお願いします。

編集・削除(未編集)

登校  ベル

何を悩んでいる
僕の悩みなんてどこ吹く風で
そこに希望を見た
僕の心はどしゃ降りでも
雨をよろこぶ子どももいる

優しい笑顔のお母さん
いってらっしゃいと手を振る
後ろ姿でもそれを感じる
何度も振り返る女の子
雨ガッパに傘を差している
僕はその横を車で通った

何でもない一日でいい
なんてことない一日でいい
女の子が無事に一日を終えて
元気に帰ってくれば
それだけでいい
バックミラーに映る女の子を見て
そう思った

ランドセルは光る
未来を照らして光る
お母さんはいつまでも見守る
きっと見えなくなったあとも

しあわせな視線の先は
他人の僕をも
あたたかい気持ちにさせてくれる

編集・削除(未編集)

評、9/13~9/16、ご投稿分。  島 秀生

能登半島地震のあとの、この豪雨災害は、気の毒すぎます。
一番大切なものだけ仮設住宅に運んだだろうに、それが床上浸水でやられたり
買い直したばかりの車もダメになり、
生業の機械や設備も整えて再開したところだろうに、再度やられたり、
今回は地震を逃れた農地も、軒並みアウトで。
海には流木や土砂が流れ出てるので、漁業もまた当分ダメでしょう。

本当に気の毒すぎます。
立ち直る元気をどこから絞り出せばいいのか、想像もつきません。
心よりお見舞いを申し上げます。



●秋さやかさん「青」  

わあー、ステキなお話ですね。なんか、キュンとくるぞ。
私も乱視起因の遠近がわからなくなる苦手な色があるのだけど、なんにせよ、自分の弱点をあなたの愛情がカバーしてくれる、共に歩んでいける世界が美しいという愛情表現が、とてもステキです。
まずもって人生を俯瞰するところまで話が来てるのがいい。

また、冒頭、

 空が濃くなってきたから
 もう海が近いね

の言葉が、私もちょっと不思議に思った謎かけのような言葉で、だからこそインパクトもあり、その理由が知りたくて、引き込まれるように先を読み進みます。
まあ、本人の言は、堂々巡りなものでしたが、これを契機に作者の色弱の話に派生していきます。子どもの頃、メガネ屋に行って、でも買わなかった苦い思い出がある。
しかしながら今、色弱でも困らない理由として、あなたがいる。愛情の話へと繋がっていきます。

また、ラストの3連もキレイですよね。

 絵筆からこぼれる
 一滴のように
 
 あなたの詩情が
 わたしの空を
 
 青く深めてゆく

色彩弱く見えている作者の視界は、あなたの言葉(詩情)によって、鮮やかな色に変えられてゆきます。
そして、この終盤において「空」は、今見えている空だけでなく、二人の人生の空もまた、そのようであるという暗示に富んでいる。両方を比喩した、とても美しい表現だと思います。
名作&代表作入りを。


●温泉郷さん「ノコンギク」  

ノコンギクは、いわゆる「野菊」(俗称)の中でも代表的なものですね。漢字を当てるなら、野菊の紺色(ホントは紫)のものってことで「野紺菊」の漢字が当てられますが、一般的にカタカナなので、この詩においてもカタカナでいいと思います。地下茎を伸ばして増えていったということなので、まさにそれでしょうね。キク科ですが、キク属でなくシオン(アスター)属になります。
紫色ですが園芸店で見られるアズマギクともまた違う種なんです。
ノコンギクは、日本全国で見られる野生化したものですから、これを鉢植えにされる方は珍しい。このこと一つを取ってみても、この花に何か思い入れがあるのだろうと想像できます。もしかしたら、その昔話と繋がっているのか、あるいは日本に戻ってきた当初に、印象深く残っているものなのかもしれません。共通項としての「ちぎられて、捨てられて」のキーの役割を担っているものではありますが、この花自体にまつわるエピソードや好きな理由もなにかありそうに思えて、ちょっと気になるところではあります。

