◆ここは「MY DEAR掲示板」です。
詩をある程度の期間書いている方、詩に意欲的に取り組みたい方、詩人に向け成長を目指す方はこの掲示板をご利用下さい。
あなたの詩をしっかりと読み、評や感想を、しっかりと書かせて頂きます。
ここから詩人として巣立った人は数知れず、です。あなたの詩を継続的に見守り、詩の成長を助ける掲示板です。
(あのーー、私が言うことでもないんですけど、詩は自由を旨としていますから、どこにでも投稿しようと思えば、投稿できないところはないんですけど、いきなり大きなところに挑戦しても、世の多くのものがそうであるように、ポッと書いて、ポッと通用する、ポッと賞が取れる、なんてことは、まずありえないことというか、相当に稀有な話なのです。
やってみることは止めませんけど、大きなところのノー・レスポンスにがっかりしたら、
あきらめてしまう前にMY DEARに来ませんか?
MY DEARは投稿された作品全部に評をお返しします。
本来、こつこつ実力をつけてから、賞などに挑戦するのが、スジだと思いませんか?
MY DEARはあなたのこつこつを、支援するところです。)
なお「MY DEAR掲示板」では、新規ご参加の際に、ペンネームとメルアドの届け出が必ず必要です。
これは掲示板内の安全を守るため、管理人に限って把握させて頂くものです(他へは一切出しません)
★★新規ご参加の際は、★★
HP(掲示板上の「ホーム」ボタン)の、トップページ右側にある管理人リンクから、必ず届け出をお願い致します。
これは参加者全員にお願いしております。
◆初めて詩を書く方や、おっかなびっくり詩を書いてみようかなあーという方、
「MY DEAR掲示板」ではハードルが高すぎるよと感じる方には、別途、
<<初心者向け詩の投稿掲示板>>
https://www3.rocketbbs.com/13/bbs.cgi?id=mydear
をご用意しております。(上記リンクから飛んで下さい)
こちらは、「メルアド届け出不要・いきなり書き込みOK・出入り自由」ですので、
なんら気にするところなく、いつでも詩を書き込んで頂けます。
誰でも、どんな人でも、気軽に詩に親しんでもらうための掲示板です。学生さん、小中学生の方も歓迎です。
投稿された詩については、詩を読んだ感想を、レギュラーメンバーの誰かが、手短なコメント(5行程度)で返してくれます。
どうぞご希望に応じて、各掲示板をご利用下さい!!!
作品の構造や転換の部分を丁寧に読み取っていただき、とても嬉しく思います。
特に〈けれどね〉の一行や、最後の二行について触れていただけたことをありがたく思います。
自分なりに、できるだけ説明せずに日常の事実を積み重ねることを意識して書いておりますので、その点を感じていただけたことが励みになりました。
この度はありがとうございました。
たった一人の親なんだから。
終わりが見えない介護の弱音を漏らした時
他の人から放られた言葉。
たった一人の子どもなんだから。
一般論や、他の子との比較に苦しむ時に
親に言われた言葉。
立場のねじれが1という
貴重な数字として還元される厳しさは
まだ1回も折っていない紙のように硬い。
神様は老いてゆく母に
残りの人生を歩いてほしいらしい。
欠けてゆく恐怖への処方箋に
忘却だけを包んで寄越した。
情報提供書は白紙のまま
メモにするか、子どもの折り紙になるしかない。
帯状に切った紙の端を180度ひねり
端と端を貼り合わせて
表も裏もないという不思議な輪。
母が見せてくれた
不思議な輪の名前を思い出せない。
紙が切られる。
自分で切った訳ではない……はず。
大切にしていたことすら
手から落ちて
切れ目の中にこぼれていく。
切った断面を眺めることしかできない中で
失われないものは名前。
