幸せな帰り道
私は祈るように歩く
もう数千回目に
同じこの道を踏むはずの一歩一歩が
今日は この上なく大切なものであるような
そんな気がしてきて
虫の鳴き声も 焼き鳥屋の匂いも ねこじゃらしの手触りも
すべてが愛おしい
薄墨色の夜空を見上げれば
月が黄色く光っている
私は思わずため息をつく
一歩一歩にこめていた祈りに
さらに幸福のため息を加えて
ゆっくりと 私は歩く
踏みしめるように
味わうように
コトコトと聞こえてくる
見知らぬ人々の足音が
互いに労い 励ましあっている
薄墨色から紺色に変わっていく空には
一番星が
光りはじめた
「いいね 白髪がなくて」
黒い髪の私にそう言った友人は
目立ち始めた白髪のために
髪を茶色く染めている
自分を優位に置くタチじゃないので
対応は 謙虚に
良いことばかりでもないよ
お手入れなしで済ませちゃうんだよ
あながち謙遜だけでもない
朝とりあえず 梳かしはするけど
スタイリングにはほど遠い
心の底には
いいな 茶色の髪
ちょっとだけ うらやましい
週末のドラッグストア
どうしても 染めなくちゃならない
訳じゃないけど
一歩 踏み出してみようかな
髪染めクリームを手に取った
その夜
説明書見て ゴム手袋して
私の髪も茶色になった
そして月曜日
誰か気づいてくれるかな?
足音が する
そっとドキドキの更衣室
ドアが 開く
どこか違うと思ったら
髪の色だね いいよ似合ってる
やった
鼻歌まじりで一日中
肩先の 髪が見えると嬉しくて
夜のお風呂の洗面台は
鏡の前に 少し長く居た
よし
染めた後の
傷んだ髪にも気づかれたくない
つや出しクリームは惜しまずたっぷり
はみ出した髪も放っておけない
スプレーで固めて身だしなみ
鏡の中の 私は
今までの自分と何だか違う
髪の色 だけじゃない
セットの仕方や目線や微笑み
顎まで 少し上がってる
髪に気をやって夢中でお手入れ
自分自身にも 気合が入る
謙遜じみて 言ってたけど
無頓着にもほどがあると
これまでの私に教えてやりたい
白髪がなくていいねと言われて
上から下まであるがまま
子どもの頃なら ひとつの個性で
悪いことではないんだろうけど
こうなってみると ちょっとね
鼻高になったら恥ずかしかったな
春の風が好き
新緑の匂いが混じる
薄桃色の風
貴女の優しさに似た
僕を包みこむ幸せの風
夏の風が好き
花火の音と火薬の匂いを運ぶ
少し湿ったぬるい風
貴女と僕が
共に過ごした夜の風
秋の風が好き
金木犀香る
甘い風
貴女が好きだった
紅葉を鳴らす楽しげな風
冬の風が好き
ひらひら雪を踊らせる
痛みを伴う冷たい風
貴女と僕がさよならした
あの日の貴女を呼び起こす風
先ずは『ファーストキス』への評、大変遅くなりましたが、本当にありがとうございました。正直、評を読んで嬉しくて嬉しくてたまりませんでした。
ですが、私はここのサイト内でのルールを破ったり、人として過ちを犯しました。
同じ作品を2度投稿したり、評をいただいたにも関わらず、お礼の一言も言わなかったりと本来でしたら出禁も当たり前の事をしました。そのような最低な私ですが管理者様より猶予をいただき、投稿を許されました。
皆様が大切に大事に育んできた当サイトを汚す様な事をここに謝罪いたします。
誠に申し訳ございませんでした。
今後、このようなことの無いよう気をつけますので、お許し下さい。
詩は自分の中では生きている証です。これからも続けていきたいです。どうかよろしくお願い致します。
長々と書きましたが、管理者様、並びに各先生様の優しさへの感謝と、そして皆様、投稿者様への心からの謝罪、本当に申し訳ございませんでした。
まだまだ初心者の私の様な『詩のようなもの』を読んでいただき、ご感想までいただき、とても嬉しく思いました。まだまだ稚拙な作品ですが、頑張って書いてゆきたいとお思います。
今回はご丁寧に感想と指導をいただき、誠にありがとうございました。
遅くなりましたが、読んでいただき誠にありがとあございました。それにご丁寧にも、細やかな指導をしていただき勉強になりました。ありがとうございます。何度も読み直し勉強しています。本当にありがとうございました。
ありがとうございます。佳作をいただけるとは思ってもいなく、とにかく驚きました。自分の中でも展開が急すぎたかなとは思いましたが、今後もっと考えてスムーズな流れに持っていければと思います。素直に褒めて頂き誠にありがとうございます。今後の励みになります。頑張ります。
今日という一ページを生きる
僕が君という物語に登場した日
初めましてなのに はじめてじゃない
やっと逢えたねという感じ
光の中 君を見つめる
君は君というキャンバスにどんな未来を描くだろう
そして僕はどのページまで登場するのか
どこで出会ったのだろう
いつか遠い思い出となるのだろう
最後のページまで どんな役でも
君といられたら
雨脚強まる今日
人々は居場所へ帰り
明日に向けて
支度をしている
観光したり
故郷に帰ったり
支度をしながら
祝日を振り返る
あの場所で撮った写真
あの場所で見た光景
どれも新鮮すぎて
言ったら切が無い
思い出は増えるばかりで
色褪せることなく
心の中に残り続ける
しかしそんな日も今日限り
明日になればまた
憂鬱な顔を見るようになる
楽しい時間は短い
それまで有意義に過ごそう
ゆっくりしようか
そう決めた人も多いだろう
今もなお
雨は降っている
止むのに時間がかかりそうだ