引っ越しの折に、花の鉢を周囲の人にもらってもらったというのは、とても丁寧な行動ですね。ペットでさえ、保健所に渡しちゃう人が多い昨今ですから。

「昔話」については、なにかありそうな伏線を張られてたので、何が来るのだろうと思いながら読み進みましたが、ラスト2連で待ち受けていたのは、よもやの話でした。

そもそも日本国内での生活がとても貧しかったから、新天地を求めて大陸に渡った人が多いのです。戦争終盤に至るまでは、あちらでの生活の方が豊かだったと話す人も多いです。そのせいか、この世代の人には、あちらの地で生まれたという日本人も、少なからずおられます。
しかしながら、戦争に負けると状況は一変。現地の人の態度も豹変し、命からがら逃げ出すことになります。捕まったら命はない、という状況の中、すし詰め状態で引き揚げ船に乗り込むことになります。終連の記憶は、その時の出来事なのでありましょう。
犠牲になったのは民間人かしら? 逃げてるさなかに見たのかしら? よもや兄弟じゃないよね? 終連、おおよその想像はつくものの、どういった人とか、どういった状況下で見たものとか、あと一歩の示唆があるとありがたいです。読者としては、想像しうる範囲が広すぎる状態にあるので、もう少し想像の範囲を絞れる形で提示してもらえるとベターです。

まあ、ちょっと欲張って希望を出しましたが、まずもってOKな詩ですよ。おまけ名作くらいで。


●荒木章太郎さん「選択の痕」  

おもしろい作品ですね。「選択」と「洗濯」を重ねているところは無論わかりますが、階段のしみの意味するところまで、変化していくところがおもしろい。
歯をくいしばる階段の上り下りは、実生活の一部でもあるでしょうが、高層階から見下ろす君との構図は、生活の在りようを高低で比喩するかのようでもあります。
また、

 君のためを思うという
 悪意のようなシミったれた精神を

ずっと拒否してきたことが、「君に甘える」ということに対しても、素直になれなくしているというところは、気持ちがよくわかるところであります。

秀作あげましょう。だいぶ実力がアップしてきましたね。

この詩、よくがんばって書いてくれてるんですけどね。
一点いえば、3連で、3択があることを書いてられるんだと思うんですが、その3択と、その後の連との関係性がわかりにくい。
「選択ができない」ことから派生してる「洗濯」の話は4~6連までで終わるべきと思います。6連でいちおうオチがついてるので、そこまででよく、
終連では、「洗濯」は抜きにして、3択のうちの、どれと絡んで着地する方向になったのか、そこがわかるように書いたほうが良い。話を元に戻した方が良いです。

現状は、話が散逸していってるように見えます。現状の終連であれば、終連はカットして、その前の連で終わった方がよいです。その方が話にまとまりが出るので。

そのあたり一考してみて下さい。終連の処理だけ直したら、もう一段上がれる作になると思います。


●上田一眞さん「赤い花」  

基本的に、産毛があるやつは違うはずなんですけどね。アヘンを作るケシは産毛がないらしいです。匂いもイヤな匂い系らしい。ただ、アヘンとは違う成分の麻薬でもって禁止されてるハカマオニゲシというのがあって、これは産毛もあり、深紅の大きな花を咲かせるらしいので、これの公算はなきにしもあらずです。正確なところは現物を見てみないと識別は難しい。まあ、警察からでなく(←故意にハッタリを言うことアリ)、市役所からの回答ということであれば、確かだと思います。

警察は、人を疑うのが商売ですし、先入観の塊みたいな人も多いので、不快なことを言われるケースがままあります(テレビドラマとはだいぶ違います)。お父さんが怒ったのもわかる。私も怒り心頭になったことがあるので、よーーくわかる。

それにしても、土地をさかのぼれば、いろいろな想像ができるものですね。徳山藩の医療用まで行くと、感慨深くさえあります。
また、父は知らなくとも、そもそも土地を取得し、煎餅屋をしていた祖父ならば、研究熱心な人だったので、何か知っているかもしれないとの想像も、おもしろいです。
なんというか、このあたり、時間軸をタイムトラベルをしてるみたいなところがおもしろかったです。

これ、隣が駐在所ということなので、「わざわざ警察が来た」感がないんですが、これ、離れた駐在所から、わざわざ警察が調べに来たということであれば、もっとおおごとになってたかもしれないですね。こちらの感覚としてね。
お父さんがお見事なんですが、わりとあっさり終わったところが、あっけないと言えばあっけないのです。駐在さんの出で立ちや表情など、最初の来た時の様子を、もし書けたら、もうちょい追加できるといいですね。
後半、いろんな人が登場したり、想像を大きくしたりして、楽しく読ませてもらいました。前半があっさり終わっていただけに、後半の料理の腕で引き上げた感じですね。
おまけ名作にしましょう。