親から子どもに与えられ
生涯に寄り添う名前。
誰かから裏切られたり
後ろ指をさされる明日でも
残るもの。
神様よりも近くにいて
神様を教わるより先に
与えられたもの。
それを与えてくれた人とは
紙の端と端にいるようだ。
近くにいるはずなのに触れ合えない。
一枚の紙のように広がるなだらかな関係が
細い帯のように頼りない関係に変わる様は
裏返しただけで説明がつかない。
言い争うことも増えた。
そういうものだとは知ったつもりだ。
知っているつもりでも
我慢できなくなる時がある。
ねじれてしまった、たった1つの……。
切っても
切られても
ねじれても
端と端が繋がったまま
歪なままでも
表も裏もなくいられる形の名前。
ねぇ。
ふと朧げに浮かんだ
安心する『名前』を呼んだ。
名前とは不思議なものだ。
神様が本当にいるかはわからないけれど
それだけは、ずっと私のそばにあった。
振り返れない身体でも
きっかけがなければ思い出せない
おぼつかない今でも
懐かしい響きとして耳に入る。
私も誰かに
そんな名前を与えられただろうか。
今、読んだ名前は
そうなるように
誰かに
望みを託した『名前』だ。
たった1つの。
紗野玲空様
拙作「向こう側」にご講評とご感想をいただき、ありがとうございます。
佳作とのこと、誉れとします。
本作、数字を計算式で終わらせるのではなく、数字を越えた世界への人間の執念と、それに従事し続ける人間像が主題です。
深く読み解いていただき、とても嬉しいです。
アイデアの起点は、実はファミコンゲームの8ビット制約です。ROM容量が256KBの世界では最大値数が255になる。これ以上の数が存在しない世界で、王様は、その先を望みます。
久しぶりに「佳作」をいただきました。
推敲を重ねた(過ぎた)詩が、次々と半歩前、一歩前との評価をいただく中で、推敲3回縛り、初稿のイメージのままが、今は作品として良いようです。
ご指導、感謝いたします。
次回も宜しくお願いいたします。
この度も、拙作『イリス』に丁寧なご講評をいただき、ありがとうございます。
紗野様へ初投稿した『黒豆を煮る』のことまで覚えていてくださり、何よりうれしく、胸が温かくなりました。
〈閑話ひとつ〉もとても素敵でした。イリスの香料にまつわるお話も興味深く拝読し、この花がさらに愛おしく感じられました。
これからも、日々の何気ない光景のなかに眠る詩の種を、丁寧にすくい上げていきたいと思います。
僕はある日 夢色の接着剤を見つけた
試しにピンク色のカエルと緑色のウサギを
くっつけたら見事な豹柄のコウモリが産まれた
ケンカしている人同士をくっつけたら
長い角を生やしたユニコーンが産まれた
あまりにも面白いのでいろんな物を
くっつけていたら
景色がピカソのようなキュビズム調に変わっていった
もうこの世界に僕という世代は存在しない
全てが混沌としたシチューのように煮込まれている
果たして意味などどこにあるのだろう
愛してるって誰かが言った
僕もだよって笑いかけた
赤黄緑の三色のグミでできた
トランポリンで僕らは跳ね回った
遥か向こうから
夕焼けが僕らを焦がしにやってくる
優しく焦がして愛しく食べてね
天使さん 悪魔くん 神さま♪
4/21〜4/23にご投稿いただいた作品の感想・評でございます。
素敵な詩をありがとうございました。
一所懸命、拝読させていただきました。
しかしながら、作者の意図を読み取れていない部分も多々あるかと存じます。
的外れな感想を述べてしまっているかも知れませんが、詩の味わい方の一つとして、お考えいただけたら幸いです。
*******
☆「向こう側」 aristotles200さま
aristotles200様、こんにちは。
御投稿ありがとうございます。
冒頭、
1+1
+1
+1+1+1+1+1+...
