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編集・削除(編集済: 2025年01月02日 01:55)

紗野玲空さま 評のお礼です  樺里ゆう

ご多忙の中、拙作「屋上の砂」にあたたかいご感想をくださり、誠にありがとうございました。
個人的な経験を書いていても読み手の記憶や思いが想起される詩だと言っていただき、大変恐れ多いですがとても嬉しいです。
また、自分では思いつかなかった新たな見方も提示して頂き、今後詩を書いていくうえで大変参考になりました。
詩の構成については、いろいろな作品を分析して研究してみようと思います。
ぜひ今後ともよろしくお願い申し上げます。
この度は本当にありがとうございました。

編集・削除(未編集)

2月のチョコレート  津田古星

(1)
兄が高校生の時
たくさんのチョコレートを持ち帰ったらしく
小学生の私に笑顔で分けてくれた
私はただ美味しいチョコレートを
もらって食べただけで
何も思わなかったけれど
兄の中で 渡されて嬉しい相手と
さほど嬉しくない相手がいたかもしれない

私が初めて
チョコレートを贈った相手は
卒業試験の最中で
「不勉強が祟り苦労してます」と言って
追伸にチョコレートのお礼を書いてきた
本文に第一番に書かなきゃならないでしょうに
そう思って失望したけれど
返事は来たのだからと自分を慰めた
「チョコレートなど贈られたことがなく
恐縮です」と書いてきたから
私はその言葉のまま受け止めた

彼の言葉の裏を読み取ることが
出来なかった私は
そのあともずっと単純に
彼の手紙を読み
希望を持ったり不安になったりを
繰り返していた
愚かだったのか 幸せだったのか

毎年 光の春を感じる頃になると
店頭に並ぶチョコレートを見ては
苦い思いで その日が過ぎるのをじっと待つ

(2)
息子が帰って来て
テーブルに小さな紙包みを数個置く
「あら あなたずいぶん もてるのねえ」と
妻が食卓を整えながら言う
「みんな義理チョコだよ お返しはクッキーでいいな」」と息子
私は 思わず口を挟む
「お返しってするものか?」と
「やっぱりね お父さんはホワイトデーを知らないのよ 
私がチョコレートを贈っても何も返したことがない」と
妻が息子に言いつける

その時 私は妻に贈られたものではなく
別の女性に贈られたチョコレートを思い出していた
昔、大学卒業間近の
2月中旬に贈られたチョコレート
最近 正月になると彼女を思い出す
年賀状のやりとりもしていないのに
何故だろうと考えて
ああ、駅伝で優勝を重ねる大学が
彼女の母校だった
妻に話すと
「チョコレートだけでメッセージがついてなかったら
義理だったかもね お礼は言ったんでしょう?」
「うん」と言ったきり黙っていると
「住所が分かるんだったら、ホワイトデーにこの土地の名産品でも送ってあげたら?」と言い 
「その人のことを好きだったんなら送らないほうがいい」と付け足した

私は困った
何十年も経ってからお返しを送るのはおかしい
送らなければ 妻にその女性への気持ちを見透かされる
チョコレートにはメッセージがついていた
好きですとひと言
そして私は照れくさかったから
手紙の追伸にありがとうと書いた

編集・削除(未編集)

