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最近休日出勤だらけだな(泣)

>『日本の15歳はなぜ学力が高いのか?』

 読了しました。仰る通り何とも煽情的な「売らんかな」的邦題ですね。『最良の教育を求めて ― ある英国人女性から見た世界「教え方」探訪記』ぐらいで良かったんじゃないかなw。「15歳までは能力別クラス編成を行わず、出来る子もそうでない子も一律のカリキュラムで指導する。」比較的近年に成立したフィンランドの教育システムが日本のそれと良く似ているという指摘を含め、塾講師の端くれとして興味深い話が満載でした。恐らく本邦におけるこの「(少なくとも中学卒業までは)万人に同じだけの能力があるから、子供たちには平等な教育機会が与えられるべき」なる教育的信念は、『日本で働くのは本当に損なのか』でも指摘されていた「(課長ぐらいまでは)学歴とはあまり関係なく、人事異動という名の社内での再チャレンジを与えられつつ横並びに昇進していく」日本特有の雇用形態を産んでいる源でもあるんでしょうねぇ。

 あとちょっと意外だなと思ったのと同時に「やっぱりな」とも感じたのは、国を跨いだ様々な調査から「効果の無い教え方」だと判明した、以下の項目でした(本書p.292より)。

 ① 子どもの能力を賞賛する。
 ② 要点を生徒自身に見つけさせる。
 ③ 生徒たちの好きな学習法に教師が合わせて教える。
 ④ 教師が教え聞かせるのではなく、生徒たちに常に何らかの活動をさせる。

 ①の間違いは、褒めるべきは子どもの能力ではなく、結果を出すための努力や工夫の方なんだそうです(そういや昔どこかの英語入試問題に「結果(立派に描けた絵とか試験の高得点とか)を褒めると、生徒は『既に賞賛を受けているのだからこれ以上努力しても無意味どころか、むしろ評価を下げるリスクを高めるだけ』と考えて、更なる学習へのモチベーションを失ってしまう」なる主旨の文章がありましたわ)。②~④は簡単に纏めると「生徒の自主性に委ねる」ということでしょうが、本書によると生徒が「何一つ弁えていない」学習の初期段階ではむしろ逆効果なんだとか…そういや先日、仕事場の近隣の公立中学校の英語の授業で、まさに②~④そのままの指導法を受けていると塾生から聞かされましたっけ。確かにその塾生(中1)も「先生が前で黒板を使ってちっとも教えてくれないので、教科書の内容がさっぱり分からない。」と愚痴っていました。


>どこで訓練しているんだ?ってくらい統率取れてた。

 チュートリアルが確か一回あっただけだったので私個人は観ていて分かりにくいと感じたんですが…マジですか、昨今の未就学女児は凄いなぁ(苦笑)。

 私はスクリーンからの距離が全体のほぼ真ん中の席に座っていたんですけれど、私より前の席には幼女先輩含め観客が一人も居なかったんですよねw。私よりかなり後ろの座席に家族連れがチラホラ居たかなという程度で、公開直後の三連休の最終日(9/16)にしてはちと淋しい客入りでした。だから今年は上映中の幼女先輩らの反応が今イチ摑めなかったのが残念でしたね…まさか後ろの座席の様子を見るためだけに何度も振り返る訳にもいきませんしw(それこそ不審者扱いされますから)。


>つまり実情に合わせてそれなりに上手く運用されている、という認識

 私も一読して同じ感想を抱いたので、仰る通りかと思います。プライバシーを洗いざらい曝け出されたくなければしっかり手に職を付けておけ、ってことなんでしょうね。そもそも歴史的に見て「(配偶者男性との死別・離別または未婚を問わず)単身女性の救済そのものを企図した法律というのは、2001年のDV防止法成立以前には日本には無かったみたいですから。

◆◆◆

 主要な稼ぎ手となる男性パートナーを持たない女性のなかで、もっとも早い時期から保護が行われてきたのは、子どもの養育をする母親だった。しかし対策の成立時期や給付水準は、母子世帯となった理由いかんで異なっている。軍人遺族は他の母子より優先される一方で、死別母子世帯と比べて離別母子世帯や未婚の母は給付制度の創設も遅れ、給付水準も低かった。この対応の段階的な差は、近代家族に適合的かつ国家にとって有用な順につけられており、望ましいとされる生から逸脱して離婚したり未婚のまま母親になった女性は、そのモラルが問われて不利益を被ることになった。

 一方単身女性への対応は、その成立当初から、母親に対するものとは異なる系譜にあった。売春婦に対する救済措置として、人権を守ることよりも治安維持や性モラルの維持という点から発展してきたのである。そこには売春婦に対する蔑視がともなっており、のちには処罰まで加えられたが、買春する側の責任が問われることはなかった。そしてこの売春婦への対応が、放置しておけば売春する「おそれ」があるという認識のもとに、売春にとどまらないさまざまな困窮状態にある女性を保護するものとしても機能していった。このように、一般的な婚姻制度から逸脱した単身女性は、近代家族を脅かす存在であり、保護と一体となった処罰の対象とされたのである。(前掲書 p.94-95より引用)

◆◆◆

 歴史的に見た場合「家事労働を押し付けられた無職女性」は、既婚の場合であっても「一家の大黒柱たる男性」や「未来の日本国を担う子ども」の単なる添え物として、未婚の場合であれば予防拘禁の対象すなわち犯罪予備軍として、国家にとっては長らく「止むを得ず慈悲(生活保護)を施さざるを得ない社会の厄介者」でしか無かったということみたいですね。まぁ、それが国家というものなのでしょうけれど。