という視覚的な数式から詩が始まりますね。
言葉ではなく数字を積み重ねることで詩が始まってゆく……その逆説的な出だしに、不思議な引力を感じました。
中盤の「昔話」の挿話が秀逸だと思います。
王様の命令によって550年間、1を足し続ける一族という設定は、おかしみを帯びながら、人間の営みの儚さや滑稽さをしみじみと映し出しています。
〈毎年、一度/王様のご子孫に報告する〉から続く淡々とした描写、そして〈お前も、父の跡を継ぐのだ〉という一言が、世代を超えた宿命の重さをさりげなく伝えています。
大げさに語らないからこそ生まれる、静かなおかしさと哀愁が印象的です。
後半、王様の独白へと転じると、詩の温度がにわかに上昇します。
〈無に至るのか/宇宙が爆発するのか/誰も理解らない〉という問いは、数学的な無限の先に広がる未知への畏怖そのものです。
そして究極の数をなお追い求める王様の姿に、知の限界に挑む人間の真摯さと、力業で何事も解決しようとする権力者の滑稽さ、その両方が重なって見えます。
無限という概念を哲学や数学の言葉で論じるのではなく、一族の物語という「人間の時間」を通して語ったところに、この詩の深みがあると思います。
「数字の向こう側」を知りたいという王様の願いは、そのまま人類の根源的な問いと愚かさに静かに接続されているように感じます。
無限という途方もない概念を、王家への「報告」や父から子への「継承」という人間的な営みの中に落とし込んだ構成の妙を感じました。
壮大なテーマがおかしみと哀愁を帯びて静かに着地しており、独特の余韻を残します。
完成度の高い一篇だと感じました。
御作、佳作とさせていただきます。
ありがとうございました。
※閑話ひとつ
アラブ、インドの民話に「チェス盤と小麦の話」があります。
チェスゲームの発明者が王様に褒美を求めた際に、チェス盤の1マス目に小麦を1粒、2マス目に2粒、3マス目に4粒……と倍々に置いていくと、最終的に世界中の小麦をはるかに超える量になる……逸話のようです。
「指数的な増大」や「無限の恐ろしさ」を語る際によく引用されるようですね。
本詩の場合は倍々ではなく「ひたすら1を足す」のですから、より愚直でのんびりとした無限感が漂い、そこにこの詩ならではのユーモアと哀愁があると思いました。
*******
☆「スロウダンス」 上原有栖さま
上原有栖様、こんにちは。
御投稿ありがとうございます。
冒頭から、死という重いテーマが真正面から置かれます。
しかし、そこに気負いはなく、〈“サイエンス・フィクション”じゃないから〉という軽やかな一行が、読む者をふっと現実へ引き戻してくれます。
「令和」という言葉を使ったことで、遠い哲学的な話ではなく、今日を生きる私たちの問題なのだと、自然に感じられました。
〈刻まれた墓碑名もいつか掠れてしまうだろう〉という静かなイメージで、最初の連はそっと閉じられます。
第2連の〈何のために生まれて/何を成すため生きるのか〉は、誰もが一度は抱く問いですね。
答えを出すのではなく、「分からないまま終わるのは嫌だから探してみよう」と前を向く……。
その素直さが、とても好ましく映ります。
第3連……「ステップ・バイ・ステップ」が、この詩の核心と思われます。
他の人には小さく見える一歩でも、自分にとっては大きな一歩になる、という主張は、全ての読者に大きな励ましを与えることでしょう。
〈二つの踵で地面を鳴らして〉という行からは、ダンスの躍動感が体ごと伝わってきます。
詩自体も、生き生きと動き出す感じがしました。
〈前へ!前へ!前へ!〉の三連打は、自然と背筋が伸びるようです。
終わりに向かうにつれて、詩の速度や温度もゆっくりと落ち着いていきます。
スロウでいい、拙くてもいい、という言葉が、急かさない優しさで包んでくれます。
生きている限り歩いて踊り続ける、というシンプルな宣言が、静かな余韻を残しました。
重いテーマではありますが、前向きな考え方に貫かれた詩は、さわやかな読後感をもたらしてくれます。
口語と詩的言語のバランスも自然で、等身大の言葉で書かれているため読みやすく、普遍的で共感を得やすい佳作だと思いました。
細かいことですが、気になった点を少し申し上げますね。
