>『ハリウッドのプロデューサー、~』
要するに40過ぎて仕事に陰りが見え、モチベも失っている中でご先祖のストーリーに逃避していたおっさんがご先祖様の古い屋敷を見つけた。一方で古くて金だけはかかる負動産に苦慮していた地元議会はホテル改修計画を進めていた。このプロジェクトに子孫が加わってくれれば泊も付いてイメージアップも期待できる。が、土地の隣人トラブルでプロジェクトはオジャンに。
でも著者が乗り気だったので地方創生補助金プロジェクトに応募。上手くすれば負動産を押し付けられるから区議会も悪くない。中年の危機が大絶賛進行中だった著者はハリウッドの仕事を手放してイギリスに移住。
地元みんなで協力して地方創生!がんばるぞい!……ってのが本書の内容ね。
如何にも中年の危機に陥っているおっさんが好みそうなストーリー。本読んでて思ったけど、記述が細かすぎる。40過ぎたおっさんにそんな記憶力あるわけない。ってことは自分の物語バンバン脚色してることがわかる。仕事に嫌気がさしてる記述から始まり「屋敷との出会いパート」が長かったことも相まってああ、この人めっちゃ自分のストーリー掘ってるなって思った。
途中から半分読み流してたから正確じゃないかもしれないけど、肝心要の修復プロセス、方法や資金繰りについての具体的な記述が薄くて(やたら細かくみみっちい話ばかり)、それよりも異国(先祖の母国)に帰ってそこで一から自分の人生を作り直すニュアンスの方が強かったのも、この本が「自己再生の自分語り」に属するものだと思う理由。
区議会が立ち入りを禁止した理由についてChatGPTに聞いたら、著者のプロジェクトに金が集まらなかったらしいね。
ChatGPT:
「関係が悪化した」というよりプロジェクト自体の“実効性”が期待された水準に届かなかったため、区議会(行政)が「夢を見せるのは結構だが、現実的な進捗や安全確保ができないなら一線を引かざるを得ない」という判断になった、というのが実態です。
日本でも近年、空き家・古民家再生プロジェクトで「外部の起業家やクリエイターの熱意」が一時注目されるものの実務的な持続力やコミュニティとの摩擦、行政支援の限界が露呈し、「結局は地元行政・住民に負担が戻る」パターンが多い
この「夢 vs. 現実」構造は世界共通で、特にイギリスのように「文化財=公共財」意識が強い国では、“見切り”がシビアに出やすいです。
日本でも廃墟化した温泉地のホテルが心霊スポットになったり、アホのストレス発散場になったりするように管理が行き届いていない古い屋敷が荒らされるのはあっちでも変わらないってのは「やっぱそうなんだな」と。結局自治体の負動産になっちゃってる。文化財だから壊せないし。クソ田舎の廃墟ホテルをどうにかしろってよりもタチが悪い。それを個人で引っくり返そうなんてのは、まあ、無理よな。
著者の性格についてはおそらく読んだままじゃないかな。楽観主義。仕事を進めれば帳尻合わせで何とかなると思ってるタイプ。たぶん実際にそうしてきたんだと思うけど。そんな記述もあったし。冒頭にも書いたけど、おそらく中年の危機で屋敷と自分を重ねて見たんじゃない? で、屋敷の再生=自分の再生の物語を描いたと。
自分の物語に夢中になったのはいいけど、ちょっと規模が大きすぎたね。なまじっか仕事が出来たのも仇になった。
これもChatGPTに聞いたら中年の危機で人生一発逆転ギャンブルってあるあるらしいよ。
日本でよく聞くタイプなら早期退職で割増退職金もらった人が自分のお店開く(自分で本を書く、田舎に移住)みたいなやつ。それがクソデカ屋敷になったと思えば。
>Dr.STONE
スイカがヒロインレースにエントリーしました。
現代知識無双+ハーレム。ん~これはなろうw
感想案を書く→AIに読ませる→返ってきたコメントから思いついて改稿する→AIに……を延々と繰り返したおかげでいつもより仕上がりが早くなりました(なお、例によって投稿後もちょこちょこ改稿している模様)。
>推し活
私勘違いしてて、どちらかというとネガティブ寄りな発想だと思ってたんだよね。つまり自己の欠如、不安などを埋めるための代替行為なのだと。
これは一面では間違ってないんだけど、推し活のより正確な構造は”推しの物語に接続することで自分の物語を駆動させる”行為なんだね。つまり何かしたい、何か意味ある行為をしたい、広げたり深めたい。そういうポジティブだったり創作・創造性が動機にあるのがむしろ一般的な推し活なんだろうと思う。要するに私のプリキュア感想も推し活になる。
じゃあ何でそう捉えにくいかと言うと、推し活で見えやすいのは熱狂的なファンだったりすることが多くて控えめに言ってもあまり知的な感じがしないこと。『推し、燃ゆ』のように内面のネガティブさが描写されがちなこと(これは映画のアマスも同様)。以前取り上げた横川良明著『人類にとって「推し」とは何なのか、イケメン俳優オタクの僕が本気出して考えてみた』のように推し活をしている人自身があまり言語化できていないことも影響している。推しがいなくなるとめっちゃ日常が灰色になる……みたいなことを当事者が言うものだから依存的なイメージの方が強くなって当然。
