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編集・削除(編集済: 2025年01月02日 01:55)

三浦志郎様 評のお礼です 上田一眞

おはようございます。上田です。

詩のジャンルに物語詩というものがあるとはご指摘を受けるまで知りませんでした。長いものになって拙いなあと思っておりましたからご評価頂けましたことは望外の喜びです。

作中のユウセンさんはわが家に二回来られています。私が中学二年のときと結婚して直ぐの頃です。その間も折にふれ文通していましたから、アメリカの日系人の情報はふんだんに入手しておりました。面白いなと思ったのは「北米タイムス」という日本語の新聞があるのですが、活字が旧仮名遣いなのです。アメリカにわたった日本人は明治人なので、旧仮名が残ってるんですね。

私の姪がアメリカに留学したときユウセンさんに会ってるんですが、歳を召されて日本語で話すことは苦しかったようです。時は容赦なく私たちの頭に降り積もっていきますね。

佳作の評価ありがとうございました。
また、投稿しますので宜しくお願い致します。

編集・削除(未編集)

おんがえし  妻咲邦香

ことば
に、たすけてもらったから
ことば
に、おんがえしをしたい
そんなこと
できるはずない
のに
せめておれいをいいたくて
ことばのちからをかりて
だれにもわからないことば
つむいでおくる
ことばだけはわかってくれる

おねがい、いきて
と、いのるように
おねがい、きいて
と、こえにしながら
ことばがわたしを
とびだして
わたしひとりぼっちになって
さびしいこころがからっぽで
ほんとにさびしいからっぽで
それでもおんがえしはつづく
あめあがりのにじ
おいかけて

編集・削除(未編集)

感想と評 12/29~2024・1/1 ご投稿分 三浦志郎 1/10

お先に失礼致します。


1 上田一眞さん 「ある日系人の苦闘」 

新年飾る冒頭佳作にして大作。新年早々、ガッチリと骨のある作品です。時制と背景がふたつありますね。ひとつは日本を訪れ「ぼく」を含む一家との触れ合い。ふたつは戦中~戦後の生き方です。これらは物語に立体性を与えているし、その中を物語が自然に流れていきます。いいですね。戦中は普通の日本人でさえ大変だったのに、日系人といった背景を背負わされた人々は、この詩が語るように塗炭の苦しみだったことがわかります。人権の危機、迫られる決断、名誉回復・忠誠の証しとしての出征、そして夥しい死です。細部を見ましょう。当時のアメリカの兵役は18歳からですので、シミズさんはそれ以下だったことがわかります。日系人中心の442部隊史によると1943年(昭和18年)頃のことでしょう。彼らは本当に精強に戦ったようです。崖っぷちに立たされ、肝が据わった集団だったのでしょう。ここにもあるように、多くの戦死者を出したようです。シミズさんの兄上もその一人。胸が痛みます。アメリカで最も多くの勲章を受けた軍団だったのが、せめてもの慰めでしょうか。戦中は精神的な、戦後は肉体的な苦労が偲ばれます。戦後も辛苦が多かったのですが、それをカラリとわかりやすく語るシミズさんも印象深い、きっと、揉まれに揉まれて魅力的な人格に行き着いた、そんな雰囲気がありそうです。「パールハーバーを忘れるな」や「昭和四十年代」などから、この詩は時間の流れが年表のように自然とわかる仕組みも取っている。人物の年齢もだいたい推測可能です。それも隠れた魅力なのです。
地味ながら物語詩には必須なことです。この詩の中に、ちゃんと上田さんもいます。この詩の中で歴史は生きています。

アフターアワーズ。
僕流に言わせてもらうと、これは長州人の持つ粘り強さのような気がしますネ。


2  素言さん 「こんなときは眠るに限る」 初めてのかたなので、今回は感想のみ書かせて頂きます。

よろしくお願い致します。
俗に「フテ寝する」という言葉がありますが、いじけて開き直って、世間に背を向けるように寝てしまうのか、それとも“自分を安全に保ち事態をやり過ごす積極的手段として”寝るのか?この眠りの落差は大きいものがあります。そのあたりを検証できる本文かどうか?そんな視点で読んでいました。「こんなとき」の実態が本文のはずです。初連から3連までは曖昧で解釈上の解決策にはならないように思います。頼みの綱は4連か?やや具体性を暗示しているように思います。
ここには事態をなんとか打開したい向きが感じられなくもない。そう考えると、冒頭の二択は後者のほうに思えたりするわけです。ごめんなさい、これ以上のことはわかりませんでした。様子を見ましょう。また書いてみてください。