>選挙戦が画面映えしない上に茶番感(ごっこ感)しかないのが致命的

 2期があるかどうか分かりませんが、あったとしても多分観ないかな。会長選挙の争点にせよ、どちらが生徒会長に選ばれるにせよ、「別にどっちでもええがな」的な感想しか湧いてきませんしねぇ(苦笑)。


>映画に本編にキラリンキツネが引っ張り凧

 ガオウ様の正体は闇落ちしたキラリンハムスターだったりしてw。

編集・削除(編集済: 2024年09月24日 15:10)

「ゆき」って名前のキャラ、みんな癖が強すぎる

>フレンドリングの使いどころがちょっと説明不足
 私が見た限りでは普通に子どもみんな振ってたよ。キャラクターショーとか見てるのかな。どこで訓練してるんだ?ってくらい統率取れてた。

>ラスボスの行動原理が終始謎
 あれは解説のしようがない。こむぎにお鉢を回すために接点持たせてるだけだろうし。今回のボスは舞台装置であって言及の対象ではないですね。
 ナツキは身バレ防止だと思うけど、なぜに中二病みたいな仮面を選んだのか、それがわからないw


>社会保険と社会福祉の二重構造
 つまり実情に合わせてそれなりに上手く運用されている、という認識でいい?
 欧米で女性が働いているのって、そうしないと離婚したときとかに困るからって(理由もある)話だし。自立するってそういうことだからね。リスクヘッジは自分で負担する。


>働けば働く程収入の増加などが期待できていた
 私の父親(団塊世代。製造業)は30代で現金一括払いで家を建てたけど、よくそんな金あったなって聞いたら「残業した分だけ金貰えたし、なんとかなったんだ」って言ってましたね。
 バブル崩壊以降は特に製造業が海外移転したり効率化によって人員削減されたこと、入れ替わりにサービス業が増えたけど概して労働生産性が低く、賃金が増えないってのはあるかな。


>言われた仕事をこなすだけのアーリャさん
 主人公がヤレヤレ系陰キャにしか見えないww
 まー、やっぱり選挙戦が画面映えしない上に茶番感(ごっこ感)しかないのが致命的かなぁ。生徒会長になったら学校の隣にUSJ誘致しますくらい言ってほしいよね。生徒会長になろうとする動機が弱い。なるための手段が地味。なったあとで劇的な変化もなさそう。ストーリーラインが弱い。主人公とヒロインのラブコメとして見ても、ヒロインすでに攻略されてるよねっていう。
 2期でマーシャさんのパンツ解禁されるの待つくらいしかないっすね。


>小市民シリーズ
 推理オタクのイキり陰キャと自己防衛(復讐込み)のためなら手段を選ばない狂犬って種族違うよねって話。けど、クズであることには違いはないし、お互いに相手がクズだと見抜いているから一緒に置いた方が周囲の被害は減るのでは? こいつら健常者と一緒にはいられないだろ。いやまだ結論するのは早い。試しに放流してみようぜ(2期へ続く)
 っていうのがメインテーマなのかな? 半年後に2期(小説完結まで)やるので、図書館で原作借りられなければそのまま待ってもいいかな。

編集・削除(編集済: 2024年09月19日 14:44)

ニコ様に褒められても何か不安になる…

 「この程度はできて当然」みたいな含みを感じるというか…考え過ぎかなぁ…

 それはさておきスマイルボイス。赤ん坊など可愛い存在に対して猫撫で声を出す男性…ってシチュエーション自体は珍しくないと思うのですが、仕事のスキルとして説明されるとまた新鮮ですね。
 特に裏声は、出す側は結構喉に来るから大変なのに、聞く側は結構気味悪がったりしますからね…こむぎもいろはも性格上そういう反応はしませんでしたが、過去作にあった「父娘のすれ違い回」なども連想してしまいました。
 というか、動物病院&サロンの「フレンドリィ」…てっきり結婚してから開業したものかと思ったら逆だったとは…
 いろは母からはやり手のオーラを感じていましたが、随分前からヘッドもハートもハントしてたんですねぇ…w

>顧客満足度は高いかもしれないけど回転率は悪そう
 初診(?)時のみ完全予約制にして時間も長めに取って貰ってるんでは。次回以降ペットがいろは父の事憶えている事が前提ですが。
 自分の通ってる散髪屋も半ば完全予約制だし、精神科とかも初診は結構時間取られた記憶ありますし。


>60年代半ばには農家所得が勤労者世帯所得を上回った
 兼業農家って今で言う「ダブルワーク」やってんだから、そりゃ儲かってないと困るって理屈ですね。
 それでふと思い出したのが、ブラック企業って言葉ができる前は働けば働く程収入の増加などが期待できていた…って話。
 長時間労働が悪いんじゃなくて、労働時間に見合う対価が支払われなくなった事が問題だ…って言いたかったんだろうと思うんだけど、実際のとこどうだったんでしょうねぇ?
 一側面でしかない匂いがプンプンするんですが…