そういう色眼鏡をかけずに見れば”推しの物語に接続することで自分の物語を駆動させる”行為だからこそ、推しの喪失が自己の意味づけをも失わせるという心理構造になり得るし、私のようにひたすら思索を重ねて「精神修養」と言えたりもするわけだね。根っこは一緒。主体性を持っているかどうかって話。本来は自己構築のための営為……なんだけど主体性がないと振り回されてしまう。
具体例を一つ上げるなら、推しのグッズを大量に買っている人はそれができる自分にコミットしてるんだな。こんなに応援してる、できるって。人に示すと同時に信仰告白にもなっている。で、これが何らかの理由で冷めてしまうと、その大量のグッズに意味を見出せなくなるんだな。自分は何をしていたんだ?と。自分の物語が止まってしまう。それを「あの頃の自分には必要だった」と語れれば物語は継続するんだけど、そうでないとずっと断絶したままになる。
>真の説教
一種のバーナム効果みたいなものなんだろうけど、極論人の話なんか聞いちゃいないからね。聞き手は自分の物語に勝手に書き換える。これが個人面談だと俺の話に合わせてくれ!って煩くなる。だから説教はむしろ余白が多い方が良いまである。そこに聞き手は好きなものを描けるから。説教する人に必要なのは聞き手が自分を重ねやすい小噺、耳に入りやすい喋り方、抑揚とかそういうことだろうね。
>大学生の生活圏の中って何でこんなに新興宗教の連中が多いんだよ
そらカモが多いからよ。
いくら頭が良かろうが所詮社会経験ゼロの若造。しょーもない好奇心、野心、カスカスのリスク感覚。慢心と謎の自信持ってる奴こそカモりやすい。論破しようとして逆に丸め込まれるなんてよく聞く話でしょ。勧誘する方は勧誘のプロってことを理解してない。高校卒業したばかりの子どもから見れば先輩は大人っぽくて、垢抜けているように見えたりするし、「○○はそういうもの」と自信満々に言われればそうなのかって思ったりもするでしょ? 社会経験ない上に自分で考える癖がない人ならなおさら。で、そういうのに染まりきったアホな先輩もまた多いって話。
>漫画原作とアニメ
最近だとアニメ「ぼっち・ざ・ろっく!」の脚本家がノイズって言ったことが話題になってたみたいね。原作もアニメもその人のコメント内容も知らんから、どうでもいいんだけど、仕事ってそういうものだからね。自分の我を通したかったら権限を得るか、自分で金を集めて、人を集めて、従わせるしかないね。
https://www.zakzak.co.jp/article/20250916-TBUJVSE4NJBOJAD7GX2O7W7RLM/
>高野史緒『アンスピリチュアル』 https://amzn.asia/d/b7n7iOR
スピリチュアル系恋愛小説。『グラーフ・ツェッペリン あの夏の飛行船』と同じ作者。こっちの方が小説としては読みやすい。
旦那に浮気された主人公がパート先で年下男子と出会う、というよくある展開。
主人公はオーラが視えるという設定。これをもう少し噛み砕いて言うといわゆるHSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)、過剰共感と解釈しても差し支えはない。つまり主人公は人の顔色を伺いそれに合わせることが処世術になっていて、外資系美容部員のトップ営業という経歴を持ちながらもどこか受動的で無感情な気配が漂う。自分で考えて行動を起こすより他人の反応を見て動く方が楽、みたいな人物。そんな彼女が彼と出会って……。
歌舞伎町が舞台ではあるものの架空の「歌舞伎町構造体」という何かよくわからない何かが舞台で、終盤はSF色が強くなるなど、現代なのか近未来なのか、架空なのか、スピリチュアルなのかSFなのか、登場人物も一部フェードアウトするしやや纏まりに欠けているのはマイナス点。
けど、昨今のとにかくマイノリティを無理やりねじ込む風潮に嫌気が差している中で、HSPだとかメンヘラだとかを全面に押し出さず、スピリチュアル系で纏めているのはそれ自体評価できる。物語のラスト、主人公の空っぽの器が何で満たされたのかの描写も納得感がある。
図書館で借りられるならまあ、暇つぶしにはなるんじゃない?
>野宮有『殺し屋の営業術』 https://amzn.asia/d/9av53W5
最近出たばかりの江戸川乱歩賞受賞作。なので図書館で借りるのは絶望的。例によってポイントが余ってたので、読み終わったら図書館に寄付する前提で購入。
主人公はサイコパスっぽい性格で、営業のトップセールスマン。殺しの現場に出くわしてしまい危機を乗り切るために自分を営業として使ってみないか?と売り込む、というなかなか見ないシチュエーション。それっぽい本をかじったんだろうなーって容易に想像できる行動心理学のワードが頻出して安っぽいものの、サスペンス感のある展開、暴力と金、信用で成り立つ裏社会の構図など暇つぶしの読み物としては悪くない。自腹で買う必要はないと思うけど。
>仮面ライダーゼッツ
アマプラで1話。ビジュアルは好みかな。例によって中盤でごちゃつくだろうけど、そこまでは見れなくもなさそうな気がしないでもない。
>ウィッチウォッチ
先生と嬉野さんの話が一番面白くて解像度高いの草。
後は田中が室外でも室内でも水場の近いロケーションで仕事を取ってくれば良いだけ…その時こそ、俺達は伝説を超える!!
