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編集・削除(編集済: 2025年01月02日 01:55)

感想と評 3/24~3/27 ご投稿分 三浦志郎 4/1

1 晶子さん 「慟哭」 3/24

まずは2011年 3月11日。不幸に直に遭遇してしまったお知り合いがいたのかもしれない。東北地方に。 2連半ばまで、いい感じで読めました。「二千十一年の春」以降、連の終わりまで、ここが読解の迷子になりそうなんです。宮城沖地震(1978年6月)についてのセリフは、あの地震の2日前に成立している。そもそも地震を「これぐらいが~だったらいいね」とする意図が僕にはわからない。意図は違うところにあるのでしょうが、読み違えられそうな部分ですね。書き方、ひと工夫欲しいです。晶子さんの場合、順調に読んできて突然、読みの流れや解釈がふっと何処かへ行ってしまう部分が、時に見られます。何かクセのようなものかもしれない。それは直したほうがいい。僕は晶子さんの作品に常に好意を持っているので、今回敢えて書きました。後は問題ないです。自身は横浜にいた。ここでもけっこう恐いくらいに揺れました。終連と冒頭に横たわる距離感のようなものが印象に残ります。「慟哭」も冒頭に繋がっていくようです。 佳作一歩前で。


2 妻咲邦香さん 「卒業式」 3/24

結論風に書くと素材が卒業式という具体的現象・場面なんで、登場人物というか、事情・背景を―小説風と言うと語弊がありますが―もう少し明快にしたほうがいいと思います。
1連には人物A・Bがいますよね。2連で突然園芸の話になり、「にこにこうなずく」Bがいる。ここだけでも、特殊の事情があるはず。ただし、それを手取り足取り書くのは妻咲さんの作風と違う。ここが難しいところ。
3連・4連はAのみのアフェアーでしょう。5連で出て来る「アイツ」がまたややこしい。誰か?Bでもいいんです。はたまた新登場のCか?(笑)。以降、最後まで読んでいくと、Cのセンは消えて、あくまでA~Bでよさそうな気になって来ます。しかし妻咲さんのことだから、この登場人物は案外一人称のみといった推測も、僕の中では20%くらいあるわけです。最後まで読んできて、僕の場合、やっぱり冒頭の感想に戻るのです。そもそも今回は、妻咲さんの作風とは少し違う素材の気がしますね。佳作一歩半前で。


3 理蝶さん 「光るのは」 3/24

対位法的に考えると……

身体性……暗闇。病という蝕み。
心性……光明。書くという希望・躍動。

これらが独立性を保ちながらも、対立状態にはあるが、作者は前者を踏み台として後者を語る

―といった具合でしょうか。「書く」という心性にも、もちろん困難や苦渋や自嘲もあるわけです。
「でもそれでもいい」―ここに敢為(かんい。屈せず思い切って成し遂げようとする)の意志を見ます。これも作者の心性です。
この詩の本分です。文体には躊躇がなく、気高く香気があります。これでいいです。佳作を。


4 ベルさん 「桜と緑とボクの唄」 3/24 初めてのかたなので今回は感想のみ書かせて頂きます。
よろしくお願い致します。
初登場にふさわしく、フレッシュで、読んでいて実に気持ちがいいです。初連でさりげなく場をスケッチ。続く連では擬人化という技法。技法はそれだけに抑えて、後は素直に書く。そこが好感を呼びます。
「ボクを育ててくれた樹が新しい扉を開く」―ああ、此処が最もいいですねえ。続くエンドも爽やかです。
こんな感じで、また書いてみてください。


5 小林大鬼さん 「朝」 3/25

タイトルの「朝」、終連の「目を覚ますと」「現実に巻き戻される」から察するに、初連・2連は夢の様子です。夢の中で思い出が蘇り、幸福を感じさせる時代だったようです。2連「一緒にいる」と終連「一人」が境遇の何事かの落差を暗示するようです。それは終行にも象徴されています。詩の比重はやはり終連にかかっていると思う。具体的な事情や情報は語られませんが、感覚さえ伝わればいい。このスペースといい、この書き方といい、これが大鬼さんの流儀です。久しぶりで、僕の方の勘が戻らないので評価は保留させてください。