うずくまる男  相野零次

一切光の入らない闇の中でじっとうずくまる男がいた
三角座りの姿勢のままぴくりともしない
いったい何をしているのだろう
男の胸に去来するのは過去の栄光のことだった
男はとある事業で大成功し巨万の富を得た
しかし腹心の男に裏切られ全てを失った
今いる場所はかつては豪勢な家具で彩られた自室だ
今は借金のカタに全て持ち去られて空っぽだ
空っぽの部屋の中でむちゃくちゃに嘆き、怒り、涙した
そうして何時間が過ぎただろう
男は気付けば三角座りでじっと黙り込んでいた
暴れる気力も失せてしまったのだろうか
部屋と同じように男の心も空っぽになってしまったのだろうか
すんすん、と男の鼻がうごめいた
どこかから夕餉の香りがしたのだ
腹がぐううとなった
男は苦笑いした
空っぽの部屋で空っぽの心で空っぽの腹が悲鳴を上げたことにまだ自分が生きていることを実感したのだった
男はゆっくりと立ち上がった
一糸まとわぬ全裸であった
引き締まった筋肉と均整の取れたスタイルであった
一流のスーツでも身に着ければ瞠目に値するであろう
そして気をつけの姿勢を取った
男はしっかりと会釈をした
いったい相手は誰だろう
闇の中には他に誰もいない
かつての取引先の相手を思い出しているのだろうか
あるいはかつての腹心と共に会釈したこともあったのだろう
今度はゆっくりと深呼吸した
静謐な部屋で空気が厳かに流動した
男の心は落ち着きを取り戻していた
失くした富は惜しかったが
それよりも裏切られた傷は深かった
身体の傷はすぐに治っても心の傷はすぐには治らない
男はそれなりに修羅場を潜り抜けてきたので
そのことは身体で理解していた
身体には無数の傷跡があった
男はぐっと拳をにぎりしめた
そして空手の型を演じ始めた
高段者であった
静かで真っ暗な部屋の中で男は無言で型を続けた
裂帛の呼吸の音 手足の風切る音 踏み込む足音が響いた
猛獣がそこにいるかのような気配が部屋に満ちた
空手の型が終わると
ゆっくりと部屋を見まわした
一切の光はなかったが
夜目が効くのだろうかあるいは見えない何かを見ているのだろうか
男の眼から大粒の涙がひとつ零れた
頬を伝い
首を伝い
胸を 腹を 足を伝い
地面にまで届いた
深い悲しみの涙であった
男はゆっくりと歩き出した
方向感覚だけでドアの位置を割り出したのであろうか
ドアに辿り着きドアノブを回した
ドアは開いた
光が男を照らした
逞しい身体の影がくっきりと浮かび上がった
「………」
男は何事か呟いた
小さすぎて聞き取れなかったが
きっと前向きな言葉であったのだろう
男の胸の内から一片の希望が生み出された瞬間だった

編集・削除(未編集)

森  上田一眞

1. 逍遥

或る冬の日
私はひとりシュラフを持って
深い森を歩いた

白い雪がちらちらと舞い始め
光が粉雪に反射して
きらきらと光る

見とれていると
迂闊なことに自分がどこにいるのか
わからなくなった

当てどなく
雑木林をとぼとぼと歩いた
枯れた蔦の弦が
妙に絡みつく

私はきっと何かを捜しているのだ
何だろう
それが見つかれば
自分が何を欲しているのか
わかるはずなのだが


2. 火焔

谷川に出た
私は暖をとるため
河原に転がる石で炉を組み
火を起こした

枯れ枝を集め 朽ちた木を
火に焚べると
身の丈ほどの焔(ほむら)があがり
赤光を浴びた

  焚き火と共鳴して
  内部で轟々と燃えあがる焔

  こころのうちで
  妖しく舞う羽虫たち
  自ら火中に飛び込み 身を焦がす
  灯蛾の舞い 
    
  ああ
  これはまるで「炎舞」だ     *1

夕方まで足元の焔煙を見続けた
そして 心中で
焦げる虫を
恥多きわが人生に置き換えた

頽齢に至って
心身の衰えがこたえ始めたいま
〈過去〉に拘泥する自分のこころを
情念の焔で焼却し
天上へ昇華させたい

私は火焔を求めるその根っ子にある
わが願いを悟った
そして
焔のなかに
甘美な薫を放つ
冥界への入り口を見つけた




*1 「炎舞」速水御舟作画

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紗野玲空様 評のお礼です 上原有栖

紗野様、はじめまして。
投稿した詩の感想・評頂きまして誠にありがとうございました。
ご指摘頂きましたように、やはりタイトルや冒頭の導入では?が浮かんでしまいますよね。
アドバイス頂いた詩の紡ぎ方の手法を取り入れて詩作に生かし、次作に励みたいと思います!
いろいろと挑戦してこれからも頑張ります。

編集・削除(未編集)

ありがとうございます。  妻咲邦香

こちらの掲示板ではご無沙汰しております。
島秀生様、お知らせくださりありがとうございました。一人ひとりのお名前は割愛させていただきますが、数々のお祝いの言葉をいただきありがとうございます。
「たびぽえ」は旅をテーマとした季刊詩誌で、詩と写真を主とした投稿欄があります。まだ発行年数は浅いのですが、投稿者には現代詩界隈でそれなりに通じた方が毎回名を連ねており、そんな中で何故私のような者が?といった想いもあるのですが、光栄なこととも感じ入っております。全国誌となっておりますので興味のある方はぜひ書店などでご覧になってみてください。

編集・削除(未編集)