>社会福祉や公的扶助を利用しようとするときには、
>稼働能力の有無が厳しく問われることになる
 自分が就労支援受ける手続きをする時も、その辺面倒臭かったですねぇ(苦笑)。
 面倒臭いのは「履歴書に穴が空く」とか「家業を継いで欲しい」とか「国保が受けられなくなる」とかウダウダ言いながら、雑用ぐらいしかできる事が無い家業の正社員に押し込めて飼い○してきた両親の方だったかも知れませんが。
 兎に角、精神疾患の診断書だけでなく、無職でなければ稼働能力はあると判断されてたみたいです。地方自治体によっては無職は休職でも可の様で、何とか休職でゴリ押しました。
 …その休職も同じ職場に復職する前提でなければならないみたいですが…(復職と同時に転職や退職するのはアリ)


>クソザコよわよわな正攻法しか使えないアーリャさん
 サプライズ狙いだとは思うんですけどね〜…
 政近は再三「アーリャはそのままでも生徒会長になれる」って言ってるので、そのアーリャの誇り高さや高潔さをプロデュースするつもりなのだと思いますが…具体的な作戦を何も明かさないから視聴者との間に距離が出たのだと思います。
 そしてアーリャの方も、アーリャの生徒会長候補としての魅力を視聴者に伝えるべきなのにそれが全然できてない。というよりやっても詰まらない。正々堂々、正面突破、正攻法…字面は格好良いけど絵面は最悪ですからね。選挙なんて動きが無い戦いなら尚更。
 それが解決できない以上、搦め手や汚れ仕事などの邪道(=政近の役割)が見所になるしかないのは残念ながら当然かと。

 ぶっちゃけるとサプライズなんて要らんのですよw
 ガンダムXで例えるなら、「ガロードがベルティゴにボコされた後、ジャミルがビット対策の手本を見せて、ガロードがベルティゴに勝ってみせる。」これだけで充分なカタルシスが得られる。
 それなのに「もっと盛り上げたいから…」ってビット対策をいつまでも教えないまま、ガロードが何回もボコされてるのを見せられてる様なもんなんですよ視聴者は。
 アーリャが(政近の想定を超える?)成長を見せるのは、クライマックスに取っておきたい気持ちは分かる。(でないと政近の存在意義が途中で無くなる。)
 だからと言って、特に変わり映えのしないヒロイン敗北展開を何回も見せられても、特殊性癖が刺激されるだけでしかないんよなー…っていうww

編集・削除(未編集)

今年は映画を観るつもりは無かったのですが

 極力ネタバレ回避に努めますw。

>映画はこむぎが主役でペット側の視点に重きが置かれています

 でしたねぇ。映画全編を通して一番走り回っていたのはこむぎでしたし、例の「お婆さん」の件のところは、犬嫌いを公言する私でもちょっと胸打たれるものがありました(笑)。

 オールドファンを意識した昨秋のメモリアル映画とは違い、今年はメイン視聴者(未就学女児)に思いっ切り寄せて来て分かり易かったという印象でしたね。あと予想はしていたとはいえ、あのイケメンキャラの漢っぷりには思わず吹きそうになりましたww。

 気になったところは、フレンドリングの使いどころは劇中で複数回あったと思うのですが、ちょっと説明不足だったというのと、ラスボスの行動原理が終始謎だったところかな(直接ナツキの所に赴けばいいのに、序盤でいろは&まゆに拘った理由が私にはよく分からない…また御大の明快な解説を宜しくお願い申し上げます)。


>それにしてもナツキはなんであんな仮面つけてたんだろう

 同感です。あれじゃ逆に目立ってしまうだろうし、そもそも正体を隠す動機が不明なんですよね。


>一般的には女性が何かとマイノリティの立場として語られがち

 ●今週の読書『女性ホームレスとして生きる 貧困と排除の社会学』世界思想社2013 / 増補新装版2021
  https://amzn.asia/d/hjQw4eA

 『キノトリ/カナイ 流され者のラジオ』に触発されて読んでみました。野宿者全体で女性が占める割合は僅か3.2%(2012年厚生労働省調査)と男性に比べて圧倒的に少ないのは何故か?という素朴な疑問を解明すべく、その数少ない女性ホームレスらに直接取材を試みた報告書です。なおその疑問に対する解答は早くも本書第2章で説明されており、以下の二つに纏められます(↓)。

 ① 税制面でも社会保険制度においても、日本社会が相変わらず「主要な稼ぎ手である男性と子育てを担う女性」から構成される家族を優遇し続けているため女性の経済的自立が困難で、夫から身体的・経済的DV等を受けていても安易に離婚に踏み切れない(日本の離婚率(1000人中2.0人〔総務省統計局2012〕)は先進諸国の中でも最低レベルだとか)。

 ② 雇用保険・医療保険・年金などの社会保険を利用できない分、女性は男性よりも生活保護を受給するハードルが低い。

 ◆◆◆

 したがって、保険と扶助とのあいだには、序列が存在しているのである。そしてこの序列は、男女の分断とも重なっている。男性は、賃労働に就くことが期待されているため、なんらかの事情でそれがかなわなくなっても、社会保険に結びつきやすい。一方、女性の場合には、家庭で再生産労働を担うために、雇用期間が十分に長くなかったり、賃労働をしていても低賃金の仕事になりやすく、そうなると生活保障が必要になったときには、社会福祉や公的扶助の利用に結びつきやすい。つまり保険と扶助は二層構造になっており、男性と女性に不均衡に配分されているのである。