6 エイジさん 「光の行方」 3/25

これは冒頭佳作です。ちょっと小休止的作品が間にありましたが、その休止はダテじゃない。英気を養っての本作です。まずはレンギョウ、ユキヤナギが趣深いです。セリフ調の問いかけが詩として意味深い。「~かい?」「~くれないか?」の使い分け、バリエーションも僕は大好きです。風も光も花も木も、言葉を超越して其処にある。いっぽうで、言葉に拘泥し縛られる人間の弱さ、愚かさに気づかされるエイジさんがおります。「創世は」の連、ここはこの詩のテンション。主旨に沿ってわずかに雰囲気を変化させます。その主旨に沿っての決定的終連です。言葉を一時措き、自然と一体化しようとする。風と光の行方に自ら従おうとしています。終わり3行は実に名言ですね。既存作「風の生まれる場所」と共に、ふたつの峰を成す。


7 成城すそさん 「有る無し」 3/27

詩における作者と評者の関係とは、追いかけっこのようなものなんです。先を行く(あるいは、逃げる?)作者にどこまで追い付けるか、近づけるか、っていう話です。解釈を含めた理解ということです。さて、この詩は前作「幻」とフィーリング・形式共に類似点がありますが、言葉はさらに節約され、なかば単語化しています。どれも確かに修辞として有りますが、現実には無いものです。もしかすると、そういった二重性が言いたかったのかもしれない。そんな風には推測できます。冒頭風に言うと、謎という煙幕を張って、評者としては行方がわからなくなった、すみませんが、そういった状態です。評価もわからない状態です。


8 じじいじじいさん 「かぜとさくらとことりと」 3/27

全体として、いいと思います。1点だけ書くと、
「かぜさんのはるかぜはきもちいいな」
これ、大人的発想で言うと、気持ちはわかるけど明らかにおかしいのです。子どもが思い書いたとするならば、こういう言い方はするでしょうね。ある種の“なりきり”というか、リアリズムかもしれないし……。このあたりに子ども詩特有の難しさがありそうです。僕も判断に苦しみます。賛否語らず、そっとこのままにしておきましょう。強いて書くと、“逃げ道”として(笑)、

ふあーふあー
はるのかぜさんはきもちいいな
でもねきみがつよくふいたら
(以下、同文)

春にふさわしく柔らかい情景、柔らかい会話が微笑ましいです。子どもへの教え、と言うと大袈裟ですが、「お願い」と「譲り合い」のような示唆がある点も見ておきましょう。結果としての終連、あるべき姿でしょう。佳作を。


9 鯖詰缶太郎さん 「背中」 3/27

3連目まで。お金を置いて途中で帰る場面、割とありますよね。いない人の悪口もあったりする。上司の悪口とか。「いないと何言われてるかわからない」ってアレです。それが聞きづらくて、イヤになって帰ったのかはわかりませんが、
「あなたたちも/もれなく、笑われている」は辛辣ながら、この場合、正論でしょう。比較が背中というのがおもしろい。以降は気高い背中を持った人への回想で、此処がこの詩の主旨になっていて、主人公から見て、やや先輩、年上?そんな気がします。おそらく同性でしょうね。徳の高い人かもしれない。背中で人格を表すのは難しくもあり印象的でもあります。そこをこの詩は上手く再現しています。「実るほど頭を垂れる稲穂かな」といった言葉がありますが、7連目の「猫背」がそのことでしょう。大変印象に残りますね。回想の終連は桜の下で、花見しながら親しく酒を楽しんだ、そんな趣が感じられます。―自分も猫背になって、その人を思い出しながら―終連場面は主人公の回想と感慨が一幅の抒情絵画になっているような気がします。甘め佳作を。


10まるまるさん 「わかった やっと」 3/27

(以前にも引用したんですが)サマセット・モームは「どんな髭剃りにも哲学はある」と言ったそうですが、その伝で言うと、「どんな料理にも哲学はある」(こっちの方が深そう)になるわけですが、この詩は、その哲学上、ちょっとコケちゃった場面です。
ネギの部分は笑えますね。「蓋に阻まれ立ち往生」はケッサクです。この詩で面白いのは、全ての指向が「対自分」ということですね。怯えも見通しも見張るも、ばれる・ばれないも、ごまかしも、隠すも、暴かれるも。でも、ちょっと真面目過ぎるほど真面目なんじゃないかな?自分を分析して、軽い自己嫌悪に陥って、でも最後は軽い自覚もあって。しっかりするに越したことはないけれど、もう少しEASYでリラックスしてもいいように思いますけどね。なんか、あんまり評になってないでごめんなさい。まるまるさんらしく身近なところから話を起こして、究極には生活・生き方全てに通じる、がこの詩の主旨になるでしょう。終連は自分に言い聞かせて、かえって微笑ましいものがありますね。甘め味の佳作で。