Autumn dome 松本福広

視界は鮮烈なほどに一色だった
秋の日差しにまぶされた銀杏並木が
黄金色の蝶のように舞う
黄金色の蝶は秋を彩る夢の一欠片
並木道を黄金色に染め上げる
普段は神様に例えられる
風や日光も今だけは添え物になる
今ひととき眼前に広がる
秋の夢をとじこめるよう写真にとおさめる
私の撮影技術のせいなのだろう
静止した写真は感じているものを
望んだようには写しきれなかった
太陽の七色のまばたきも
そよ風が描く1/fの揺らぎを
絵画で例えるようなタッチも
黄金色の蝶たちで賑わう秋の祝祭も
一葉の世界に表現できなかった
スノードームのように閉じ込められたら
秋がみせる夢のさなかに
束の間ドームの水に沈んでいたようだった
地面に落ちた銀杏の葉が
秋が終わるまでの時間を刻んでいた


※埼玉県秩父市にある「ミューズパーク」の銀杏並木
写真はフリー素材サイト「Photo AC」より
https://www.photo-ac.com/

編集・削除(編集済: 2025年01月31日 05:15)

1/28〜1/30 ご投稿分の感想です。 紗野玲空

都合によりお先に失礼いたします。1/28〜1/30にご投稿いただいた作品の感想・評でございます。
素敵な詩をありがとうございました。
一所懸命、拝読させていただきました。
しかしながら、作者の意図を読み取れていない部分も多々あるかと存じます。
的外れな感想を述べてしまっているかも知れませんが、詩の味わい方の一つとして、お考えいただけたら幸いです。


******* 

☆「屋上の砂」 樺里ゆうさま

樺里ゆう様、こんにちは。御投稿ありがとうございます。
とても素直な詩文で、読みやすい作品でした。
詩句は、テーマとされている「砂」のように、さらさらと静かに心に降り積もるようでした。

私はこの砂のことが、個人的にとても気になってしまいました。
ゆうさんは、出雲市の方と記憶しています。
私事で恐縮ですが、実は出雲を旅した折、稲佐の浜でお砂をいただき、出雲大社にお納めし、神社のお砂をいただいてまいりました。拝読しながら、なぜかそのことが思われたのです。
ゆうさんは、私のそんな事情を知るべくもなく…。
けれどもゆうさんの詩によって、斯様に、心が温かくなる思い出を呼び覚ましていただけたことがとても嬉しかったです。
ありがとうございました。
私もそんな詩を書いてみたいです。

読み手自身の思い出に結びつけてもらえる詩…作者の意図と離れても読み手の中にその人の思い出と重なることができるような詩を書けることは詩を書く者にとって、一つの大きな喜びではないでしょうか。
ですから、ゆうさんの詩のお砂は、私にはとても神聖な感じがいたしました。
詩全体に漂う静けさが更に、砂の持つ神秘性を高めているように思いました。それは終連にそのまま留められていますね。

 どこで生まれて、どこから来て、 
 そしてどこへ還ってゆくのか 
 結局わからないままだったけれど、 
 ただあの頃の私は、 
 それを 謎のままにしておきたかったのでした。

とても素敵な、静かな終わり方だと思います。
「還って」…「還」は多くの地点を経由したり、複雑な過程を経て、最終的に起源や根源に戻る状況を表します。
白い砂は、ゆうさんの中を旅しているようでもあり、ゆうさんの意識を司る分身のような気もしました。
更には、

 「みんなどこへ行ったのでしょうね?」

 「それを 謎のままにしておきたかったのでした。」

と疑問を提示し、謎のままにする終わり方は、砂の行く方を読者に委ねることにもなり、この詩の終わり方に相応しく思います。

しかし一方で、ゆうさんは砂がどこへ行ったのかを追い、謎のままにしておきたくない時が来るのではないかと感じました。
あの頃の私でない私が書かれる詩に、期待せずにはいられません。
大きな岩が微細な砂になる過程を稲佐の浜に思った記憶がふと頭を過ぎり、誠に勝手ながらそんな思いも浮かびました。
砂の行く方、楽しみにしています。

最後にほんの少し、詩の構成について思う処を述べさせていただきますね。
冒頭の1行、私ならば迷いながらも省くかも知れません。
次の連の扱いもとても難しいと思います。
毎度毎度…に始まる連から書き起こし、掃除の話はその後に軽く織り交ぜる形式はどうかしら…とも考えてみました。
一案として頭の片隅においていただけたら幸いです。