 そのため、男性が社会保障の網から漏れ、社会福祉や公的扶助を利用しようとするときには、稼働能力の有無が厳しく問われることになる。稼働能力があると判断されると、現実には仕事がなかったとしても、福祉や公的扶助の利用は認められずに、野宿生活に陥ることになりやすい。一方、女性の場合には、そもそも雇用保険や年金の対象にならない、社会保険の利用から排除された低賃金の働き方の人が大半を占めているため、男性と比べて福祉や公的扶助の利用が認められやすいのである。しかしその利用はスティグマをともなうものであり、利用に際して必要な資力調査は、女性本人の財産や収入だけではなく、収入をもたらしてくれる可能性のある男性関係にまで及び、生活の細部にわたって監視や管理が入り込むことになる。

 以上のように、女性は就労や社会保障の受給にあたって不利益を受けており、家を出て独立して生計を営むのが困難な社会的条件がある。しかし男性関係にまで及ぶ屈辱的な資力調査や、最低限度の生活を受け入れる限りにおいて、女性は福祉制度や公的扶助を利用しやすく、それらが路上に出る一歩手前で女性を受けとめているというのが、女性の野宿者が少ないもうひとつの理由であろう(本書p.43-44より)。

◆◆◆

 成程ね。日本社会の制度設計の在り方そのものが、女性の野宿者を生まれにくくしている要因だったということですね ― それが当事者にとって本当に「幸せ」なことなのかどうかは取り敢えず置くとして。正直後半の女性野宿者への聞き取り調査自体は今イチ心に響かなかったので、上記引用で得られた知見が本読書からの唯一の収穫かな(苦笑)。


>『職業、ブックライター。』

 世の中にはこういう職業もあるんですね。面白そうだけど好奇心旺盛で何より人間が好きじゃないと務まりそうにない仕事だなぁw(遠い目)。なお本書では自身の仕事上のノウハウを惜しげも無く公開されておいでですが、それって商売敵を増やすだけなんじゃないかと他人事ながら心配してしまいます(苦笑)。


>『日本社会のしくみ』 

 図書館に無かったんでAmazonに注文して今日届きました。新書レーベルにしてはこれまた分厚いなぁ(呆れ)…。『日本で働くのは本当に損なのか』は本日再読したので予習も完璧。これから折を見てボチボチ読んでいきますわ。


>それぞれの階層の人が自分は中流だ、将来の展望があると思えた時代の残滓というか。つまりイメージ
>1970年代後半に、日本社会は一種の安定状態になった
>「一億総中流」や「新中間大衆」といった言葉が流行したのはこの時期

 この頃私は公立の小学生だったですけれど、この「一億総中流」は肌感覚としてピッタリきます(「自分を中流だと考える」人が大半を占めているとの世論調査を当時新聞でチラ見した記憶があります)。クラスメートにしても勿論金持ちの家庭も貧乏人の家庭もあったはずなんですが(現に私の友人の一人は母子家庭でしたし)、そういった社会的格差を意識した記憶は私には全く無いですね。どこの家もみんな「同じ」で「横並び」なのが当たり前なのだとばかり思っていました。


>このアニメ全体的に回りくどい

 ちょっと前から話運びに微妙なテンポの悪さを感じていたので、そうやって言語化されるとスッキリしますね。

 今のところキングメーカー・政近に言われるがままに「駒」として動くアーリャという図式が、「女の子だって暴れたい」プリキュアイズムからすると何とも時代遅れというか何と言うかw。

編集・削除(編集済: 2024年09月17日 15:30)

映画前に雑務(読書と感想)を片付ける俺有能

>前作ラスボスが転生
 意識から除外してたわw 最終回で漂白された後転生してこっちで再就職してるの草。


>「掘り出しもの」を探し当てて来る
 図書館のおすすめコーナーは毎回チェックしてますね。ヤングアダルトコーナーも気が向いたら。働いてないからね、外れを引いてもなんともないぜ(苦笑)


>「一億総中流」とかいう幻想
 私が生まれる前だからピンとこなかったんだけど、なるほどこう(↓)説明されると解像度が上がる。
 それぞれの階層の人が自分は中流だ、将来の展望があると思えた時代の残滓というか。つまりイメージなんだよね。実際には貧乏人から金持ちまでいるし、すでに80年代から中小企業では非正規雇用も使われ始めたんだけど、それが顕在化するまでにタイムラグあったから。あと女性の労働ポストもあまりなかった(寿退社前提)んだけど、これもスルーされがちですね。