アフターアワーズ。
場面としての台所的実生活というのは僕にもありますが、いつも「ま、いっか」って感じです。
ただし同居の台所の主には怯えることはありますなあ。


11 凛さん 「孤独を知らない君」 3/27

前回は雨、今回は月、です。傾向として自然の現象に自己を交えて寄り添っていく、詩を深めようとする、そういったものを感じています。タイトルと2連をふくらませることによって詩は中核を成していますが、僕は量は少ないながら初連と終連のほうに価値を見たい気がしています。もちろん、そうでない人もいるでしょう。要は読み手しだいということになるんですが、この詩はそういった要素を持っている気がするんです。(ただ、どうなんだろう?)正直に書かせてもらうと、僕は前作の方が好きかもしれない。
初めての評価になります。余力を見ましょう。佳作二歩前からで。


12 朝霧綾めさん 「夜はすべてを知っている」 3/27

小説と音楽に「夜は千の目を持つ」というのがあって、感覚としては「夜は全て見ている、知っている」といったところでしょうか。こういう種類の詩は事例掲示の巧みさ、面白さで全て読め、了解できるのですが、逆に極端に言うと“それだけ”といった弱点もあって、そこが難しいところでしょう。 事例はさすがによく練られて変化をつけ活写されていますね。僕の個人的見解によれば、こういう詩には、やっぱり総括が欲しい、そう思います。なるほど、終連がそれに近いです。ただ、もっと欲しい、もっと掘り下げたい、そう思います。まず、夜をイメージ・概念両面より考えます。僕の場合―羅列ですが―「休息、安息、安らぎ、大人の時間?時が替わる?人は人生半分寝ている? 歴史は夜作られる?」等。いっぽう、いいことだけじゃない、事故や犯罪や不幸もあるでしょう(お化けも出るでしょう ? 笑)。たとえば、そういったこと。そのあたりを本質ライン・普遍レベルで掬い取り総括すると、もっとタイトルに近づける気がしたりするわけです。佳作一歩前で。



評のおわりに。

さて、今日から4月。と言っても、自分はいつものペースなんですが。
ところで、4/1が来年から休日になるって知ってました?ついさっき国会通ったそうですよ。
今日はエイプリル・フール。失礼しました。 では、また。

編集・削除(編集済: 2023年04月01日 14:42)

見送る夏  雪柳(S. Matsumoto)

昔 子供の頃に
ふるさとを訪れてきた夏は
百日草や向日葵や ダリアの花が咲き競う
まばゆい空の下
日ごと 海で波と戯れ
野や山を駆けめぐる
言い尽くせない楽しさを
思う存分 掴み取らせてくれた
それはきっと
憂いのない 気ままな幼い時期だけに
約束されていた 至福

成長すると
ひとりでに 容易でないものが増えてゆく
大人になるというのは
抗いがたい現実に
否応なく晒されながら 年を取ること
魔法がとけるように
子供の頃の至上の夏は 消え失せる
ふるさとを離れ もう随分長く暮らす街では
夏は ただ年ごとに
つのる暑さが 身にこたえるばかりで
そんな悩ましい移ろいを
どうしようもないまま
慌ただしく過ぎる日常の 積もり溜まる澱に
体も 心も
次第にやつれ うらぶれるに任せて
失われてゆくもの 留めておけないものを 
諦める術を覚える月日を送っている

これは 何かの罰だろうか、と思う
それとも 約束された魔法の夏の
避けられない代償なのか、とも
時が連れていってしまった 父と母
翳りのない子供の夏を
きっと与えてくれていた
その親しい人たちのほうへ
やがて自分も向かうのだろうかと
ぼんやり考えてみたりする

街角の雑踏を
夏は いつも
懐かしい風景を縫い綴る衣を纏ったように
海の響きや 去った日の薫りをたなびかせて
通り過ぎてゆく
昔 幼子の姿をしていたものに
横顔だけを見せて
そうして もう願っても戻らないものを
ただ繰り返し見送る 取り残された心には
安らかだった 遠い夏の日の思い出ばかりが
さざ波のように寄せている

編集・削除(編集済: 2023年04月03日 13:09)

雨音様、批評のお礼です  U.

