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六畳人間 藤代望

アパートの駐車場
三輪車
ベルの音が夏空に近づく
ぼんやりとそれを聞いて
溶けゆくからだを脳みそで受けとめる

熱いのに寒いのは初めてだ
あべこべな身体で気づくのは
現実が本当のことだらけってこと
蝉が外で鳴いてたり
夏の匂いが今までしていたこと
君がそばにいたことも

脳みそが記憶の受け皿になっていて
少し壊れて
いくつかこぼれ落ちていっている
それでも平気
掛け布団を抱きしめて
もう行儀悪く寝れるんだ
身体があるってことなんだ


お久しぶりです、少し前にコロナウイルスにかかってしまいました。また陽性者が多くなっておりますのでみなさまもお気をつけください。

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島秀生様、評の御礼と説明

「雨の焼きそば屋」に感想と批評をありがとうございます。

まずご指摘されていた2つの欠陥を説明します。

五月一日祖母が亡くなった〜母から聞いたのは雨の水海道駅

つまり水海道駅に着いて、初めて祖母が亡くなったことを聞いたばかり。
葬儀の予定はこの後知らされました。葬儀云々の話になるとは。

またなぜ店を探したのかが書かれていないとの事ですが、
五月一日は日曜日〜水海道駅周辺は食事をする所を見つけるには
携帯で探すしかありません。その一軒が焼きそば屋でした。

ここには描かれていませんが、亡くなった祖母は専業主婦で、
祖父が家を建ててから、千葉を出ることはほぼありませんでした。

そのため、自分には祖父母の家で過ごした記憶しかないので、
思い出の店はありません。古い焼きそば屋を切り盛りするお婆さんが
自分の祖母の姿と重なり、また生活感溢れる店が祖父母の家とも
重なったのだと思います。炬燵に入る老夫婦の姿も含めて。

ただそこまで詩に盛り込むのはその時には考えておらず、
説明的で長くなりそうなので、余計なものを省いたかと思います。

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夏生様 詩の評の御礼

「軒下の燕達」に感想をありがとうございます。

職場の軒下には燕の巣があり、毎年この時期になると、
燕が飛来して子育てに忙しい毎日を送っています。

その度に詩を書いています。燕を見るたびに家族を思いながら。

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ひと夏 麻月更紗

短い恋をした
蝉の寿命よりは長く
夏が終わる前に消えた
暑さがみせた幻影だったのかもしれない
それは恋と呼ぶには
現実的で生々しく
体に絡みついて離れないのに
突然のゲリラ豪雨にさらされて
呆気なく
流れていった
私は立ち尽くす
傘もなく濡れたまま
やがて雨はやみ
雲間から日がさしてきた
けれど濡れた頬にはまだ
雨粒は残ったまま

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Fatal Error  山雀詩人

「システムエラーです
 致命的なエラーです」

突然出たメッセージ
Excel が動かない

そんなことがたまにある
そんなときいつも思う

コンピュータって
ほんとに機械なのかな

もちろん機械に決まっているけれど
何と言うのか
多分に人間的であるような

だってこのファイル
昨日は普通に開けたし
データが壊れるような
無茶な操作はしてないし

つまり動かないわけがないのだ
なのに動かないわけってもしや
パソコンの単なる気まぐれだったりして

今日は機嫌が悪いとか
何かやる気が出ないとか

データ、データ、データ
今や何でもデータの時代

ペーパーレスはいいことだけれど
データなんて電子レベルの
目にも見えない
手にも取れない
霞(かすみ)みたいな代物に
すべてを託していいのだろうか

だいじょうぶかな
このバーチャルな霞のお城

考えたら脳もそう

僕の思考(CPU)
僕の記憶(メモリ)
僕の思い出(ストレージ)

この不確かで
あやふやなモノたちよ

今にも消えてなくなりそうな
数ミクロンの細胞(ニューロン)たちよ

出るだろうか
このパーソナルなコンピュータにも
いつかあれが

いや
もう出てる?

