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編集・削除(編集済: 2024年09月10日 18:37)

無差別殺人事件調書 ―ある大量無差別殺人犯の声 桜塚ひさ

無差別殺人事件調書
―ある大量無差別殺人犯の声


俺には声がない
世間に繋がる綱がない

俺には声がない
声帯を持たずに生まれてきてしまった
たぶん 母親の胎内に置いてきたのだ

親はあったが機能不全
仕事、結婚、子供 安眠
全て俺には縁もない

お前たちに俺は見えない
俺にはこの世間に椅子がない
小さい部屋で  
一日中ゲームをする
だが 障害者じゃないぞ
その証拠に障害者手帳も手当てもない

親父も声がなかった
声がなくても生きて仕事して
俺を生んだ
親父の生きた世は
声がなくても生きていけた
お前たちと関係を持たなくても
生につながる綱が持てた

世間は言う
自己責任
自助努力
働かざるもの食うべからず

お前たちの世間 
そこは俺のディストピア
亡命したかった
声のない者も生きていける土地へ



それでも俺という存在がこの世にいた事を
お前たちは知らなければならない
俺が死ぬときお前たちも死ぬのだ
死は平等だ
不平等に生まれても
死ぬときは
唯一つの裸の命が消えるだけだ

ダガーナイフの効果的な刺し方はネットで調べた
俺の唯一の居場所のネットで

――死刑判決後のある裁判員の声
彼は 無罪だ
彼が有罪なら 僕も有罪だ

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青島様へ 評のお礼です  喜太郎

今回も貴重なお時間の中、読んで評まで頂き誠にありがとうございます。そして素敵なご感想をいただき、とてもも嬉しく感じております。これからも一つ一つの詩を大切にしていきたいと感じました。ありがとうございます。

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恋文(中原中也に憧れて) 喜太郎

休み時間になると
君は日の当たる窓辺の席で
一冊の本を取り出し読んでいる
明るすぎる髪色
少し濃いめのお化粧
ピアスにドキドキするほど短いスカート
前の席の友達に話しかけられれば
静かに本を閉じて会話で大声で笑う
やがて友達と同じように
取り出した携帯の画面をテキパキと操作する
あの文字を追う物静かなギャップの中の目線の君を
ずっと見ていたいのに邪魔されたようでため息が出た
次の休み時間
君の机の上に置かれた本
好奇心が足早に机の横を通り目をやる
『詩集』?………『中原中也』?
やがて僕の携帯の検索履歴はこの二つで埋められ
暇な放課後は図書館に通うようになった
君との接点が作りたくて
君と同じ考えや思いを共有したくて
訳もわからず読んでみた
そして今 僕は詩を書いている
君へ宛てた恋文の詩
この想いを『サーカス』の空中ブランコの様に
上手く音と文字に表せないものかと思考を巡らせ
書いては消して 消しては書いて
やがてペンを置いて
目を閉じて窓辺で本を読む
君の上下にゆったりと動く眼差しを思い浮かべる
まさに今の僕の心は空中ブランコ
ゆあーん ゆよーん はやゆあーんの様だ

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青島江里様「午睡」に対する評価と感想を誠にありがとうございました。  秋乃 夕陽

青島江里様、「午睡」に対する評価と感想を誠にありがとうございました。
佳作にしていただき、とても嬉しく感じます。
通常は何気ないこととしてついつい見逃しがちになるものもよくよく観察してみると詩になりうる材料はたくさんあって、とても興味深いです。
今しがた起きたことや感じたことをどのように表現するか、それはまるで自分の腕を試されているようでもあります。
今回も出来る限り、単なる感覚的なもの、抽象的なものは排し、見たままの日常を説明にはならぬよう具体的にわかりやすく描くように気を配りました。
こうした限られた表現のなかでどのように自分の表現を入れるか、毎回苦心するのですが、今回はテーブルの端の表現に落ち着きました。
ふと目が覚めて顔を上げた時、一番最初に目に入ってくるのは焦茶色のテーブルであり、ところどころ傷が付いて禿げかかっている。しかもそれが子鹿模様になっていて少し面白いというところを自分なりに淡々と表現してみました。
気に入っていただけて幸いです。
これからも続けて投稿してゆきたいと思いますので、なにとぞよろしくお願いします。