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 自営農業の減少は、どこの国でもおきる。しかし日本の特徴は、農家戸数がそれほど減少せず、兼業化が進んだことだった。自民党の各政治家たちが、農村票の維持を目的として公共事業や企業誘致、農業政策を進め、兼業しながら地域にとどまることを可能にしたからだといわれる。
 兼業化と「一家総出」の労働によって、1964年には農家所得のうち農外所得が農業所得を上回り、60年代半ばには農家所得が勤労者世帯所得を上回った。こうした状況を反映して、農家から他産業に就職する者の比率が50年代より低下し、65年には50%を切った。72年には、農家世帯員一人当たりの家計費も、被雇用者世帯を上回った。
 そして第1章で述べたように、1970年代初頭には、三大都市圏への人口移動の勢いが止まった。石油ショック以後に期間工などの解雇が進んだ76年には、三大都市圏から地方圏への人口移動のほうが上回った。高度成長期のような急激な過疎化はみられくなり、79年には「地方の時代」という言葉が流行した。
 これらの結果、1970年代後半に、日本社会は一種の安定状態になった。受験競争の激化はあったが、農業・自営業・大企業雇用者は、それぞれ均衡を保っているように見えた。地域間賃金格差や階級間年収格差は1975年ごろが最小で、全体の貧困率も低下していた。「一億総中流」や「新中間大衆」といった言葉が流行したのはこの時期で、『ジャパン・アズ・ナンバーワン』が出版されたのは1979年だった。(『日本社会のしくみ』)
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>メンタル弱すぎアーリャさん
 ん~、このアニメ全体的に回りくどいな。
 政近が主人公なんだろうけど、なんつーか手札を視聴者に隠したまま戦っている感がある。例えば頭脳系主人公だとデスノートのキラとかコードギアスのルルーシュとかいるけど、あいつら出たとこ勝負するじゃん。頭が良いバカっていうか。自力で答えを見つけるみたいな体当たり感があるんだけど、政近は答え知ってる感あるんだよね。相手が妹だから出方が読めるってのもあるけど。物語の語り部なのに距離感あるんだよなぁ、なんか。
 その点アーリャの方が底が浅い(笑)から視聴者と距離感近いんだけど、解決役が政近になってるから今ひとつパッとしないというか、主体性がないというか。悪く言えば主人公の性能を引き出すための引き立て役になってる。そんなわけで誰を物語の主軸として見ればいいの?感がずっと続いてる。
 そんな私はマーシャさん派。最終回までにマーシャさんのパンツ見せてくれたら手のひら返す。
 

編集・削除(編集済: 2024年09月12日 18:54)

大抵の大義や論理というものは

個人の感情を補強しているに過ぎなかったりする。

 故に、狼組の絶滅云々も口実の域を出られるかは疑問だったりします。
 しかし過去の人間との仲違いを拗らせてるだけでは、終わった話を引き摺ってるだけなので最新作の敵の事情としては弱い…
 つーかガオウは鏡石に願った結果、やや動物である事を捨ててますからね。その辺もどういう扱いになるのやら…
 喋れない動物達と切り離す事で、いっしゅうさんの言う「白々しさ」を回避しているだけなのでしょうか…

 いずれにせよ、「動物と人間が共に暮らす社会とは〜」なマクロな話はやらないかも知れませんね。絶滅ネタも何なら動物園の定番動物、大体絶滅危惧種だし(苦笑)。
 怨念拗らせた結果、孤立していく悪循環を如何にケアするか?って話の方が妥当かなー…

>客演幹部
 ヘビ館の飼育員さん、坊主にグラサンとモブにしてはキマってるデザインしてるな〜…って思ったけど、そっか、最終的に蛇になってたよな…スキアヘッド。
 寧ろバッタ野郎の方が気付かんかったw溶け込み過ぎだろww

>キラリンアニマル二軍部屋
 逆にキツネとか何でもありって理由で干されてそうな気がするw

>ユキ自身が(まゆ以外の)人を信じられるようになった
 言われてみれば、「ダメでもいろは達が居る」やリリアンより先にこてつに同情してザクロに怒ったりと、まゆ以外への視野の広がりを感じさせる描写が確かにありましたね。
 言ってる事自体は月並なのでスルーしてしまいましたw
 つまりは当たり前の事が言える程度には歪さが改善(負債が返済)されたという事ですね。

編集・削除(未編集)

猫と一角獣の水面下での腹の探り合い

 両者の間で燻っている火種が炎上するのはもう少し先ですかねぇ…。

>『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』

 私も確かに以前ほどのペースで読書出来なくなりましたが、主な理由としては ①転職して多忙になった(今までが暇過ぎた?) ②加齢のため体力が落ちた、の2点かなぁ。あと今のところ幸い私には当て嵌まりませんが、老眼が進んで手元の活字を追うのが辛くなって来たとこぼす同年配の同僚は少なからず居ますね。 
 

>現代はそれぞれジャンルが分化・派生・専門化されたこと、本→ラジオ→テレビ→ゲーム→ネットという風に選択肢が増えたことで各自が自分に都合の良い本やメディアを選んで摂取しているだけ

 そんな気がしますね。分かり易くエロで喩えると、一昔前なら水着グラビアアイドル写真目当てで『週刊プレイボーイ』を購入したとしても、ノイズとして付随してくる政権批判記事・官能小説・人生相談etc.に目を通すことで自然と「教養」と思しきものも副産物として摂取していた。しかし現代では完全にエロだけを、しかも自分の性癖に合うコンテンツのみを取捨選択して取り入れられる環境がすっかり整ってしまい、ノイズに触れる取っ掛かりとなる“フック”を得にくくなってしまった…というのはあるかもしれません。まぁこれも時代の流れだから仕方が無いのでしょうけれど。

 著者の三宅氏は「スマホを眺めているときにSNSで動画や漫画が流れて来て、つい読んでしまう(p.99)」つまり「スマホでもノイズに触れる取っ掛かりは得られる」と暗に仄めかしておられますが、実際の紙媒体上の「現物」として情報なり教養なりが目の前に鎮座しているのと、画面操作で容易く目の前から永遠に消えてしまうSNS上のサイト情報とは同列に論じられないのでは、と個人的には思いましたね。


>政権の側にも人々の手紙や投書に応えようという意識は確かに存在したし、実際、こうした手紙や投書が政権側の対応を呼び起こすこともあった

 『収容所群島』の中でもせっせと嘆願書を書く描写がちょこちょこ登場していましたね。まぁ著者ソルジェニーツィンのような「政治犯(≒何らかの理由でソ連からの出国歴がある人物(対独戦の軍人含む!)」のカテゴリーに入れられた囚人の場合はほぼ100%収容所内で握り潰されていたみたいですが(苦笑)。