ご批評ありがとうございました。
さすがに痛いところを突かれました。
自分でも良く分からないのですが、
確かにブチブチ切れているようです。
言葉や表現に捕われ過ぎているのか、
生まれた言葉を繫げるのが、そもそも苦手なのですね。
もっと推敲に力を入れてみます。

編集・削除(未編集)

「ゲーム~モノクロのフクロウ~」  まんまるの森

散らかった部屋の隅っこで
テトリスやって、また記録更新

もうやめたい
もうやめてしまいたい

月明りで半分になった麦茶が キラリ
くしゃくしゃの髪と、床の影が長くのびる

ポケットに手を突っ込んで
こんなにも星がきれいな夜に
コンビニ。 長髪、まとまらない

ぼけっと、赤いきつねに湯を注ぐ
どんなに 「もう少し」と思っても
コンボに連鎖が止まらない

「やっぱり味噌が好き」
Tシャツの謳い文句に、後ろの客は ニヤリ


訪れない game over

積んでは 消していく

音ズレた 8bit音 
カーテンの隙間から朝の光が チラリ

(テーテテ、テーテテ、テーテテ、テーテテ
テーテテ、テーテー、テーテーテー♭/オープニングテーマ曲)

編集・削除(未編集)

かくれんぼ  エイジ

もういいかい
もういいよ

朝7時起床するなり
こんな声を聞いた
一体誰の声だろう?

そそくさとサンドイッチを平らげて
外に日課の散歩に行くことにした

まず出会ったのは
バス停近くの寒緋ザクラ
辺りを照らすほどに明るい
濃い桃色の花が
ホクホクと咲いている
僕は夢中になって
カメラのシャッターを押す

もういいかい
もういいよ

次に出会ったのは
道端のユキヤナギ
真っ白で可愛らしく
控え目に小さな花々が
群れて咲いている
僕はその小さな小さな世界の
小さな小さな一輪を
接写するべく慎重に
シャッターを押した

もういいかい
もういいよ

最後に出会ったのは
ソメイヨシノ
たった一本爛々と枝を広げ
見事なまでに花を咲かせている
花盗人……花盗人……
花々にそう呼ばれながら
この豪奢な木の前で
シャッターを押した

もういいかい
もういいよ

まだ聴こえるあの声
約一年間かけて
花々が楽しんでいたかくれんぼ
悠久の時の流れの中で
行われる盛大な遊び

晩春に逃げて
枝の中に 茎の中に
隠れていた花々を
僕は花盗人となって
次々に捕まえていく

もういいかい
もういいよ

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冬未明  秋さやか

夜明け前の月を
見つめながら歩く

足元に沈澱した紫の夜

うつむけば
その深みに
落ちてしまいそうな心細さのなか

しずけさを
優しく揺らすエンジン音で
どこかへ走り去っていくトラック

誰もいなくなっても
規則正しく変わりつづける信号機

工場のだだっ広い駐車場に
ぽつんと停めてある車の
フロントガラスは凍りつき
きらきら輝いている

いつから停めてあるのだろう
わたしが夢から覚めたときにはもう
ここにあったのだろうか

持ち主が戻るころには
すきとおる水滴へ変わっていることを
ちいさく願う

白い吐息は
やすらかに闇へ溶けてゆき
影だけの世界に
わたしもまた影として馴染む

言葉はまだ眠っているから
ひとびとの寝息に呼応する
星の瞬きが美しい

名も知らない星と星とを
結びつけたくなる 澄んだ孤独

もっと星座に詳しければ良かったと
もどかしい気持ちを
木々のざわめきにあずけ

薄明かりを放つ
工場の入り口へ
吸い込まれるように入っていく

錆びついたドアノブは
冷え切っているけれど

次にこの扉から出るとき
世界は一転し

優しいまなざしほどのぬくみで
朝焼けがあかあかと広がっているだろう

陽のあたる銀色のフェンスには
小さな鳥が降り立つだろう

そう
信じていられる 冬未明

編集・削除(未編集)