>不正入学
姉妹都市からの留学生として田中が手続きをしていれば、過去の不正入学の中でもかなりの正攻法で転校して来たと思いますけどねw
学年については…まぁ、未就学児童にとっては、学年が違うのもクラスが違うのも似た様な認識でしょうw(こら)
>人気がある人がやれば何でも了解されるところはあります
ルッキズム上等。ポリコレがナンボのもんじゃい。みんな自分に正直に生きようぜ。
昔やったゲームに、奇行癖のある女の子が「アイドルなら変な言動しても許される」ってアイドル目指してる設定があったなぁw
>スカイを真似して「ヒ~ロ~ガ~ル~」なのもエモい
初期の痴話喧嘩思い出しますねぇ…真似した事は自白済みw
>各自悩みなり心の中に闇を抱えていても何か支えがあれば自分で立って歩ける力がある、という提示
同感です。
うたの歌が初めて人助けしたケースである、「プリルンの記憶」の延長線上にあると考えれば、逆算で「プリルンが大切なものを思い出そうと苦悩していた」からこそ、うたの歌が届いたのだと考えられるし、うた(達)の歌で人助けをする距離感が、最近のダークランダー戦でハッキリしてきたと言えますね。
お互い顔は見えないけれど、お互いの成果物(ステージやファンレター)がお互いを救っている感じ。
>マーティン・ロイドジョンズ『説教と説教者』
失礼ながら、かつて巻き込まれていた新興宗教の連中が喜びそうな内容だと思ってしまいました…
同じ内容の話を納得するまで聞かせ続ける…要は「洗脳」するタイプの団体だったので…
つか、大学生の生活圏の中って何でこんなに新興宗教の連中が多いんだよ…orz
>水上悟志対談動画
>せめて「○分×秒から聴きどころ」とか書いてくれないと
ぐ…確かに…「切り抜き動画もあります」だけじゃなくて、自分が面白いと思った切り抜き動画のリンクも貼るべきでしたね…
って事で(↑)はプラネットウィズのアフレコ裏話も聞けますw
>美男高校ハイカラ
観てるかアマテ・ユズリハ〜?
歳相応だとか自由は大事だとか言った所で、傍若無人に振る舞えば誰からもこれくらいは責められるのが人生なんだぞー。
>オシエシニッシ
ハイミさんカラちゃんと疎遠になってる描写あったから心配してたけど、遂にカラちゃんが影も形も出なくなってて泣いた…
これが…女の友情…
>秋映画
テーマは「短く儚く過ぎ去るからこそ、共に過ごした想い出はそれだけ貴重で、時空を超えて残り続ける」でしょうか。今思うと本シリーズの主人公の苗字が咲良(さくら=桜)なのも、「アイドル(=誰かの推し)で居られる時間の短さ」を暗示させる意味合いを持たせていたのかもしれないですね。
あとはそうですね…異なる生物種間での寿命の違いが生んだ悲劇という観点からすると、こむぎといろはの方に寧ろピッタリ当て嵌まったように思いますが、流石にそれは生々し過ぎたから昨年は避けたのかなぁ(苦笑)。
>個人の悩みをぶつけられてもプリキュアは答える術がない
>それをやり始めると救済コスト(倫理的コスト)が爆増する
そういやふた昔前ほど前に活躍した英国の牧師(今でも保守的なプロテスタント界隈では人気がある)が、同じようなことを述べていましたねぇ(↓)。
◆◆◆
… 説教者は講壇に立って説教するが、そこには個人的な問題をかかえた人たちが集まっている。説教を少なくして個人的働きやカウンセリング、訪問などにもっと多くの時間を使うべきだ、というのが[説教は時代遅れだと主張する人々の]論点です。これに対しても私は、説教を中心的な立場に置くべきだと答えます。なぜなら、真の説教は個人的な事柄を扱うからです。真の説教は牧師の多くの時間を節約させてくれます。…… 礼拝の後、人々が私のところに来て、「メッセージを感謝します。もしあなたが私の存在に気づき、私の問題の核心を知っていたとしても、私のしたかった質問にこれほど適切には答えてくれなかったでしょう。しかし、もう質問しなくてもその答えは与えられました」と言われるまで、私はその問題をまったく知らなかったのです。…… 福音説教こそ人々と説教者とを引き合わせる最善の方法であり、きずなを形成するのです。そして説教者は同情的で理解があり、自分達の特別に困難な問題に対しても洞察力があるという印象を人々に与えるのです。…… このようにただ一度で、また一時に、何十人何百人もの人を[牧師は]扱うことができます。もし彼が問題をかかえている人たち一人一人に会わなければならないとしたら、自分の生活はなくなり、その目的も果せないでしょう。…… 以上のことから、個人的なカウンセリングやそれに類似する活動は、説教を補完する意味はあっても、それの代用となるものではありません。……
(マーティン・ロイドジョンズ『説教と説教者』小杉克己訳 いのちのことば社1992 p.53~57より)。
◆◆◆
説教(仏教なら説法?)が充実していれば、信者当人が自力で悩みを解決する手掛かりを与えるであろうし、同時に牧師(お坊さん)も信者ごとに余計なリソースを割かずとも名牧師(名僧)だとの評判も得られるしで、お互いにWin-Winの関係が築かれるということみたいですね。そういや以前「本人の中で整理し切れていない心的外傷(トラウマ)を無理矢理告白させることは却って逆効果で、他人に読ませることを前提としない日記に心情を吐露させる方が遥かに有益である。」とか何とか、確かこの板で話題になったような…?
