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空が薄紫に染まる頃
化粧を済ませた私は
ネオンに群がる蛾に生まれ変わる
青空を舞う蝶に憧れた時もあったわ
だけど今じゃ信じられるモノは金と薬だけ
お金じゃ『愛』は買えないと誰かが言うわ
だけど限りなく『愛』に近いモノは買えるのよ
薬は私から………私の心と頭から
辛さも苦しみも切なさも
虚に変えて忘れさせてくれるの
カサついた肌にクリームを塗り込むように
傷だらけの心にかりそめを纏わせるだけの夜
今夜は何人の男たちが
ひとときの肌の温もりをくれるのかしら?
それを考えるだけで吐き気がするわ
電車を降りる前
いつもの薬をミネラルウォーターで流し込む
醜い蛾にはお似合いなネオン街が
改札の向こう側に広がっている
薬が効く頃には吐き気も治まるわ
人は ねむる
結局 ねむる
だって明日があるから
今日のままではいられない
あたらしい服を着るように
陽の光をあたらしく浴び直して
明日を迎える
そのまえにゆっくりねむり
古くなった心を洗濯するのだろうか
眠らずに過ごすのはよくない
心が混沌としたまま
地続きの朝を迎える
人のことわりに反することではないか
人は ねむる
だからねむる
爽やかなゆめのひとときを経て
コーヒーの一杯でも飲むために
存在を 超えて
輪郭を 超えて
私たちの 心の 奥の
深く 深く 水底に
その 湖は 満ちて いた
木立が あって
雌雄の 獣が 徘徊する
風が 吹いて いる
花が 咲いて いる
湖から 溢れ出る 大河 には
昼夜が あって
昼には
太陽と 湿気が 共存 して
夜が やって 来ると
蒼天 宇宙の 星々が 歌を 歌って いる
そして
存在の 内に
輪郭の 内に
この 絶景 世界 は 少しづつ
私たちの 心の 表層 へと
滲んで 来ては
やがては
潜在世界から 顕在化した
私たち 自身 へと なって行く のだろう
誰かに向けられた言葉を
自分に向けられた言葉として受け取る
どんなに欲しくても
手のひらで受け取れる
水の量は決まっている
早く飲まないと指と指の隙間から
こぼれてしまうよ
時計の針が一秒を刻む度に
痛みは遠くへ
健康体を取り戻すと忘れてしまう
悪い癖
そして記憶の彼方へ消えた頃
忘れた一秒がじわり押し寄せる
それでも
貴方と私のいる世界は
幸運で包まれる
今でも心に響くのは
ピンチはチャンスよと
笑いながら言ってたこと
壁やハードルも
笑いながら越えていたこと
もしも千年逢わなくても
時のどこかで貴方を見つけたら
一瞬で今ある気持ちに
戻れるだろう
見上げた先の夜空に瞬く星々に
地上からてるてる坊主で
晴れを祈り
貴方の命を祈る
神様は
きみにしか与えなかった―
類まれな才能を…
それが そもそもの不運の始まり
美しい糸を
果てしなく紡ぎ出すよう
数千年にもわたって
人間に手を加えられ
強いられたがゆえに
とうとう きみは
閉じ込められてしまった―
自分の棲家の中に
いつの間にか
繭が厚くなり過ぎて
羽化しても
自力で食い破ることが
できないのだ
たとえ人の手で
繭の外に出られても
すでに羽は退化して
はばたくことができない
人間たちが
きみの棲家から
美しい糸を好き放題に
手に入れているというのに…
きみは自然の中を
飛び回ることはおろか
外の世界を垣間見ることすら
許されない
そうなのだ―
きみは
現世での喜びの全てを
犠牲にしてまで
絹糸を紡ぎ続けている
女性の装いを彩り
美しさをより一層引き立てて
永遠に忘れ難いものとするために
もしや その姿は
どこか詩人に似ていないか?
なぜなら
神様に愛でられた
詩人の才能も
惜しみなく費やされる―
紡いだ言葉で
女性の美しさを
永遠にとどめるために
しかし
彼らもまた
その愛が報われること少なく
この世での幸は
決して大きくはないのだから…
グリーン
この世界で最も美しい色のひとつだ
けれども着こなすには難しい色でもある
今その色は小さな布切れになって女の胸と腰を覆い
椰子の葉も羨むほどに美しい
今日も暑くなりそうだ
海はますます青さを増してゆく
日陰
ここだけはいい風が集まってくる
真夏のサスピション(疑惑)
長椅子に寝そべってペーパーバックを読んでいる
ウイリアム・アイリッシュ「幻の女」だ
女は自分を投影したのかもしれない
しかし視線は活字を上滑りしてゆくようだ
別のことを考えている
(「人は誰にも一度だけの夏があるの」
そんな歌詞を聴いたことがある
今までわたしにそんな夏があったかしら)
夏は青く生まれ成熟し
夕焼け色に腐敗してゆくものなのだ
夏のうつろいすら女は疑っている
どうか熟れたままとどまっていてほしい
日陰を求めるふりをして
男どもが何とかきっかけを掴もうとあたりをうろついている
けれども手に合う女ではないのだ
帽子とサングラスをつけた
唇がピンク色に息づいている
自分の想いを深めるのに余念がなく周囲の男は眼中にない
ただ一人を除いては―
(この手から零れ落ちていった境遇
この手でしっかり握った殺意
憎むべき男の呼吸を止めた
今まで世界を撒き続けてきた
明日も続くこの道
逃亡もひとつの旅ならば
果てはどこにあるの?