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赤い鬼火

「赤い鬼火」  蒼井百合亜

月のない雨上がりの夜
湿った空気が
仄暗い裏路地に纏いつく
雨に滲んだ古い記憶が
うらめしさを忘れて
わたしを手招く

血の滲む瘡蓋を 
無理やり隠してきた
一枚一枚
折り畳んだ想いが
夜に解れて浮遊する

気づけば
ほつほつと
紅い鬼火が燃えて
ぼんやり
悲しい音を立てている

路地裏の片隅
あれは
赤い鬼火は
わたしだろうか

こんな夜には
忘れようにも忘れられない
埋もれていた感情が
鎖を解いて
赤い鬼火となり
暗闇を彷徨う

「もう来ないで」

やがて朝が来て
空が白む頃
わたしはまた
素知らぬ顔で
何も無かったように
いつもの時間へと帰ってゆく

燃え残る残り火にも
気付かないままに

月のない雨上がり
夜には
赤い鬼火がやってくる

いつまでも消えない
心の染みを燃やしながら

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三浦志郎様  まるまる

「死んじゃうなんてイヤだ」に評をありがとうございました。
何と言ったらいいか、作を立体的に読んでいただいた様に感じました。
今回のテーマは三浦さんのおっしゃるように、私自身の根底に
普遍的にあることでしたので、スポットを当てていただけたようで
何というか、安心......かな?しました。
 息子が、言わず語らずの内に、自然と身につけてくれることを願います。
あ、私と違う拠り所でももちろんよくて、ですね。
今回もありがとうございました。

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三浦様 ありがとうございます

三浦志郎様

ご無沙汰してしまいました。
佳作ありがとうございます。正直、こんなことではいけないのかもしれませんが、投稿出来たことにほっとしています。
ここのところ書いても何か違うとやめて、書こうとしてやめて、結局何がしたいんだと、あれ?更年期って第二の思春期でしたっけ?みたいな日々を過ごしていました。
男性的な書き方にシフトしていってるのは、もしかしたら回帰してるのかもしれません。子どもの頃、父の本棚から新田次郎とか男性の作家の本ばかり読んでいたからかもしれません。
ありがとうございました。

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青島江里様 評のお礼です 紫陽花

青島様 こんばんは。毎日雨が凄いですねえ泣 煙考をうんうんと頷き読んで頂いてありがとうございます。この週はテーマ煙でしたねぇ。懐かしい。そして、煙怖い怖い。私もあの日テントの煙部屋に入りました。もう本当真っ白で、前後左右分からないとものすごく不安になりますね。あ、大人は消防士さんが手をつないでくれないので、余計怖かったです笑 またよろしくお願いします。

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最期のダジャレ akko

「だいぶ組織 採られちゃったよ」
病院から帰った夫は疲れた様子だった
一週間後に家族で聞いた病理の結果は余命1~3年
その二日後に異なる医師が、夫の体を蝕んでいるのは
「NEC」という名の希少ガン
たちが悪くて 進行が速くて もって数か月と・・

深夜のダイニングテーブルに積み上げられた関連書籍
夫を数か月かそこらで死なせるわけにはいかない  
パソコンを開けてネットを検索しまくり     
標準治療?自由診療?
免疫療法・重粒子線・温熱療法・遺伝子治療・ビタミンC・・
ああ、こんなにある、治療法がいっぱい、ああ、ああ、希望はあるのだ
治療費?・・なんとかなる なんとかする・・
みかんの花のむせぶような香気が夜の庭に満ちていた

そこへトイレに下りてきた夫              
夜を徹して戦っている私に「・・・大変だねえ!」 
確かな足取りで寝室へ戻る夫に「眠れているの?」    
「眠れているよー」と死刑宣告された者ののどかな声
                         
・・・私の願いは叶わず
着々と夫の命は削られていった
淡い幻想の無能な私

体が難儀になっても悲嘆の声も苦悩のしわも見せなかった夫よ
懸命に最期を看取っていた私たちを和ませてくれた夫よ      
薬のアレジオンのCMをみて発した最期のダジャレ
「アレジオン あれじゃ 駄目だ!」
そう言ったきりバタッと眠り込んで起きなくなってしまった   

編集・削除(編集済: 2024年07月05日 06:41)

三浦志郎様へ ご感想のお礼です。  人と庸

三浦志郎様
ご感想くださりありがとうございます。
ペンネームの由来…「庸」は色々な意味がありますが、私が一番認識しているのは「ふつう」という意味です。なので、自分にぴったりだなぁと思って。
「人と」は…なんでしょうね、人付き合いが苦手だからですかね(笑)。

この詩のきっかけになったのは、ある所で見た「きほう(気泡)が入っています」という注意書きを「きぼう」と読み間違えたことです。間違いに気付いてからも、何だかいい言葉だなぁと、心に残りました。
それと、昔 底に気泡が入ったグラスを買ったことがあるんですが、買う時に店員さんが「気泡の位置が微妙に違いますが これでいいですか」と聞いて下さったことを思い出し、これら二つの出来事を合わせて作ってみました。
調べると、色々な感じで気泡が入ったグラスがあるんですね。琉球グラス。立ち寄った雑貨屋さんにあったので、実際に手に取って見ることもできました。(私には高いので買えませんでしたが…)
最後が弱いなぁと思っていたんですが、いい締め方が思い付きませんでした…。
次は妥協せず、もっともっと考え尽くしてみたいと思います。
これからもよろしくお願い致します。

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