●松本福広さん「ペットボトル・ヒューマン」

日常から始まり、非日常へ。大量生産、大量消費のペットボトル・シューマンの製造法が語られ、利用法やメリットが語られる。
以上を述べた上で、終盤は、それでも人間でなければできないことが語られます。全体ストーリーは申し分ないです。たいへんおもしろいお話です。

ちょい気になったのはディティールだけです。
3行目は、

どれも、もう一本も入んないよと言いたげな窮屈な声をあげていた。

これでいいと思いますよ。「言葉」でなくても、キュウキュウいう擬音が悲鳴に聞こえるってことで、こういう表現でいいと思いますね。
ここを始め、文体がもちょっと美文になるとベターです。

あと2連の製造方法のところで、ちょっと引っかかるのが、フレーク状って、チップ状のことだと思うのだけど、「減量化」っていうと、形のまま圧縮するイメージなんで、なんか文の前後でイメージが合わない感じがするのと、
「個体の能力が決まる」と言いながら、マーブル状という見た目の話で終了してるのがちょっと引っかかる。
不純物がなく、純度の高い透明の方が、命令をきく精度が上がるとか、あるいは力が強くなるとか、そういう話に着地して欲しい気がする。
要は、ここいいアイデアなので、丁寧に行きましょう。

現状、秀作プラスを。以上の点を一考してもらったら、もう一段上がれる作になると思います。

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「箒星」の意味を調べても。  松本福広

素敵な星雲の画像をインターネットで見つけた。
未だ解明されていない宇宙
光と彩りをともなって煙らせている
空気がないはずの宇宙の煙とはなんだろう?

調べてみたら
星雲は宇宙の中での美しいガスや塵の雲のことを指すとのことだった。
知識がない私は
宇宙の掃除人のような人が
箒星と呼ばれる箒で
星屑と呼ばれる欠片たちを集める。
その集められた星屑たちが
宇宙から捨てられる前に発する煙なのだと
名前だけのイメージで思い浮かべてしまう。

調べると箒星は彗星で
星屑は空に浮かぶ数多の星のことだった。
彗星が地球に星屑の欠片を降らせる。
宇宙からの贈り物、人は星座を描く。
空気のない世界にエーテルを信じたように
人は想像を繋げる。
星と星を繋げて、星座の物語を作る。
星と星のコラージュで綺麗な嘘を作る。
宇宙の掃除人が箒星に乗って宙を飛ぶ夜は流れ星が見えるかもしれない。



エーテル…光の波動説で光を伝える媒質として仮想され、光の電磁波説以後は電磁波の媒質とされた物質。相対性理論によって空間自体を電磁波の媒質とみなせばよいことがわかり、その存在は否定された。(コトバンクより引用)

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怨念  秋乃 夕陽

熱い湯船に浸かりながら
昼の出来事を思い出す

病院の帰りに
行きつけの喫茶店に立ち寄った頃の話
私はお気に入りのコーヒーを片手に
瀬戸内寂聴氏が現代語訳した源氏物語を読んでいた

そこへ現れたのは私にとっては見慣れぬ女性
歳の頃は二十代後半から
三十代前半といったところか
私が座るカウンター席から一つあいた席に座り
カウンターを挟んで差し向かいにいる
その客と同い年ぐらいの若い店主に
まるでどっと流れ落ちる滝の如く大声で話し始めた

ディケンズがどうとか昔は演劇をやっていたとか
結婚して子供の成長が楽しみだとか
まるで麻薬を飲んだような状態になったとか
詳しくは聞き取れないが
ところどころ漏れ聞こえてくる
それでも知らないふりをして物語を読み耽っていた

時間が経つのも忘れ熱中していると
あっという間に時間は過ぎて
ハッと気づいて
スマートホンの画面の時間表示をみた頃には
十二時を少しまわった頃になっていた
母親に十二時半には帰ると伝えていたのを思い出し
慌てて本をカバンにしまい
コーヒーカップに残った冷めた珈琲を飲み干した

カバンと財布を持ちながら椅子から立ち上がった時
ガタッという音を聞きつけて
例の客の話を聞いていた店主が顔を上げた
「ありがとうございました」
店主と店員の声が明るく重なり合い
私に向けられた顔は心なしかホッとした表情