3  静間安夫さん 「見ないで信じる人こそ…」 

新年早々、意表を衝いたところから来ました。意外や、散文詩形体の、それもセリフ詩です。
まず設定がおもしろいです。イエスの神聖と場末で下世話な酒場での品のない話しぶり。
この落差ですね。ストーリーはとてもわかりやすいです。この詩の本質は終わり近くの酒場の主人のセリフにありそうですね。すなわち「確かめて初めて信じる≦理屈じゃなくこころで信じる」でしょう。タイトルにもなっている「見ないで信じる人こそ幸せ~」、これはおよそ宗教の一般論的本質でしょう。最後のオチ的謎かけがいいですね。おそらく酒場主人に身をやつして、イエスはこの男に会いに来たのでしょう。そうして大事な考え方を示唆していった。そんな解釈です。ただし、ここに一点、気になることがあって、「見ないで信じる」を過度に奉じてしまうと、以前の会っていた状況をどう評価するのか?といった問題が生じてしまうわけです。「それはそれで、なお結構」なのか。「見ないで~」理論は会えなかったことへの便法理論あるいは慰め理論でもいいのですが。このあたり、やや微妙な雰囲気はあるわけです。
いきなりのスタイル変更で、当方少し戸惑っていますが、前回もキリスト教的要素があったことに気づきました。静間さんの何らかの属性を示すものではあるのでしょう。佳作半歩前で。


4  水野耕助さん 「飛びたい、私」 

ああ、同感ですね、飛びたい、僕もです。もちろん、これは隠喩なのですが、これを日常形而下に降ろしてくると、、あてはまることは多い。事に当たってアプローチを変えてみる。ワンランク上を目指してみる。気高く生きていきたい。やっぱり人間は上昇志向といった本能はあるわけです。これはそんな詩。さてところで、飛ぶにもいろいろあるわけですが、この詩に沿って、その様態を拡大解釈してみると、……
1、2連……自己存在の飛翔。 3、4連……現状脱却。 5、6連……世界の広がり。
いっぽうで考えられるのは―最近よく思うのですが―「終わらせるのは始めるのと同等か、それ以上に難しい(特に戦争など)」といったことで、この詩で言うと「じゃあ、飛んだ後、どうするの?」といったことでしょうか。別にその後を書く必要もないのですが。ただ、この詩はそれもちゃんと用意しているのです。すなわち終連です。構図から見ても思想から見ても、この詩には終連という受け皿があることです。抽象的で全然構わない。終連に向けこの詩は収斂していきます。あとは”今よりもっと高い純度で“詩を飛ばすことです。詩も飛びたい。佳作飛翔一歩前で。THE LAST STEP。


5 エイジさん 「時間」 

日常、物質として目に見えないものを考えると、すぐに浮かぶのは空気と風。この詩にある通り、時間もそうでしょう。なるほど、時計がありますが、あれは時間という現象の代理器具、代理行為でしょう。いっぽうで、エイジさんは「詩人~見えないものを見る」といった考え方を深めようとする詩人です。そんな背景からこの詩は生まれたと僕は認識しております。時間がくっきりと形として捉えられ全てを覆い尽くすさまが明らかです。サンプルとしての場所、事物もよく考えられ、直喩も活きています。「占拠VS装飾」の対比も面白い。結果、ちょっと不思議感のある詩になって、最後の広がりに続いていきます。これ読んでると、ホント、実際に時間が(物質的に)世界を覆い始めるのを感じるのです。SF映画を観るように―。時間をこのように把握するのはユニーク。このサイズにしては充分に初期目的を果たしているでしょう。これ、コレクションで上位に入る気がする。もちろん佳作です。