二人称  奈々

その眠い時に
目をこする癖
まだ治ってないんだ

跡がつくから
やめなって
怒られてたよね

どうせ
規則正しい生活も
できてないんでしょう

目のクマだって
消えてないし
日の下に滅多に出ないから
肌は雪みたいに真っ白だ

見上げたら
首が痛くなるほど
背が高いくせに
枯れ枝みたいな体つき

「君は生きたいの」
そう聞いたことがあったっけ

そうしたら君は
「生きたいんだ」
と答えたよね

それはきっと
言葉が
幾重にも積み重ねられた

生きたい
だったと思うんだけれど

違うかな

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RUN  鯖詰缶太郎

たぶん、
今、川に佇んで
おもむろに泣いているのは
河童に間違いないのだが
俺は
それどころではなかった

電話があった

今まで、ありがとう
と、電話の声は、絞り出すように言った
その消え入りそうな声は
あきらかに、泣いている

友よ、待ってくれ
お前には、俺がいる

俺は自転車に乗り、
環状七号線を疾走する

早く、お前に会わなければならない
というのに
環状七号線はいっこうに
距離を縮める気配をみせないな

なんて、冷たい国道なんだ

しかし、お前の街は何故、遠い?
いつから、
俺はお前に距離なんぞ感じるようになったんだ?

俺、お前に会ったら
伝えたいことがあるんだ

またあの、激安居酒屋で
お前と
のんだくれの酒のかみさまが
呆れるほどの、バカな話がしたい

お前と、難解な映画を観た後、
公園で
なんか、すげえもん、見ちゃったな、、、
っていう感想以外、
お互い、特に、他の感想が出てこなかった
あの夜を、また過ごしたい

酔っぱらって
変な時間に電話してしまうけど
めんどくさい素振りを
みせないでいてくれて、ありがとう

あの癖は、よくないよな、と
翌朝、反省しています

えっと、あと、あっ、さっき、河童、見た
なんか、泣いてた

友よ
あと、三分で着く
俺は、いつだって間に合ってみせるから
カップラーメンでも食って待っていてくれ

編集・削除(編集済: 2023年03月29日 20:41)

ラナンキュラスは知っている 紫陽花

冬の間は
閉じこもりがちで
やっぱり秘密なんていうのも
閉じこもりがちだ
下向いた誰かがぼそっと呟いた
他愛ない秘密なんかが
ぽろぽろとそこここの
土の中に落ちてたりする

私の秘密の呟きも
やっぱり冬の球根に
飲み込まれてて
あらあら 今朝は庭で
ふわふわと私の秘密が
花びらの上で遊んでる

編集・削除(未編集)

スタンダード  妻咲邦香

田舎は好きだよ
水車小屋のある風景
二つの色の小川が交わる
水草がゆらゆら揺れて
いつまでも離れなくて
いつまでもゆらゆらで
そういうのって見たことないかな

コンビニだったら幾つかあって
意外でしょ?
大きなショッピングモールと
ちょっと有名なお寺が
大通りの真ん中に
雲は低く立ち込め
山に帽子のように乗っかる
ちょっと誰かに似ている

最近出来たお洒落なカフェは
お休みの日が多くて
小さな庭がよく手入れされている
スコーンが美味しいんだよ
でもサンドイッチは二種類しかない

誰かと過ごした日々は暖かで
小さな花のようだった
壊れることも出来ないままに
あと十分で日が暮れる
その人はもういないかな

街とそんなに変わらないよ
住んでる人とか、いい人はいいし
そうじゃない人もいる
空気だけは綺麗で
夜は星がよく見えて
知らない子供が挨拶してくれる

何をしたいかなんて
今はまだはっきり言えないけど
スタンダードって柄じゃない
僕には永遠に描けないだろう
君に刺さるものなんて

壊れることも出来ないままに
あと十分で電車が来る
それを逃したら君は
一時間以上待たなくちゃならない

壊れることも出来ないままに
壊れることしか出来ないままに
僕の壊したものが何だったのか
それさえもわからないままに
小さな花だけが絶えず生まれ変わる
同じ花かもしれない
それもわからずに
あと一分で電車が来る

もう見えている

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