「システムエラーです
 致命的なエラーです」
 

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夏詩  秋冬

真夏の陽射し
真昼の熱歩道

年々つらくなる
外回り

木陰を見つけ
寄りかかる

青い葉脈が
光を遮る

全力の鳴き声が
全身に沁み響く

立ち止まると
汗が噴き出る

夏空に
たゆたう夏雲

命懸けで鳴く蝉
命懸けで働く俺

命が輝き
命が霞む

目を閉じて
水筒の麦茶を飲む

水を飲むなと叱られた
夏合宿は遠い昔の記憶

蹴って走った仲間も
同じ空を眺めているのだろうか

編集・削除(編集済: 2022年08月11日 08:27)

忘れないで。 プラネタリウム

僕は下手くそな透明人間。
人混みをすり抜けて歩いてる。
上手く足を出せなくて転んだりして。
……でも誰にも見られてないし。
顔が赤くなったって知る人はいない。

生まれてこの方ずっと僕はこう。
泥水を浴びたりしたって濡れるだけ。
……でも誰にも知られてないし、
呟く独り言だって空気だけが聞いてる。

綺麗なタンポポが道端に咲いていた。
摘んで眺めてみる。
黄色い花びらがとってもおキレイ。
ふわふわ浮いてるタンポポなんて見間違い。
……気にする人なんていやしないし、
世界の片隅に僕ひとり。

天気予報通りの雨が降り。
傘を忘れてタンポポ片手に僕は小走り。
『雨に唄えば』の真似なんかしちゃったり、
楽しくなってステップしたり。
……たららん、らったんたん、たんたん。
たらんらんらん……。

誰かの傘が僕の花を吹き飛ばす。
あ、なんて声は雨音に消えてった。
拾ってみたって元には戻らない。
……なんでだろう、心が痛い。
通り過ぎてく傘の群れ。
……どうしてかな、胸が締め付けられる。

透明人間が流す涙は誰にも見えない。
散った黄色の花びらに落ちるのは、
雨粒だけじゃないってこと。
知ってるのはこの僕ひとり。

ごめんね、ごめんね。
摘んだのが僕じゃなければ、だったね。
今更遅いね。

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幻想と不安の空

無風の蒸し暑い
七月最後の夕暮れ

遠くに紫峰の筑波山

熱気を帯びた夏の空が
薄鼠色の厚い雲に覆われ
大噴火した桜島の形になる

終わらない感染症と
戦争と災害に狂う世界

あの不気味に広がる煤煙は
先の見えない未来のようだ

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鐘の音は求めている  荻座利守

私は数字になって
しまいました

私は一人の人間ではなく
一個の数字と見なされたため

あのすさまじい
熱線と爆風によって

立ち上がる不気味な雲のもと
この地上から永遠に
消し去られてしまったのです

あなたも数字に
なってはいないでしょうか

あなたには
あの鐘の音が聞こえますか

あなたは
答えを持っていますか

正しい答えを
探していますか

鐘の音は
今でも求めています

答えよりもまず
問いを持つことを

正しい問いを
探し出すことを

正しい問いが
見つからなければ

正しい答えには
決して
たどりつけないのですから

数字は
問いを持てません

あなたが一個の数字と
なってしまう前に

どうか正しい問いを
見つけだしてください

鐘の音は今でも
あなたにそれを
求めているのです

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風鈴  ゆき

最近物忘れが酷くなってきた
年をとると仕方ない と言う前に
娘が心配そうな顔で
一度 病院で診てもらったらいいよ

そうしたいけれど
今はコロナのせいで病院に
行くのも怖い

昨日は雨だったので傘を持って出かけ
そのまま電車に忘れてしまった

今日は昔好きだった俳優の
名前が思い出せない
ほら あの人よ 昔よくテレビに出ていた

首を傾げる娘

庭の植木が枯れてしまったのは
水やりを忘れたから

お弁当におかずが入ってなかったのは
寝ぼけていたから

そう寝ぼけていたから
忘れた訳じゃない

庭にいつの間にか生えてきた
夕顔が風に揺れて
風鈴がチリンと音をたてた

もう20年も前に行った旅行先の
風鈴市場で買って来て以来
可愛らしい音を聴かせてくれる

そんな事は覚えているのにと
ため息をついて風鈴を触ったら
またチリンと音がして

気がつくと娘が庭に出て
植木に水やりをしていた

お母さんの好きだった俳優さんが
誰だか分かったよ
後で教えてあげるねと

今はいない私の母にそっくりな
えくぼを見せて笑った

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