 ソ連関係では以前簡単にプレゼンした書籍があったことを思い出しました(↓)。
  https://amzn.asia/d/hihaL5u

 コラム形式のため記述に纏まりがあるとは言い難く、かつ多用される手書き文字がかなり読みにくいですが(苦笑)、ソ連がどんな国だったのかのざっくりとしたイメージを摑むのには適した本かもしれません。御大紹介のプレゼン本の引用箇所に関係しそうな箇所を抜き出すとこんな感じかな(↓)

◆◆◆

 ソ連で言論の自由はもちろん制限されていました。でもそのうえであえて言うならば意外と(この「意外と」がポイントだけど)好きなことを発言できたようです。ソ連で重視された職場集会ではかなりあけすけに社会や上層部の批判ができたのだとか。絶対にしてはいけないのが共産党体制自体への批判で、そこの呼吸が大事になります。党や企業の体質を皮肉ることは大丈夫で、その辺をネタにしたコメディ映画もあるぐらい。(中略) あと場合によっては各種メディアで党、政府などの意向を受けた批判が加えられることもあります。当局から名指しで、しかも公開で批判されるなんてたまったものではないけど、でも議論を通じて党の意図を社会に伝えるという理想も一面ではあったようで…(中略) どのくらいまで好きなことを言っていいのか、というラインが政治状況で変わってくるのが厄介なところ。でも、基準がはっきりしないから空気を読んで…というのは実は現代日本でもよく経験することじゃないですか? (本書p.55「プロパガンダと検閲」より引用)

◆◆◆

 そういや『収容所群島』の末尾近くで、著者を含めた「政治犯」らが一丸となって収容所の待遇改善を求めて労役をサボタージュするエピソードが出て来ますが、あくまで当時のソ連邦の憲法の条文に則った「条件闘争」であることを強調し、決して体制(=共産党)批判に陥らないよう細心の注意を払っていたと書かれていましたっけ。


>ニコライ一世の時代は一つの原型
>立憲君主制のような政治体制は考慮されなかった

 その「1か0かのどちらかで、どっちつかずは認めない」的なデジタル思考は、いかにも聖界と俗界を一元的に統括し続けたビザンツ帝国の末裔という感じがしますねぇ(自称「第三のローマ」を名乗るだけのことはありますw)。そう考えると鎌倉・室町・江戸時代と長らく朝廷と幕府による二元支配に慣れていたこともあってなのか、明治期にいきなり共和政にシフトすることなく立憲君主政にソフトランディング出来た本邦は、世界史的にみても割と稀有な事例だったのかもしれないですね。


>今週の読書

 ① 長谷川まりる『キノトリ/カナイ 流され者のラジオ』

 やっと読了出来ました。それほど凝った文章とは思えないんですが、挿絵の助けを借りなくても物語の舞台が眼前にありありと立ち現われて来るかのような著者の描写力には感服しました。

 よくよく考えてみると、二十年前の「殺人」以外に、作中では大した事件は起こっていないんですよねぇ。いわゆる「底辺社会」の日常 ― 人々がぶつかり合うことで生じる悲喜こもごも ― がある意味淡々と綴られているだけなんですが、不思議に「読ませる」魅力を備えた作品でした。しかしまぁ、よく御大は次から次へと「掘り出しもの」を探し当てて来られるものですね、素直に感心します(笑)。


 ② R.D.ウィングフィールド『クリスマスのフロスト』
 https://amzn.asia/d/a60EPU4

 シリーズ第1作。物語の舞台は1980年代初頭のイギリスですが、濃厚な昭和臭が漂う主人公フロスト警部の性格付けが強烈過ぎますね。執筆当時は恐らくユーモラスな破天荒キャラとして許容されたことでしょうが、現代のコンプラに全くそぐわない言動の数々は読んでいて些かキツく、まさにちょっと前話題になったドラマ『不適切にもほどがある!』そのものでした(まぁ張り巡らされた伏線を全て回収している点は見事だとは思いましたが、『女神の誓い』同様如何せん長過ぎるw)。エンタメも時代と共に変遷していくことを示す好例ではありますね(なのでおススメしません(笑))。


>『Science Fictions』
>これで不正や不備がなかったら逆にすごい

 ですよねぇ、結局性善説に頼らないルール造りを如何に行うかという命題に落ち着いちゃうw。


>烏は主を選ばない
 
 異世界の住人達(八咫烏)にとって、人骨の粉末が麻薬的効能を持つ…よくこんな設定を思い付くなぁw(呆れ)。

編集・削除(編集済: 2024年09月09日 23:58)

新自由主義理解してる人ゼロ人説(私も含む)

 追加で文句を言うわけじゃないけど『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』の著者に限らず新自由主義を持ち出して批判している人って大抵それをあまり理解してないんだよね。解像度が低いというか。

 たとえば保険が任意加入で種類も千差万別、金持ちと貧乏人では受けられる医療サービスが違うアメリカ。国民皆保険で全国一律同じサービスを貧乏人から金持ちまで受けられる日本。
 日本は現役世代に対する公的補助が薄い(老人層への保障が手厚い)代わりに、企業が扶養手当などの助成をすることで労働者を保障してきた背景がある。雇用を守り、配置転換などで労働者の転職リスクを会社側で受け持っていた部分もある。最近はそれも削る方向で動いているけど多くの現役世代、リタイア世代はこうした背景のもとにある。ポスト採用で景気や収益によってポンポン解雇するアメリカと全然違うよね。