素敵な佳き作品でした。
ありがとうございました。


**********

☆「団地の窪み」 佐々木礫さま

佐々木礫様、こんにちは。御投稿ありがとうございます。
拝読していて頭に浮かんだのは、封建時代の身分制度において、最下層に位置づけられた人々が住んでいた地域のことです。
権威を守るために為政者が形成した身分差別により、一部の国民が経済的、社会的、文化的…に虐げられ、不当な差別を受け続けた問題があります。タブー視され、時代と共に薄れていくようでありながら、それらは未だに続いており、その根深い差別を、私自身、詩でどう表現すべきかはわかりません。

一軒家に登場するのは男一人ですが、土地の描き方、軽自動車、バイク三台の描写の裏に、男個人の話だけにとどまらぬ、切り取られた集落の一部の問題を垣間見たようにも感じ、拝読させていただきました。
詩は恐らく、礫さんの実体験そのままかと察せられます。
「人の世の敗残者」
敗残者とは、戦いに負けて生き残った人を指します。
「敗残」にはやぶれ損なわれること。この世に生き残ってはいるが、身も心も衰え損なわれること。の意があるようです。
齢十二の俺が男を「人の世の敗残者」とみたのでしょうか…。

終連に着目いたしました。

 その揺れの奥に浮かぶのは、
 あの敗残者の影法師

俺の中には、十二の時に見た男の姿が影法師…影のように心に残っているのでしょう。
「自身の影に少し重なり」とありますから、 「影法師」は影武者的な意味も宿しているのだと推察します。

 憧憬にも似た心象を得る。
(俺は大人になったのだ)

憧憬にも似た心象と、俺は大人になったとの心の叫びは何を意味しているのか、礫さんは何を訴えたいのか、私なりに考えてみました。
不当な差別を受けながら生きる男は、しかし、紛うことなく己の人生を懸命に生きているのであり…
大人になりゆく過程で人目を偲(忍の字…かしら)ぶように生きてきた俺は、「敗残者」という言葉を仲介として、男の中に共通するものを見いだしたのでしょうか。
母親の言葉や外観からの判断によることなく…、他者の基準とは関係なく生きている男の姿(男の影法師の中に見出した)に憧憬を抱き、男の生き様の真実を知り得た気付きから、俺は大人になったとの心の叫びはうまれたのでしょうか…。

 疼く痛みと懐古と共に
 団地の窪みを想って悟る。

詩の着地は素晴らしいですが、悟った内容を膨らませていただき、更に深く読んでみたいように感じました。
水平社の闘いの歴史は続いています。
とても難しいテーマだと思います。
(私が想像している問題と異なるとしても、登場した男が受けていた差別は、同様の問題を含んでいるように思います)

最後に、このような差別を受ける地区のお父様がご長男誕生の日によまれたという詩を見つけたのでご紹介します(2007年、福田雅子氏インタビュー記事より)。

  「…吾子よ
  お前には胸張ってふるさとを
  名のらせたい
  瞳をあげ何のためらいもなく
  これがわたしのふるさとです と
  名のらせたい」

私自身、学び直しを考えさせられる佳き作品でした。
ありがとうございました。
また、私の想像が行き過ぎたもので、更にこの問題に関する不勉強により、どなたかを傷つけるような発言をしておりましたらご指摘ください。
申し訳ありません。


**********

☆「神様になるための修行」 上原有栖さま

上原有栖様、こんにちは。御投稿ありがとうございます。

 僕は神様になるための修行をしている

???を頭にたくさん抱えながら拝読させていただきました。
読み進めるにつれて、?の数は減ってゆきますが、なぜそんなに厳しく辛い修行をしなければならないのか…
詩の半ばを過ぎて、ようやく理由がわかります。

 君を救う神様になりたいんだ
 白い部屋に君は今日も横になっている
 
君は病いで入院しているのでしょう。その君を救いたいがために神様になりたい…深刻な願いの意外な理由に読み手は驚かされます。
「あの日、君の手を掴めなかった僕」ですから、過去、僕には君の何らかの大切な思いを受け止められなかった後悔があるようです。

君を救いたい僕の切実な思い、前半の過酷な修行の理由がわかったところで、

 今度は神様になって君を救ってみせるから
 だからあと少し待っていて
 もうすぐ僕は神様になるよ

僕の願いが語られ、詩としてきれいに着地をされていると思います。
君を救いたい→僕は神様になるその思いは読み手に十分伝わると思います。

これは好みの問題かもしれませんが、もう少し早く「君を救う神様になりたいんだ」を記した方がいいかもしれません。極端なことを申すならば、冒頭で宣言するのも一つの手法かと存じます。