>『植物はなぜ動かないのか』
読了しました。中高生向けを意識してなのか、平易な文体で書かれていて読み易かったです。「単子葉植物の方が双子葉植物よりも新しい植物である」とか、「水分運搬システムが旧式な分だけ、裸子植物は被子植物よりも凍結に強い(=だから寒冷地には針葉樹林が分布している)」とかは初耳だったなぁw。如何にも公立中学校の理科の先生(と塾講師)が「授業のネタ本」に使いそうな本でしたね(笑)。
>野草化した葛が大量発生して問題になってる
お盆に帰省した時のことですが、今夏は異常な暑さを反映してか、私の実家周辺の土地でも住まいを侵食しかねないレベルで大繁殖していて驚愕しました。Youtubeとかで「森に呑まれた限界集落を求めて」的な動画ジャンルがありますけれど、私の故郷が「森に還る」日もそう遠くは無いのかなと実感しましたねw(笑い事じゃない)。
>今週の読書
● ホップウッド・ディプリー『ハリウッドのプロデューサー、英国の城をセルフリノベする』亜紀書房2025
https://amzn.asia/d/2P2IHwK
◆◆◆
何世紀にもわたって、このような家は存在してきたってことを忘れないで。あなたが家を導くというよりは、家があなたを導いてくれると信じるのよ。(著者が知り合った伯爵夫人の言葉)
◆◆◆
俳優兼映画プロデューサーとしてハリウッドにてそこそこ活躍していた著者が、ふとした切欠から自分のルーツに関心を持ち、嘗て栄華を誇るも今や廃墟と化した先祖伝来の城館を再生すべく奮闘するセルフドキュメンタリーです。
ハリウッドの自宅を売却し、英国に移住してまで建物の修復に取り組んでいる訳ですから、普通に考えれば確固たる信念や並々ならぬ覚悟が記されているはずなのですが…うーん、深刻ぶれとまでは言いませんが、文章から伝わって来る著者の人柄が余りにも無邪気かつお気楽過ぎて、余り真剣味を感じさせないんですよねぇ(毒)。実際「訳者あとがき」によると「本書の翻訳を終えた頃の昨年(2024年)11月に、著者の活動に疑念を持った地元の区議会が著者を城館から排除する決定を下し、結果修復作業は止まったまま」なんだとか。著者の動機が単なる売名行為に拠るものなのか、それとも嘗ての名家の末裔たる使命感に突き動かされたものなのかは私には判断つきかねますが、少なくとも保守的と評される英国人とはそこここで軋轢を生じさせ易そうな性格の持ち主であるように映りました。まぁ図書館でスッと借りられるようでしたら暇つぶしに読んでみてもいいかな、という程度の本でしたねw(因みに私は三カ月待ちでした)。
>『スノウ・クラッシュ』
読了しました。最後まで話の展開が何とも分かり辛く、如何にも米国産のペーパーバックらしく容赦ない暴力とエロがこれでもかとばかりに溢れかえったお話でしたねぇ… 結末も尻切れトンボ気味でしたし。
まぁ物語そのものの出来はさて置き、背景となる世界観には少し興味が惹かれました。「国民国家としての求心力を失った米連邦政府に代って私企業やマフィアらが台頭した結果、都市単位に細分化された独立国家が今や全米を覆い尽くし、嘗ての本邦のヤ○ザ宜しく利権を巡って互いに血みどろの抗争を繰り広げている」という設定なんですが、昨今のGAMAMの隆盛とかテスラ社の国政への介入とかを鑑みるに、こちらの方が米国の将来像をある意味示唆しているような気がしました(Facebookが2021年に社名をMetaに変更したのも、この小説が初出の「メタヴァース」から名付けたとのことですが、恐らくこの弱肉強食的な世界観に対するリスペクトもあるように思いますね)。
>水上悟志対談動画
せめて「○分×秒から聴きどころ」とか書いてくれないと、流石に3時間は聴いてられないっすわw。
「言語化して自覚する」展開自体がプリキュアでは珍しいのに加えて、個人的には「自覚する=責任を背負う」と繋がるので、うた個人のキャパシティが気になるんですよね。
プリキュアの人間関係が上手くいくと喜ぶジョギや、逆に心配してくるカイトなどを観ていても、内部分裂とか孤立とかをジョギは狙っている様にも見えますし…
同時に「自分で自分を推す」という行為が見られないのも気になる点。自分に厳しいこころが謙遜を込めてキュアキュンキュンを推さないのはまだ分かるとしても、ベクトルが自分自身に向いているななも(露骨にw)キュアウインクを推さないのは、果たしてこれで良いのかな?…と。
>雑草の戦略
そういえばこないだ「サイエンスZERO」で、野草化した葛が大量発生して問題になってる…って話がありましたね。
葛は茎が目茶苦茶太くなるそうで、根に近い部分は木の枝みたいになってて苦笑しました。
「食えば良いじゃん」といっても加工方法が難点で、輸入されるでんぷん製品の方が安く済む…という事でボツ。
で、問題解決方法の候補として挙げられてたのは、毎度お馴染みバイオ燃料。いっつもそれなの、どうなんだろうな〜…と思ってChatGPTに訊いたら、かなり渋い答えが返ってきましたね…(苦)
>仮面ライダーゼッツ
主人公は見た目がスパイの無職。
人助けしようとすると何故か自分が死に掛けるジンクスの所為で、人助けしたいフラストレーション溜まりまくり。
で、それを明晰夢の中で発散する事で、ヒーローっぽいパーソナリティーが構築されていった様に見える。
…即ち、人為的に作られたヒーローっぽい匂いがプンプンするんですねぇ。
チャオ!