冒頭の墓碑名のイメージと、終連のダンスの余韻が少し離れている印象を受けます。
どこかでそっと結びつけると、詩の輪がきれいに閉じるように思います。
『人生はダンスのようなもの』の引用は詩の流れを止めてしまっているような印象があります。
この比喩はすでに詩全体が体現していますので、あえて言語化しなくとも伝わるかと思います。
真摯に生と向き合った、誠実な眼差しが伝わってくる一篇でした。
御作、佳作半歩手前とさせていただきます。
ありがとうございました。
※閑話ひとつ
スロウダンス(Slow Dance)とは、恋人同士が寄り添ってゆっくり踊るペアダンスや、穏やかな曲に乗って流れるように舞うダンスを指すようです。
転じて、焦らず時間をかけて関係や愛情を育む様子にも使われるとか。
作品の主題は、前へ踏み出す一歩にあると思います。
題……私でしたら『ステップ・バイ・ステップ』とするかもしれません。
*******
☆「イリス」 ゆづはさま
ゆづは様、こんにちは。
御投稿ありがとうございます。
〈今日は風が強い〉というごく日常的な一行から詩は始まります。
肩肘を張らない出だしが、かえって読者を詩の世界へ自然に引き込んでくれますね。
〈乾いてゆく洗濯物の/はためき〉という、どこにでもある午後の光景。
その片隅に、イリスが静かに咲いている……という導入の運びが、とても心地よいです。
第2連、〈白いシャツに風が宿る〉という一行が印象的です。
花と洗濯物という、一見かけ離れた二つのもの、白く清潔なものが「風」によってそっと結ばれているのが素敵です。
この感覚の細やかさに、詩人の眼差しの確かさを感じました。
黒豆を煮る……ゆづはさんらしさですね。
第3連の〈地を刺す 緑の刃〉は、イリスの葉の鋭さを鮮やかに捉えています。
そのあいだで〈白き冠がほどけてゆく〉という対比も美しく、力強さと儚さが一つの花の中に共存している様子が目に浮かびます。
第4連が、この詩の核心でしょう。
イリスが女神の名を持つ花であること、球根として土の底で冬を越すこと……その事実を踏まえながら、〈昏い土の底に眠る記憶を/密やかな 香りに変えて〉と展開するところに、深い詩的な想像力を感じました。
長い沈黙の時間が、香りという形で甦る。
その転換がとても美しいです。
そして〈いま 足元から/凛として空を仰ぐ〉という立ち姿。
土の記憶を携えたまま、まっすぐ空へ向かうイリスの姿が、静かな感動を呼びます。
終連、〈瞼を閉じても消えない/その純白〉という表現で、花の印象が視覚を超えて内側へ刻まれていく様子が伝わります。
〈まばゆい季節を/ひらいてゆく〉という結びは、春への讃歌として明るく、詩全体を柔らかく照らして閉じます。
日常の一場面から始まり、花の神話的な背景へと静かに深まっていく構成が巧みだと感じました。
「風」「白」「香り」といったイメージが詩全体を通して自然に響き合い、統一感があります。
言葉の選び方が丁寧で、押しつけがましさがなく、読後に清々しい余韻が残ります。
庭で実際に咲いた花を詠んだという背景も、詩に温かみと実感を添えています。
今年もイリスが咲いてくれたこと、それ自体が詩の喜びですね。
素敵な写真も添えていただきありがとうございました。
御作、佳作とさせていただきます。
ありがとうございました。
※閑話ひとつ
イリスは、もっとも高価な天然香料だそう。
ギリシア・ローマ時代から利用されてきたとか。
根をそのまま刻んで香料として使っていたのが始まりのようです。
日本には明治時代に香料採取を目的に輸入されたようですが、香料用に栽培された事例は不明。
香料の採取方法は、「生育した根茎を洗浄、剥皮、天日乾燥後、2~3年間貯蔵すると、収穫直後の青臭い馬鈴薯のような香りがイリス特有の強いスミレに似た香気に熟成される」そうです。
*******
☆「晴れやかにして下さい」 じじいじじいさま
じじいじじい様、こんにちは。
御投稿ありがとうございます。
入学式の新入生の言葉がそのまま引用される形で詩は始まります。
〈私達は本日、、、、以上〉という省略の仕方が、式典の空気をユーモラスに、しかし少し冷めた目で切り取っていて、語り手の心境をさりげなく示しています。