「うるさかったんじゃないですか?」
会計を済ませようとレジへと急ぐ私の背中越しに
思いがけぬ言葉がかけられる

「あ、はいはい」
約束の帰宅時間ばかり気にして
気持ちだけが急いでいた私は
声の主を確認する余裕すらなく
努めて明るい声で曖昧な返事をしてしまってから
「そんなことないですよ、大丈夫ですよ」
そう言いつつ振り返った瞬間
じっとこちらを見つめる客の目に
思わず背筋がぞくっとした

まるで源氏物語の夕顔に出てくる怨霊が
恨めしい目つきで光源氏を睨みつけたような

会計を済まして喫茶店を出てもガラス戸越しから
まだこちらを恨めしげに見つめている

通常ではそこまで恨んだりはしないだろう
きっと正常な精神の持ち主ではないのだろう
そう思うと哀れにも思うが
夕顔の女は頭の中将の北の方から恨みを買って
うら寂れた五条の別邸に逃れ
光源氏と出逢ったがために
彼を慕う怨霊から呪い殺され
私も職場で嫌がらせを受けてそこから逃れ
時空を超え同じ魑魅魍魎の住う都で
夕顔の女のように
いままた所在なき恨みを買うのかと思うと
空恐ろしくなってブルっと体を震わせた

唐突に思い出された湯船の中から
たちのぼる湯気がゆらゆらと揺れて
じっと二つのまなこがこちらを見つめていた

編集・削除(編集済: 2024年09月29日 17:39)

風に乗る金木犀  上田一眞

秋色も色濃くなって来ると
微かな金木犀の香りが漂い
スマホの上を覆う

ぼくの手は止まり
スマホを置く
ふくよかな香りに包まれ
留まる 思考

何という詩情であろう
金木犀の香りを知ったからには
もはや物語を紡げない

でも 秋の光に祝福され
風に乗る金木犀
ぼくはこのたゆとう香りが 限りなく
好きだ

早朝 
音信(おとずれ)川河畔に立つ

編集・削除(編集済: 2024年09月29日 06:03)

つかの間の誓い  温泉郷

地震があるたび
いったん家具は
家の外に出される
アテネでは
そういう習慣があった
この家のアームチェアも2脚
地震の後 外に出された

1脚は背もたれの高い木製の硬いチェア
1脚は背もたれの低い布製の柔らかいチェア

少しだけ雲のある
青空の下
向かい合っている
背景には荒涼とした山脈
遠くには廃墟となった神殿

部屋の中では
離れ離れだったが
はじめて向かい合わせ
今は 家人も見ていない

ほら あなたの眼が見えます
はい あなたの眼も見えます
ほら あなたの声が聞こえます
はい あなたの声も聞こえます
ああ やっとですね…
はい やっとですね…

後ろに置かれた
背の高い黒い箪笥が神父のように
2脚を見守り 冷静に促した

あなたたちをずっと見てきました
わかっています
さあ 時間がありません
部屋に収納される前に
急いで誓いの言葉を

乾いた大地と
澄んだ青空と
見捨てられた神殿が
あなたたちの証人です

(注釈)デ・キリコ ≪谷間の家具≫ 1927年
トレント・エ・ロヴェレート近現代美術館より

編集・削除(編集済: 2024年09月26日 18:45)

沖合  飴山瑛

風がある
雲の切れ間を
すり抜けて

開け放した窓
外ばかり見ているのに
手ひとつも
伸ばさない

昼まで寝ていたから
空がずっと遠い
体の中に
朝が閉じ込められている

埋められた本棚に
過去がある
ひとりになれない
だからずっと
ふるえていた

夢見るために
夜を泳ぐ足
背ははがれてゆき
薄く透けた
魚が飛び立つ
丸い鱗
真珠に似て
ひかる

月の周りには
叫びが根を張って
眼の裏から
蔦を伸ばす

こころはからだを巡る
わたしは
どんどん
ゆるむ

丸い関節が
きりきりと擦れ
小さく粉が舞う
打ち捨てられたマグ
罅が入っている

実感だけを頼りに
飛び去ったわたし
追いかけてみては
浅い眠りが
海のすがたをとる

はなれてゆく
わたしたちを
つなぎとめる
枝にばかりすがりついては
滅びてしまう
いまを
懐にしまい込んでいる

どこかに行きたい
果があるのなら

そこにきっと
真がある

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