6 大杉 司さん 「年の瀬」 

はい、これは前作よりもおもしろく読めました。前半はもう実感ですよね。「トイレまでも渋滞だ」が笑えますね。今日で一年が終わるというソワソワ感、ザワザワ感。そういった忙しなさの中にも、不思議と一年を振り返る感慨も入って来て。あの、えも言えない感覚が僕は好きですし、大杉さんもそうでしょう。この詩にもそれがあります。まさに詩の通り「今日は特別」です。後半「物騒な事件~」以降がやっぱりいいですね。自分の中に生まれる振り返りと期待ですね。具体的には終わりの3連部分でしょう。 ところが明けたら災害で始まってしまいました。
しかし、大杉さんが描写した時点では、正しい風景、正しい考えであったわけです。佳作を。


7 ベルさん 「始発電車」 

恐縮ながら私事を。ある職種の関係で、4年間、始発電車に乗っていました(会う人が殆ど一緒 笑)。
この詩を読むと思い出と共感が沸き上がって来るんですよね。ホント、この通りですよ。
この詩はやっぱり4連ですよねー。失礼ながら書くと、3連までは―詩を書く人なら―だいたい書けちゃうんです。4連こそがベルさんのオリジナル!特に3~6行ですね。ここですよ。俯瞰的に観ると、けっこう姿も良く、内容も端正にまとめているのが理解されるのです。
早朝の風景が主で、始発電車は従に置かれていますが、タイトルを始発電車にした。これぞ、詩のタイトルのありようと思うわけです。佳作を。

アフターアワーズ。
「ちょっと得した気分の夜明け前」―詩行にありますが、これは全くもって事実です。
アドバンテージです。その分、夜は早く寝るんですがね。 21:00!



8 妻咲邦香さん 「手負いの夜に」 

月は時にオレンジ色と化して、不気味さや悪い予感を感じたりすることがあります。
どっちにしろ、少し落ち着かない気分になります。そういった部分がこの詩。いつもと違う色を「手負い」と感じた夜です。そんな風に理解してます。どう落ち着かないのか?この詩に即して言えば「愛と憎」。その二律背反(アンビバレンツ)にあると考えます。主人公は月と相対で語りかける。そこには上記、異なり相反する感慨が含まれる。思想的な詩なんですが、3連では意外と情景が映像的に浮かんで来る。シーンと静まった森と月です。そんな中でも人物と月のせめぎ合いはたえず続いている。抒情的ながら、ある種、緊張関係にもある詩です。これは思想的正負において巧緻な作品でしょう。そこを見つめての佳作です。


評のおわりに。

新年の挨拶を逸しましたが、今年初めての評なので、「今年もよろしくお願い致します」
元旦からの災害。地震・飛行機事故。多難な年の予感を感じた人も多いでしょう。
そうならないことを祈るのみです。
地震で亡くなられたかた、心からお悔やみ申し上げます。
被災されたかた、心からお見舞い申し上げます。 
阪神・淡路大震災のあった日も近い。
今の僕にできること―ささやかながら募金を、
自分が遭った時の為に―物資と文書の確認を。 では、また。


「インターセプター」

さあ みんな
もう戦争は“しまい”だ

さっさと片付けて
家(うち)へ帰るんだ
誰か一人くらい
待ってる人がいるだろう

何処へ落ちても
何処へ降りても
ここはおまえの邦(くに)なのさ

LONG WAY HOME?
いや 遠くない!
家路はすぐ隣じゃないか

何処へ落ちても
何処へ降りても
ここはおまえの故郷(ふるさと)さ

さっさと片付けて
ベッドと仲良く
女と仲良く
眠っちまうのがいいだろう

さあ みんな
もう戦争は“しまい”だ

編集・削除(編集済: 2024年01月10日 22:03)