わたしに安息は訪れる?
しだいに大きくなる自分への疑い
悔いと疲れと諦めなのかも
もしかして あの男は……
間違いないわ……)
その男は海辺のリゾートには不似合いな服装をしている
ややくたびれたジャケット それでもブランド物らしい
誘いたいのだろうか
グリーンの水着の女をさりげなく観察している
傍らに置かれたカンパリソーダもやがては涼味を失うだろう
(疑うことは人にとって悲しいことだ
だがもう疑わない
長い時をかけ辿り着いた確信だ
俺はあの女を信じる 殺人者として
ついに追い詰めた
俺はその素顔を知っている
あんなにいい女を逮捕とは……
粋なことではない)
真夏のディテクティブ(刑事)
(水着のところを迫るのは
紳士的ではないだろう
せめて服を身につけさせてやりたい
捕らえるにせよ
LADYに対して礼儀というものはある)
女は何かの運命(さだめ)に従うように立ち上がって
更衣室に消えた
あるいはそれは
今までの自分を脱ぎ捨てるためだったろうか
今までの自分に終止符を打つためだったろうか
フェアウェルのドレスに着替えるのだ
人として―
職務と折り合うぎりぎりの
男の優しさだろうか
更衣室から出て来るのを待つことにした
出入口はひとつしかない
女はもう
あの日陰の長椅子には戻れない
この世界の何処にも居場所が無くなった
着替えとメイクアップを済ませ
女は
最期の自分を鏡に映してみる
(きれい……)だと思った
こめかみに拳銃をあてた
直後
リゾート地には場違いの音がした
*******************************************
ごめんなさい。 再録になります。
わたしは 道を歩いていた
ただ ひたすらに 歩いていた
どこに向かっているのか と
改めてかんがえてみたものの よく分からない
そして ここはどこなのだろう
辺りを見まわしてみても
そこに○○○がある という確信が
あまり得られない
目を凝らしてみても
焦点の合わないファインダーを覗いているようで
心許ない
ところで 今日は何日なのだろう
六月二十五日だつたかな
火曜日の朝のような 年は2024年では・・・
ふと 空を見上げると
雲の切れ間から お日様がのぞき
木々の葉からは ころころと ひかりの粒が
こぼれている
小鳥が 楽しそうに囀っている
頬を掠めてゆく風が
紫陽花を そこここに揺らしている
ここにいる
今日 今 わたしは
ここに いる
わたしが 今 戻ってきた
1.帰郷 *1
ふる里
富海(とのみ)の里山を訪れたのは *2
いつ以来のことだろうか
子どもの頃よく行った「野田休み」や *3
柴栗を拾った林が懐しい
瀧谷寺裏手から
涸れ沢沿いの山径を歩いて
琴音(ことね)の滝を過ぎたときだ *4
突然響く 羽音
キジの母衣打ちだと思い
目を凝らす
現れたのは 赤い羽根と長い尾
コウライキジか?