>君は…真の暇人になれるか…?
https://www.youtube.com/live/IREhZkc_66I?si=8U18bvPizE08fOv2
勝手に水上先生って人前に出るの嫌いな印象があったので意外。(失礼)
そんな水上先生の3時間に渡る対談動画。
切り抜きも別チャンネルが沢山作ってるみたいなので、そっちでテーマを選んで観るのもアリですかね。
>Dr.STONE
>作者の並々ならぬ力量を感じますね。
大脳何個あったらあんな話書けるんでしょうねぇ…(うっとり)
最近立て続けに雨降ってるけど、もっと降って良いまである。
>うたの自己顕示欲
突然歌うだけで目立ちたがり屋ではないからね。たぶんクラスでも目立たない部類だと思うよ。みことの方が元気系オタクとして存在感あるまである。
>アナグマとミツオシエ
記事で紹介した論文のClaire N. Spottiswoode氏はミツオシエと人の共同を実証した中心人物だそうです。その人が確定できる証拠が足りねぇ!と言ってるからほんとに見つけられないんだろうね。
>多様な動機
どんな犯罪であれ、仕組みや成り立ちで考えるべきなんよ。それが関係性の中で生じたものなのか、一人の中で生じたものなのか。常習性(学習性)があるのか。独特の癖があるのか。特に犯人が底辺だったり、仕事上でうまく行ってないなら鬱憤晴らし(代償行為)の可能性が強くなる。クズは自分勝手な理屈で自分勝手な弱い者いじめをしがち。つまり歪んだエンパワーメントの一種。そもそも性欲云々なら風俗行けって話。にも関わらず何故それをするのかってこと。依存にしたってパチンコのレバーに触れた途端発症するものでもない。長年学習した結果。これらは「普通」からは外れているけど人間の反応としてはよくある。
>釈迦の教え
あの時代であれば生きことが大変だっただろうから、僧侶が徳を積んでそれに喜捨するって構図はまあわかるんだけど、現代でそれが成り立つかって言ったらならないだろうね。組織にガッツリ守られている人間の徳ってなんだよ?って。
これまで周囲から持ち上げられて天狗になる描写が幾つかあったように思ったので、ちょっと意外でしたw。本人に自覚は無いけれど、いつの間にかセンター(=リーダー的存在)だと周囲から認められるようになった…というあたりは、何となくのぞみ大先輩と重なって見えるかな。
>アナグマとミツオシエの協力関係の潜在的な主要な側面に関する決定的な証拠(遠隔音声や映像記録など)が不足している
へぇ~本当ですか。そういや私が小学生の時に読んだ「学研のひみつシリーズ『鳥のひみつ』」の中でも相利共生の一例として漫画化されていましたっけ…まぁすっかり忘れていましたけれどw。こういった「狼の育てられた二人の少女」の現代版みたいな話は、世間に広く認知されていないだけでまだまだそこら辺に埋もれたままになっているのかもしれないですね。
>『性犯罪者の頭の中』
読了しました。やはりやや長めに語られる、第1章のA受刑者のエピソードが一番興味深かったですね。
「アルコール依存症や万引きの常習犯の場合はその背後に「多様な動機」があると見做されるのに対し、性犯罪者だけはなぜか性的欲求だけによるととらえられ、「多様な動機」が考えられにくい。(p.50より)」というのは、言われてみれば当たり前なんですけれど、改めて成程なぁと納得しました。「自分の力では性犯罪をやめたくてもやめられない、捕まった時はようやく終わったという感覚が少しあった(p.55,p.60)」というA受刑者の告白が、各種の依存症関連でこれまで耳にしてきた話と全く同じだったことも、性犯罪だけを別枠で論じる根拠が無い事を裏付けていたように思いました。
>そういうことができるご身分
>修行が組織資本によって成り立っている
光永圓道氏も花園大学時代に薫陶を受けたという佐々木閑氏の著書『集中講義・大乗仏教』によると「出家者は生産活動を一切禁じられているため、生活に必要なものは全て一般社会(在家信者)からの施しに頼って暮らさねばならない」というのが釈迦オリジナルの仏教の教えだそうですから、そういう意味ではこれが「仏教の本来の在り方」なのかもしれないですね(笑)。
御大の仰る通りこの「定期的に聖者を生み出す古式ゆかしいシステム」は、(不謹慎な物言いかもしれませんが)当事者らが自覚しているかどうかはさて置き、現代の資本主義社会における「宗教ビジネスの一環としてのアドバルーン的役割」を果たす上で極めて好都合なのではと私も感じました。
>最悪なのは空いた時間に仕事を詰め込まれて業務の密度(量)が上がってしまうこと
>AIを前提にした仕事の密度と量を求められる
ご名答!まさに『資本論』でマルクスが指摘する「相対的剰余価値生産」の実例そのものですね(涙)。
>本屋の小説コーナーがマイノリティーの見世物になってる
昨今は主要キャラクターの最低でも一人はマイノリティの出自(LGBT・移民・心身の障害・レアな病気の持ち主etc.)に設定されていますものねぇ。物語的に必然性があるのならまだしも、単なるキャラ付けの一つと思しき場合も珍しくありませんし、仰る通り私もいい加減食傷気味ですね~。