夜 紫陽花

寂しい寂しいと毎日呟いていると
黒い卵がころんと落ちた
夜はこんな小さな卵から生まれる

一人ぼっちの心は闇を纏い
その闇がこれ以上ないくらい
真っ黒になったとき
滑らかな漆黒の卵になる

卵はひんやりした場所が好きなので
私はいつも冷蔵庫に入れる
冷蔵庫の中で1週間もすると
卵の殻が溶け始める
夜が生まれる
そうっと夜が寂しくないように
両手でなるべく冷えた両手で包む
安心した夜は呼吸を始める
微かな微かな赤ちゃんの寝息のような
私は生まれたての夜を夜の窓辺に置く
夜が夜に溶けていく

昔は夜はなんだか寂しかったけど
今はこうやって私が育てた夜が
時々帰ってきて窓からそうっと入り
一緒に寝ていることがある
本当にそんな日があるので
私は最近夜が待ち遠しくて仕方ない

編集・削除(未編集)

自在なる時間  積 緋露雪

時間にはとても私的だが、
滾滾(こんこん)と湧き出るといふ心像を持ってゐる。
それはいつしかFractalと結びつき
時間はFractalの一事象といふことに固執してゐる。
古くは去来現(こらいげん)といふ今でいふ過去、未来、現在といふ言葉があり、
この言葉の通り、時間は過去と未来を現在といふところで
自在に往き来してゐる何とも不思議なものである。
例へば、現在に焦点を当てると
私の頭蓋内では絶えず過去と未来を往還してゐて
さうして現在を歩一歩と歩んでゐる。
何故に過去と未来の往還かといへば、
頭蓋内では絶えず考へ事をしてゐて、
その思考は過去の記憶を携へながら未来へと越境したり、
将又、単純に過去の延長線上に未来を設定したりと
それらのことを絶えず繰り返しながら、
現存在は現在をして未来に進む。
つまり、時間が存在することで、
意識は去来現を自在に行き来出来、
その進む方向はばらばらで、
時間の矢といふものは存在しない。
もっと具体例を挙げると
私から距離があるものは皆過去世の存在である。
距離を求めるのに時間項がある限り、
私から距離があるものは全て過去に存在してゐる。
すると現在は私、
正確を期せば私の皮膚が現在の居場所である。
そして、未来は私の内部といふことになる。
中原中也の有名な詩に「骨」といふ詩があるが、
内部が骨で終点ならば、
つまり、未来は有限といふことになる。
どんなに科学が進歩しようが、
内部といふ限られたものしか持たぬ存在には寿命があり、
それはどの時代でも変へられぬものであるに違ひない。
ところが、過去世にあるものが私のこれから行く目的地に変はると
過去であったものが未来へと豹変する。
つまり、過去と未来は薄氷ほどの違ひでしかなく、
日常、吾吾は過去と未来を絶えず豹変させながら、
それとは気付かずに自在なる時間を体験してゐる。
ここには時間の矢など何処にも存在しないのだ。

誰もが現在に留め置かれる孤独に気付いたものは
過去と未来を自在に往還しながら、
思索を深める外ない。
また、無限大は保留しておくとして
あらゆる数字は0乗すれば1に帰する。
私はこれを私だけの論理で回転と結び付け、
0乗は1回転すれば、元のところに帰り行く。
何故こんなことをいふかといへば、
Analogueの時計は文字盤の上を短針長針がぐるぐる回転して
時間といふものを表象してゐる。
これがどうも私には0乗と深く関係してゐると思ひ込ませ、
さうなると最早頭から離れないのだ。

時間は吾吾に与へられた自由の一つで
過去と未来を精精往還して愉しめばよい。
Time Machineは既に吾吾に備はったものである。
しかし、大河のやうな現実には押し潰されさうになるが、
固有時に生きる私は、
そんな現実と悪戦苦闘してゐるのもまた、事実であり、乙なものである。

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家路 喜太郎

帰り道 ふと思う
何かやり残した様な
このまま一日を終わらせたくない
そんな心は何を求めてるのだろう
誰かと話したい?
いや ぼっちでも良いから
軽く呑んで帰ろう
社会の中にまだ居たいだけ
世間の中に未練があるだけ
だから酒を呑んで
社会人を演じよう

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モンスター  理蝶

可愛がり甲斐のあるモンスター
内側に抱えてどうしたの
檻がもう壊れてしまった
モンスターが飛び出すよ
それは光になって味になって香りになって
時たま千年を超える偉大な歌になって
誰かの項垂れた首筋を撫でる