いや違う なんとヤマドリだ
怖がる様子も見せず
翼を広げ
私を目指して
遮二無二に突っかかって来る
なかなかどうして
向こうっ気が強いやつ
キジも緑の胸が美しいが
目を染めるヤマドリの〈赤〉は格別だ
野生の姿を間近で見るのは初めてだが
その色合い
艶(あで)やかさは精緻を極めている
目の前で突然羽ばたき
低空飛行
長い尾の残像が雅趣に富む
柿本人麻呂のあの名高い歌が頭に浮かぶ
あしびきの山鳥の尾のしだり尾の
ながながし夜をひとりかも寝む
夜長の独り寝に
しだり尾の長さを想ったか
はたまた
ヤマドリのような
美しき女(ひと)との逢瀬の夢か
心身の疲れを癒そうと
カメラ片手に野山を逍遥する
野花や 虫や 小鳥たちとの語らいも愉しいが
彩り豊かな野生の〈赤〉を見て
いにしえ人の夢を想うのも
趣きがある
2.訴訟
会社は いま
損害賠償請求訴訟の真っ只中にある
昨春 訴訟を提起され
首都圏を皮切りに神奈川訴訟へと続き
被告企業の一社として
相対して来た
裁判は燎原の火のごとく広がり
今後 大阪・福岡
さらに北の札幌でも始まろうとしている
共同不法行為や予見可能性を争う
公害型集団訴訟の難しさと
重圧を
厳に味わった一年だった
担当を設けず対応を一手に引き受けた私は
死者が続出する悲惨な原告たちの現状と
彼らの怒り
塗炭の苦しみを知る
一方で
企業体質が脆弱で
その存立さえ危ぶまれる会社を
守らねばならぬ立場にいる自分
原告・被告ともに救いたいが
とうてい不可能というジレンマ
この相克
訴訟の技術論より
収めどころのない自分の感情の沸騰に
ほとほと
まいってしまった
思い返すと昨年の横浜地裁
原告の命を賭した魂の叫びに
強い衝撃を受けた
公判が終わり
ヘロヘロになって地裁の門を出たとき
地べたにへたり込んで
蝉時雨を浴び
柳の木の根元で
カミキリムシが ぎぃーと啼くのを聴いた
茫然自失の私は大都会のなか
偶然そこにいる
ちっぽけな虫の存在にこころを救われた
3.再生
この一年酷使し続け
ズタボロになったこころを再生すべく
私はいま
ふる里の森にいる
母の胎内のごとき森だ
透明な軀が
木々の精で盈たされて行く
ヤマドリとの会遇という
思いがけぬ
僥倖を得たのも幸運であった
琴音の滝の落水音が轟く
遠雷が響く
自然が醸し出す音色だ
カキランの群落がさらさらと風にそよぎ
カエルの啼き声が囂(かまびす)しい
梅雨もあと少しで終わる
今年も再び暑い夏が来る
孤独な闘いの日々が続く
この先
いったい何が待っているのだろうか
*1帰郷 2009年7月
*2富海(とのみ) 防府市の東端地区
*3野田休み 大平山登山道富海口にあった小
高い丘 いまは山陽自動車道となっている
*4琴音の滝 富海門前 鮎子川にある小滝
朝のドラマを見終わった途端
母が涙目で
「住んでいる家を売り払って
財産として三分割する」と言い出した
そのドラマの内容は
主人公の学生時代の友人が
封建的な家制度に縛られ
横暴な夫にも悩まされた挙句
その夫亡き後、財産のことをどうするのかで揉め
夫の愛人や姑のことに加えて
子どもたちの問題まで浮上したため
結局友人が相続人放棄して
家を出ていく決断をしたことで
子ども三人が財産を三分割して
協力し合うようになる話だった
思えば母も父に悩まされ
私と弟を連れて実家に帰ったものの
その後、祖父母の介護において
財産も家も全て叔父二人が
相続人放棄することを条件に
その叔父二人に祖父母の面倒を押し付けられて
その間は仕事もできずに大変苦労したのだった
その上、弟は妻を病気で亡くし
仕事も辞めてしまってからは東京で行方不明
私はというと職場でパラハラに遭い
心身ともに体調を崩して休職中
母がドラマの人物に自分の境遇を重ね合わせても
仕方のないことなのかも知れない
しかし私の瞳からはなぜかしら
涙が溢れこぼれ落ちてしまった
母は私がこの家に
全面的に頼り切ろうと思っているからだと詰ったが
私は「そうじゃない」と否定した
今の家に寄りかかる気などつゆほどにもなく
母の言葉を聞いて訳もなく
悲しくなってしまったからだ
少し経ってから考えてみると
祖父母が何とか繋いできた家族が
バラバラになってしまうんだなという
一抹の哀しみがあった
ただそれだけで涙が溢れてしまったのだ
些細なことかも知れない
新しい家庭を作ることができなかった私にとっては
大切なことだったのだと改めて思い知らされた
古い価値観に囚われ依存していると言われれば
そうかも知れない
ヤドカリが古い殻を抜け出すように
私も相続を放棄して
古い家を出る決断をいま迫られている
もうすぐ闇に覆い隠されそうな
寂しい黄昏時
誰が積んでいったのだろう
河原に残された石積み
たとえ小さな石を積み上げただけでも
誰かのためのものならば
やがて訪れる夜に
暗い地上にありながら
藍に満たされた空へと己を示し
天の川流れるその天上からもわかる
私達の標として
星々に負けぬ話を始めるだろう
人の証となるだろう
すぐに崩れるものだとて
必ず消える星達と
何の違いがあるものか
すぐに消えるものだとて
さらさら流れていくものに
泣きながら逆らうように
思いを積み重ねられるのは私達だけ
私達がありえないはずの世界に
私達は生きている
だからすぐ消える
でも
産まれる
有難い世界に
私達は生きている
石積みは崩れ
また積まれる
また崩れ
また積まれる