日記や独白に近い文体で書かれていますね。
それがかえって、この詩の強みになっているように思います。
飾らない言葉だからこそ、十五歳の複雑な心のうちが、そのまま伝わってきます。
第一志望に敗れたまま入学式を迎えた悔しさ、喜ぶ両親への苛立ち、これから始まる三年間への不安……。
それらが整理されないまま、ぶつかり合いながら流れ出てくる様子に、読んでいてじんとするものがありました。
〈なんてひどい親だと私は感じている〉という言葉も、子どもらしい怒りでありながら、わかってほしいという切実さが滲んでいます。
「勝者と敗者の入り組んだ高校生活」という言葉には、鋭い観察眼も感じられました。
〈受験勉強だけではなく部活も恋もしてみたい〉という一行が、この詩の中でとても輝いています。
不安と悔しさに満ちた詩の中で、ここだけに十五歳の瑞々しい希望が顔を出していて、胸を打ちます。
最後の〈誰か私の精神状態を晴れやかにして下さい/お願いだから〉。
詩の作法としてどうこうではなく、この叫びの正直さに、心打たれました。
全体を通し、技巧よりも正直さを選んだ作品だと思います。
飾らない言葉で書かれているからこそ、語り手の感情はまっすぐ届きます。
詩としてさらに磨くとすれば、散文的な説明の部分を少し削ぎ落とし、感情の核心に近い言葉だけを残してみるのも一つの方法だと思います。
たとえば両親の描写や高校の偏差値の説明は、もう少し短くまとめると、悔しさや不安がより鮮明に浮かび上がるかもしれません。
御作、佳作半歩手前とさせていただきます。
ありがとうございました。
※閑話ひとつ
2行目の「受検戦争」は「受験戦争」
最後から3行目の「受験勉強勉強」は「受験勉強」ではないでしょうか……。
*******
☆「命と魂」 相野零次さま
相野零次様、こんにちは。
御投稿ありがとうございます。
〈魂というものがあります〉という静かな一行から詩は始まります。
〈魂は誰に宿るのだろう/何に宿るのだろう〉という問いの連なりは、子どもが夜空を見上
げながらひとりごとを言うような、素朴な不思議さを漂わせています。
飾らない問いかけの積み重ねが、読者を詩の世界へ自然に誘ってくれます。
中盤で、希望と絶望を惑星に見立てた比喩が登場します。
宇宙をめぐる惑星のように、希望と絶望が命の周りを巡るという発想は、スケールが大きく、若々しい想像力を感じます。
スペースシャトルやUFO、スペースデブリといった言葉を詩の中に持ち込む大胆さも、この詩ならではの個性ですね。
〈私達一人一人が星であり、宇宙そのものです〉という一行が、この詩の核心でしょうか。
希望や絶望に輝いたりくすんだりしながら、それでも一つの星として存在しているという眼差しは、温かく、力強いです。
最後の〈僕の若き悩みよ/あの輝きの一部となって帰ってこい!/そして僕の愛するあの子のところへ届きますように!〉という結びには、思わず顔がほころびました。
全体を通して、宇宙という大きなイメージを軸に据えた発想の豊かさが本詩の一番の魅力だと思います。
しかし、宇宙のイメージが次々と登場する分、少し散らかった印象も受けます。
惑星、シャトル、UFO、デブリ、流星、オーロラ……と言葉を重ねるよりも、いくつかに絞って一つ一つを丁寧に描くと、詩の輪郭がより鮮やかになるように思います。
壮大なスケールで混乱するので図式化してみました。
魂について考える
→悩みの中でひとつ見出す
→それが希望と絶望
希望と絶望→宇宙をめぐり
命(希望や絶望)の上にたどりつく
私たちが星であり宇宙である
希望と絶望により光景が変わる(絶景)
↑
どこからでも見ることができる
宇宙の一部である自分
他の宇宙の美しい様態を見る
←悩み(希望や絶望)などなんてことない
→輝きとなってあの子のところへ
場面により視点が変化していき、注意深く読まないと論点を見失いそうです。
結局、私たちは宇宙の一部であり、悩みなどは他の美しい宇宙の輝きとなり、愛する人に届いてほしいということでしょうか。
『命と魂』と題されていますが、問いがそこから始まってはいるものの、結論への考察の過程で、主となる問い自体が変化しているようです。
少なくとも「希望や絶望」の方に重点がおかれて紡がれていくような印象を受けました。