 新自由主義、資本主義と一口にいっても文化的経済的背景、雇用実態が違うわけで日本で新自由主義を反対するならもはや全国民公務員・国営企業にするしかないのでは?と思ってしまうのだけど。どのくらいの資本主義度なら許されるの? 米がちょっと足りないくらいで備蓄米出せ! 高い!って文句言う人たちは統制価格の方がいいの?w

 『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』の中でしきりに階級(エリート階級、労働者階級)ってワード出してたけど、日本で階級言われてもなぁっていう。いや金持ちと貧乏人はいるよ? でもそれ階級って言える? 階級って利用できるサービスや文化すら異なるレベルのものだと思うんだけど。ソ連時代のロシアでは共産党幹部ならキャラビアを安く食べられたけどそうじゃない人はお金があっても手に入れられなかったり、イギリスなんて階級で趣味志向すら変わる。農家出身でも、中卒、高卒でも管理職になれた日本において階級を語る意味がわからない。
 言葉でしか知らない頭でっかちの人がよくやる批判だな~って思いながら読みました(小並感)

編集・削除(編集済: 2024年09月09日 15:01)

また月曜日にブラックマンデーになるのか?(今年2回目、1ヶ月ぶり)

 新NISA初年度から投資の何たるかを学べていいじゃん(高みの見物)


>Science Fictions(ようやく借りられた)
 中身についてはほぼ予想通りだから特に何も。この手のやつはその職業の儲け方やキャリアプランを想像するとわかりやすい。学者であれば権威の高い学術誌に論文を載せることがおそらくスタンダード。であれば新しい発見をしたという体にするのがベスト。それに合致するよう調整する。査読する人は検証とかしない。これで不正や不備がなかったら逆にすごいよw ビッグモーターとかダイハツとかの不正と本質的に変わらないよね。


>なぜ働いていると本が読めなくなるのか
 良くも悪くもタイトル詐欺感がある本だなぁ(苦笑)
 まず、全体の大半を占める「サラリーマンの読書史」的な解説は興味深かった。あまりこの視点で調べたことはなかったしね。ただこれタイトルとほとんど関係ないよねw
 タイトルに対しての論考としては、不十分かつ論点がごちゃごちゃで稚拙としか言いようがない。長時間労働への文句と、資本主義社会への文句と、本を読むことは素晴らしい!という称賛と、半身で働こうぜ(その具体的な方法論は一切不明)がバラバラのまま消化できずに終わっている。
 長時間労働というけど、昔の方が労働時間が長いって自分で言及してるくせに新自由主義は~、現代は~ってやり玉に上げてるのおかしくない?w ちなみに労働時間に関してはパートタイマーも含んでたりするから正社員に限定してみればここ30年くらい労働時間に大きな変化はないんだけどね。その程度の情報くらい自前で出して欲しいのだけど。終盤読むのキツかったな~。

 本にしたって漫画、文学小説、大衆小説、専門書、エッセイ、ハウツー本、雑誌とかいろんな種類があるけどそれらが整理されないまま一緒くたに説明されているのもどうかと思うよ。
 ぶっちゃけ本読めない人って一定数存在するじゃん。漫画は読めるけど活字主体はダメ。ハウツーや大衆小説くらいは読めるけど文学小説とか専門書は無理ってな具合に。現代はそれぞれジャンルが分化・派生・専門化されたこと、本→ラジオ→テレビ→ゲーム→ネットという風に選択肢が増えたことで各自が自分に都合の良い本やメディアを選んで摂取しているだけだと思うけど。労働から解放されて時間余っても本読まない人は読まないし、仕事で忙しくてもだからこそ癒やしを求めて本を読む人だっているでしょ。知識が欲しい人、情報が欲しい人、両方をその時々で使い分ける人がいる。そういうユーザー視点を無視して長時間労働が元凶! 新自由主義は悪!とばかりによくわかんねー理屈こねているのは頭がクラクラした。
 どんなジャンルの本であれ、それが出会いや教養になり得ると言っているのは良いんだけどね。後半100ページなくして、サラリーマンの読書史と読書サイコー!って主張だけで構成した方がよほど本として纏まりがあったと思う。


>烏は主を選ばない
 ここで人間を明かしてきたか。雰囲気的にファンタジーよりはSFの趣が出てきたけど、こういう世界が広がっていく雰囲気は独特の盛り上がり感がある。

編集・削除(編集済: 2024年09月09日 09:36)

長くなったので別枠で

>ロシアの専制政治
 結論から言うとわからんw とりあえず読んだ本は3冊。

①地政学と歴史で読み解くロシアの行動原理(亀山陽司)
https://www.amazon.co.jp/dp/4569852750/
 元駐ロシア外交官の著者が国家間のパワー・ポリティクスを軸にロシアの歴史を解説したもの。大体10~19世紀のスパン。東欧の歴史を説明したものは少ないので新鮮。戦争に対するロシア人の意識に言及しているのも特徴で3冊の中では総括的でわかりやすい。

②ロシアの思考回路(三浦清美)
https://www.amazon.co.jp/dp/4594093191/
 主に宗教面からロシアの歴史を論じたもの。スパンは①よりも短く17世紀くらいまで。正直途中で投げた。いや細かすぎる。国民の精神性を宗教から見るのはいいんだけど、それがどう現代に反映されているのかが見えにくい。
 ①②に共通するのは約80年も続いたソ連についてほとんど触れていないこと。それだけで1冊になるだろうけど、現代との繋がりを見るならそこは欠かせない。