>Dr.STONE
ちゃんと登場人物一人ひとりに見せ場を作ってあげられるのには作者の並々ならぬ力量を感じますね。また二度目の「全世界の石化」が、人類を絶望の淵に陥れた一度目のそれとは対照的に「科学の力で世界に希望を繋ぐ」役割を持たせている構成の妙にも感服しましたw。ある意味『チ。』と目指しているところは同じなんだけれど、両者の後味の違いは何なんだろうなぁw(遠い目)。
>今週の読み掛けの読書(簡易プレゼン)
● ニール・スティーヴンスン『スノウ・クラッシュ(上・下)』早川書房2001
https://amzn.asia/d/eNpqvbm
【早川書房によるプレゼン】
https://www.hayakawabooks.com/n/ncac16bbc6919
リンク先やWikiにも記載のある通り、今やすっかり人口に膾炙した「メタバース(仮想世界)」や「アバター」の概念および名称の元ネタとなった作品なんだとか。先日ポルンの中の人でSFフリークとしても名高い池澤春菜氏のラジオ番組の中で紹介されていたので。この機会に読んでみることにしました。
まだ上巻を読んだだけなんですが…うーん、馴染みの無いカタカナ語が氾濫して何とも読みにくい。しかも一つの謎が解決されないまま次の謎が提示されるを繰り返してばかりで、今のところフラストレーション溜まりまくりですw(苦笑)。まして仮想世界の概念がまだ存在しなかった発表当時は、コアなSFファンにおいてすら「ハードルの高過ぎる」物語だったんじゃないですかね(実際長らく絶版だったみたいですし)。
苦労して読み進めつつ分かったことを纏めると、どうやらメタバース内のアバターに閲覧させることで、そのアバター元の人間の脳を破壊し廃人に追い込むことの出来るコンピュータウィルスを開発(?)した謎の敵組織に立ち向かう物語らしいですね(確かにこの辺り伊藤計劃『虐殺器官』みを感じます)。あと謎多きシュメール文明への言及とか旧約聖書からのふんだんな引用とか、神話と歴史と最新テクノロジーとが交錯するSFならではの壮大なホラ話要素も今後の注目ポイントかもしれませんね。後日下巻も読んでみた上で改めて感想を追加したいと思います。
>レジーナほどの凄みも重みも感じない
毒親持ち出すのはルールで禁止スよね。
現状、敵がいなくても支障がないほどにプリキュア側だけで完結してるからね。これから敵の存在感やら危機感を煽っていくんだろうけど、どこまで対抗できるのか。
>時事ネタ
最近神戸でエレベーター内で刺殺事件起きたじゃん。
で、マスコミは例によって犯人の異常性や↓のようなストーカーの文脈で語りがちなんだけど、個人的には以前紹介した『性犯罪者の頭の中』のような通り魔的な犯行だと思ってる。事前に相手を選んで確実に仕留める捕食型の犯罪。
今回の事件でも対象に固執してない(狙いづらいと思ったら切り替えている)、過去の犯行パターンを学習・強化しているから常習性が高く犯罪者としてはよくいるタイプ。要は相手と関係を築こうとしているのではなく、犯行のために付き纏っているだけ。殺人にまで至るのは珍しいけど、プロセスは珍しくない。
実際どうなのか知らんけど最近はストーカーが注目されるせいで拡大解釈しすぎなんよ。それ言い出したら性犯罪者は大抵ストーカーになる。現時点の情報であればAIも私の見立てが妥当と判断。やっぱりそれなりの本を何冊か読んでおくと思考のフックになるね。
https://toyokeizai.net/articles/-/902058
>千日回峰行
その話聞いて真っ先に思うのは「そういうことができるご身分なんですね」かな。自分で金を稼ぐでもなく、諸々スタッフにやってもらっているわけでしょ? それを用意するのは宗教団体なわけで。その資金源だって信者だろうし。そういう構造の方が先にくる。で、達成したから広告塔にもなると。スポーツ選手と同じ構図だね。
修行が組織資本によって成り立っていることがこの道の者さんの感想だけでもわかる。言葉は悪いけど、こういうことができる時点で現代の特権階級だと思うよ。
>教育経済学的な子育て
一番有効な方法は就職氷河期に(重なる年齢になる)子どもを産まないことじゃないの?w
今結果が出ている年代って数十年前に生まれた人たちだから、人口構成・経済状況が今と違う。そういうメガトレンドを踏まえた研究なの?という素朴な疑問が残るね。
>パワポとAI
時間かけて残業代貰えれば良し。AIに書かせてさっさと帰宅できれば良し。最悪なのは空いた時間に仕事を詰め込まれて業務の密度(量)が上がってしまうこと。
これからの人は可哀想だと思うよ。AIを前提にした仕事の密度と量を求められるんだから(同情)
>『帰れない探偵』と『夢宮殿』
あれよりは読みやすいし、不条理度もマイルドになっているけど分類するなら自分探し系だからね。
テーマ性の強い作品を読もうとすると、発達障害とかLGBTとかジェンダーとかのお約束セットばかりでゲップが出るんだよなぁ。本屋の小説コーナーがマイノリティーの見世物になってる。おかげでAIと遊ぶ時間が増えた。
新学期だろ!?人間形態お披露目(の筈)だろ!?!なら少し遅めの水着回だろぉぉ!!??!!