題を再考されてもよいかもしれません。
初めての方なので評は控えさせていただきますが、佳き作品でした。
ありがとうございました。
※閑話ひとつ
今回初めて担当させていただくにあたり、過去の相野さんの作品を拝読させていただきました。
長短、様々なタイプの詩をお書きになる方で、感嘆いたしました。
「孤独な季節に」「夢」…特に素敵な作品で印象に残っています。
*******
☆「ヒーローになれたら良かったのに」 三津山破依さま
三津山破依様、こんにちは。
御投稿ありがとうございます。
〈ある日、突然/気づいたんだ。/ボクは世界を救えないってこと。〉という出だしから、一気に引き込まれました。
友人への打ち明け話のような親しみやすい語り口は、〈うすうす、分かってた/ボクが微力だってことに。〉と、「気づき」をふっと軽く運び、読者をすっと詩の中へ引き込んでくれます。
この小さな自己開示が、語り手をとても身近な存在に感じさせてくれます。
訓練して、勉強して、席を譲って、空き缶を拾って、迷子の仔犬を捜す……。
できる範囲で精一杯やってきた、その積み重ねが丁寧に並べられます。
読んでいると、これはヒーローの修行ではなく、善良に生きようとしてきた日々そのものだと気づきます。
そして〈けれどね〉という一行。
この短い接続詞一つで、詩が大きく転換します。
何かドラマチックなことが起きるのかと思いきや……。
〈お母さんが呼んでいる。〉
〈おばあちゃんの/オムツを/替えなくちゃ。〉
この落差に、息をのみました。
世界を救う夢と、目の前の介護。
大げさな言葉は一切なく、ただ事実だけが静かに置かれています。
だからこそ、じんと胸に沁みます。
そして最後の二行。
〈今日はよいお天気。/洗濯ものがよく乾く。〉
この明るさが、この詩の真骨頂だと思いました。
嘆くわけでも、諦めるわけでもなく、ただ今日の洗濯物がよく乾くことを、静かに受け取っている。
その小さな肯定の中に、本当のヒーローの姿が見えるようです。
大きな夢から日常の介護へという転換を、〈けれどね〉一言で成し遂げる手腕は見事だと感じました。
最後の二行の明るさと静けさが、詩全体を深く照らしています。
説明せず、語りすぎず、事実だけで感動を生み出す力があります。
あえて申し上げるとすれば、〈ずっと訓練してた〉の「訓練」という言葉がやや唐突で、ヒーローごっこのような印象を与えます。
詩の後半の静けさとの温度差も考慮しつつ、ご一考いただけますと幸いです。
初めての方ですので、感想をのべさせていただきました。
ありがとうございました。
※閑話ひとつ
「ヒーロー」の語源は、古代ギリシャ語の「ヘーロース」(ἥρως)だそうです。
その語根をたどると「守る」「保護する」という意味に行き着くとか。
ヒーローになるために必要なのは世界を救う力ではなく、「守る」力……。
おばあちゃんのオムツを替える「ボク」は、その語源にとても近いところにいるように思えます。
薫風に洗濯物がはためいています。
*******
以上、6作品をご投稿いただき、誠にありがとうございました。
それぞれに、心を打つ素晴らしい作品でした。
拙い読みの中で、十分に 汲み取れていない部分も多かったかと存じます。
もし読み違いなどがございましたら、お知らせいただけましたら幸いです。
三浦さんのアフターアワーズ…ちょこっと真似させていただきました。
毎回、評をさせていただく度に大きな学びがあります。
閑話ひとつとして、調べたことを記させていただきました。
X内にMY DEAR園芸部発足☺️
育てている植物の情報交換を行っています。
緑燃える季節。
皆様の創作も豊かな緑につつまれますように、ご健康とご健筆を祈っております。
窓枠に収まっていた空が
年を追うごとに
狭くなってゆく
隣家の屋根がせり出し
かつての月光を
幾何学に切り取る
溢れていたはずの光を
奪われたのではなく
私にとっての余白が
この形をしていただけなのだと
深く頷く
使い古したブランケットを
畳むように
日々の手垢がついた記憶を
一枚ずつ 奥へ仕舞い込む
無音の時間が
足元から満ちてくる
月は変わらぬ眼差しで
閉ざされてゆく窓を
見つめている