眠れない夜はいっそモンスター
飲み干したところでどうするの
タガはもう外れてしまった
解決のない朝が来るよ
それは涙となって笑みになって怒りとなって
時たま天に触れてしまいそうな高揚となって
誰かの切ない横顔を照らす

生きてみようよ
言葉ゆがめてしまった夜があっても
生きてみようよ
言葉と反対の心に沈んだ夜でも

生きるって紐解けば
僕らにもわかることでできている
何か悟ったわけじゃないけど
僕らにもわかることがたくさん絡んでできている
それが分かっただけで
夜が少し早く過ぎる

可愛がり甲斐のあるモンスター
内側に抱えて生きてみよう
檻を壊して放し飼い
柵を越えては話し合い

眠れない夜はいっそモンスター
飲み干した後で考えよう
タガはもう外したし
タカが知れた話だし

可愛がり甲斐のあるモンスター
あたり構わず跳ね回れ
全部めちゃくちゃにした後で
しょんぼり顔で帰ってこい
そしたら一緒に泣いてやる

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ホルスタイン  妻咲邦香

軍手を持ってきなさい
そう注意された
平気だよと答えたけれど素手じゃ危ないって
自治会恒例のゴミ拾い
今日入っていくのは山の斜面で
虫にも刺されるし藪で腕も切れる
でも今から戻ったんじゃ間に合わないって
それでもいいからって、私から話しとくって
散々言われて渋々車で帰る途中
だからちょっと急いでた

小さな町を南北に走る県道
信号のないT字路の左に車
車列が途切れるのを待って
出るタイミングを伺っている
おそらく年配の男性だろう
私の前がちょうど二台分空いてて
後ろは車がいなかった
だから少しスピードを上げた
間を詰めて早く出してあげようと

この町の空は広過ぎる
にも関わらず四方を山に囲まれてるので
空の端がその分切れている
だから面積は広いのだけど空が狭く感じる
都会から移住してきた人が言っていた
たまに里帰りすると空が広くてびっくりすると
大都会の真ん中で高層ビルに囲まれてても
端が切り取られていないので空は広く感じるらしい

そういうものかと私は思った

運転手は右左を見ている
こっちを見て、向こうを見て
またこっち見て、さらには向こう
そしてそのまま、しばらく止まって

今日の空は曇っている
広くて狭い空に、雲がびっしり貼り付いて
小雨でも降ればゴミ拾いは中止だろう
けどおそらく、降りそうもない

車は出てくる気配はなかった
運転手は向こうを向いたまま
もしも出るならもう一度こっちを見る筈
私はアクセルの力を抜いた

誕生日に冗談で貰ったマスコットのキャラクター
フロントガラスで揺れている
ゲームか何かの景品らしい
ケンタウルスの下半身が何故かホルスタインで
そしてT字路に差し掛かったその時
車が目の前に飛び出してきた

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日常 麻月

それはふいにくる
たとえば
玉ねぎを切る時
洗濯を干す時
買い物袋をかつぎ直す時

視界がゆがんで
立ち止まる

それはふいにくる

淡々と過ぎていく日常の中
とんとんと玉ねぎをみじん切りして
こみ上げてくるものを
鍋に入れて
炒めてしまおう

しんなり飴色になるまで

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コラール  エイジ

静寂の中から湧き出でる
微かな音階が一筋
聖堂から天へと昇ってゆく

今しがた逝ってしまった
母を悼んでいる
哀惜の念が掻き立てられながら
今まさに天に昇ろうとしている

やるせない感情は
音の伝う旋律によって
深く揺さぶられ
一つの曲へと昇華して
高く高く響き渡る

最低音が旋律と交差して
空中を昇りながら
雷鳴のように轟き
悼みは雲を縫ってまだ昇る

旋律が終わる頃
私の哀しみは
主の胸元へ
彼女の下にも
届いただろうか

そして再び訪れる
永い永い
静寂

彼女は僕の心を
深く抱きしめたまま
天の床についた

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