③ソ連史(松戸清裕)
https://www.amazon.co.jp/dp/4480066381
 そこを埋める本。スターリン時代に農民死にすぎ問題。さぞかし統制していたんだろうと思いきや結構ザルだったこと、意外と共産党が国民に対して(ポーズやガス抜きはあれど)耳を傾けていたことが興味深かった。
 現在でも指導者(プーチン)が国民と討論する様子をテレビ放映するのが恒例行事らしいんだけど、ロシアではトップと国民の距離が近いことが一つの特徴になっているようですね。

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 ソ連では自由な言論などあり得ず、新聞雑誌には政権を礼賛する記事ばかりで不都合なことは一切書かれていなかったというオーウェルの『一九八四年』そのままのイメージもあるだろう。しかし、このイメージはソ連の実情に即していない。確かに時代を下るに連れて検閲が網羅的に整備され、公的なマスメディアで検閲を免れていたものはなかった。(略)それでも、少なくとも「雪どけ」以後のソ連は、人々が不満や苦情を一切口にすることができなほど雁字搦めに統制された国であったわけではなく、生活に関する不満や苦情を人々は公然と表明していた。

 ソ連の人々は、不満や困難を訴え要望を伝える手紙を、様々なレベルの政治指導者や党・ソヴェト機関、新聞雑誌の編集部へと驚くほど多く寄せている。裁判所に対してさえ多くの苦情が寄せられていた。他には要望を伝える経路がなかったためでもあるが、ソヴェト政権や指導者に対する信頼が人々に多少なりとも存在していなければ、こうしたことはなされないのではなかろうか。たとえそれが「わらにもすがる」ような一縷の望みによるものであったとしても、なんらかの成果を得る可能性は意識されているはずである。そして、政権の側にも人々の手紙や投書に応えようという意識は確かに存在したし、実際、こうした手紙や投書が政権側の対応を呼び起こすこともあった。

 これは、やや具体的には次のような関係であった。ソ連では政治・経済・社会生活のほぼあらゆる局面に公的な機関が関わったため官僚機構は肥大し、官僚主義と事務遅滞がはびこって人々の不満は高まった。このため中央の指導者は、一般大衆を鼓舞し動員することによって、中下級の様々な指導者や機関の官僚主義、汚職、腐敗、職権乱用などを暴かせようとキャンペーンを組織した。プレジネフの下でもフルシチョフの下でも、スターリンの下でもこうした取り組みはなされていた。これは、日常的に人々が自らの要望を指導部に訴える回路ともなり得たのであり、人々は、物不足やサービスの欠陥の訴え、中下級の機関や指導者に対する批判と救済の訴えなどの手紙を、地区から連邦中央に至る様々なレベルの指導者、党機関・国家機関に対して常日頃から送るようになっていた。
 政権は、人々の苦情や要望に現状の問題点を見出し、人々の不満を宥めるべく問題解決のため手を打つのが常であった。
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 上層部が責任逃れのために尻尾切りしてたって話になるかもしれないけど、一番偉い人に手紙送ったら願いが叶ったみたいな話がゴロゴロあって、それはそれで公正か?っていう点は置くとしてもトップに言えば変えてくれるかもしれないという期待感は国民の間に少なからずあったようですね。

 専制独裁の常としてやはり中央集権的、官僚機構が要だと思うんですが、これはニコライ一世の頃から始まったと①の著者は述べています

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 ニコライ(在位1825~55)にとっての国家体制は皇帝専制か、フランスの革命政府のような共和制の二者択一であり、立憲君主制のような政治体制は考慮されなかったとされる。ニコライは、社会や政治の改革の必要性は認識していたが、あくまでも専制を守りながら、行政主導の上からの改革としてなされる必要があったのである。そのため、行政機構を充実させる必要があり、官僚性が重視された。秘密警察である官房第三部を含む、皇帝直属の官房組織を強化したのもその一つである。
 また、時として皇帝権力の抵抗勢力となる貴族身分の特権的地位を弱体化させ、貴族たちも官僚として国家勤務につかせることを目指した。これにより、独立した勢力としての貴族身分をなくし、国家の維持・発展のために官僚として働く皇帝の機関に作り替えようとしたのである。
  ニコライ一世によるロシア国家の「建て直し」は、ある意味でロシアという国の本質を体現したものとなっている。自由主義的な動きに対抗するために、専制、国家主義、官僚世、ロシア・ナショナリズム、歴史重視、正教会といった要素を推し進めていったのである。
 これらの要素は、現在のロシアにもあてはまる点が多くある。つまり、現代のロシア、更に言えばロシアという国そのものを考える上でも、ニコライ一世の時代は一つの原型となるものだと考えられる。
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 こういった下地もあってソ連の強権が可能だったのだろうし、極端に権力が集中してしまうと国民としても他に選択肢がなくなり(クーデターを起こせないし、起こしても鎮圧される)、結局経済が破綻するまで走り続けるしかなくなるっていう感じでしょうかねぇ。
 本書らとは関係ないですが、中国では10年くらい前のデータで国防費よりも治安維持費の方が高くついているそうです。最近は治安維持費について公開しなくなったようですが、締め付けを強くすればするほど国家の体力が削れていくという至極当たり前の話でもありますね。

編集・削除(編集済: 2024年09月07日 13:58)
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