過去という薄い皮膜を
爪先で そっと剥がせば
その向こうに
まだ名づけようのない光が
透けて見える
欠けた空を抱きしめたまま
すべてを
白日の淵へと 放してゆく
永遠を探しに旅に出よう。
どこから探したら良いのか、
何から探したら良いのか、
さっぱり分からない。
そもそも永遠がどんなものかさえ分からないのに。
「永遠」と名札に書いて、
突っ立ってくれていたら良いのだけれど。
虹色に輝いて、
ほんわか暖かいものなのか、
黒い爪楊枝のように、
ちょっぴり危険なヤツなのか。
金平糖のように甘ければ良いのだけれど。
それでも誰しもが
ポケットの中に永遠のカケラを隠し持っていて、
出会った二人で見せ合いっこ。
足りない部分を補い合えれば、
なんとなく理解できるのかも。
なんかヘンテコなものでも、
二人で作ったものなら
それはそれで一つの永遠のカタチ。
それは一つの幸せのカタチなのだと。
意識はある
身体が動かない
改札へ、駅員さんにいう
具合が悪いです、と
倒れてしまった
救急隊が呼ばれる
大丈夫ですかー
お名前は言えますかー
沈黙、動かない
担架で救急車へ運ぶことに
よっこいしょ
…びくともしない
すいません、駅員さんもお手伝いを
さあ、みんなで
よっこいしょ
…やはり、微動だにしない
大の男七人でも動かない
皆、顔を見合わせる
レスキュー隊が呼ばれ
昇降機で
大型ストレッチャーに
乗せれない
昇降機は
異音を発して壊れてしまった
警察も呼ばれ
ブルーシートで囲まれる
医師も到着し診察
分からない
大学の先生も呼ばれた
時空が違うとしか
身体はここにあっても
何かのタイミングで、今にいない
動かない、どうしようもない
医師も、警察も帰ってしまう
仕方がない
アクリル板で囲い
改札も通常運用に、日常が始まる
置き物と化して
時間だけが経っていく
最初は、妻と子が
……
老いた妻は来なくなり
成人した子、その家族
次に
老いた子と孫…
そして身内は誰も来なくなった
駅は改築されていく
いつの間にか
アクリル板の近くはゴミ置き場に
やがて
倉庫に変わり無人
忘れられたまま
時間だけが消えていく
突然
白いプラズマ光に囲まれ
一瞬で全てが、都市が吹き飛ぶ
辺り一面、ガラス化した荒野へと
それでも
宙に浮いたまま
横たわっている
もう、考えるのを止めた
荒野に一人、浮かんでいる
夢を見ている
通勤の途中
数千年前の現実
時空は止まっている
数十億年を経て
太陽は膨張し、星を呑み込む
最後は白色矮星と化し
何処かへ行ってしまった
宇宙空間に
一人、浮かんでいる…
涙が、頬をつたう…
意識が
遠ざかっていく
✳
お客さん、大丈夫ですか
身体を揺らされてる
救急隊の方、こちらです
いきなり、倒れられて…
起き上がり
辺りを見回す
数百億年前の光景が目の前に
だ、大丈夫です
そのまま
改札を出た
過去の疫病。ハンセン病や、ペストを経て一般論では「正しい知識があればパニックは防げる」なんてことを教訓にしていたけど、新型の疫病の教訓としては、どうなのだろう?
親の死に目に会えなかったり。エッセンシャルワーカーの方が心無い言葉をかけられたり。他県ナンバーの車の方に嫌がらせしたり。デマを振り撒く人もいたり。鉄にも似た布。世間。御指摘のとおり、具体例を一つでもあげれば伝わりやすかったかもですね。とは言え……他国を見れば、ロックダウンもあるから、その指摘も当然だなと。
我が国、我が身を振り返れば、過去の事例に、そんな一般論は神の目線でしかないなぁと。この反省はどう活かしたらいいだろう?
それでも、あの頃のことは覚えておきたい。日記をつける習慣はないのですが、あの頃のことはつけておいたら読み返したくなるだろうなぁと。
→ 言葉のイメージの一体感や、言葉織りなすイメージの変容の方法等
ここは特に嬉しいです!
モチーフが散らばることが多かった……指摘されていたけれど、自覚したのは、つい最近💧
書き終わって、投稿。投稿したら自分でも思っていた部分を指摘され「……やっぱりダメか。治していこう」と思い、意識しました。
なるべくなるべく一体感をもって!を意識しました。
佳作の評、ありがとうございます。励みになります。またよろしくお願いします。