ところで、「ピカリーネ」って名前、何と無く響きで付けたんだと思ってましたが、「光+いいね!」の可能性もありますね。
…さて、そろそろ謝罪動画の撮影準備でもしておくか…
>メロロンはあなた達に心配をかけたくなかったのでしょう。
>いや、それはどうだろう?
僕がメロロンだったら「制限時間付きの蜜月」を全力で盾にして、プリルン以外の存在追い払いますね。
それをやらん程度には、言語化できない情がうた達にもあったんじゃないかと思います。
>闇を知る者が伝説のハートキラリロックとともに生まれる
特殊能力があるのはロックの方だけですからねー。ただの変人(陰キャ)に伝説って付けても…感はありますね。
そもそも、陽キャが毎日パーリーしてる様なキラキランドで、ロック使う奴なんてそれこそ悩み多き陰キャぐらいしか居ないでしょうし、半ば生け贄みたいな感じで生まれて来たんじゃなかろうか…とか。
カッティーやザックリーみたいなタイプが生まれた事こそが「闇の兆し」かと思いましたが、ダークイーネ曰く「メロロンと同時に生まれた」らしいですから、「闇の兆し」は「ダークイーネ」その者で問題無さそうですね。
となれば、ピカリーネはああ言ったけど、キラキランドの住人もマイナス感情を持たない訳では無いのでしょう。ただ、振り切れた陽キャだから、マイナス感情は秒で忘れてるんじゃないでしょうか。
一話の頃のプリルンを思い出すと、そんな気がして来ます(苦笑)。
で、メロロンはそんなマイナス感情の処理が下手…って所か…故に持て余してポエムに吐き出しているのかも知れない。
>ザックリーの件を踏まえてこころが改めて深堀りしたので
>「ああ、そういえば」とそこで改めて気づいたというのでも問題ないし、それが自然でしょう。
ななは積極的に話しに行くタイプでも無いし、メロロンと二人きりになる機会も無かったとはいえ、「実は私もぼっちだったんだ…」な話をするまで時間が掛かり過ぎているのを、「ななの嗅覚による判断」とするのは流石に無理がありましたか…(汗)
それぞれのエピソードの繋がりが緩い…というのは分かる話ですね。
>仮面ライダーガヴ最終回
ギャグとシリアスのバランス。子供向けと大友向けのバランス。利己と利他のバランス。仮面ライダーらしさ、小道具の使い方の上手さ…などなど、あらゆる要素が高水準で纏まっていた、近年の中でもトップクラスの傑作。
…なんだけど、何故か自分にはあまり刺さらなかった。なんでかなー?と考えた結果、「奇抜さが足りない」という結論に達した。
例えば主人公がお菓子食べると変な食レポ始めるんだけど、普通の食レポなのよ。実写としては映像の加工を頑張ってはいるんだけど、インパクトが弱い。「デリシャスマイル〜♪」のインパクトに遠く及ばない。
そういう諸々をちゃんと作り過ぎてて、狂気が足りなかったんだよな〜…拗らせた感性だとは思うけどさ…
後、科学技術の功罪としては「罪」よりだったのも個人的マイナス。組織論や社会システム論としても、既に出来上がった有害な組織やシステムを破壊する物語止まりで、創造性をあまり感じられなかったのも物足りなかった。事後処理としては地道に社会システムの改善に取り組んではいるんだけどね…やっぱインパクトが足りないんだわ…(苦笑)
>Dr.STONE
「コハクに一矢報いて欲しい」とは思ったが、文字通りの意味を厳密に再現しろとまでは思わなかったんだぞ!?(泣)
>設定的に闇堕ちしそうなのに全くそんなことなかった
「闇を知る者」という設定は、友達に対する独占欲の強さもセットで『ドキドキ』のレジーナとかが思い出されますが、今のところメロロンにはレジーナほどの凄みも重みも感じないんですよねぇw(苦笑)。「実はダークイーネの娘だった!」とかだったらまた話も変わって来るかもしれませんが、昨今のプリキュアがそんな安直なやり方を採用するようにも思えませんし。
>今週の読書
今週は「文句無しの中り」には恵まれなかったので、数撃ちゃ当たる方式でw(苦笑)。
●中室牧子『科学的根拠(エビデンス)で子育て―教育経済学の最前線』ダイヤモンド社2024
https://www.diamond.co.jp/book/9784478121092.html
目次を見れば本文を読まなくても事足りる著書でしたねw。著者は教育経済学(教育にかかるお金や時間、意志決定や成果を経済学の観点で分析する学問分野)の専門家ということですから当たり前なんでしょうが、個人的には「子どもが大人になってからの収入の向上に繋がるか否か」という単一の評価軸だけで子育ての取り組み全ての良し悪しを判断するという著者のスタンスがどうにも受け入れられませんでしたw(苦笑)。
なお著者曰く「本書の内容は、すべて国際的に権威ある学術雑誌に掲載された信頼性の高いエビデンスに基づいています」らしいのですが、(以前もこの板で話題になったようにhttps://amzn.asia/d/gFbfJjd)第10章「エビデンスはいつも必ず正しいのか?」では「『ネイチャー』に掲載された有名な論文は、70%以上の研究者が、過去の実験を再現することに失敗した経験があることを明らかにしました」と、自身の主張が鵜呑みにされないようここ以外にも各所に予防線を張っていたりもします(毒)。「第1志望のビリと第2志望の一位なら後者が有利」とか「生まれ順が後の子どもほど将来の学力が低くなる」とか、子育て真っ最中の親御さんであれば大いに気になるであろうような小ネタ満載ですが、正直話半分ぐらいに頭に留めておくくらいで丁度良いのかもしれませんね(私の場合はほぼ終わったようなものなので最早関係ありませんがw)。