或いは、神様になるための修行の過酷さよりも、僕はなぜそれ程までに君を救いたいのか、君がどれ程僕にとって大切な存在なのか…に比重を移してもいいのかも知れません。

また、年若い僕の空想の物語にも読めました。
大好きな君が病気だとする→僕は神様になるんだ→そのために僕は辛い修行をこんなにこんなに…。
そんな恋する少年を描いた詩なのかしらとも思いました。

様々に解釈ができるのは詩の良さでもありますが、伝えたいことをよりくっきりと浮き上がらせようと考えるならば、連分けなどを施し、伝えたいことを連の中で明確にしていくことも詩の紡ぎ方の手法として有効かと思います。

「君を救う神様になりたいんだ」
言われてみたいですね〜
印象的な素敵なセリフを詩文の中に埋もれさせては勿体ないです。
先にも述べましたが、ポイントとなる詩文を活かすように工夫することにより、更に素敵な作品になるのではと感じました。

キュンとさせられる素敵な佳き作品でした。
ありがとうございました。


**********
以上、3作品、御投稿いただき、誠にありがとうございました。
それぞれに、素晴らしい作品でした。
十分に読み取れていなかった部分も多かったかと存じます。
読み違いはご指摘いただけたら嬉しいです。

1月も終わり、もうすぐ立春ですが、厳しい寒さは続き、相変わらず風邪など流行っているようです。私も12月から風邪を何度もぶり返してしまいました。
花粉の話題もちらほら…皆様、くれぐれも御自愛くださいませ。

年の始めから、力作ぞろい…勉強させていただきました。
ありがとうございました。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
  紗野玲空

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神様になるための修行 上原有栖

僕は神様になるための修行をしている
それはとても厳しく辛い修行だ
僕の師匠は怖い
怒らなくても怖いし 怒るともっと怖い
怒鳴り声はまるで本物の雷が落ちるようだ
それでも神様になるためには
我慢と血の滲むような努力が必要だ
雨の日も風の日も修行をした
誕生日が来ても風邪をひいても修行をした
何年も何年も修行をした
友人や周りの人間はみんな僕を哀れんだ
お前にそんな力はない、と
師匠のことを悪魔だ守銭奴だと貶す者もいた
それでも僕は神様になりたい
君を救う神様になりたいんだ
白い部屋に君は今日も横になっている
閉じられた眼を僕は見つめて
規則的な電子音がリズムを刻む
あの日、君の手を掴めなかった僕が
今度は神様になって君を救ってみせるから
だからあと少し待っていて
もうすぐ僕は神様になるよ

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団地の窪み  佐々木礫

住宅街の隅、団地の麓、
雑木林に囲まれた、
急勾配の坂の下。
そこには、
「通ってはいけない小路」があり、
「関わってはいけない人」がいると、
母親は俺に言っていた。

少年時代、ある日の放課後。
夕陽の下で、
光と影の錯綜する、
雑木林に心惹かれて、
俺はその坂を降りて行った。

一軒家ほどのプレハブ小屋は、
草が生い茂り、
タイヤの無い軽自動車と、
ミラーの割れたバイクが三台、
蔦に絡まり、止まっていた。

俺が来たのと反対側の、
暗くて細い小道から、
男が一人歩いて来た。
その肌は、西日を浴びて少し赤く、
他は全てが霞んだ容姿。
よれたジャケット、
縮れた髪の毛、
そして右の目、
これらは全て灰色だった。
彼、人の世の敗残者は、
齢十二の俺を見て、
何も言わずに背を向けて、
元来た道を歩き去った…

彼が件の男だろうか?
判然としない疑問を抱え、
何とも言えない帰路を辿った。
家の玄関のドアを開け、
「ただいま」
と言えば、
「おかえり」
と母親の声がした。
彼に会ったと、俺は言おうか迷った挙句、結局何も言わなかった。
家族の団欒、暖かな料理、清潔な部屋に柔らかな布団。そこには俺の居場所があった。
その中で、俺は夕方に見たものを、すっかり忘れて眠りに就いた。

しかし今日日、
山と夕焼けを見る度に、
生温い陽炎が立ち上がり、
その揺れの奥に浮かぶのは、
あの敗残者の影法師。
人目を偲び、目を背く、
自身の影に少し重なり、
憧憬にも似た心象を得る。
(俺は大人になったのだ)
疼く痛みと懐古と共に、
団地の窪みを想って悟る。

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