●光永圓道『千日回峰行を生きる』春秋社2015
https://amzn.asia/d/c9U9cty
・参考【Wiki:千日回峰行】
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%83%E6%97%A5%E5%9B%9E%E5%B3%B0%E8%A1%8C_(%E6%AF%94%E5%8F%A1%E5%B1%B1)
著者は天台宗のお坊さん。平安時代中期から約1000年続く歴史を持ち、記録の残る過去440年間で著者含めても51人しか達成していない荒行「千日回峰行」を満行し「大阿闍梨」となられたらしい。文体を見るに著者が手ずから記したというよりも、専門のゴーストライターが著者インタビューを文字起こしして本に仕立てたように思えました(まぁ本を書くのは専門外でしょうからねぇ)。
行の最中に怪我をしたらどうするのか?ドクターストップが掛かったりしないのか?という誰しもが抱く尤もな疑問に対する答えを纏めると「怪我もするしドクターストップも掛かる。しかし行は途中で止める訳にはいかないので、主治医に無茶振りしつつどうにか工夫して乗り切る」なんだそうです。歩くのだけならまだしも、回峰700日目直後には断食・断水・不眠・不臥で9日間お堂に籠ってひたすら不動明王にお祈りする「堂入りの行」においては、堂から出る時には瞳孔が開いて自力で立っていられないんだとか … いやそれほとんど死ぬ一歩ですから(ドン引き)。ただ著者の場合は、ご自身でも分析されている通り「あたかもトップアスリートがやるように、いろいろ試行錯誤してレベルアップするのをゲーム感覚で楽しんでいる」節があり、一時代前の根性論とも悲壮感とも無縁のどこかしら飄々とした記述が私には印象的でした。
まーでも本書の感想は「これだけ大勢の人を巻き込みつつ、正直よーやるわw」の一言に尽きますけれどw(毒)。
●土屋うさぎ『謎の香りはパン屋から』宝島社2025
https://amzn.asia/d/c0wmDyE
◆◆◆
― その瞬間、焼き上がったパンのように、頭の中で描いていた思考が一気に膨らんだ。
◆◆◆
2025(第23回)『このミステリーがすごい!』大賞・大賞受賞作。上の引用は主人公の決め台詞。
パンに纏わる蘊蓄と謎解きとを上手く絡めつつ、また謎を解くごとに主人公の交友関係の輪が少しずつ広がっていく王道の構成は『成瀬』シリーズを彷彿とさせ、ほのぼの感溢れる万人向けの作風ですね(悪人が登場しない点も共通していますし)。なお著者は四年に及ぶパン屋でのバイト経験をお持ちで、既に漫画家として商業誌デビューされているとのことです。パン屋の内情の描写が妙にリアルで、映像化向きの文章なのも納得の出来栄えでした。
とはいえ、無理矢理感漂う推理含め、大賞受賞作にしてはミステリー部分が弱い(苦笑)。加えて主人公(特に序盤)に余り好感が抱けないのが大きなマイナス要素ですね。初対面の人に向って「隠しておいでですが、今あなたはこれこれのトラウマを抱えていますよね?私の推理が間違っていると仰るならその証拠を見せてください」なんて、普通の感性の持ち主ならまず口にしない発言が飛び出したりもしますから…と言う訳で、総合的には買ってまで読むほどの出来では無いかなぁという評価です(表紙が気に入ったのでジャケ買いした私ドンマイw)。
>帰れない探偵
最寄りの図書館では絶賛貸出し中か〜。今から予約したところで今年中に読めない可能性が高そうですねw(苦笑)。御大の紹介文からは、何となくイスマイル・カダレ『夢宮殿』に似た話なのかな、と思いました。
>奄美大島の外来種マングース根絶成功例
>固有種が多いので、流石に在来種を守らない訳にもいかない
そういやこのトピック(↑)も7月だったかな、『サイエンスZERO』で偶々視聴しましたっけ。やっぱり固有種の数が多いっていうのは世論にも訴え掛けやすいし、支持も取り付け易いですよねw。
あと何と言っても、固有種にして絶滅危惧種の象徴たるアマミノクロウサギの存在が大きいように思います。これこそまさに「カワイイは正義」ですねw(苦笑)。
>最近の「AIと私」
この間仕事でパワポを使用したプレゼンを行うべく、自分が喋る用のカンペ原稿をたっぷり二時間は掛けてウンウン言いながら作ったんですけれども、同僚曰く「そんなのChatgpt(有料版)にパワポを貼り付けて「このパワポ全体を〇分間でプレゼンする文章をアップしてください」と指示すれば一瞬だよ。」と言われました(私は確認していませんが、同僚曰く「ほぼ手直し要らずそのまま使える」文章が出力されたらしい)。これこそまさにデジタル資本主義そのものですなw … なお弊社は有料版を導入していない模様(涙)。